e-bike試乗レビュー
クルマ+e-bike+徒歩で楽しむソロライドへ。密を避けた山道でもROADREX 6180は快適
2021年4月6日 08:00
緊急事態宣言がようやく解除された3月後半、ミヤタのグラベルロードタイプのe-bike「ROADREX 6180」で東京都あきる野市にある林道を走ってきた。
実はこの道、昨年の夏に別のe-bikeで走ったことがあるが、その時は目的地の手前でギブアップ……。e-bikeなので脚力的にはもう少し頑張れる気はしていたけど、運動不足だったことに加えて34度くらいの気温によって体力がすっかり消耗。情けないことに「もう無理」という状況になってしまったのだ。
この経験がe-bike購入を強く後押しするものになったので、キツかったけど結果オーライともいえるものではあったが、目的地までたどり着けていないことは心残りになっていた。そこでROADREX 6180での走り始めは、完走できなかったコースに再挑戦とした。
N-VANにROADREX 6180を積んで、目指すはあきる野市の山間部
筆者のクルマはホンダのN-VANという軽バン。後席だけでなく助手席まで畳むことができるので、本来のカーゴスペースに加えて、縦方向に約260cmの床長が取れるのが特徴だ。そして、ROADREX 6180は全長(前後タイヤの端まで)が約178cmなので、これだけの床長があればラクラク積むことができる。なお、ハンドルを真横に切れば助手席を倒さなくても積めるのだけど、固定法が少し面倒になるので今回は素直に助手席を倒している。
筆者の自宅からあきる野市へ行くには中央自動車道から圏央道に入り、あきる野インターで降りるルート。そこから市街をしばらく走ると、JRの武蔵五日市駅がある。あきる野、檜原、奥多摩あたりを走りに来る人は、ここまで輪行(自転車を分解し専用バッグに入れて電車等で移動するもの)するケースも多いようだ。
武蔵五日市駅周辺には最大料金ありのコインパーキングをいくつか見かけたので、駅周辺にN-VANを駐めてもよかったのだが、先に行くとあきる野市に遊びに来る人向けの無料駐車場があるので、今回はそちらを利用させてもらった。
ROADREX 6180はドロップハンドルだが、車体設計や装着パーツはツーリング向きの構成なので「積載性を上げるカスタマイズ」が個人的に似合うと思っている。そこで、筆者は定番のボトルケージのほか、フロントフォーク左右にフォークケージを装着してみた。
本来、テントやシュラフなどを括り付けるためのフォークケージらしいが、今回は小型三脚と休憩時に使用する折りたたみパイプチェアをセット。ロードレーサーやMTBとは違ったカッコよさで満足。フロントに重量物を配置することでのハンドリングの変化も気になっていたが、走ってみたところ、今回の荷物程度では大きな変化は感じられなかった。
カスタムというにはささやかだけど、選んだパーツを付けることで「自分のe-bike」という感じが増していくのは楽しいものである。
目的地は都道201号線を上がったところにある養沢神社の手前から伸びている林道。大岳鍾乳洞やキャンプ場へ向かう道で、そこの終点を目指すのだ。
駐車場から林道までは交通量が少ない峠道(都道201号線)を走っていく。山あいを抜ける道なので、勾配は一定でなく緩かったりきつくなったりを繰り返す感じだ。そのためアシストモードは勾配がきつい部分を重視して「HIGH」モードを選択。勾配が緩いところは変速で対応する。
この時に目安にしていたのはケイデンス(自転車では1分間に回したクランク回転数のこと)で、どの状況でもあまり疲れない50~60回転くらいになるようにしていた。ちなみに、ROADREX 6180はクランク部分がモーターと繋がっているので、ケイデンス計測用のセンサー不要で計測ができる。数値はハンドルに装着されるディスプレイかシマノSTEPSアプリを入れたスマホで確認できるので、別途サイクルコンピューターを買う必要がないのだ。
前回きつく感じた林道も今回は余裕!?
去年の夏以来、ダイエットを兼ねてコツコツと体力作りをしてきたし、借り物ではなく自分のe-bikeということで、前回時と比べて「楽に」林道入口まで到着。この先は勾配がきつくなり未舗装の区間がある状況になるが、この調子なら難なく終点まで走り切れそう、そんな気持ちだった。
序盤は比較的舗装路だが、奥に行くにつれて路面は荒れてくる。そんな路面であってもROADREX 6180は、650B×45Cという太いタイヤを履いているので、安定性や衝撃吸収性は高く感じた。また、走破力があるぶん走行ラインをシビアに選ぶ必要もない。上り坂では最短距離のラインを通りたいこともあるので、グイグイいけるこのタイヤには大きなメリットを感じた。
未舗装区間を抜けると、再び舗装路になる。序盤に比べて勾配がきつくなるのでギアは未舗装路と同じ選択。ギアが軽いのでペダルはシャカシャカ回って、体力の消費はアップするがまだ余裕はあった。そして、気づくと前回止まってしまった「小滝」という地点に到達。そして、通過できた。想像よりもあっさりと越えてしまったので少々拍子抜けだが、とりあえずリベンジ達成である。
小滝から先の路面も舗装はされている。でも表面は荒れている。デコボコというよりザラザラな感じで、車体には小刻みな振動が伝わる感じでこれはこれで不快。それに勾配もきついままなので、前回、がんばって再スタートしていたとしても、気力だけの状態で走り切るのは不可能だっただろう。
そして、遂に林道の終点に到着。N-VANを駐めた駐車場から、途中に撮影しながらという走り方で約1時間20分というコースタイム。ツーリングとしては全然短い時間なので「それだけ」と思う方もいるだろうけど、今後、いろんなスポットに行く前に「やり残したことを済ませる」のが目的なので、これでOKなのだ。
クルマ+e-bikeツーリング+徒歩が筆者の考える山のe-bike遊び
林道終点から山道を約300m上がると「大滝」という滝がある。前回も走り切ったら、その滝を見ていこうと思っていたので大滝まで行くのが本当の完走である。そこで、昼食を終えて徒歩で大滝へ向かった。
ルートは沢を渡る木橋から始まり、登山道と呼ぶのが相応しい上りの道を歩いて行く。ウォーキング系のシューズを履いてきたが、それでもソールの柔らかさを感じるくらいで想像していたよりハード。そして大滝まで残り半分くらいの距離になった時に「ん? 前方に何かいる」と気づいた。
距離にして約30mほど先に、大きな岩の横に動くモノがある。カメラを構えてレンズをズームして撮影。撮った画像をカメラのモニターで拡大すると、写っていたのは鹿である。草か何かを食べていたようだが、向こうも気づいてこちらをジッと見ている。困ったことに鹿のいるところが登山道なので、そこを通らないと大滝には行けない。
人に気づいて逃げてくれるのが理想だが、以前、野生の鹿を調べている方から「食事中の鹿は人が近づいてもなかなか逃げない」と聞いていたし、実際、筆者を確認しても逃げる感じはない。かといって脅かすわけにはいかないし、こちらに突進してきたことを考えるとむやみなことはできない。そこで距離を取ったまましばらく待ったが鹿の食事が終わる気配はない。
そうこうしているうちに時刻は15時頃になり、山は少し暗くなり始めて気温も徐々に下がってきたので、あまり長居しないほうがよさそうだ。それに大滝への道の入口に「ツキノワグマが出た」との看板があったことも気になる。熊に出くわす可能性は低いだろうが、同じく出くわす可能性が低いであろう鹿とこうして対峙しているので、根拠のない「だろう」はアテにならない。
そんなことから大滝は諦めて来た道を引き返すが、ここで「あれ、今回も目標達成できてない?」と気づいてしまった。わざわざやり直しに来たのだから、徒歩のぶんとはいえ目標未達で終わるわけにはいかない……ということでまた時間を作ってここに来ることになってしまった。
最後にヘルメットの話。レイザーのカメレオン、これはいい
グラベルロードe-bikeなので、ロードの人が被るようなヘルメットだとイメージが違う。かといってMTB用も違う……と悩んでいる時に目に止まったのが、シマノが扱っている「レイザー」の「カメレオン」というモデル。
ストリートよりのカジュアルなデザインだけど、機能的なカッコよさもあって街中で着るアウトドアウェアやトレッキングシューズのような印象。これはグラベルロードバイクのROADREX 6180にピッタリということをe-bike Watch編集部に話をしたら、なんと関係者に貸し出し用の新品があるので「使っていい」との話。ありがたく使わせてもらった。
筆者のアタマは左右のハチが張った日本人アタマ形状で、海外モノはたいてい合わないか、合わせると帽体がかなり大きくなって被った姿がカッコ悪いものになっていたのだけどカメレオンは「Lサイズ」でほんとピッタリ。見た目も大きすぎることなく、今回も被りっぱなしでもどこかが痛くなることもない。
自転車用のヘルメットに詳しいわけではないが、このカメレオンは間違いなくいいヘルメットだと思うので、ヘルメット選びに悩んでいる人がいたら候補のひとつに加えて欲しい。