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ヤマハ、YPJシリーズ初のグラベルロードe-bike「WABASH RT」。新型ドライブユニット搭載

ヤマハ発動機は、e-bike「YPJシリーズ」の新モデルとしてグラベルロードタイプ「WABASH RT(ワバッシュ アールティー)」とクロスバイクタイプの「CROSSCORE RC(クロスコア アールシー)」を発表した。価格は順に、438,900円、317,900円。3月10日発売予定。

世界初の電動アシスト自転車を誕生させて、YPJシリーズでもロードバイクやクロスバイク、MTBタイプのe-bikeをラインナップしているが、グラベルロードは初となる。

「美しさ」と「走行性能」を両立させるために、モーターサイクルメーカーとしてのデザイン造形理念を用いて、それぞれの使用用途に合わせて徹底的に作りこまれたという。そして、新しいドライブユニット「PWseries ST」を搭載する。

本稿ではまず「WABASH RT」の詳細をお伝えしよう。

新型ドライブユニットを搭載。ヤマハの本気が詰まったモデル

これまでヤマハのe-bikeは「YPJシリーズ」として、YPJ-XCやYPJ-ERなど「YPJ」を使った名称だったが、今回は「WABASH RT」という新たなネーミングとなっている。WABASHは「石」という意味を持っており未舗装路を走るイメージ、RTはRoadとTrailの頭文字を合わせている。「いろいろ使えそう。ONもOFFも」というコンセプトを掲げており、オンロードからオフロード走行まで楽しめるグラベルロードe-bikeだ。

WABASH RT

バッテリーを内蔵することによって洗練されたフォルムを実現しながら、ジオメトリやフレーム剛性、重量バランスを最適化したフレームだという。

徹底的にこだわったというフレーム設計
e-bikeには見えない仕上がりに

ダウンチューブ内部はツインチューブ構造になっている。フルサスe-MTBのYPJ-MT Proで採用されているが、剛性を確保しながら美しいフレームに貢献する配線処理を行なうなど、独自のフレーム設計となっている。ドライブユニットカバーは機能形状をフォローした造形で、全体の構造体として取り込み、流れるようなスタイリングが特徴だ。

バッテリーはダウンチューブに内蔵。ツインチューブ構造を採用している

搭載するドライブユニットは、PWシリーズではミドルレンジとなる「PWseries ST」。従来のドライブユニットよりも100gほど軽量化されており(PW-SEとの比較)、新制御プログラムを採用。急坂での発進でも、しっかりとしたトラクションを発揮し、高いクランク回転数(ケイデンス)まで対応したパワーサポートも実現したという。

海外ではすでに展開されていたが、日本では初採用となるドライブユニット「PWseries ST」
ハイエンドモデルのe-MTBは「PW-X2」、その他のモデルは「PWseries ST」が中心となっていくそう

そして、YPJ-MT Proで採用されたクワッドセンサーシステムを搭載する。スピード、ケイデンス、ペダリングトルク、確度の4つのセンサーで得た情報を瞬時に演算し、ライディングコンディションを正確に把握。常にライダーが求める適切なアシストパワーを提供するのが特徴だ。

操作スイッチ一体型のディスプレイも新型を搭載し、バッテリーは大容量500Wh(36V/13.1Ah)をダウンチューブに内蔵。充電時間は約3.5時間。走行状況によってHIGH/STD/ECOの3つのアシストモードから自動で選択し、最適なアシストを提供する「Automatic Assist(オートマチックアシスト)」モードも搭載。1充電あたりの走行距離は、HIGH/85km、STD/101km、ECO/137km、+ECO/200km、Automatic Assist/96kmとなっている。

新型ディスプレイ
ダウンチューブの上部には充電ポート
ダイレクトに充電できる
ダウンチューブの下部にはロック機構が
バッテリーを取り外しての充電も可能

充実装備で価格も抑えたコスパが高いグラベルロードe-bike

新型のドライブユニットを搭載するだけでなく、オンロードとオフロードでの走破性やロングライドを楽しむための装備も充実している。

オフロードでのクッション性を考慮した700×45Cのワイドタイヤを装着。クリアランスにはまだ余裕があるのでさらにワイドなタイヤも装着できそうだ。コンポーネンツはシマノ「GRX」(11速)を採用し、チェーン落ちを抑制するスタビライザー機能も搭載。シマノ「GRX」はグラベルライドに最適化された操作性やギア構成、堅牢な構造が特徴だ。

700×45Cのワイドタイヤ
コンポーネンツはシマノ「GRX」

そして、サスペンション付きのドロッパーシートポストを採用している。同価格帯のグラベルロードe-bikeにはない機能だ。右ハンドル付近に取り付けられたレバーを操作するだけで、乗車したままシート高を調整できる(Sサイズ:40mm、M/Lサイズ:60mm)。

ドロッパーシートポストを採用
右ハンドル付近に操作レバー

ハンドルは前方視界も良好なアップライトのグリップポジションとなっている。ハンドル下側は上側よりも広がっているフレアハンドルで、グラベルなどの荒れた路面でも抑え込みが効くことで、コントロール性や安定性に優れており、アクセサリー装着にも相性が良いのが特徴だ。また、フロントライトはバッテリー供給タイプのLEDライトも標準装備となっている。

ハンドル周り
前後輪とも油圧式ディスクブレーキ

車体サイズはS・M・Lが用意される。Sサイズが1,780×580mm(全長×全幅)で車体重量が21.1kg、Mサイズが1,790×580mm(全長×全幅)で車体重量が21.2kg、Lサイズが1,815×580mm(全長×全幅)で車体重量が21.3kg。カラーはセレスタイトブルー。

車体スペック後に価格を知らされたが、予想よりも価格が安かったことに驚かされた。この数年ハイエンドモデルが続々と登場しているが、より幅広い層にe-bikeを楽しんでもらいたい、e-bikeを普及させたいと考えるヤマハの企業努力だろう。

わずか数メートルという短い距離の試乗もしたが、スーッと自然にアシストされる印象だった。また、これまでPWシリーズのドライブユニットはパワフルなこともあり音の大きさが気になったが、ミドルレンジでトルクが細くなったことで音も静かになっている。試乗車の準備が整ったら、あらためてレビュー記事をお届けしたい。