家電の使い方、これで合ってますか?

エアコンのこまめな手入れで節電も。メーカー10社に聞いた夏のチェック項目

家電や使い方に関する素朴な疑問について、各メーカーの製品担当者に質問し、集まった回答をまとめてご紹介するコーナーです。

7月も下旬に差し掛かり、梅雨明けが間近となっている。エアコンがフル稼働する夏本番を前に、メーカー10社に、一般家庭でできるエアコンのお手入れポイントについて、基本方法や注意点などを聞いた。

例年よりも在宅時間が増えそうな今夏。「なんだかイヤなニオイがする……」「最近エアコンの効きがイマイチ」などのトラブルを防ぐためにも、エアコンをきちんとお手入れして、涼しい部屋で快適に過ごしたい。

なお、基本的なお手入れ方法は共通しているが、機種によって異なる場合があるため、必ず取扱説明書を確認してから行なってほしい。また、手入れの際はケガや事故を防ぐためにも、まずコンセントを抜くことは忘れずにしておきたい。

2週間に1回のフィルター掃除で節電も

多くのメーカーが共通して指摘しているのは、「定期的なフィルターの清掃」だ。エアコンの室内機には、部屋の空気を吸い込む際にホコリをキャッチするフィルターが搭載されている。フィルターに溜まったホコリをそのままにした場合、室内機に取り込める空気の量が減って運転効率が低下すると同時に、消費電力が増加するという。

エアコンの運転効率が低下すると、部屋が冷えにくくなってしまう。またダイキン工業によれば、1年間フィルター掃除をしなかった場合、消費電力は約25%も増加するそうだ。

フィルター掃除をしないと消費電力が増加してしまう(ダイキン工業「エアコン節電情報」より)

快適な室内環境と節電のためにも、フィルターはこまめに掃除したいところ。フィルターの手入れ方法は、大きく2つに分けられる。まず、お持ちのエアコンがフィルターの自動掃除機能を搭載しているかどうかを確認しよう。

・フィルター自動掃除機能がある場合

フィルター自動掃除機能には、かき取ったホコリを室外に排出するタイプや、ダストボックスに回収するタイプなどがある。ダストボックスタイプは、1シーズンに1回程度ダストボックスのホコリを捨てる必要があるが、いずれもフィルター自体の手入れは基本的に不要だ。

フィルター自動掃除機能は、ダストボックスのホコリを捨てるだけでOK(三菱重工サーマルシステムズ)
東芝ライフスタイルの「楽ダストボックス」は、取り外さずに掃除機でゴミを吸い取れる

・自動掃除機能がない場合

フィルターの自動掃除機能がない機種に関しては、ほとんどのメーカーが「2週間に1度」の手入れを推奨している。フィルターを取り外し、付着しているホコリを掃除機で吸い取る、または水洗いして取り除く。

自動掃除機能の有無にかかわらず、フィルターの汚れがひどい場合には、中性洗剤を溶いたぬるま湯で洗浄する。洗った後は、完全に乾かして取り付けよう。

コロナをはじめとする多くのメーカーが「2週間に1度の手入れを推奨」

東芝ライフスタイルは、フィルター洗浄時の注意点について次のように呼びかけている。

「洗剤は中性、または弱アルカリ性のものを使用しましょう。それ以外の洗浄液を使用すると樹脂を痛め、ヒビや割れが発生するリスクがあります。またエアフィルターは柔らかく変形しやすいため、ドライヤーなどで乾かすことは避け、自然乾燥させてください」

フィルター以外にも、室内機にはホコリなどの汚れがつきやすい。乾いた布、またはかたくしぼった布で拭き取るといいだろう。パーツによっては水洗いが可能な部品もある。

シャープのエアコンは、ルーバーやダストボックスを簡単に取り外し、丸洗いできるモデルもある。またエアコン内部も凹凸が少ない構造のため、手入れしやすいという。

シャープはパーツを簡単に取り外して丸洗いできるモデルを用意

熱交換器は乾燥させてカビを防ぐ

回答したすべてのメーカーが、室内機内部を乾燥させる「内部乾燥」「内部クリーン」といった機能を持つエアコンをラインナップしている。室内機内部の熱交換器は、冷房運転時に結露しやすく、イヤなにおいの原因となるカビや菌が繁殖しやすい部品だ。しかし冷房運転後に熱交換器を乾かすことで、カビなどの発生を抑えることができる。

例えば三菱電機の「内部クリーン」機能は、冷房運転の後に送風と弱暖房運転を組み合わせ、熱交換器やファンを乾燥させる。

三菱電機の「内部クリーン」。送風と弱暖房運転で熱交換器を乾燥させる

内部クリーンを搭載しない機種は冷房運転後、60~100分の送風運転を行なうことで、熱交換器を乾かすことができる。冷房運転後の内部クリーンや送風運転を習慣にすれば、カビやニオイを防げそうだ。

また三菱重工サーマルシステムズは、冷房シーズン終了後に約2~3時間の送風運転を行ない、エアコン内部の湿気を取り除くことで、次のシーズンも快適に使えるとしている。

さらに、熱交換器の洗浄機能を備える機種もある。メーカーによって方法はさまざまだが、ハイセンスジャパンは熱交換器を凍らせた後に一気に溶かすことで汚れを洗い流す「解凍洗浄」機能を用意。解凍洗浄に必要な電気代は「約4円」とし、月に1度の使用がおすすめだという。

このほか、日立ジョンソンコントロールズ空調は熱交換器の奥にあるファンを自動で掃除する「ファンロボ」を一部機種に搭載。ファンを逆回転させ、内蔵ブラシでホコリを落とす仕組みで、ホコリが溜まりやすいファンの羽根を掃除するとしている。

熱交換器を凍らせた後、一気に溶かすことで汚れを落とす、ハイセンスジャパンの「解凍洗浄」
富士通ゼネラルは熱交換器を加熱して除菌する
日立ジョンソンコントロールズ空調のファンを自動で掃除する「ファンロボ」

見落としがちな室外機の設置環境。風通しをよくして快適に

富士通ゼネラルやダイキン工業は、室外機の設置環境についても注意が必要と案内している。室外機は部屋の熱を屋外に放出するものだが、狭いベランダなどでは物が多く、室外機をふさいでしまっている人もいるかもしれない。

コロナによると、室外機の吸込口と吹出口をふさぐと放出した熱を再び吸い込んでしまい、エアコンの運転効率が低下するという。1シーズンに1度、室外機の周りがふさがれていないか確認し、吸込口と吹出口がホコリや落ち葉などで目詰まりしている場合は取り除いておこう。

さらにパナソニックは、南向きで直射日光が当たる、コンクリートの照り返しが起こるなどの環境下では、室外機周辺の温度が上昇しやすく、エアコンの効きが悪くなる可能性を指摘。通風路をふさがないように気を付けながら、室外機に日よけを作ることを推奨している。

パナソニックは、図のような通気性の悪い環境は避けるべきだと指摘する
ニトリは、「室外機用マグネット日よけシート」という製品も販売している。

徹底的なお手入れならプロに任せるのも◎

ほかにも富士通ゼネラルは、エアコンのニオイが気になるときの対処法を紹介。エアコンから吹き出す風が臭うときは、窓を開けて換気をしながら、1~2時間の冷房運転(設定温度18℃)を行なうと、ニオイが軽減される場合があるという。

今回ご紹介した方法でお手入れをしてもニオイや汚れが気になる場合は、メーカーやプロにお任せしよう。特に熱交換器をはじめとした室内機内部は、自分では手入れが難しく、誤った手入れにより重大な事故が発生した事例も報告されている。

各社とも、内部の手入れについては自分で掃除することを避け、メーカーや販売店に相談することを推奨している。ダイキンは、エアコンを取り外して分解、熱交換器やパーツを洗浄する、プロによる室内機のメンテナンスサービスを行なっている。

ダイキン工業の室内機洗浄サービス

鄭 恵慶