e-bike試乗レビュー
ヤマハ「YPJ-XC」はどこでも安心して走れるe-bike♪ MTBコースをガンガン走りたいっ!!
2020年5月8日 08:00
筆者には「あのe-bikeにもう一度乗ってみたいな~」という車種があります。「e-bike大賞2019」にも輝いたヤマハの「YPJ-XC」です。2018年7月18日発売のモデルですが、車体カラーを大幅に変更し2020年モデルとして2020年2月14日発売にされました。
メーカー名 | ヤマハ |
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製品名 | YPJ-XC |
実売価格 | 350,000円 |
ちなみに、ヤマハ製e-bikeの現行ラインナップは6種類。2018年に誕生した新世代として、MTBタイプのYPJ-XC、ロードバイクタイプのYPJ-ER、クロスバイクタイプのYPJ-EC、オールマイティモデルのYPJ-TC。それ以前のモデルとしてロードバイクタイプのYPJ-R、クロスバイクタイプのYPJ-Cがあります。
さて、このYPJ-XCですが、以前にごく短時間だけ乗りました。去年の「レンタルe-bikeで観光したら京都の魅力を再発見!! 混雑も渋滞も無縁だから、穴場も定番スポットも自由に巡れて超快適♪」のロケ時です。ロケ終了後の帰り際に「サイクルベースあさひ洛西口店(らくさいぐちてん)」のレンタル用車体を十数分借りて試走。
すると、YPJ-XCには“魅了されるような走行感”がありました。「えっ何これ凄いかも!!!」みたいな。何が凄いのかって、そのアシスト感。他メーカーのドライブユニットのアシスト感とはけっこー違いました。非常にスムースな追従性がありつつ、とてもパワフル。「もっとじっくり走ってみたい!!!」と思いつつ、ほんの十数分の試走は終了。後ろ髪引かれつつ京都を後にした次第。
ちなみに、ヤマハのe-bikeに搭載されているドライブユニットはすべて自社製。ドライブユニットは、ペダルの踏み込みに応じてアシスト力を発揮するモーターやセンサーが集まった“e-bikeの中核部”ですね。ヤマハの現行ドライブユニットは3種あり、それぞれ「PW-X」「PWseriese SE」「PW」です。
それぞれザッとご説明しますと、PW-Xは、YPJシリーズのドライブユニットとしては最軽量かつハイパワーで、e-MTB向けに開発されたフラッグシップという位置付け。PWseries SEは、主にオンロードe-bikeを見据えた設計で、ヤマハの標準ドライブユニットといったところ。PWは消費電力を抑えたマイルド志向のドライブユニットというイメージです。
そして、フラッグシップのPW-Xは、現在のところYPJ-XCにしか搭載されていません。YPJ-XCはヤマハの最高性能ドライブユニットを搭載したe-bikeだから、“魅了されるような走行感”だったのかもしれません。ともあれ以降、2020年モデルのYPJ-XCについて見ていきたいと思います。
YPJ-XCはどんなe-bike?
まずはYPJ-XCの概要から。主なパーツやスペックなどを写真と説明文で見ていきましょう。
筆者の個人的な印象ですが、まずその見た目。2018年モデルのシルバー×ブルーのカラーから、全体的にマットなブラックになったのは好印象です。カッコイイ!!! 同時にバッテリー部がフレームとより自然にマッチしていて違和感が少ないのもいいですね。パーツも“よくあるe-MTBよりちょっと高いグレード”のものが採用されている。要所要所でオーナーに満足感を与えてくれるように思います。
残念なのはドロッパーシートポスト非採用という点。ハードテイルe-MTBではありますが、本格的なオフロードコースもバッチリ走れると思いますので、乗車したままシート高を調節できるドロッパーシートポストはぜひ欲しかったところ。まあ、これは好みのドロッパーシートポストを後付けって感じでしょうか。
もうひとつ、バッテリーがインチューブタイプだったりしたら嬉しかったんですが、残念ながらフレーム上にマウントされているタイプ。このあたりは、車体自体が2018年モデルと同じなので仕方がないかもしれません。
パワーもフレーム剛性もバッチリ!!! どこでも走れるe-MTB♪
さてさて、早速ガッツリと試乗です。とりあえず川沿いのサイクリングコースを走って、さらにちょっとした未舗装路も走って……そうそう激坂も試したい。最終的にはMTBパークで本格的にオフロード走行も試してみたい。てなわけで、写真を交えつつYPJ-XCの走りの印象を書いてみたいと思います。
まず舗装路を走ってみた印象ですが、意外なほど速いe-MTBだと感じられました。ペダルをガンガン踏めばどのe-MTBでもだいたい速く走れるわけですが、YPJ-XCの場合、まずフレーム剛性が十分高いのでペダルを踏んだ力が逃げないという感覚があります。走り出しから20km/hくらいまで5秒前後で到達し、さらにアシストが切れる24km/hまで滑らかに加速。
車重が比較的に重めでかつブロックタイヤを履いていますので、さすがに25〜28km/hあたりで巡航すると疲れてきますが、でも“自転車にうまい具合に走らされる”という感覚。スピードの乗りが良く、気分良く加速していけるので、e-MTBなのにグイグイと速度を上げていっちゃうという走行感です。
……これ、何かに似てる? と思い返したら、アレでした、YPJ-TCで走った時時の感じ。ヤマハYPJシリーズのうちオールマイティモデルがYPJ-TCですが、あの車種も気分良くグイグイ加速できるモデルだったと記憶しています。YPJ-XCはあの走行感にちょっと近い。
YPJ-XCのアシストモードですが、アシストが弱い順に、プラスエコモードで210km、エコモードで145km、スタンダードモードで104km、ハイモードで87km、エクストラパワーモードで82kmとなります。プラスエコモードやエコモードは非常にマイルドなアシストですが、短い坂などではアシスト力をしっかり実感できます。スタンダードモードやハイモードだとけっこう力強いアシスト力が感じられます。
どのアシストモードでもアシスト力のかかり方が非常に滑らか。唐突に「グイッ」と力が加わるような感覚がない。違和感がなく自然かつスムースにアシスト力が発生しているという感じです。
他社のドライブユニットだと、種類やモードによっては「これはちょっとアシストが出しゃばり過ぎ」とか「アシスト力の出方が唐突なので何だか怖い」と感じることがありますが、YPJ-XCのドライブユニットであるPW-Xにはそういう不自然さが非常に少ない。ペダルを踏むと即座にアシスト力が加わる感じはするのですが、それが急激過ぎないという印象。アシスト力発生のレスポンスは速いけど、アシスト力が一気にドガンと出ている感じではなく、なんかこう人間の筋肉のような力の出方とでも言いましょうか、そんな自然さがあります。
そんなアシスト力の出方について、メリットを強く実感できたのがエクストラパワーモード。最大のアシスト力が発揮されるアシストモードです。
例えば凸凹や石があったりする未舗装路を走る場合、障害物をちょっと越えるにはより強いアシスト力があるとスムースなので、エクストラパワーモードを使います。凸凹や石がある道を走る時、誰もが自然にそうしていると思いますが、状況に応じてペダルを踏んだり、一瞬踏むのをやめたりして、車体をコントロール。障害物を一気に乗り越える時はペダルを強く踏み、ハンドルを少し切って向きを変える時は一瞬ペダルを踏むのを止める、みたいな。
そういうペダリングと車体コントロールが、YPJ-XCのエクストラパワーモードだと、非常に小気味よく行なえるんです。人力の自転車とほぼ同等の繊細なペダリングができる。でもアシスト付きで、ペダルを踏めば即座かつ滑らかに力強い推進力が生まれます。また、ペダルを踏むのを止めた瞬間に、そのアシスト力がスッと消える感覚。
状況の悪い未舗装路で、レスポンスと力強さと繊細さを併せ持つアシストが使えると、もう凄〜く走りやすい。急に自転車の運転が上手くなったかのような気分に。繊細に自転車をコントロールできつつ、しかしアシスト力はたっぷり使えるので、そう感じるのだと思います。
YPJ-XCで実際に悪路を走ってみると、悪路の“攻略”が楽しい。河川敷脇の未舗装路にあったりする岩とか砂利とか流木とか、そういうシチュエーションにどんどん挑戦したくなったりもします。
……というコトは、YPJ-XCは絶対MTBコースとか楽しいゾ!!! MTBパークに行くしか!!! ていうか絶対行く!!! 明日行く!!!
と、勢いづいたところで、まさかの……新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言。不要不急の外出を自粛する必要があります。YPJ-XCでMTBパークは……まあ不要不急っすよね。残念〜。
あぁ早く安心して外出できるような世界になって、YPJ-XCでMTBパークを走ってみたいなあ。YPJ-XCにある程度じっくり試乗でき、YPJ-XCの“魅了されるような走行感”の正体がだいたい見えてきた筆者は、再び「やっぱりあのe-bikeにもう一度乗ってみたいな〜」とYPJ-XCを想うのでした。
ともあれ、他のe-MTBとは一味違う素敵な走行感があるYPJ-XCですので、機会があればぜひ試乗してみてください。なお、ヤマハ公式サイトからYPJシリーズに乗れるレンタルショップや試乗車のあるショップを探すことができます……が、新型コロナウイルスの影響で休店しているところが多いようです。くっそ〜新型コロナいずれ絶対ブッ殺(以下自粛)。