やじうまミニレビュー
よそう、つぶす、炒める、などを1本でできる万能選手「オメガヴィスペン」
2017年11月1日 07:30
キッチンツールの種類は、それこそ数え切れないほどたくさんあります。機能ごとに揃えたら、もうキリがないほど! かといって、AとBの兼用、といったものが必ずしも便利なわけでもなくて……。スペースの問題もあるから必要以上にたくさんは持ちたくない、でも便利なツールは使いたい、これが悩みどころですね。
今回紹介するのは、スウェーデンUnpluggedの「オメガヴィスペン」というツール。 “万能調理器”というふれこみにやや疑いを持ちながら、その使い勝手を試してみました。
メーカー名 | Unplugged |
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製品名 | Omegavispen(オメガヴィスペン) |
価格(編集部調べ) | 1,179円 |
変わった名前の由来は、オメガ、つまり先端がΩの形をしているから。このあたりにも工夫がありそうです。
全長は25cmほどで、先端のΩ部分の直径は約5cm。おたまより小さく、重さも25gとかなり軽め。素材は、ナイロン70%とグラスファイバー30%で、シリコンよりは固いけれど、ちょっとした弾力があります。耐熱温度は200℃、耐冷温度は-30℃と、なかなかのプロフィール。
先端のΩ部分は二重になっていて、内側の円と外側の円で角度がついています。この独特の形状が使いやすさのポイントで、ボウルやなべ底にいい感じでフィットし、むらなく上手にかき混ぜることができるらしい。
確かに、平らなところに先端部分を押しつけてみると、軽いバネのような跳ね返りを感じます。また、細いひと筆書きのような作りなので、表面積が少なく、確かに食材がこびりつきにくい気がします。
でも、全体的にはスリムだし、木ベラや金属のツールに比べれば強度は弱そう。ちょっと頼りないのでは? と思わなくもない……。
いろいろ試してみれば、ふむふむと納得
謳い文句には「炒める」「混ぜる」「つぶす」「すくう」「攪拌する」「溶かす」「こねる」「ざく切り」「和える」……と、その機能がずらりと列挙されていますが、「混ぜる」と「和える」はほぼ同じでは? とか、「すくう」って言ったって、穴あき状態なのだから液体はすくえないし……と思ったり。
そこで、実際にいくつか作業をしてみました。
先端の形から、ゆで卵をお湯の中からすくうのにぴったり! という気がしたので、まずはトライ。卵は菜箸ではすくいにくく、おたまだとお湯まで一緒にすくってしまいます。でも、これならまさに卵の丸みにピタリとはまって、卵だけをすくえます。
同様に、湯むきしたトマトなどをすくうのにもGood! 柔らかい素材をすくいたい時にはとても使いやすいと実感しました。でも、あくまでもオメガヴィスペンの円の部分より大きなものに限りますけどね。
次は生卵の攪拌。わざわざ泡立て器を使うほどではないけれど……という場合、これは便利。菜箸よりも混ぜやすく使い心地もとてもいい! ドレッシングを手作りしたり、小麦粉とバターを練ったり、なんて、ちょっとしたものを混ぜたい時に大いに活躍してくれそうです。
続いて、ゆで卵のざく切りにトライ。まな板の上でやろうとすると、まな板に結構卵が残ってしまうし、洗いものも増えます。でもこれなら、ボウルにゆで卵を入れたらそのまま荒くつぶせるので、とてもシンプルに楽にできました。ここにマヨネーズとピクルス等を入れれば、使うツールはひとつだけで、すぐにタルタルソースも出来上がります。
さて、卵以外のものでも調理してみましょう。ポテトサラダを作るべく、ゆでたジャガイモをつぶすことに。難なくつぶせて楽ちんです。このままきゅうりやパプリカなどを加えてマヨネーズで和える段階まで、すべてオメガヴィスペンだけでできるのはとても便利。マッシャーって、結構スペースを取るし、それにしか使えないので買うのを躊躇していましたが、なあんだ、このオメガヴィスペンだけで解決! と大満足。
ただ、まったりしたものを混ぜると、オメガの内円と外円の間に詰まってしまうこともあり……。それを外そうとしてボウルのふちでカンカンと叩くと、ポテトサラダが宙を舞う場合もあるので、注意が必要です。
次は炒めものです。チャーハンを作る時、フライパンの素材によっては金属製のヘラが使えないので、私はいつも木ベラ派でした。木ベラの感触は大好きなのですが、炒めている最中にご飯がくっつくのが気になるのも事実。最後にお皿によそう時も、木ベラについたチャーハンをフライパンのふちでしごいたりして……。
しかし! このオメガヴィスペンで炒めてみると、確かに食材はくっつきません。くっつきにくい素材だという上に、くっつくほど面積がありませんからね。重さもないので、調理している間に手が疲れないところもポイント。なかなか使いやすいです。
この特徴ゆえ、カレーやシチューなど、とろみのあるものを混ぜる時にも、具材をつぶさず抵抗も少なく、無理なく混ぜることができそうです。
私は麺類が大好きなので、ゆでた麺類はすくえるのか? とふと思い、これもやってみました。結果……麺の種類による、という感じです。ラーメンのように縮れた麺、つまりひっかかりやすい形状のものは問題なくすくえますが、素麺やパスタなど、つるりとしたタイプの麺はすくいにくく、これなら菜箸のほうがやりやすいかも、と感じました。
ツールを変えずに調理ができるのはうれしい!
このように役立つ場面は多いのですが、気になる点もあります。
混ぜたり和えたり炒めたり、のケース。そこそこの量までなら問題ないのですが、結構な量を調理する場合は、オメガヴィスペンでは少し心もとなく、やりにくいかも。
例えば、大きな中華鍋でたくさんの野菜炒めを作る時など、もっと大きなヘラで全体を混ぜられるほうがやりやすいと思いました。また、しっかり空気を含ませながら生クリームを泡立てたい場合などは、やはりこれでは難しい感じです。
あとは、ちょっと固いものをつぶしたり混ぜたりする時にあまり強い力を加えると、折れてしまうかも? という不安は感じます。
……とまぁ、いろいろ思うところはありますが、最終的には「けっこう便利!」というのが結論です。すべての調理をこれ1つでまかなうことはできないけれど、いくつかの機能をクリアしていることは確か。
特に、ゆでる→つぶす→混ぜる→よそう、までをこれ1本でできることはポイント高し! 加えて、軽くて使いやすく、お手入れも楽。オメガヴィスペン自体はスリムで収納スペースをとらないこともうれしいし、使っていて何となく楽しい気分になるのも新鮮です。
限られたスペースでその機能を問われ、生き残りを競う厳しいキッチンツール界において、これは、結構頼れるレギュラーになる、そんな一品です。