ニュース

エアコン内部洗浄で火災、NITEが事故事例を発表。古い扇風機や換気扇も注意

毎年7月はエアコンの火災事故が多く発生する

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、エアコンの内部洗浄において、液状の洗浄剤などを噴霧した際の事故事例を発表した。毎年7月はエアコンの火災事故が多く発生しており、特に2020年は新型コロナウイルスの影響で自宅を過ごす時間が増えると予想され、例年に比して使用時間の増加が見込まれているという。

NITEに通知された製品事故情報において、エアコンの事故は2015年度〜2019年度の5年間に合計263件発生。そのうち火災が244件、死亡事故が6件(7名)にのぼる。

今後特に発生が心配なエアコンの事故は、誤った内部洗浄方法による火災事故で、2019年度までの5年間に20件発生している。

新型コロナウイルスの影響で、身の回りのものを清潔に保とうとする機運が高まっており、エアコンの内部洗浄を自ら行なおうとする人が増えることが予測されている。しかし、内部洗浄方法を誤ると、危険な事故に至るおそれがあるという。

過去5年間の月別事故発生件数

なおNITEが発表した資料における内部洗浄とは、液状の洗浄剤などを噴霧し、機器内部の汚れなどを洗い流すことを指す。各機器の取扱説明書に記載されている、フィルターなどの手入れは該当しない。報告されたエアコン内部洗浄の事故事例は以下のとおり。

【事故事例】エアコンを使用中、製品内部から出火

原因として、エアコンを洗浄した際、エアコンの内部配線端子部分に洗浄液が付着したため、端子部でトラッキング現象が起こり、異常発熱が生じて出火に至ったと考えられる。なお取扱説明書には、「誤った洗浄剤の選定、使用方法で内部洗浄を行うと、発煙、発火する恐れがある。」旨、記載されている。

エアコン内部洗浄の注意事項

こうした事故を防ぐために、NITEはエアコンの内部洗浄をする際の注意事項として、以下の3点を挙げている。

1.エアコンの内部洗浄は正しい知識を持った業者に依頼する。購入先である販売店、メーカーのサービス窓口などに相談する。

2.エアコン内部を洗浄する際は、絶対に電気部品に洗浄液がかからないように注意する。

3.発火・破損のおそれがあるため、消毒用アルコールなど可燃性の溶液や、次亜塩素酸ナトリウムなど腐食性のある溶液で内部を掃除してはいけない。

消毒用アルコールなど可燃性の溶液や、漂白剤、次亜塩素酸ナトリウムなど腐食性のある溶液で内部を掃除してはいけない

換気扇・扇風機の事故

また、ウイルスの感染予防には室内の換気が必要とされるため、エアコンの使用のみならず、換気扇や扇風機の使用も同様に増加すると考えられている。

換気扇・扇風機においては、製造から長期間経過している製品は内部部品の劣化により発火するおそれがあるという。使用開始前における注意事項を確認し、異常(羽の回転が不規則、動作が不安定など)があれば直ちに使用を中止し、事故を未然に防ぐよう呼びかけている。

また、扇風機による事故には「動いていないため、スイッチが切れていると思ったが切れていなかった」「スイッチを入れたものの動かなかったため、そのままにしていた」という状態であったため、事故に至った事例も報告がある。特に製造から長期間経過した扇風機においては、使用しないときは電源プラグをコンセントから抜くことを推奨している。

製造から長期間経過していないか確認する