やじうまロングレビュー
玉ねぎみじん切りも怖くない! 京セラのセラミック包丁を使い倒す
2017年9月22日 07:00
スマートフォンに電子部品、太陽光発電など、ハイテク企業として有名な京セラ。今でこそ会社名は「京セラ」に短縮されたが、元々は「京都セラミック」というセラミック(陶器)の会社だ。しかも普通の陶器ではなく、ニューセラミックやファインセラミックスといわれる新素材を扱っており、ファインセラミックスは今でも主力製品なのである。
今回紹介するのは、そのファインセラミックスを使った包丁などの刃物。セラミックナイフという言葉を耳にした人も多いハズ。そして皮むき器(ピーラー)などを購入したことがある人も多いだろう。
メーカー名 | 京セラ | |
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製品名 | セラミック三徳ナイフ 14cm | セラミックピーラー |
価格(編集部調べ) | 5,400円 | 1,080円 |
切れ味抜群でトマトの薄作りも簡単!
セラミック包丁は、なんだか白くてオモチャっぽい。切れんのかソレ? という人も多いだろう。筆者が十年以上前にセラミック包丁を買ったときも、そう思った(笑)。
しかし、オモチャのように見える白い刃は、金属より固く、陶器よりしなやかなファインセラミックスという新素材。地球上で一番固いといわれるダイヤモンドの次に固いのだ! 切れ味は抜群で、柔らかいトマトにもすーっと刃が入り、薄くスライスできる。
とにかく刃が固いので、買ったときの切れ味が長持ちする。2年間使い続け、一回も研いでいないセラミック包丁でも未だに現役なのだ。また、耐熱性があり食洗機に対応するほか、サビないから手入れが簡単など、さまざまな特徴を持っている。
玉ねぎを切っても涙が出ない!?
さらに京セラの刃物がスゴイところをお見せしよう。実験用に作ったのは4方向を囲うアクリルのケース。これをまな板の上に置いて、玉ねぎを切ろう! という実験だ。
ご存知の通り玉ねぎのスライスは、メッチャ切れる包丁でないと全米が涙して止まらなくなる(笑)。しかも今回は、繊維に沿って切る(玉ねぎは上下、縦方向に繊維が走っている)のではく、横方向に繊維をブッた切てスライスする輪切り! カレーやシチューを作るとき、煮込んで玉ねぎを溶かしてしまいたいときにしか使わない切り方だ。
実験に使った包丁は、ここ2週間毎日3回の食事を作るのに使った京セラのセラミック包丁と、ふだん使いしているドイツで買ってきた「ヘンケル」製の包丁。
ヘンケルの刃を研いだのは3カ月ぐらい前だが、トマトもスパスパ切れていた。でも玉ねぎの繊維をブッた切る輪切りは苦戦。アクリルケースには、玉ねぎの細胞が潰れて飛散したエキスがたっぷり付着していた。
一方セラミック包丁はスゲエ! 繊維をぶった切っている感覚は一切なく、包丁の刃がスイスイ入っていく。アクリルケースに飛び散ったエキスを比較したのが、次の画像だ。
どっちがどっちの結果かを言うまでもないぐらい、歴然とした差。京セラのセラミック包丁は、まったくと言っていいほどエキスが飛散していないのだ。
玉ねぎ切るのが辛い! という人は、京セラの包丁に変えれば、さようなら涙さん、涙さんさようなら! できる!
切断面を顕微鏡で見れば一目瞭然
今度はいろんな野菜の断面を調べて、細胞の状態を調べてみた。比較に使ったのは、玉ねぎでも登場したヘンケルのステンレス製包丁、そしてセラミック包丁だ。
ステンレス・セラミックの変わりはなく、ほぼ同様の切り口の野菜も見られたが、柔らかい野菜や繊維を断ち切るような切り方をすると、細胞が破壊されて中の水分が出てしまうものが多くあった。
玉ねぎエキスの飛散実験も含めて考えると、水分の多い野菜、柔らかい野菜は、セラミック包丁で切ると細胞の破壊が抑えられ、食感や長く置いたときにも水分が蒸発しづらいなどに影響が出そうだ。
冬はナベの美味しいシーズン。乾燥した暖かい部屋でナベをしていると、切った白菜が最後のほうではしなびてしまうこともよくある。セラミック包丁なら最後までしゃきしゃきの白菜が楽しめる。
ここまで京セラのセラミック刃物をオススメすると「ステマだ! ステマ!」とTweetされまくるのは承知の上。でもちょっと待った! 一度でもセラミック刃物を使ったことがある人なら、これが衝撃の事実ってことを知っているはず。
使ったことがない人は、近所のスーパーを数軒まわれば見つかる500円程の「京セラ製ピーラー」を買ってみるといい。筆者が1mmも話を盛ってないことが分かるはず。そしてセラミックピーラーが手放せなくなるのも確実だ。
金属の切削加工機械の刃にも使われるファインセラミック
なお、ファインセラミックスの刃物で野菜や肉などを切るのは、実は朝飯前。セラミックの刃物は、工場などで使う金属を削る旋盤や切削加工機械の刃としても使われている。というか、工業用途の方が有名だったりする。
良くご存知の方は、金属加工ってダイヤの刃でやるんじゃないの? という人も多いだろう。その通り。地球で一番固い材質はダイヤ、その次が金属かと思いきや、実はファインセラミックスなのだ。続いて金属となる。しかしダイヤは人工ダイヤでも高価なので、その代替品として固く熱にも強いファインセラミックが多く利用されているのだ。
そしてファインセラミックスは、「セラミック」というだけあって陶器の性質も併せ持っている。製造方法も陶器に似ていて、型にギュッ! と押し固めて焼成する。ただ包丁に使われているファインセラミックスは、「粘土」を焼き固めるのではなく、細かく粒子の整ったケイ素(ガラスの元)アルミナといった原材料を焼き固めている。またそこに加えるわずかな添加物(物質)によって、色々な特性のファインセラミックが作れるのも特徴だ。
今は引退したスペースシャトルの断熱材に使われているのもファインセラミックスだが、こちらは強度ではなく多孔質材(発泡スチロールのような穴だらけの素材)で熱膨張も少ない、耐熱衝撃性に飛んだファインセラミックスになっている。
包丁などに使われてるファインセラミックスは、通常のファインセラミックスの強度をさらに高めているのが特徴。
京セラの包丁用ファインセラミックスの場合は、刃物に適したオリジナル原料「ジルコニアZ206」を加えている。金属のようにしなるという特性を持ち、落としたりしならせたりしても割れないのだ。
衝撃! 包丁のピクルス! よい子はマネしちゃダメ!
もうひとつ衝撃的な写真を見てもらいたい。板前さんが見たら卒倒するような実験だ。
さて金属の弱点は、錆びてしまうこと。特に和包丁など鋼(はがね)の刃を持つ包丁は錆びやすく、酸っぱいフルーツを切ったり、塩分のある海の魚を下ろしたら、即効でキレイに洗わないと、翌日には錆びちゃうなんてことも。
お料理大好き、家族のごはんも作る筆者は、そこそこ有名な和包丁を使っているのだが、レモンをスライスするときは、和包丁は使わず、ステンレスのヘンケルを使っている(笑)。だって錆びたら、高いし……。
錆びないといわれているステンレス包丁でも、錆びてしまうものもあり、鉄と触れていたりすると鉄から錆びをもらってしまう「もらい錆び」という現象も起きる。
しかしセラミック包丁は、錆びる心配まったくなし!そこでこんな実験をした。ビンにたっぷりのお酢を入れ、その中に包丁をつけておくのだ。言い換えると、包丁のピクルス(笑)。
で、6時間漬け込んだのがコレ。
うきゃー! 怖くて自分の包丁では試したことなかったけど、たった6時間でコレだけ錆びます!! 板前さんが包丁をしきりにお手入れしているのは、コレが大きな理由。
いっぽうセラミックの包丁は、まったく変化なし。2日間ピクルスにしても切れ味も変わらず、包丁に匂いが移ることもない。フルーツが大好きな方、海で魚を釣ってきて下ろすなんて人は、セラミック包丁必須!
さらに便利なのが、セラミック包丁は食洗器にブッ込んでもOKな上に、黄ばんできたら漂白するのもOK! とにかく、筆者のようなズボラーには、メンテナンスフリーの便利さが最高!
断面の色も変化しないセラミック! 切れ味のポイントは引くこと
食材の断面も変色させないのが、セラミック包丁の特徴。たとえば、りんごの皮むきをしたら、薄い塩水につけておくと色が変わりにくいって話。
鋼やステンレスの包丁を使うと、金属の成分と果物の果汁が反応して、皮むきした面や切った面が変色することが多々ある。また、鍋用にそぎ切りした白菜も翌日使おうとしたら黒くなってたなんてことも。でもセラミック包丁なら、ほとんど変色しない。
また、フルーツの皮むきや大根の皮むきをすると、セラミックと金属の包丁で、人によって使い勝手に差が出てくる。それは刃の研ぎ方の違いによるものだ。金属の場合は、刃に近くなるにつれて薄くなるように研いでいる。でもセラミック包丁は、セラミックを薄くすると割れやすくなるので、クサビ状の刃になっている。
包丁を押し引きしながら正しく使える人は、金属であってもセラミックであってもそれほど使い勝手に違和感を感じない。しかし包丁を上から押し込んで切る人にとっては、セラミックは金属に比べて重く感じるだろう。
特に皮むきは押して切る人が多いので、ここで使い勝手に違和感を覚えるかもしれない。また三徳包丁は、刃に丸みが付いているので、ネギやきゅうり、キャベツなどは押して切ると、アコーディオンのようにくっついてしまう。
セラミック包丁を使う際は、できるだけ刃を押し引きしながら切る正しい包丁の使い方を覚えるのがオススメ。クセになっているようなら樹脂製の固いまな板ではなく、木製のまな板を使うとアコーディオンになりづらくなるハズだ。
無料包丁研ぎ券で2年後にも新品の切れ味に!
筆者のように新し物好きで、セラミック包丁が発売された当時(1980年代)に買ったという人は、砥石で研げずに使い捨てになってしまっていたという人も多いはず。
でも今、京セラから発売中のセラミック包丁には、研ぎ代1回無料券が付いてくる! これはスゲー!
実はセラミック包丁。あまりにも刃が固いので、一般に売っている砥石や研ぎ器では、刃が研げないほど。それゆえメーカーが「無料包丁研ぎ券」を製品に添付している。つまり1~2年セラミック包丁を酷使して、トマトの切れ味悪くなってきたな~と感じたら、無料の研ぎ券を使ってメーカーに研いでもらうと、まるで新品になって返ってくる。
金属製の包丁は、4カ月に一度は研がないと切れ味が落ちてくる。慣れないと1時間は砥石と格闘することになるだろう。セラミック包丁を一度使うと、「包丁を研ぐ」のがバカらしくなってくる。
なお、セラミック包丁は刃が固いもの、衝撃には弱くはこぼれする可能性がある。セラミック包丁で、魚の骨を断ち切ったり、果物の固く大きな種を切ると、刃こぼれしやすいので注意。まあ金属でも、これらを切ると刃こぼれするため、ソレ専用の出刃包丁があるぐらいだ。豪快に骨などを叩き切りたい場合は、ぜひ金属の出刃包丁を購入して欲しい。
とはいえ普通に使っていれば、2年経過しても刃こぼれは写真の程度。
無料の研ぎサービスは1回のみだが、それ以降は1回1,000円の有償サービスもあるので、これを利用してもいいだろう。何しろ近所のスーパーに来る、包丁研ぎ屋さんに頼んでも1,000~1,500円ぐらい取られるのが相場だ。
また誤って出刃包丁のような使い方をしてしまい、刃こぼれしてしまったという場合は、京セラ製の電動ダイヤモンドシャープナーがあるのでお勧めだ。セラミック包丁だけでなく、金属製の包丁も研げるので便利に使えるだろう。
ここまで読んだ方はお分かりかと思うが、セラミック包丁は硬すぎて、普通の砥石ではまったく研げないので注意して欲しい。
一度使ったら手放せない切れ味! ズボラーに絶対お勧め
京セラのセラミック包丁は、正しく使えば何年も続く切れ味、酸や塩の強い食材を手軽に切れる便利さ、さらに食洗機に突っ込んで洗える便利さが特徴。一度使うと手放せなくなる。
押し引きしながら使うという包丁の基本動作を見につけるために、子供用の包丁としてもオススメだ。上から「押して切る」という使い方が身についてしまっている場合は、固い樹脂製のまな板ではなく、柔らかい木製のまな板と組み合わせて使うと、包丁捌きがワンランク上に。
刃渡りは女性から子どもまで使いやすい14cmタイプと、男性や削ぎ切りに便利な16cmタイプがある。カラーバリエーションも豊富で、とかくモノクロになりがちなキッチンもカラフルになり、料理が楽しくなるクッキングナイフだ。
発売当初からセラミック包丁を使っている筆者が、自身を持ってオススメするアイテム。初心者は料理が楽しくなり、料理大好きな人はワンランク上の料理になることを約束しよう!