e-bike試乗レビュー
海の見えるサイクルツアーを満喫。グラベルロードe-bikeで走り、甘い塩作りも体験
2022年9月14日 08:05
こんにちは、平塚吉光です。前回は南伊豆e-bike旅行記をお届けしましたが……実はその前日もe-bikeを楽しんでいました。完全にグラベルロードe-bikeが欲しくなってしまいました(笑)。この日は「富士シーサイドコースサイクリングツアー井田塩すくい&工場見学」というサイクルツアーにモニター(ユーザー)として参加させていただきました。日頃はガイドとしてアテンドする立場の私ですが、今回は角度を変えて新たな目線でe-bikeを楽しんできました。
実は海が近い町・伊豆の国市からスタート
今回のツアーはHISとメリダジャパンの共同企画で、MERIDA X BASE発着となります。同施設はe-bike Watchでも何度も登場しているのでご存じの方も多いと思いますが、自転車メーカー大手のメリダ・ジャパンが運営するショールームであり、レンタルも可能な世界最大級の自転車施設です。
伊豆の国市にある道の駅「伊豆のへそ」内にあり、もちろん大きな駐車場も完備されています。手ぶらで行ってもレンタル自転車でサイクリングを満喫できるのが魅力です。ロッカールームや温泉などもあるため、気軽に自転車を楽しめる空間が整っており、最高のスポットです。
目指すのは、静岡・沼津市にある井田地区。実は沼津の海は、日本で一番水質が良い海水浴場がひしめき合ってるのをご存じですか? 2022年もトップ3がすべて沼津市になっており、例年上位に名を連ねています。日本一深い駿河湾の奥地にあり、日本一高い富士山を眺めることができる、海水浴やダイビングのスポットとして有名です。私が沼津出身なので少し押しが強くてごめんなさい(笑)。
沼津市と伊豆の国市は隣り合った存在で、MERIDA X BASEからも最短4km程度で海に出ることができます。前職のホテル勤務時にお客様から海までの距離を聞かれてお答えすると、多くの方が驚いていらっしゃいました。伊豆の国市は内陸にあるため、海から少し離れてそうなイメージなのですが、実はすごく近くに最高の海があるのです!
サイクルツアー目玉は「塩すくい」体験
このツアーはe-bikeでのサイクリングを楽しみ、レアな塩すくいまで体験できます。走行距離は約50km。初心者の方にはなかなかハードルが高く感じるかもしれませんが、体力さえあればe-bikeなので意外と大丈夫です!
ご自身で走行ルートを考え、休憩や食事ポイント……プランを考えるだけで疲れてしまう部分をツアーであればガイド任せでクリアさせることができます! つまり、安全に自転車に乗る! 景色を見る! 目的を達成する(今回は塩すくい)! ご飯を食べる! と楽しむだけです。それがサイクルツアーのメリット。ガイドがしっかり走行アドバイスをくれますし、車道走行が苦手な方も大丈夫だと思います。
サイクルツアーではミヤタとメリダのe-bikeが用意されています。ちなみに私はグラベルロードe-bikeに興味津々なので、ミヤタ「ROADREX i 6180」で走りました(残念ながらツアーでは車体を選ぶことはできません)。南伊豆を走ったKONA「LIBRE EL」と同じく、シマノSTEPS「6180シリーズ」のドライブユニットを搭載するグラベルロードe-bikeになります。
ドライブユニットが同じでも、それぞれ自転車メーカーによって特徴があります。例えば、同じエンジンを搭載するクルマでも、ホイールベースや車幅、車高、重量など……いろいろな味付けによって性能は変わります。もちろんメーカーの意図するものがあるため、良し悪しでなく、求めるものの違いだと考えます。
今回乗った「ROADREX i 6180」はツーリング向きだなと感じました。タイヤサイズは650B×45Cと太いですが、舗装路の路面抵抗が少なめのタイヤを採用しているため、スムーズに進みます。そして、フレーム設計的にも細かい操作よりも前に真っ直ぐ進む! といった印象。比較的距離が長めの今回のライドにぴったりハマって大満足でした(笑)。
ただ、ツアーで大満足できるのはスタッフさんのサポートがあってこそ。夏の時期だったので特に水分補給やなど休憩が必要です。今回のツアーではサポートカーが1台付いて、飲み物や荷物を運んでくれます。まさに至れり尽くせりの安全運行ツアー!!
日本一の海水から作られる“甘い塩”
いよいよ待望の「塩すくい」体験です。前述したとおり、日本一水質の良い海水浴場がひしめく駿河湾の奥にある沼津市。そんな海水で作られる塩に期待が高まります。
井田にある「おくだ荘」さんはこだわりの塩を作り続ける塩屋さんです。その作り方はいたってシンプル。海水を火にかけ、水分を飛ばし、塩を取り出す。言葉にするととても簡単に見えますが、もちろんそんなことはなく……こだわりの塊でした!
まず、塩作りに欠かせない“海水選び”はもっとも大切な仕事のひとつだと言います。「海水を選ぶ?」と不思議に思いますよね。私も同じで質問しましたが、海流がある海では同じ場所でもその日によって海水の味が異なるそうです。水汲みポイントを数カ所回り、納得できない海水は汲まない日もあるそうです。それを聞いただけでも“まさに職人技”と感じたのは参加者も同じだったはずです。
海水選びだけでなく、塩の作り方にもこだわりがあるそうです。「海水を火にかけ、水分を飛ばし」の部分ですね。伝統的な手法で15~20時間もかけて海水を煮詰め、蒸発させると塩ができます。火は薪で焚かれており、その日の気候などによって火加減や作業時間も変えるそうです。現代的な作り方と比べると非効率だと語っていましたが、職人さんの顔からは自信が溢れていました。
私が体験させてもらったのは、製塩の後半に行なわれる「塩すくい」です。水分が蒸発し、白く固まった塩を釜からすくう作業。白く固まった塩はキラキラしていて、すくうことでまた違う結晶の顔を見せてくれます。
まさに白い宝石のような塩は、その後に水分調整しながら絞られ、商品として出荷されて行きます。ほぼ商品状態の塩を舐めさせていただきましたが、井田塩は“すごく甘い塩”なんです。あんなに甘味のある塩を食べたことがありません! さらに、高級料理店などに出荷する塩は市販商品と違って、料理人から意見を聞きながら塩分濃度を調整するこだわりです。塩分濃度は最後に行なう絞り具合で決まるようです。少し絞っただけで変わる味、まさに職人技の結晶が完成です!
試しに辛い塩も舐めさせていただきました。すっきりした辛さはザ・塩という感じ。個人的には甘い塩が好きな凡人でしたが……辛い塩が好きという参加者もいらっしゃったので、好みの問題ですね。塩を舐めながら、同じく伊豆名産のわさびと日本酒が飲みたいな。なんて考えていましたが、サイクルツアーの途中でそれは叶わず。残念ではありますが、別の機会にチャレンジしてみたいと思います(笑)。
最高の塩を使った昼食も格別
塩すくい体験後の昼食が最高に美味しかったのです。井田塩を知り尽くした職人さんが、丹精込めて作ってくださった料理の数々。すべて美味しくて、唐揚げは作り方を聞いちゃいました(笑)。時期によって提供されるメニューは変わるようですが、私の最推しは塩にぎりでした! 他の料理に負けない存在感を放ち、お米の甘さを塩がより引き立てる最高の一品でした。まさにシンプルの中に深みがある日本の味! といった感じです。
どの料理も絶妙な味付けで、健康という意味でも安心して食べられます。こだわりの塩を作っているご本人が、塩分濃度を理解したうえで味付けしているのだから当たり前ですよね! 運動して適度な塩分を摂って健康的なサイクルツアーともいえます。
終了後には道の駅内にある温泉施設の入浴もセットされています。この日はお盆前の暑い日で、参加者は温泉も満喫していました。私は伊豆の国市在住で集合場所までも自転車で行ったため、入浴しなかったので羨ましかったです(笑)。適度な疲れを癒すためにも温泉は嬉しいですよね。
サイクルツアーの魅力
サイクルツアーにはいろいろな魅力があります。日頃ガイドを務める私の目線でいえば、参加者の安全対策は当然として、見知らぬ土地での道案内が大きな点でしょう。
道に迷ってしまい、楽しみにしていた目的地にたどり着けずヘトヘト……。そのまま帰って来るなんてもったいないですよね。そんな体験をすると次も迷ったら……と旅先でのアクティビティのサイクリングをためらってしまうと思います。本当に楽しむためにもサイクルツアーはオススメです!
気持ち良いサイクリングはもちろん、穴場のグルメや絶景、ちょっとした地元の情報なども用意しているので、目的地で楽しんで笑顔で帰る参加者を見ると私も嬉しくなります。ガイド冥利に尽きます。参加者の貴重な休日を充実させるために、もっと楽しいサイクルツアーを作ろう! という活力にもなっています。
今回ご紹介した塩すくいが体験できるサイクルツアーは9月24日・10月8日・11月19日に開催されます(詳細は募集ページにて)。もちろん、他にも魅力的なサイクルツアーはたくさんありますので、旅先での楽しみ方として選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。