家電製品ミニレビュー
話題の「次亜塩素酸水」で除菌・消臭! パナソニックの空間除菌脱臭機「ジアイーノ」で焼肉臭を撃退
2017年11月30日 07:00
これまで除菌・消臭をする家電といえば、空気清浄機やプラズマクラスターをはじめとする各種イオン放出系の空気清浄複合機がメインだった。しかし昨年あたりからは、オゾンを利用した製品なども登場している。
またイオン系で消臭できない匂いは、昔ながらの活性炭を使った消臭フィルターを併用する空気清浄機が人気だ。特にペットのいる家庭では、活性炭フィルターは威力を発揮する。
今回紹介する、パナソニックから発売された「ジアイーノ」は、新しい消臭効果「次亜塩素酸水」を使ったものだ。
メーカー名 | パナソニック |
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製品名 | 次亜塩素酸 空気清浄機 ジアイーノ |
型番 | F-MV3000(〜15畳) |
価格(編集部調べ) | 127,480円 |
噴霧する消臭剤「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」
家電の空気清浄機や消臭器が進化する一方で、ファブリーズをはじめとした、噴霧する消臭剤も年々進化している。しかし噴霧となると残留物などの心配があるため、ネットではあの消臭剤は危険、あの消臭剤は安全という噂が飛び交い、どれを使っていいのやらサッパリ分からない。
そんな噴霧式の中でも、ペットのいる家庭を中心に普及し始めているのが「次亜塩素酸ナトリウム」(水溶液)系の消臭剤だ。犬や猫のブリーダーを中心に爆発的に売れているという。この「次亜塩素酸ナトリウム」は、簡単に言うとプールや漂白剤に使われている「塩素」を主体にしたものだ。適切な濃度に薄めて噴霧するには安全だが、塩素系漂白剤に“まぜるな危険”とあるように、「酸」と反応すると有毒ガスを発生するリスクもある。
同様の効果を持つものとして、「次亜塩素酸水」というものがある。これには「ナトリウム」の成分がないので、空中で噴霧しても残留物が残らないとして、いま注目を集めている消臭剤だ。難点は、水に溶けている消臭成分が、すぐに揮発してしまうという点。ボトルやパックなどに詰めて販売されているが、その成分はどんどん揮発するので、生鮮食料品のように鮮度が大切になる。
パナソニックから発売されたジアイーノは、次亜塩素酸水を機械の中で生成し、その成分を空気中の放出するという新しいタイプの消臭器。次亜塩素酸水の生成には、水道水に専用の塩タブレットを入れ、電気分解することで新鮮な次亜塩素酸水を作る。つまり、とれたて新鮮な次亜塩素酸を部屋に放出できるので、消臭効果も高く、殺菌力も高いという。
焼肉で消臭効果を試してみた
匂いといえば焼肉! 焼肉といえば匂い! なので、家族4人と犬1匹でどれだけ焼肉臭が消えるかを試してみた。部屋はキッチンとリビング・ダイニングで合わせて14畳ほど。ソファーやカーテンなどもあり、普通なら匂いがついて翌日まで、焼肉臭でおなか一杯な部屋になる。
ジアイーノの設定は、送風を「自動」に、電解強度を「強」にして運転した。電解強度というのは、どれだけ消臭成分を作り出すかという設定で、3段階に切り替えられる。「強」にすると電気分解をし続け、「弱」にすると弱めに電気分解を行なう。
女子大生に女子高生と食べ盛りが2人。筆者と妻は、脂の少ない肉をしょぼしょぼと焼いて食べていたが、娘たちはカルビにミスジと脂ギッシュな肉を食べまくり、部屋がモクモクとなるほど。
宴もたけなわというときに、筆者がトイレに立つと、いつもと違う匂いにびっくり!
トイレにつながる廊下のドアを閉めてリビングで焼肉を焼いていたのだが、そのドアを開けるとめっちゃ焼肉くさい! 普通なら焼肉部屋から出ると何も匂わず、トイレなどからリビングに戻ってくると、ものすごい焼肉臭が襲ってくるだろう。しかしジアイーノを動かして焼肉をしていると、焼肉をしているリビングはほとんど匂わず、閉め切ってあった廊下の方が焼肉臭い!
こんな逆転現象が起きる空気清浄機や消臭器は筆者の知る限りない! しかも2階に上がるとさらに強烈な焼肉臭が! まるで階段の2階踊り場で焼肉をやっていたかのような強烈な匂いなのだ。
つまり焼肉臭は、リビングからドアの隙間を抜けて廊下や階段、2階の寝室まで広がったにも関わらず、リビングにはジアイーノがあったので、焼肉臭がほぼ消えるという不思議な逆転現象が起きたらしい。
あまりにも2階の廊下が臭かったので、ジアイーノを2階の廊下に置いて運転したところ、翌日には焼肉臭もすっかり取れた。しかし狭い場所で、電気分解を「強」で、送風も「強」で使っていたところ、焼肉臭は消えたが、塩素の匂いが気になった。
予想外だったのは、塩素臭以上に気になる湿度だ。ジアイーノの構造は、気化式の加湿器と同様になっており、内部で作った次亜塩素酸水を、ロール状の布に吸い込ませ、そこに送風することで、部屋全体に消臭成分を噴き出すようになっている。
したがって強風で運転すると、加湿器を設置したかのように湿度が高くなる。人間は湿度に対する感覚が鈍いが、この時はジメっとした感じを肌で感じられるほどだった。狭い空間で使う場合は、自動運転に任せるか、設定に注意した方がいいだろう。
酸を使って匂いを撃退! 反面モノを錆させてしまうことも
オゾンによる消臭や次亜塩素酸ナトリウムの噴霧による消臭は、匂いの原因となる分子を酸化させて、違う物質に変えて消臭するという仕組みを使っている。しかし物質を酸化させるということは、鉄などの金属を錆びさせるということにほかならない。
極端だが、ジアイーノの吹き出し口に釘を置いて1週間運転したところ、次の写真のように錆び錆びになった。別の部屋に置いてあった釘は全くさびていない。
金属を極端に吹き出し口に近づけると錆びてしまうという点に注意して使うべきだろう。たとえばエアコンの真下に置いたり、テレビやビデオの近くに置いたりする場合、吹き出し口を製品に向けない方がいい。
また酸は、殺菌作用もあるので空気中に浮遊する有害物質を抑制できる。空気を清浄するのに加えて、洗浄してくれるのもジアイーノの特徴だ。
なお次亜塩素酸ナトリウムは、残留物が残る場合があるので、床などを舐めてしまうペットや小さい子どもがいる家庭では敬遠されてきた。しかし次亜塩素酸水は、気体が蒸発してなくなるため、残留物がなく、ペットや小さな子どもがいても安心して使える。
喫煙環境では使用不可! 空気清浄機とは使い勝手が違う点も
ジアイーノは、水道水と専用の塩タブレット、さらに電極を使って電気分解することで、次亜塩素酸水を生成する。それゆえ、加湿器のように常に水タンクに給水しなければならない。乾燥している場合は、水の減りも早くなるだろう。
またその水には、錠剤状に固めた塩タブレットを入れる必要がある。これは水をどれだけ交換したかで、頻度が変わってくるが、およそ3日に1回タブレットを水の受け皿に入れる。さらに何度も給水していると、塩分濃度が変わってきてしまうので、やはり週に1回は受け皿ユニットの水を捨てる必要がある。
また電気分解によって、電極が少しずつ減ってしまうので、F-MV3000は5年に1度、F-MV1500は3年に1度、電極を交換する必要もある。一般的な空気清浄機などには、これらの手順が必要ないので、少し面倒さを感じる場合もあるだろう。
また空気清浄機との大きな違いとして、喫煙している部屋では使えないという点がある。これは仕組みと構造上の違いで、性能低下を招くため喫煙空間では使えないという大きな違いだ。