家電ミニレビュー
面倒な窓ふき、小さなロボットに頼める? WINBOT MINIで楽にピカピカ
2025年4月11日 11:05
自宅の掃除で面倒な箇所といえば、換気扇周り、トイレに風呂場、そして屋外の汚れと直接対峙する「窓」。マンションに住む自分の場合、外壁掃除の必要がないのは幸いですが、窓掃除からは逃れられません。花粉や黄砂の汚れ、気になるんですよね。しかも、花粉は拭いても拭いても飛んでくるし……やっていられません。
そんなとき、窓拭きロボットを試してみませんか? という提案が。ロボット掃除機は家で使っているし、取材の経験もあるけれど、窓拭きロボットはまったくの門外漢。隅々まで掃除してくれるの? 拭き跡が残ったりしないの? 他の用途には使えないの? などなど素朴な疑問をいくつも抱えていたため、自宅に迎えひと働きしてもらうことになりました。
小型化した窓拭きロボット
使用した製品は、エコバックス(ECOVACS)の「WINBOT MINI」。内蔵ファンを回転させて得られる吸着力で窓に張り付き、湿らせたパッドで窓の汚れを拭き取るというタイプですが、清掃カバー率は驚きの99.5%(エコバックス調べ)なのだそう。本当にほぼ拭き残しがないレベルなのか、気になるところです。
本体の形状は正方形で1辺215mm/厚さ55mmとそれなりのサイズですが、前モデル(WINBOT W2)と比較しても1辺28mm減/厚さ3mm減とのことですから、小型化の努力が見てとれます。
本体を手に取ると、スペック表に1.3kgとあるとおりそれなりの重量感。なにかの原因で落下したときのことが気になりますが、3.3mの落下防止用ストラップが本体に固定(取り外し不可)されていました。2枚付属するモップパッドの毛足は約3mm、柔らかい手触りのマイクロファイバー素材です。拭き掃除開始前には水に浸してから軽く絞る必要がありますが、マジックテープ式で着脱はかんたん、負担には感じません。
電源は90W、付属のACアダプタから供給します。電源ケーブルとACアダプタを含めた総延長は約5mと長めに確保されているため、コンセントの位置が窓から多少離れていても使えます。今回のテストでも、屋内にあるコンセントで余裕でした。ただし、WINBOT MINIが移動する距離を考慮すると、大きい窓の場合は電源タップかポータブル電源を用意したほうがいいでしょう。
WINBOT MINIは洗浄液を噴霧して拭き取り清掃するため、水タンクには洗浄液を注入する必要があります。容量は約60mlと小さめに感じられますが、満タン/高速洗浄モード時で約20m2のガラスを清掃できるため、リビングなどに利用される大きな掃き出し窓(高さ約180cm/幅約90cm)であれば12枚を拭き取れる計算です。
なお、洗浄液を使いきったときには、クリーニング性能が低下するものの一時的に水道水を使用して構わないそうです。
窓はツルツルピカピカ
電源をつなぎ、適度に湿らせたモップパッドを装着し、洗浄液を注入すれば準備は完了。スタートボタンを長押しするとファンが回転し始めるので、その状態でガラス窓に近づけるとビタッと張り付きます。最大7,500Paという吸着力は相当なもので、かなり力を入れて引かないと剥がれません。よほど特別なガラスはともかく、厚さ3mm以上の一般的なガラスであれば吸着力の心配はなさそうです。
運転中はファンが回転し続けるため、音は仕様では72dBとあるとおり、少々騒々しいレベル。運転開始や停止を知らせるアナウンスも時折流れるため、早朝や夜間の利用は避けたほうが無難でしょう。ベランダで掃除機を使うことを想像するとわかりやすいかもしれません。アナウンスの音量は初期値で大きめに設定されていますが、専用アプリ「ECOVACS HOME」で調整できます。「高速清掃」と「念入りに清掃」、「徹底的な清掃」が用意された清掃モードも、アプリから選択できます。
WINBOT MINIを最初に張り付ける位置は適当でOK。「念入りに清掃」モードにして、電源をオンにして窓ガラスの中ほどに張り付けると、おもむろに上方向へ動き出し、上端の左右両端を探るように清掃したあと、ジグザグというかスロープを降りてくるような格好で上から下へと拭き取っていきます。
じっと見ていると、洗浄液が進行方向へスプレーされている様子がわかります。その粒はかなり細かいうえ、噴霧の数秒後には拭き取られてしまうため、集まって水滴となり下へ流れてしまうことはありませんでした。
そして一番下を拭き取ると左端へ移動し、今度は上から下へと拭き取りパターンが変化します。バンパーレス構造の効果なのか、上下左右の端もしっかり検出/拭き取りできていました。「念入りに清掃」モードの拭き取り清掃に要した時間は、約172x72cmのガラス窓で5分30秒。「高速清掃」モードだと2分40秒でした。
肝心の拭き取り効果は、じゅうぶん満足できる水準でした。モップパッドのマイクロファイバーと細かく噴霧された洗浄液の効果か、拭き取り跡はほぼわからないレベル。端的にいえば「ツルツルピカピカ」、布で拭いたときのように糸くずが残ることも、洗剤で手荒れすることもありませんでした。
なお、サポートされている使い方ではないですが、窓以外の場所も拭き取れるのか試してみました。ユニットバスの壁面は、ところどころ凹みがあるものの無事クリア。窓拭きロボットに頼る必要はない場所ですが、湯船側など足場良好とは言い難い部分もあるため、高齢な方にはいいかもしれません。
屋内でもっとも汚れやすい場所といえるキッチンの壁紙は、わずかに凹凸があるざらざらしたタイプですが、しっかり張り付いて拭き掃除してくれました。この点、7,500Paの吸着力がなせる技なのでしょう。厚さ55mmだから冷蔵庫とのわずかな隙間にも入り込めるため、普段拭けないところも難なくクリア! 付属の洗浄液に油汚れ落としまでの性能は期待していませんが、進行方向にマジックリンのような市販の掃除用洗剤を手作業で吹付けておけば問題なし、手が届かない奥のほうもだいぶキレイになりました。
ただし、あくまでWINBOT MINIは窓拭き用であり、窓以外でも必ず安全に掃除できるとは限りません。今回は筆者宅の環境では使えた一例として紹介しました。
思い立ったらすぐに窓掃除できるうれしさ
WINBOT MINIを2週間ほど利用して感じたのは、「かなり実用的」だということ。洗浄水の充填とモップパッドのセットという手間はあるものの、窓ガラスに張り付け数分放置するだけでガラス1枚拭けてしまうのです。窓拭きロボットというと、人の手が届かない場所用という先入観がありましたが、憎きスギ花粉で汚れたガラスがキレイになるのを見ると、まさに胸がすく思いですね。
一方気になることも。バンパーレス構造により窓ガラスの端ギリギリまで拭き取れる点はバッチリですが、四隅にあるローラー部分はモップパッドがカバーできないため拭き取れないのです。
屋内側を拭くときも、ガラス側に飛び出ていることが多いクレセント錠(サッシに取り付けられている鍵)が移動の妨げとなるため、その付近だけ汚れが残ってしまいます。WINBOT MINIには、ロボット掃除機で磨かれたインテリジェント走行テクノロジー「Win Slam 3.0」が採用されているそうですが、クレセント鍵のような突起物をうまくかわしてくれるアルゴリズムも用意してほしいところです。
とはいえ、寒い冬でも暑い夏でも関係なし、思い立ったらすぐに窓掃除できるというのは魅力的な話。正直、面倒ですからね。ガラス窓は月に1度拭くかどうかという無精者の自分ですが、この窓拭きロボットがあれば薄汚れた窓から外を眺めることはなくなりそうです。あとは、同じく汚れがちなサッシ部も掃除してもらえたら……エコバックスさんにはぜひ「窓枠清掃機能」をお願いしたいです。