e-bike試乗レビュー
e-bikeで100km超えのロングライドに挑戦!! 初心者&冷たい北風で、バッテリーの実力を体当たり検証【シマノSTEPS編】
2020年2月21日 11:00
「増谷さん、e-bikeで宇都宮に餃子食べに行きません?」「いいですね~どこまでトランポするんですか?」「いえ、今回は自走です」「……いいですよ~付き合います!!」
どーも、e-bike部の清水です。年末年始に実施した「e-bike大賞2019」のアンケート結果を見て、みなさんが猛烈にe-bikeに関心があることがわかりました。そして、「e-bikeでどれだけの距離を走れるのか」「本当にバッテリーは長距離持つのか?」と考えていることも。
そこで今回はそんな疑問を解決するために、初めてのロングライドに挑戦してみようと思います。一般的にバッテリーは寒さに弱いイメージもありますので、検証するには季節的にもぴったり。これまで、いろいろなe-bikeに乗りまくってはいますが、1日で走った最長距離は55km。100km超えのロングライドは初めてなので、できれば誰かを巻き込みたい。ということで、冒頭の流れになったわけです。
バッテリー容量の異なる2車種で走る
インプレスのある神保町から宇都宮駅まで国道4号線を通って105km。わかりやすいルートですが、できれば交通量の少ない道をのんびり安心して走りたいところ。なのでいったん江戸川に出て、河川敷を北上するルートを選びました。
今回のチャレンジに選んだe-bikeは、メリダ「ePASSPORT 400 EQ」とミヤタ「ROADREX 6180」。それぞれのドライブユニットは、メリダ「ePASSPORT 400 EQ」が最大40N・mを発生するシマノSTEPS「E5080シリーズ」、ミヤタ「ROADREX 6180」が最大60N・mを発生するシマノSTEPS「E6180シリーズ」を搭載。今回は平坦路が中心なので、ハイエンドのシマノSTEPS「E8080シリーズ」でなくてもまったく問題ないはず。
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今回はバッテリーの違う2車種をチョイスしています。メリダ「ePASSPORT 400 EQ」は、大容量の公称容量504Wh(36V/14Ah)の「BT-E8035」、ミヤタ「ROADREX 6180」は、公称容量418Wh(36V/11.6Ah)の「BT-E6010」を搭載しています。
カタログスペックを見ると、メリダ「ePASSPORT 400 EQ」の走行距離は、ECOモード:130km/NORMALモード:100km/HIGHモード:85km。ミヤタ「ROADREX 6180」の場合は、ECOモード:105km/NORMALモード:85km/HIGHモード:70km。約120kmのルートなので、メリダ「ePASSPORT 400 EQ」はバッテリーが余って、ミヤタ「ROADREX 6180」はバッテリーが切れてしまう可能性もあります。
以前にチャレンジした距離約35km・獲得標高約2,200mの富士山ヒルクライムでは、バッテリーを切らさずに上り切りましたが、今回は平坦路が中心。果たしてどんな結果になるのでしょうか?
あっ、毎度のことですが、e-bikeとは「専用開発された電動ドライブユニットを搭載するスポーツタイプの自転車」のこと。電動アシスト自転車すべてがe-bikeではないので、お間違えないように。
インプレスから宇都宮を目指す
チャレンジしたのは2020年2月6日。朝6:00過ぎに集合・準備し、7:00過ぎに出発。撮影や休憩しながらでも17:00頃には宇都宮へ到着できる計算。その後、宇都宮で名物の餃子を食べて、現地で待機している回収車に乗って東京まで戻る計画です。10kmごとのバッテリー残量チェックを休憩にするので、きっとたどり着けるはず!!
前日までは気温も高く穏やかな日々が続いていたのに、この日からグッと冷え込みました。とはいえ快晴。e-bikeなので汗をかいて冷えることもないだろうし、まずは江戸川目指してe-bikeを走らせます。早朝だったこともあり交通量も少なく、順調に進んでいきます。ずっと続けるのは難しいでしょうが、2台ともアシスト領域外でも辛さを感じることはありません。
とりあえず江戸川に到着。ここから北上し、利根川沿いをのんびり走って宇都宮を目指し、帰りは回収車だからご褒美に餃子とビールで……なんて考えていました。……が、江戸川の河川敷を走り出すと、かなりの強風。しかも向かい風。さすがにe-bikeとはいえ、向かい風で走るのは厳しい。というか、北風寒い。冷たい!! 体力というよりは寒さ対策として、河川敷はやめてGoogle マップを見ながら、できるだけ走りやすい道で進む作戦に変更。
超攻撃的な北風の中をひたすら進む
もともと河川敷のグランドで野球をやっていたので風の強さは体験していましたが、自転車に乗っていると、向かい風も横風もここまで強烈に感じるとは知りませんでした。というか、何事も体験しないと理解はできませんね。ふつうの自転車なら、すぐに諦めて確実に引き返していたと思います。しかし、我々が乗っているのはe-bike。風速12~13mの数字を見て「マジか!?」と衝撃を受けたものの、しっかり着実に進んでしまうのです。立ち漕ぎをすることもなく、ハアハア息が切れることもなく。やっぱりe-bikeはすげぇ!!
強風をものともしないe-bikeですが、やっぱり北風は堪えます。いつもは普段着で走っていますが、冬のロングライドということもあり、今回はサイクリングジャケットなどを用意していました。初めて着用したわけですが、ここまでの強風と寒さだとこれらのアイテムがなかったら、正直途中で諦めていたかもしれません。今回着用したのは、寒さ対策としてウインドジャケットとグローブ、そして足の負担を軽減するためのサイクリングシューズです。
それぞれの着心地などは別記事でご紹介しようと思いますが、ウインドジャケットとグローブは本当に用意しておいてよかった!! というのが感想。個人的には寒さを完全にブロックしてくれる印象。サイクリングシューズもきっとペダルにパワーをロスなく移行してくれ、なおかつ疲労軽減にも繋がっていたはず……。
というのもシューズに関しては、風を通しやすいタイプではないと思うのですが、1時間30分も走ると、どうしても足の指先が冷えてしまいました。今回のロングライドでは、疲れというよりは強風による冷えが大敵。増谷氏も風を通しにくいサイクリングシューズを履いてきていましたが、同様の結果になっていました。サイクリングシューズ用のカバーがあるそうで、それを付ければかなり違うとのこと。勉強になりました。
バッテリーの充電は不要。暖を取らせてくれませんか?
結局、この日は風が収まることはありませんでした。e-bikeなので超攻撃的な風であっても進めるのですが、1時間~1時間30分も走ると足先が冷えて感覚がなくなってきます。なので体力的な休憩というよりは、1時間走ったらお店を見つけて20分ほど暖を取る。といった感じで、足先を暖めるためにこまめに休憩を取ります。最後に走行記録のデータも紹介しますが、強風でもそれなりのアベレージで走っているので、風さえなければもっと時間を短縮できたと思います。
とりあえず100kmをクリアしても体力的には無問題。ただひとつ心配なのは、暖が取れそうなお店がどんどん減ってきたこと……。周辺のコンビニを探し、多少遠回りになっても足を暖めてから走らねば、ゴールの宇都宮に到着するのが時間的に厳しそうな感じ。もうバッテリーが持つのは間違いないのでしょうが。
ちなみに100km走った時点で、体力がけっこう余っていることに驚きました。ロングライドといえばタイヤも細く軽量なロードバイクで走るのが一般的だと思います。しかし、今回私が乗ったe-bikeはメリダ「ePASSPORT 400 EQ」。MTBのような28×2.00の太めのタイヤとフロントサスペンションを装着。そして、街乗り仕様のリアキャリアやライト、フェンダー、キーなど全部付きで重量は24.2kg。乗り心地の良さを重視するe-bikeで、決してロングライド向きのモデルとはいえません。でも、100km走破できちゃうんです。
ドライブユニットもシマノSTEPS「E6180シリーズ」を搭載していると最後まで勘違いしていたのですが、実際はいちばん小さなシマノSTEPS「E5080シリーズ」。しかもECOモード中心で来れてしまうのが、凄いっ!!
夕方になりクルマの交通量が少ない道を選んでいることもあり、進めば進むほどお店は見当たらず民家ばかり。この日の宇都宮周辺は17時以降に氷点下予報で、本気で「充電ではなく、暖を取らせてもらえませんか?」と民家にお願いしに行こうかと思うほど。
無念のタイムアップ!! 走行距離は? バッテリー残量は?
なんとかゴールの宇都宮駅まで……と思いましたが、もう周辺には明かりもほとんどなく、気温も氷点下。休憩スポットを探すのも難しい状態になってしまったので、e-bike関係なしに自転車で走るのはちょっと危険ですので、安全面を考えて回収要請。インプレスのある神保町から栃木県下野市まで走ってきましたが……。
e-bikeで宇都宮まで自走して餃子を食べるミッションはクリアできませんでしたが、100km以上のロングライドとしては成功(ということにさせてください)。最終的には116km走り、バッテリーの目盛りも2つ残って、ECOモードでの残走行距離は61km。道中の半分以上をECOモードで走ってきましたが、メリダ「ePASSPORT 400 EQ」のカタログスペックではECOモードで130kmなので、カタログスペック以上に走ることを証明できたのではないでしょうか。
もう1台のミヤタ「ROADREX 6180」は、カタログスペックではECOモードで103kmなので、それ以上の距離を走り、さらにECOモードでの残距離は約40kmという結果となっています。ロングライドを含めたレビュー記事は別途お届けします。
さて、今回初めてロングライドに挑戦したわけですが、強風&寒さというコンディションの中でも、e-bikeならパワフルなアシストでバッテリーもたっぷり残しながら100km以上走れてしまいました。さすがに1日でこれだけ走ったので足への負担も少しありましたが、翌日は別のe-bikeを自走でピックアップに行ったので、「筋肉痛で動けない……」みたいなことはありませんでした。
個人的な感想としては、穏やかな日であればロングライドも楽しいと思いますが、やっぱりe-bikeは自由気ままにのんびり走って、坂の上や下に気になるスポットがあれば気軽に立ち寄って、気づけば「こんなに距離走ってたのか」という乗り物だと思います。
今回は116km走りましたが、片道10kmの通勤なら1週間以上充電が必要ない計算になります。e-bikeの乗り方に慣れて、効率よくバッテリーを消費するなら、2週間くらい充電せずに走れる気がします。
あと、e-bikeは風を気にしない乗り物なので、いつも天気予報は降水確率しか見ていませんでした。さすがに冬の風速10m超えは寒いことを実感したので、今後同様の企画をやるような場合は事前に風速もチェックしようと思います(笑)。
宇都宮で餃子を食べるリベンジはまたいつか……。