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車にモバイルバッテリー放置しないで 火事の危険も

モバイルバッテリーが車内発火の原因になることも

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)は、夏に気をつけて使用したい製品「モバイルバッテリー」「携帯用扇風機」「着火剤」について事故事例を紹介し、注意を呼びかけている。

スマートフォンの充電などに活躍するモバイルバッテリーの事故

モバイルバッテリーは、暑くなりやすいところや、直射日光が当たるようなところに放置すると、バッテリーが熱暴走して、発火に至るおそれがあるため、注意が必要だとしている。

【事例】自動車内に置いていたモバイルバッテリーから出火した事故

自動車内に置いていたモバイルバッテリー付近から出火し、周辺を焼損した。焼損が著しく、詳細な使用状況等が不明であり、原因の特定はできなかったが、長期使用(約8年)でリチウムイオン電池が劣化していたことに加え、高温の車内にモバイルバッテリーが置かれていたことから電池セルが異常発熱して発火した可能性が考えられるという。

モバイルバッテリーを車内に置きっぱなしにしない

日本自動車連盟(JAF)の試験によると、真夏の車内はかなり高温になるため、NITEでは車を離れるときに、モバイルバッテリーなど、リチウムイオン電池を使用している製品を車内に放置しないよう呼びかけている。

特に直射日光が当たっているとダッシュボードの上の温度は70℃を超えることがあるため注意が必要だという。なお、事故は真夏以外でも、天気の良い暑い日に発生しており、真夏が過ぎた後であっても、車内放置は避けることがポイントだという。

JAFのテストによる真夏の車内温度。テスト日は2012年8月、晴れ、気温35℃(出典:JAF)

ハンディファンの事故

リチウムイオン電池を搭載した携帯用扇風機(ハンディファン)は、外部からの強い衝撃で電池内部が破損すると、破裂や発火につながるおそれがあるという。

NITEによると、外部からの衝撃で、リチウムイオン電池内部の正極、負極を隔てる絶縁フィルム(セパレーター)が破れ、ショートすることにより異常発熱が起こり、内圧が上昇して電池が破裂・発火する場合があるという。そのため、落とすなど、強い衝撃を与えないようにするほか、強い衝撃を与えてしまった後に異常を感じた場合には、直ちに使用を中止するよう呼びかけている。

強い衝撃が原因で発火することがある

特に、以下のような異常が見られたときは、ただちに使用を中止し、購入店又は製造・輸入事業者の修理窓口に相談すること。また、発火、破裂などの事故に備え、携帯用扇風機を金属製の缶などの保管容器に入れて保管することが望まれるという。

注意が必要な異常
  • 充電が行なわれない
  • 充電中にこれまでよりも熱くなった
  • 外装が膨張し、変形した。バッテリーパックが膨張した
  • 不意に電源が切れた

さらに、事業者による必要な措置が取られるまでは、決してごみとして携帯用扇風機を廃棄しないことや、事業者による適切な措置が取られた結果、ごみとして廃棄する場合には、住んでいる自治体の指示に従った分別等を行なうことが必要だとしている。

万が一、発煙・発火したときは、消火器での消火や大量の水をかけるなどして被害の拡大を防ぐほか、大きな火炎により対処が困難と判断した場合は、直ちに避難するとともに119番通報するよう呼びかけている。

異常が発生した場合は、発火、破裂などの事故に備え、携帯用扇風機を金属製の缶などの保管容器に入れて保管することが望ましい

バーベキューの火起こしに使用する着火剤による事故

【事例】着火剤を継ぎ足してやけどを負った事故

公園でバーベキューをしていて、一旦中断した後、再開しようと残り火があるところにゼリー状の着火剤を使用したところ、「ボン」という音がし、直後に2~3mル離れた場所にいた女性の衣服が燃え、他の2名も軽いやけどを負った。

着火剤はメチルアルコールを主成分としたもので、揮発性があり引火しやすいことから、わずかな炎であっても、着火剤に火がつく前に揮発成分に引火し、続いて着火剤が急激に燃焼されることによって飛び散る等の可能性があるため、製品本体に燃焼中の継ぎ足しを禁止する旨が表示されているが、残り火がある状態で継ぎ足したため、着火剤が急激に燃焼し飛散した炎が衣服に着火したものと考えられる。

着火剤の継ぎ足しは行なわない

NITEでは、既に火が点いている炭に着火剤を継ぎ足した場合、大きな炎が上がり、やけどや火災に至る場合があるとし、絶対に着火剤の継ぎ足しはしないよう注意喚起をしている。特に、炎天下では着火剤の炎が見えにくいため、気づいたときには重傷になることがあるという。

また、新聞紙などに消毒用のアルコールを染み込ませ着火剤として投入した場合や直接火元にアルコールをかけた場合、急激かつ爆発的に燃え上がり大変危険なため、使用しないよう注意が必要だという。2023年5月には死亡事故も起きているとする。