ミニレビュー
トレイル向けヘルメットLAZER LUPO KC AFは軽い・こもらない・安心の三拍子揃ってた!
2025年5月16日 10:05
筆者はこれまで街乗りのほとんどがロードバイクかクロスバイクだったこともあり、なんとなくロード用のヘルメットをかぶってきました。が、LAZER(レイザー)「LUPO KC AF(ルポ キネティコア アジアンフィット)」をお借りできたので、e-bikeと一緒にお出かけしてみました。
最初、届いたものを目にした瞬間は、正直に言うとゴツいように感じていました。ところが、往復50kmのサイクリングとトレイルライディングで試してみたらそんなことは全然気にならず、なんというか「空気」。
半日ずっとかぶったままで、帰宅して脱いだ後、そういえば何もストレスを感じなかったなあ、ということに気付くような、そんなさりげない空気のようなヘルメットでした。標準価格は11,000円です。
大きめだけれど安心感がすごい、そしてこの電波暗室みたいな凹凸は!?
LUPO KC AFは、LAZER独自の設計技術である「KinetiCore」を採用したオフロード、トレイル向けのヘルメット。内側にある、まるで海岸の消波ブロック? 電波暗室? のような凹凸が特徴的です。衝突時には、この凹凸が潰れることで頭部へのダメージを最小限に抑える構造とのこと。
帽体は、確かに少しばかり大きめな印象。トレイル向けということもあってバイザー付き、かつ後頭部を覆う範囲の広い点がその印象を強めているのかもしれません。ですが、クッション材がパッと見で分厚いわりにはよくこのサイズで収まっているな、とも思います。
見た目の特徴としてはもう1つ、大胆に取られたベンチレーションホールも挙げられます。ここはデザイン的に若干の野暮ったさはありつつも、質実剛健な雰囲気を高めていて、先ほどの内側の凹凸ともあいまって通気性の高さを予感させるところです。
で、実際に装着してみれば、大きめの帽体に似つかわしくない意外なほどの軽さ(実測379g)。しかし、クッション材が分厚く、頭部を広く覆っているおかげで守られているような安心感があります。
常にほぼ開放状態のよう、半日装着したままでもストレスフリー
サイクリングに出かけたこの日、気温は20度前半ではあったものの、片道25kmの移動中は日差しが軒並み強く、ガッツリ汗をかく陽気でした。e-bikeなのでこぎ出しの力は必要ないにしても、今回はe-MTBです。日本では時速24kmでアシストがオフになり車体の重さを如実に感じるようになりますから、なかなかいい運動になります。
ということで全体的に速度域は低め。道中のアップダウンも頻繁で、走行風にはあまり期待できず、ヘルメットの内側に熱気がこもるのは避けられない状況……かと思いきや、いくら走っても頭部に不快感がやって来ません。自転車で遠出するときは、季節にかかわらず汗だくになっている筆者ですが、顔から下はもちろんじっとり汗ばんでいるのに、頭だけは一定温度の室内にいるような……。
乗っている間に「すごく涼しい! すごく快適!」と実感するようなことはなかったのですが、脱いでみたときに初めてその「何も変わらなさ」に気付いた次第。終始暑いと感じることもなければ、極端に涼しいと感じることもない。ヘルメットを脱いだときの開放感みたいなものもなく、つまり、かぶっている時からほぼ開放状態みたいな!?
森の中のトレイルライディングは、日陰が多いおかげで動かなければ過ごしやすい気温でした。でも、目の前に楽しそうなコースがあれば体力の続く限り走らずにはいられません。短いコースでも、e-MTBでも、一生懸命に走ればあっという間に息が上がりますし、汗も噴き出します。
こういう時、いつもなら休憩時にヘルメットを脱いで汗を発散させたくなるものですが、LUPO KC AFはまったくそんな気にならず、汗による不快感がないのでそもそも脱ぐ必要性が感じられませんでした。インナーを装着していた分、通気性が若干損なわれている可能性があることも考えると、ベンチレーション性能は非常に高いと言えそうです。
緩めに装着していたから、というわけでは決してありません。顎ひもも、後頭部にあるダイヤル(TurnSysシステム)もキツめに締めたはず。なのに圧迫感を感じにくかったことも影響しているのでしょうか。これはLUPO KC AFが頭の形に沿ってフィットし、頭部全体を均等に包んでいるからなのかもしれません。
ゆっくり走るe-bikeにこそ通気性重視のヘルメットを
空気抵抗の低さにこだわって設計されているロード用ヘルメットと比べると、サイズとしては少し大きいLUPO KC AFですが、かぶってみればそんなことを意識させない軽さ、高いベンチレーション効果や熱のこもりにくい設計、頭部を全体的に守ってくれている安心感という、三拍子の揃った製品となっています。
激しい運動になるトレイルライディングでは、こうした3つのポイントすべてが重要になってくるでしょうし、快適性や安全性の高さを考えると普段の街乗りやサイクリングに使うのも大いにアリだと思います。特にe-bikeは速度域が通常の自転車よりは基本ゆっくりめになりますから、ロードバイク向けのヘルメットよりLUPO KC AFのようなトレイル向けヘルメットのほうが適している場合も多そうです。
カラーリングはブラックの他にマットホワイトやアイスグレー、マットネイビーブルーなど5種類がラインナップしていて車体色や好みに合わせやすく、55~61cmという幅広い調整範囲に対応したワンサイズ展開なのでサイズ選びで迷うこともありません。e-MTBで遊ぶ人はもちろんのこと、e-bikeでロングライドする人にもおすすめしたいヘルメットです。