家電製品レビュー
消臭力ヤベー!!! 猫のトイレが匂わなくなった宇宙技術の消臭除菌機が衝撃!
2020年2月7日 00:00
「FUJICO(フジコー)」、その企業の名を知る人は少ない。でも実はこの会社、重工業では有名で、とくに溶接や溶射(アルミ鍋に溶かした鉄を噴射してアルミの上に鉄の層を形成しIHヒーター対応にする加工など)、鋳造のプロフェッショナル集団だ。
そしてこれらの技術やノウハウを応用し、近年注目されているのが同社の除菌消臭技術。公衆トイレや医療機関、介護施設の消臭化工事を行なうだけでなく、消臭素材や消臭の基礎研究を行なう会社としても世界から注目されている。中でも印象的なのは、国際宇宙ステーション(ISS)の消臭プロジェクトだ。
家や車と違い、真空の宇宙にとどまるISSは「ちょっと臭うから」といって「窓を開けて」換気できない。乗組員曰く「窓越しの宇宙船から撮った美しい星や地球とは違い、思い出されるのは体育会系の部室のニオイ」だという(笑)。人呼吸の二酸化炭素を酸素に変えて循環させるシステムはあっても、消臭機能は持っていないのだ。
もちろん有害なメタンやアンモニア、アセトンや一酸化炭素はフィルターで吸着しているらしいが、ニオイの元はそれ以外にもたくさんある。
そんな宇宙船の消臭プロジェクトで、JAXAと共同研究されているのがフジコーの光触媒(消臭・除菌)システム。そしてこれをコンシューマー向けに同社が開発したのが、消臭除菌機「BlueDeo 富士の美風 MC-S1」なのだ。
メーカー名 | マスクフジコー |
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製品名 | BlueDeo 富士の美風 MC-S1 |
価格(編集部調べ) | 29,480円 |
こんな簡単な仕組みなのにネコのトイレ臭がまったくしない!
家にはメインクーンという大型ネコのドミちゃんがいる。犬はごはんを変えると、ほとんどウンチのニオイがしなくなり、薬さえ飲まなければ、おしっこもそれほど強烈なニオイはしない。でもネコは違う。どんなごはんを食べても、ウンチのニオイは強烈(笑)。
ドミちゃんのトイレはリビングから5m離れ、ドア1枚隔てた(ネコ用ドアはある)お風呂の脱衣所に置いてあるが、それでも臭う。どこからかトコトコと帰ってきた後には、芳しいニオイ。「ドミちゃん♪ トイレに行ってきたの~♪」となるわけだ。一方オシッコは、犬といっしょでほとんど臭うことはない(木材チップのネコ砂を利用)。
そこでネコのトイレの横に、フジコーのBlueDeoを設置してみた。大きさはトイレに置くセラミックヒーターとほぼ同じくらいでコンパクト。広辞苑サイズと言ってもいいだろう。電源はACアダプタ式になっている。
操作は非常に簡単で、風量ボタンを押すたびに「電源ON(弱)→標準→強→電源OFF」が切り替わる。
風量弱~標準はそれほどうるさく感じなかったが、強は風切り音がかなり気になる。機械から1m離れたところで40dbと、数値的には図書館なみの静かさだが、ボーという風の音がドライヤーのように耳につくのかも知れない。
中には10cm角のプレフィルターが内蔵され、その奥に光触媒フィルターとUVランプが入っている。理論上はプレフィルターで花粉やPM2.5などが捕獲できるはずだが、風量が一般的な空気清浄機に比べると少ないから注意。
これらの症状に苦しむ方は、あまり効果を期待しないほうがいいだろう。プレフィルターは、あくまで機械内へのホコリの進入防止と見ておくほうがいい。
さてこの状態でしばらくネコのトイレの隣に置いて使ってみた。その効果は、かなり抜群! これだけ小さいのに、以前に実験したシャープの「プラズマクラスター除菌脱臭機」なみに、ネコのウンチのニオイがしなくなった。
詳細はこちらのレビューを読んでいただきたいが、簡単に言うとネコがリビングに戻ってきても、ウンチのニオイがまったくしないので、トイレを確認しなければ、いつトイレに行ったのか分からない……それほどの消臭力。そのシャープの製品は、プラズマクラスターNEXTと活性炭+光触媒を使っていた。
しかしBlueDeoは10cm角程度のアルミのネットに、光触媒を含む特殊素材を溶射したフィルターを使っている。装置の大きさから見てみれば、かなり消臭効果の高い光触媒の特殊フィルターといえるだろう。
フジコー独自のISSでも使われた光触媒技術とは?
宇宙に興味のある方は、数年前にJAXAが実験していた無重力空間でのマウスの実験をご存知の方も多いだろう。そうISSの日本の実験モジュール「きぼう」の中で、マウスを長期間飼育し、重力の有無によるDNAへの影響や子孫への影響、また擬似重力の遠心力が重力の代わりになるのか? という実験だ。
ハムスターを飼っている方はご存知の通り、またホームセンターなどで小動物の部屋に入ると「ムワッ!」と漂うあのニオイは、生き物なのでどうしようもない。しかし換気できない宇宙船の中で、マウスを世代にわたって飼育するためには、どうにかしなければならない。
限られた宇宙船のスペースで、できるだけ省電力で、しかも廃棄物を出さないようにしなければならない。その問題をすべて解決したのがフジコーの光触媒技術だ。
一般的に光触媒と呼ばれているものは、光触媒となる金属粉を溶剤に溶かして、活性炭フィルターなどの母材(基材)に塗っている。いわゆる「ラメ塗料」のような仕上がりをイメージしてもらうといい。光触媒は溶剤の中に埋まってしまい効果が薄れてしまうだけでなく、基材の上にまばらに広がる。
しかしフジコーの光触媒は、光触媒の金属を、同社が得意とする溶射で基材の上に打ち込んでいく。つまりより均一で分厚い光触媒層を基材の上に形成できるというわけ。もちろん溶接のように金属同士を溶かして付着させるので、溶剤に埋もれてしまうこともない。
フジコーが使っている基材は、アルミのネットのようだ。ここに光触媒を溶射しているのだが、それと同時に抗菌性のある金属も合わせて溶射しているという。その金属の詳細は明らかにしていないが、CMなどでおなじみのAg(銀)やステンレスなどだろう。
だがここまで登場した金属は、ニオイを吸収する性質を持っていない。そこでさらに活性炭のように、ガスを吸着する物質もあわせて溶射しているのだ。
つまりフジコーの除菌消臭フィルターとは、「アルミのネットの上に光触媒+抗菌金属+ガス吸着剤を溶射したもの」というワケ。だからBlueDeoは小さいのに効果絶大なのだ。
光触媒が吸着剤のとり込んだニオイを分解したり、空中浮遊菌などを分解するしくみは、他の光触媒とまったく同じ。
光触媒から発生した活性酸素が、菌のタンパク質などに付着し、酸で物質を変化させ、最終的に水と二酸化炭素に分解する。だから有害物質も一切でないし、廃棄物もない。必要なのは光触媒の反応に必要な「光」だけだ。昔は紫外線が必須だったというが、最近は可視光でも機能する光触媒も登場しているという。
ISSで長期間実験していたマウスのケージは、このフィルターを部屋の内部に敷き詰め、LEDで光を当てている。
BlueDeoは、このISSで使われたフィルターに、空気を循環させるフィルターをつけ、この特殊フィルターが捕獲した菌やニオイを酸化させて分解している。他社のイオン系が活性酸素を部屋に放出して除菌・消臭する「攻撃型」なのに対して、BlueDeoはフィルターで捕らえた菌などを除菌・消臭する「迎撃型」になっているのだ。
一瞬でコーヒーやキムチのニオイが消える実力!
さて、今度はめっちゃ身近なニオイの元で、どれだけ消臭できるかを実験してみた。
まずは封を開けたばかりのレギュラーコーヒー。キッチンで封を切っても、リビングでテレビを見ている家族が「お! コーヒーのいい香り!」と気づくほど。表現は悪いが、ニオイの強さとしては、家のネコのウンチのニオイほど強烈というワケだ(笑)。
BlueDeoは下から吸気、フィルターを通って上から排気する。コーヒーの袋を開けて吸気口でニオイのレベル(強さ)を測ると「172」。
そして消臭された排気は「20」! 人間の鼻には、もう無臭にしか感じられないほどの消臭効果。コーヒーの袋が空いているのに香りがしないという不思議な手品でも見ているようだ。
つづけて実験したのはキムチ! 元のニオイのレベルは「451」! コーヒーの倍以上のニオイレベルだ。
しかし排気口では「63」。どんだけー!
どれだけ消臭できたかを率で調べてみると、コーヒーが88%、キムチが86%。つまりどちらも80%以上を消臭できてしまうという、活性炭もビックリの消臭性能だ。
除菌機能は寒天培地で効果を確認! 凄い! カビが生えにくい!
さてBlueDeoのもうひとつの特徴。それは「除菌」。言っちゃ悪いが、こんだけ小さいボディーで本当に除菌できるのかかなり怪しいので、例によってアマゾンの子供用実験キット「自然・生物 きみも研究者! バクテリア培養キット」を使って、カビ菌を培養して除菌効果を調べてみた。
冬なのでカビが繁殖しづらく難しい実験になったが、内容はこんな感じだ。まず寒天で培地を作って、別途作った青かびを表面に塗布する。
ひとつは、BlueDeoの置いてあるネコのトイレのある脱衣所に置く。ただネコが興味を抱いてイタズラするのは確実なので、絶対に手に届かない上のほうに置いた。なのでちょっと装置からは離れている。
もうひとつは脱衣所を出たところにある廊下。気温や湿度は、それほど脱衣所と変わらない場所だ。
放置すること3日間。その違いが歴然と現れた。
BlueDeoの置いてあった脱衣所の培地は、ほとんどカビが繁殖していなかった。これに対してBlueDeoの除菌効果が届かない廊下においてあった培地は、カビがうっすら繁殖! 違いが歴然!
宣伝文句に偽りなし! 小さいながらもしっかり除菌できることを証明してくれた。
メンテナンスフリーで約7年間使い倒せる除菌・消臭器
コンパクトなのに強い消臭能力と除菌力を持つBlueDeo。本体に内蔵している紫外線ランプが切れるまで、約2万時間使えるので、1日8時間つけっぱなしでもおよそ7年間使える計算だ。しかも電気代は標準モードで、24時間使っても1日5.8円程度。
説明書では8畳まで対応となっているが、風量を強で使うとうるさいので、実際には4畳半以下と見ていいだろう。もしそれより大きな部屋で使う場合は、BlueDeoのファンで空気を攪拌するのではなく、サーキュレーターなどで空気をBlueDeoに流し込んでやるとより効果的になるはずだ。
トイレの消臭にピッタリなのはもちろん、くつ箱やクローゼット中、ゴミ置き場などの消臭にも効果を発揮するはず。冬の時期はブーツもかなり臭うので、玄関や会社の更衣室などに設置すると、一気にニオイと衛生面の問題が解決できる!