家電製品レビュー

ベッドにいても照明を消せるSwitchBotボットが便利! 家のスイッチをスマホで操作

物理スイッチをスマホから操作する「SwitchBotボット」

ものぐさだと思われるかもしれないが、寝る直前はベッドから出ずに照明のスイッチを切りたい。ひと昔前には照明のひもスイッチ向けに「光る延長ひも」のようなものが販売されていたりと、同じように考える人は少なくないように思う。最近はリモコン付きのシーリングライトが流通しており、筆者にとって実家に住んでいた数年前までは照明のリモコンが欠かせないものだった。

ただ、現在住んでいる賃貸の部屋に備え付けの照明にはリモコンがない。最近まで妥協して過ごしてきたが、冬などは電気を消すためだけにベッドから出るのが億劫だったりと困ることが多々あった。

シーリングライトの環状蛍光灯を、スイッチが付属するLED灯に変えることも考えた。それでも、せっかく備え付けの蛍光灯が付いているからと新しい蛍光灯やシーリングライト本体を買う気にはならなかった。そこで見つけたのが「SwitchBotボット」。スマートフォンとBluetooth接続して、スマホ操作で物理スイッチを押せる機器だ。設置こそ戸惑う場面があったものの、つけてしまえば便利で、SwitchBotボットなしに暮らせる気がしないほどだ。

本体から、物理スイッチを押すアームが出てくる
家電量販店で購入し、価格は3,500円ほど
コンパクトな本体。iPhone SE(第二世代)と比べたところ

押すスイッチやオン/オフを切り替えるスイッチに対応

SwitchBotボットは、押したい物理スイッチの近くに付属の両面テープで貼ると、スマホでアームを操作してスイッチを押せる仕組み。電源はカメラなどで使われることの多いCR2型リチウム電池で、1.5年ほど連続して使えるようだ。電池の交換はスイッチに設置したままでも可能となっている。

CR2型リチウム電池で動く
前面のカバーを外して電池交換する。本体横のツメからカバーを外せる

給湯器などの押すスイッチと、家庭の照明スイッチで見ることの多い、オン/オフを切り替えるスイッチに対応する。SwitchBotは「押す」モードと「スイッチ」モードを搭載し、スイッチの種類に合わせて設定できる。筆者宅のシーリングライトのスイッチはオン/オフ切替式のスイッチなので、「スイッチモード」を使っていくこととなる。

ちなみに、筆者宅で他に取り付けられる場所はないかと探してみたが、「スイッチ操作をスマホで行ないたい」と思えるものは給湯器の「お湯はり」スイッチくらいだった。お湯はりスイッチを手元で操作できれば、リビングでのテレビ鑑賞などを中断することなく、風呂に入りたい時間に合わせてお湯を張れそうだ。

アプリで「押す」「スイッチ」モードを設定。アプリはSwitchBotのIoT製品で共通のもの
本体裏の両面テープで固定
予備の両面テープと「スイッチ」モード用の補助シートが付属

シーリングライトのスイッチに取り付け。「スイッチ」モードは補助シートを使う

今回シーリングライトのスイッチで利用する「スイッチ」モードでは、SwitchBotボットと付属の補助シートを組み合わせて使う。補助シートは、スイッチのオン側(もしくはオフ側)に取り付けるもので、SwitchBotボットに接続して使うテグスの輪がついている。スイッチに着けたテグスの輪を引っ張りスイッチを引き上げることで電源をオフにし、オンにする際は内蔵アームで押してオンにする仕組みだ。

オフ状態では、アームが少し出ている
オンにするとアームが下がりスイッチを押す
オンにしたあとはアームが少し上がった状態で待機
オフにするとアームが上がり、スイッチにつけた補助シートを引き上げる

設置ではまず、スイッチに補助シートを取り付けていく。基本はオン側に取り付けていくが、SwitchBotボットを設置するスペースがオン側にない場合はオフ側に取り付けることも可能。オフ側に補助シートを貼ったときには、アプリで「スイッチのON/OFFを反転します」を選択しておけば、スマホで「オン」と操作した場合にスイッチがオンになる。

スイッチのオン側に補助シートを取り付ける
アプリはデフォルトで「押す」モードになっているため、「スイッチ」モードにする(左)。アプリでスイッチのON/OFFを設定できる(右)

補助シートを貼ったら、SwitchBotボットのアームにある切れ込みにテグスを通す。テグスを通せたら、スイッチ横に機器を両面テープで取り付ければ設置完了だ。スイッチの真横にSwitchBotボット取り付けておけば動作するので、設置場所の調整はそこまで必要ない印象だ。

取り付けたところ。スイッチの真横に本体を設置

ベッドから照明をオフにできる! タイマーで起床時間に電気をオンに

使うときには、アプリのホーム画面の「オン」「オフ」を押せば動作する。筆者がこのスイッチを使う場合のほとんどはベッドから。ベッドからスイッチまでの直線距離は壁を挟んで約4mほどだが、スマホで「オン」「オフ」ボタンを押してから約3秒ほどで照明が切り替わっている。反応が遅いと感じることはなく、快適だ。

SwitchBotを照明のリモコンとして使う以外に活用している機能が、タイマー機能。アプリでスイッチをオン/オフまたは押す時間を設定でき、曜日ごとの繰り返しも可能だ。タイマーは最大で5個設定できる。筆者は起床時間に照明がオンになるよう設定しており、なんとなくスッキリ目が覚めるようになった気がする。

ちなみに、タイマーは一度設定すれば、スマートフォンと接続していなくても自動で動作する。そのため、家を空ける場合に、防犯対策のために特定の時間に照明が点灯するようタイマーを設定することもできそう。直近ではあまり使いそうにないが、旅行や帰省をすることがあれば利用するつもりだ。

時間を設定したあと(左)、分単位でタイマーを設定できる(右)

給湯器スイッチなどの「押す」モード。設置位置を事前に確認する必要あり

給湯器のボタンなど、一度押すとオン/もう一度押すとオフになるスイッチに付ける「押す」モードではどのように設置するのか。給湯器の「電源」スイッチに取り付けて確認してみた。その結果、「スイッチ」モードではスイッチにシートを貼り、スイッチの真横に機器本体を設置するだけだったが、「押す」モードでは貼る前に位置の調整が必須と感じた。その理由と具体的な設置方法を紹介する。

「押す」モードでは、アームが直接スイッチを押す

機器を取り付ける手順自体は、補助シートを使う必要もなく、ただアームがボタンを押せるように本体を取り付けるだけでいい。ただ、「アームがボタンを押せる位置」を調整するのには少し気を遣った。「押す」モードでは通常、アームが本体に収納された状態のため、起動前に取り付けた場所から本当にボタンを押せるのか少し確証が持てなかったのだ。

そこで筆者が活用したのが、専用アプリで設定する長押し機能だ。0~60秒の範囲で、押す、もしくはオン/オフの動作を長押しできるもの。本来は長押しで起動するスイッチに使うものだろう。今回は、長押し機能を使ってアームを出したままにすることで、アームがボタンを押せるかどうか確認できた。

アプリの「長押し時間」設定を使って、アームが出ている状態で取り付け場所を確認した
アームが出ている状態で、取り付け場所を探してみた。スイッチを押せて、他のボタンを押す際に邪魔にならない場所を探した

シンプルすぎる説明書。設置は公式動画などを参考に

ここまで読むと簡単に設置したようにみえるかもしれない。しかし、SwitchBotボットを取り付けるまで少し苦戦した。「押す/スイッチ」モードの切り替え方法や取り付ける手順は、公式サイトや公式YouTube動画を見て初めて知ったのである。

説明書自体はシンプルで、SwitchBotボットの起動とスマホアプリやペアリングの流れはわかりやすかった。また、専用アプリも直感的に使用でき、普段使いするには便利だ。ただ、設置に関する情報が少なすぎる印象を持った。「押す」モードはスイッチの近くに貼ればいいだけかもしれないが、「スイッチ」モードはどのように補助シートを貼るのかなど、わかりにくい部分も多いためだ。

説明書の一部。公式サイトへのURLはあるが、取り付け方法の動画の案内などはなかった。スイッチモードでの設置の手順はSwitchBot公式のYouTube動画で知った

ドライヤーやデスクライトなど、電源につないでスイッチを入れるだけで使えるような製品であれば、説明が少なくてもさほど困らないかもしれない。ただ、「スマホで操作可能なアームを内蔵する、物理スイッチを押す機器」はSwitchBotボットが人気のようで、現在買える製品では他に見つからなかった。初めて使う機器、かつ使い方も特殊な機器の場合は、もう少しわかりやすく設置方法が説明されていたらもっとスムーズに設置できたと感じている。

取り付ける最初のハードルさえ越えれば快適

設置こそやや難しかったが、設置さえしてしまえば簡単なスマホ操作で電気をオンオフできるようになる。設置してからは、寝る前にベッドで本を読み、そのままスマホ操作で電気を消して寝るといったスムーズな流れができた。電気を消すのが面倒で電気をつけたまま寝てしまうこともなくなった。

また、SwitchBotボットを販売するSwitchBotは、赤外線リモコンで操作する家電をスマホで操作できるようにする「SwitchBotハブミニ」などのハブも展開している。SwitchBotボットも同社のハブと接続すれば、外出先からも操作が可能となる。外出先で電気を消し忘れたことに気づいたときや、旅行などで家を空ける場合の防犯対策に活用できそうだ。

リモコン付きのシーリングライトを持っている人には不要なものかもしれない。しかし、賃貸住宅で備え付けの照明にリモコンがない、または前の住人がなくしてしまったといった人にはぜひおすすめしたいものだ。照明のスイッチだけでなく、給湯器のお湯はりスイッチにも活用できる。また、夏場には、リモコンをなくしてしまった扇風機や、そもそもリモコンが付属しない扇風機の操作にも使えそうだ。複数のSwitchBotボットを1つのスマホで管理できるとのことなので、照明や機器のリモコンが多すぎる人にもいいだろう。設置場所のバリエーションは使う人によって広がりそうなので、「わざわざスイッチをつけるためにソファーから立ったりベッドから出るのが面倒」という人には試してほしい。

一度設置してしまえば便利に使える
大塚 愛理