e-bike試乗レビュー
元祖e-bikeのヤマハ「YPJ-R」で、三浦半島の猫島へ行ってきた
2019年8月28日 00:00
どーも、e-bike部の清水です。今年の夏はe-bikeで富士山ヒルクライムに挑戦したり、白馬岩岳や御殿場のMTBコースを走ったり、「e-bikeの夏」を満喫しました。しかし、よく考えてみるとe-bikeで走ったのは「山」ばかり。もうひとつの夏の定番スポット「海」には足を運んでいませんでした。なので、今回はe-bikeで気持ち良い海岸線を走ることに!!
レンタルショップで元祖e-bikeをレンタル
e-bike部で借りていた試乗車もすべて返却済みだったので、今回はレンタルショップを利用します。「日帰り」「未試乗モデル」「レンタル時間」を条件に検索していると、三浦海岸にある「うみかぜサイクル」というスポーツサイクル専門のレンタル&販売店を発見。e-bikeはヤマハの「YPJ-R」と「YRJ-C」のレンタルと、YPJシリーズの購入ができます。3時間まで2,000円、1日3,000円と料金もリーズナブル。しかも目の前が海で、猫島といわれる城ヶ島へのアクセスもよく、三浦半島の起伏も楽しめる絶好の条件。ということで、こちらのショップで「YPJ-R」をレンタルすることにしました。
ちなみにレンタルした「YPJ-R」は、元祖e-bikeともいえる存在。ご存じの方も多いと思いますが、ヤマハは1993年に電動アシスト自転車「PAS」を世界で初めて開発・発売したメーカーです。そして「PAS」の発売20周年を迎えた2012年に、電動アシスト自転車のあり方を再定義し、自転車市場に新たな価値を提案するためのプロジェクト(Yamaha Project)をスタート。“乗り物を使って楽しむ”というコンセプトのもと、自転車で走る楽しさやワクワク感、ライフスタイルに合った性能やデザインをユーザーに提供するために誕生したブランドが「YPJ」なのです。
その第一弾として、2015年12月に発売されたのが「YPJ-R」です。その後2018年モデルではカラーのラインナップも追加。そして現在では、YPJシリーズのラインナップは6車種となっています。
YPJ-Rはどんなe-bike?
「YPJ-R」はロードバイクのe-bikeで、サイズはM(適応身長162cm~)とXS(適応身長155cm~)で、車両重量はMサイズが15.4kgでSサイズが15.2kg。コンポーネントにはシマノ105を搭載し、フロントのギアにも2段の変速機構を搭載しており、変則段数は2×11の22段となっています。また、前後ブレーキにはシマノ製キャリパーブレーキを採用し、高い制動力を発揮するとのこと。価格は230,000円(税抜)。
小型のドライブユニット「PWシリーズ」、25.2V/2.4Ahのバッテリーを搭載し、アシストモードは「HIGH」「STD」「ECO」の3段階。それぞれ1充電あたりの航続距離は、HIGHモードが14km、STDモードが22km、ECOモードが48kmなので「少なっ!!」と驚かれるかもしれません。今や航続距離が100km超えのe-bikeはもはや珍しくないので、私も正直驚きました。ちなみに、YPJシリーズの中でも大容量バッテリーを搭載する「YPJ-ER」は、同じロードバイクのe-bikeながら、アシストモードによっては最大242kmの走行が可能です。
バッテリーも小型だし、約4年も前のモデルだし……という声も聞こえてきそうですが、そもそも目指すコンセプトが、今どきとは少々違うのです。スポーツバイクの軽快感や爽快感を楽しむことを基本とし、アシストによる心地よい加速フィーリングをバランスよく融合することを目指しているのです。初心者でも平坦基調などは人力で走り、きつい登坂時にアシストの力をおいしく借りるようなイメージです。一方、大容量バッテリーのYPJ-ERは、電動アシストの恩恵をたっぷり受けながらロングツーリングを楽しむモデル。同じロードバイクのe-bikeですが、基本的なコンセプトが異なります。ヤマハの担当者によると、今後も併売していくとのことです。
YPJ-Rで猫島を目指す!!
そんなYPJ-Rで最初に目指すのは、猫島といわれる城ヶ島。店舗からは約11km程度なので、ロードバイク初心者にもちょうどよさげな感じの距離感。ショップの方に車両の説明を受けてさっそく出発。ひとつだけ心配だったのは、実際に猫島で猫に会えるのかという点。お盆の猛暑日だったこともあり、朝から余裕の30℃オーバー。木陰で涼んでいてくれるといいのですが……。
嫌な予感がちらつく中、県道215号を海沿いに南下して行きます。海水浴シーズンでクルマも多いため、焦らずのんびり安全運転。車体重量が約15kgなので、アシストOFFでも重さを感じることはありません。クルマの流れが途切れたところで、ECOモード&変速で加速すると、あっという間に30km/hに到達。初心者なのでスピードを出し過ぎないように気をつけよう……と考えましたが、起伏が多い三浦半島だけに平坦な道が少ない。4~5km走ると上ったり下りたり、上りっぱなしだったりするので、下り以外ではスピードを出し過ぎる心配は不要でした。ということで、富士山での経験を活かして、素直にECOモードで走ります。
ECOモードでもサクサク上って行けます。しかし高所になると、台風の名残で強風に見舞われました。「ロードバイクで強い向かい風や横風に煽られる時は下ハンで前傾姿勢だったっけ?」なんて思い出しながら前傾姿勢を取りますが、慣れない姿勢で効果を実感しにくいため、そこは素直にSTDモードやHIGHモードの力を借りて進んでいきます。そして、めちゃめちゃ風の強い城ヶ島大橋を無事に渡り、猫だらけと噂の城ヶ島公園に到着。いろいろ寄り道しながら来たので走行距離は15kmくらい。
事前に調べた情報によると、まず城ヶ島公園の駐車場で猫たちに会えるケースが多いとのこと。なのに……一匹もいない。もしかしたら、今日は公園内に多くいるのかもしれない。嫌な予感が的中しないと信じて、公園内を散策しながら、猫探し。城ヶ島公園からは太平洋や房総半島を拝めたり、美しい景観を楽しめますが、とにかく風が強い!!
猫たちもこんな強風は嫌いなのかな? と思いつつも茂みなどを注意深く探していると、ようやく猫を発見!! やっぱり茂みで涼んでた~♪ その後も公園内で猫探しを続けますが、この公園で出会えた猫は合計4匹(1匹は写真も撮れずに逃げられる)。本来なら城ヶ島公園で猫と触れ合って、写真撮りまくって、まぐろでも食べて満足して戻る予定でしたが、あまりにも不完全燃焼……。
猫探しサイクリング再開
目的を達成できなかったので、猫探しサイクリングを再開。城ヶ島公園を下って城ヶ島の漁港を目指します。漁港なので人にも慣れている猫がたくさんいるはず。
そんな期待を抱いて城ヶ島を走って回りますが、まったく猫がいない!! 見つけられたのは、城ヶ島海岸へ続く小さな商店街にあるお店の看板猫だけ。しかも日陰で爆睡中……。
ここまで探して猫と出会えないなら、猛暑で可能性は低いだろうけど場所を変えるしかない。ショップでもらったサイクリングマップに書いてある猫スポットへ向かうことにします。次の目的地は三戸浜海岸の初声漁港。城ヶ島から約11kmで、その大半が上りとなっており、ロードバイク初心者の私なら躊躇するルートです。しかし、乗っているのはe-bike。余裕でたどり着けるはずなので、名物のまぐろ丼で元気を回復し、猫探しのサイクリングを再開。
城ヶ島大橋を下りてから、約5~6kmかなりの上りが続きます。途中でロードバイクのサイクリストと遭遇しました。1人はまだ初心者で、もう1人は自転車歴が長そうな印象です。初心者と思しき人はけっこう辛そうに走っていましたが、私がサクサク上っていく姿をチラチラ見ていました。こちらはECOモードで15kmくらいでイイ感じで走っていましたが、気づけば後方のサイクリストの姿が見えなくなっています(曲がったのかもしれないけど)。やっぱりe-bikeスゲー!! 上り中心の約11kmも余裕でクリア。
三戸浜海岸は田舎の雰囲気が味わえる海。たしかに猫たちものんびり過ごしていそうな雰囲気があります。しかし、待てど探せど猫はあらわれず……。この頃から周辺の観光や撮影もせずに、ひたすら猫探しモードに。さらに3kmほど北上した黒崎の鼻周辺にある最後の猫スポットに向かいます。もちろん、ここにも猫はいませんでした!! 猛暑日には猫に会えないという、当たり前のことをあらためて学びました。
猫探しサイクリングまとめ
猫スポット3カ所を巡り、その後も路地裏を走ったりウロウロしたり、返却するまでに約45kmを走りました。まだロードバイクのe-bikeは少なく、私も試乗会での短い時間の試乗経験しかありませんでしたが、ある程度の距離を走ってみて「ロードバイク楽しいかも♪」というのが率直な感想です。YPJ-Rの場合はアシスト量も範囲も少ないので、ペダルを踏み込む力がダイレクトに路面に伝わっている印象で、通常のロードバイクならもっと分かりやすいんだろうな~と思ったり。
基本的にはECOモード中心で走りましたが、バッテリー残量を見ると、変速の仕方や乗り方次第でもっと長い距離を走れそうです。ただ、ロードバイクで長距離を走るには、もっと経験値が必要だとも感じました。パンク予防のためいつも以上に路面状況を気にしたり、1人でのパンク対応、ドロップハンドルでの上手なブレーキングなども必要になります。
猫を探して路面の悪いところを走ってパンクしないかドキドキしたり、一気に下ってくる時に、慣れないドロップハンドルでのブレーキでかなり握力を奪われました。それでも「また乗りたい!!」「もっと遠くに行きたい!!」と感じさせる魅力があります。e-bike同様にロードバイクにもますます興味が出てきました。
そして今回のことを教訓に、次は猛暑日は避けて、猫に会えそうな気温の日に走りたいと思います。