e-bike試乗レビュー

【ぷーこのe-bike沼】夫婦で伊豆にe-bike旅へ。ヒルクライムも初体験!!

まったく運動もしなければ、自転車も持っていなかった私。このコロナ禍の中、「電車に乗りたくなーい!」と、通勤の手段としてe-bikeに興味を持ち乗り始めて早10カ月。今では快適さと楽しさの沼にどっぷりとハマり、単なる移動手段ではなく、e-bikeに乗って走ること自体に完全にハマってしまっている。運動と縁のない40代の私でも、どこまでも進んで行ける力を手に入れたようなそんな不思議な乗り物。

e-bikeのeの字も知らなかったので、最初は「ん? ユニット?」といった感じでまったく分かっていなかったけれど、いろいろ乗っているうちに、「このドライブユニットはなかなかパワフルだなぁ」などと、体感しながら分かってくるのがおもしろい。さまざまな車種が登場している昨今のe-bike市場だけど、そんなたくさんのe-bikeをいろいろ乗り比べられる試乗会が、e-bike Watch編集部主催で昨年12月に開催された。こんなチャンスはなかなかないぞ!! と夫と二人で前のめりで申し込んでみた。

今回の試乗会では、初心者向けの10kmコースと経験者向けの20kmコースが用意されていた。応募する際に「うーん、経験者で申し込んでいいのか分からないけど、10kmだったら物足りないというか、もっと思い切り走りたい!」という気持ちと、「ガチな経験者ばかりで足を引っ張ってしまったら申し訳ないな……」とも考えて、しばらく悩んだけれど、「ま、20kmだし、アシストが助けてくれるでしょ!」と、自分の欲望に忠実に20kmコースを夫婦で申し込んだ。そして夫婦で参加してきたー!

試乗会に参加するため伊豆長岡へ

いろいろなe-bikeに乗れることはもちろん、もうひとつ楽しみにしていたことは、自転車を走る場所から出発できること。いつもは家スタートなので、100km半径で行先を考えたとしても行先が限られてしまう。そして、走り始めの10数kmが走りにくかったり、景色もおもしろみのない街中だったりするのが、ちょっと残念。

遠くに出かけてそこから思い切り自転車を走らせられるというのは、ものすごく楽しみだったし、今後季節を追いかけていろんなスポットに行きたいなぁとも思っていたのである。試乗会は午後からだったので、朝8時頃に自宅を出てクルマで伊豆長岡へ。ちょっとした渋滞もあったけれど、サービスエリアでトイレ休憩&ブランチを買って、車内でしっかり腹ごしらえして、余裕を持って到着できた。初めてクルマで静岡県まで行ったので、富士山が見えてきた時はものっすごくテンション上がった!!

車内から富士山見えて気分も上がってきた

すべてがサイクリスト仕様!! オシャレなコナステイ伊豆長岡

今回の拠点となったコナステイ伊豆長岡は、サイクリスト向けのリゾートホテル。老舗温泉旅館をリノベーションしたそうで、温泉旅館の良い部分は残し、モダンで格好良く、サイクリストが快適に走って休める施設となっている。まず入った瞬間に開放的な空間に感動。そしてズラリと自転車が並んでいる。大人用から子ども用まで、自転車好きにはヨダレが出るような空間なんじゃないだろうか。

私たちは当日宿泊予定でチェックインまで時間があったので、荷物をフロントに預けて試乗会が始まるまで、施設や展示されている自転車などを見て回る。入り口に設置されている自販機にも自転車のイラストが描いてあったり、施設内のトイレや壁まですべてが自転車仕様。自転車用のアクセサリーや雑貨なども販売されていて、一目惚れしたサイクルキャップを衝動買いしてしまった(笑)。

開放的なロビー
たくさんの自転車が並んでいる。レンタルプランも有り
あちこちがサイクリストの心をくすぐる作りになっている

しばらくすると、午前中の試乗会に参加していた方たちが、すごい満足感あふれる笑顔で帰ってきた。ものすごく楽しかったんだろうなぁ、と私も心躍る。受付時間になったところで、入り口前に設営されたテントに集合すると、ズラリと並んだe-bikeが!!! こんな光景はなかなか見ることができない。壮観!! 今からこれに乗るのかぁとキョロキョロしてしまう。他にもスタパ齋藤さんのカスタマイズされた私物e-bikeなども展示されていた。自分好みのゴリゴリカスタマイズとか、これまた格好いいし憧れる!!

これから乗るたくさんのe-bike
私物車の展示など、普段見られないものも見れて嬉しい

さて、参加者も揃ったところで、オリエンテーションが始まる。e-bikeに乗るのが初めての参加者もいるので、ガイドの方が丁寧に教えてくださる。後で知って驚いたのが、私たちを楽しいツアーに連れて行ってくれたガイドの方が、もともとプロのロードレーサーだったのだ。凄い!! 世界を知るプロのロードレーサーとe-bikeで一緒に走るなんて……貴重な体験すぎる。非常に物腰柔らかく丁寧で分かりやすい説明に、「経験者と一緒に走れるかな」という欠片程度の不安も吹き飛んだ。でも、まだまだ全員表情も仕草も硬く軽い緊張感が漂っている(笑)。

出発前は全員緊張気味

ちなみに、私はこの日は防寒対策バッチリで、結構着込めるように服を準備していたのだけれど、12月とは思えないほどのポカポカ陽気で、ダウンも羽織らず結構薄着で挑んだ。

防寒着不要だった! 暖かな冬の日の格好

みんなでヒルクライムへゴー!!

参加者6名+先頭と最後尾にはガイドの方でいざ出発。ガイドツアーも初めてだし、もちろんヒルクライムも初体験。何なら「ヒルクライム」という言葉も初めて触れたくらい(笑)。車道を走って行き、ちょっとした小道に入って農道的な道を超えると、そこはいきなりの山舗装路なので走りやすいのだけれど、かなりの急坂。これぞe-bikeの醍醐味といった感じで、坂道を見ると心躍る。たぶん通常の自転車だったら、私は10mも進めないんじゃないかと思えるほどの坂道を、みんなで「すごいー! 上れる!」と感動しながら上って行くのだ。

いざ、出発進行!

e-bikeのアシストモードを最大にしていても、しっかり息切れするほどの急な坂。ギアを軽くして上って行く。私はギアを下から2番目にしてペダルを漕ぐ。「あと1つギアを軽くできる」という心の保険(笑)。結構しんどいのだけれど、これがめっちゃ爽快なしんどさなのだ! みんなニコニコしているし、私も終始笑顔が止まらない。こんなに気持ち良く楽しいことがあるのだろうか!? とコロナ禍で自宅で鬱々していた気持ちがちょっと吹き飛ぶ。ほどよい距離感と開放的な気分で、自転車は今の時代に本当マッチしているなぁと再認識するのだ。見える景色も本当にキレイ。これもe-bikeでなかったら、必死に漕いで景色を堪能するどころではなさそう(笑)。

結構な距離の上り坂が続く。でも絶好調!
e-bikeだと景色を楽しむ余裕もある

20kmのガイドツアー中に、みんなで3回ほど自転車をローテーションした。いろんなe-bikeに乗ってきたけれど、同時にいろいろ乗り比べることで、より違いや個性が分かっておもしろい。ボッシュの一気にアシスト上限までグッと持っていく感じも大好きだし、シマノはパワフルさが控えめでも堅実に寄り添ってくれる感じも良い! ジャイアントの足先の感覚まで伝わっているんじゃないかと思うアシストにも感動! どれも個性的で非常におもしろいのだけれど、同じタイミングで乗らないと気付けないような違いに「この試乗会、なんて贅沢な!」と心の中で拍手喝采! そして、「私は街乗りの移動手段としてよりも、こうやって思い切り自転車で走ることが大好きなんだな」と今回はっきり実感した。普段の通勤や街乗りスタイルの自転車より、しっかり「走る」自転車が好みなんだと、自分の趣向にも気づかされた。

いろんなe-bikeの乗り比べも楽しんだ

たっぷりヒルクライムした後に待っているのは、当たり前だけど上った分の下り坂。富士山が見える絶景の中を、これまた結構なスピードで下って行く。慎重派の私は下り坂が怖いと思っていたけれど、ガイドの方のアドバイスがあるし速度も抑えめで走ってくれるから、安心して下ることができた。山道の下り坂は爽快感が半端なくて、怖いどころか心躍って、意味なく大声で叫びたい衝動にかられた(笑)。

富士山バックに下って行く
とにかく気持ち良くて楽しくて仕方がない

20kmのコースは「楽しい楽しい」と思っているうちに、本当にあっという間に終わってしまった。なんなら20km山を走った後に、後2回くらい走りたい感じ。楽しすぎてもっと走っていたい気分! 戻ってきて全員で撮った記念写真は、最初のオリエンテーションの硬い表情とはまったく別物。楽しさが溢れた最高に嬉しい1枚となったのでした。

出発前の緊張はどこへやら。みんな大満足

走行コースの記録を残そうと思っていたのにすっかり忘れていて、1回目の自転車ローテーション時に記録を始めたのだけど、獲得標高が390mだった! 駆け上り駆け下りた最高に楽しいコースでした♪

ヒルクライムすごーい! 高低差すごーい!

ガイドツアー後は、温かいホットサンドやコーヒーを頂いたり。気持ちがポカポカすぎて気付いてなかったけれど、やっぱり体は結構冷えていたらしい。体中に染み渡る温かさと美味しさで、さらに楽しくなった! 中庭の真ん中にある焚火でマシュマロを焼いたり、ちょっとしたキャンプ気分に。ほどよい距離感を保ちつつ、参加者の方と交流が持てたのもすごく嬉しかった。「このコロナ禍の中で自転車に救われたというか、自転車があって良かったと思う」と話していた女性ライダーの言葉が、すごくすごく印象的だったし、激しく同意した。自転車を通じて友だちができたのも嬉しい!! 先が見えない閉じこもった世界だけれど、とにかく前に走るのだー!!

ホットコーヒーにホットサンド。最高に染みる
焚き火を囲んでしばし交流

宿泊施設としても最高なコナステイ伊豆長岡

コナステイ伊豆長岡は老舗温泉旅館をリノベーションした宿泊施設だから、本当に居心地が良かった。自転車で走りまくって後は寝るだけ、という人には宿泊料金をかなり抑えられるドミトリータイプのお部屋もあるけれど、夫婦で参加したこともあり、私たちはスタンダードのお部屋を予約した。老舗旅館の良い部分を残した落ち着いた部屋の作りがすごく素敵! そして、さすがサイクリスト向けの宿泊施設で、部屋の中にサイクルスタンドまである。床の間に自転車とか、すごく格好いい!

とっても素敵なお部屋。もちろん自転車仕様

そして、温泉のお湯の良さもさすが!! もともとが老舗温泉旅館だと知らなかった私は、「めっちゃお湯がいい!!!」とびっくりした。大浴場の入り口には入浴時に自分でめくるカウンターがあって、混雑を避ける工夫もしてある。一人で伸び伸びと大きな温泉に浸かることもできる。気持ち良く走って、温泉に浸かって、そして自販機のメニューも充実しているので静岡限定ビールをグビーっと飲んで、「ここは天国か!」と心底幸せな気分に。

中庭も本当に素敵。幸せな時間が流れる

「また絶対に来ようね!!」と夫と熱く感動したのであります。素泊まりのプランはもちろん、e-bikeのレンタルプランも、ガイド付きのサイクルツアーも充実してるし、初心者から経験者まで本気で楽しめるサイクリストの心のオアシスが、コナステイ伊豆長岡なのでした。あぁ、思い出しただけでまた行きたいー!!!

また絶対に走りに来ようね! と盛り上がる

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。