e-bike試乗レビュー

ステップインフレームのe-bikeは猛烈に快適!! メリダ「ePASSPORT」欲しいかも♪

 ……このe-bike、実は凄くイイんじゃないだろうか? と前々から気になっていた1台があります。メリダのコミュータータイプe-bike「ePASSPORT」シリーズ「ePASSPORT TK 600 EQ」です。↓こんなの。

メリダ「ePASSPORT TK 600 EQ」は“ステップインツーリングバイク”と位置づけられたe-bikeです。車体色はMATT BLACK/GLOSSY RED(DARK SILVER)とMATT BLACK/GLOSSY WHITE(DARK SILVER)の2色。フレームサイズは適正身長160~175cmの43cm(S)と、適正身長170~185cmの48cm(M)があります。重量はSサイズが25kg
メーカー名メリダ
製品名ePASSPORT TK 600 EQ
実売価格329,000円(税抜)

 一見するとシティサイクル(いわゆるママチャリ)などのカテゴリの自転車に見えます。一般的なe-bikeとの外見的なギャップがあるので、「えーっ! それってe-bikeなの?」って感じになりますよね。斜め上から見ると、さらにその印象が強まると思います。↓これとか。

トップチューブがないステップインタイプのフレームで、つまりはシティサイクルなどと同様にサドル前方から足を入れてライド可能。多くのe-bikeのように“足を後ろに蹴り上げてまたぐ”という必要はありません

 ちなみに、e-bikeとはスポーツ走行向きのドライブユニットを搭載した電動アシストスポーツ自転車のこと。高トルクのドライブユニットは、高ケイデンス(速くペダルを漕ぐこと)にも追従。ドライブユニット以外の部分もスポーツ走行に特化した作りなので、ママチャリタイプなどの電動アシスト自転車と比べると、その走りは大きく異なります。

 そんな感じの定義がe-bikeにはありますので、多くのe-bikeはスポーツ自転車によくあるシッカリしたトップチューブを備えています。しかし、このePASSPORT TK 600 EQにはトップチューブがない。e-bikeのイメージから外れているような見た目の違和感がありますよね。

 でも筆者はePASSPORT TK 600 EQについて「実は凄くイイんじゃないだろうか?」と思っていました。いやむしろ「コレ絶対イイはず!!」と思っていたのです。

 e-bikeは上り坂がラクラクですし、ストップ・アンド・ゴーも全然苦になりません。人力自転車にアリガチな「上り坂の途中で止まると走り出しがキツいから、とりあえず上まで上っちゃおう」とか「たびたび停車すると走り出しで疲れるからなるべく走り続けよう」という考えが出てこない。「あっココはおもしろそうなスポットだ」と思ったら自転車から降りて気軽に散策できる。アシスト力により、そんな余裕が多々生まれるんですね。

 でも、一点、e-bikeにも「これはスポーツ自転車につきまとうネガティブ要素だよな~」と思えることがあります。それは“乗り降りが案外面倒”ということ。ミニベロe-bikeだとちょっと違うんですが、トップチューブがあるe-bikeの場合は乗り降りの時に足を後ろに大きく蹴り上げる必要があります。

こちらはメリダのコミュータータイプe-bike「ePASSPORT」シリーズの「ePASSPORT 400 EQ」。クロスバイクタイプでトップチューブがありますので、乗り降り時には足を後ろに蹴り上げる必要があります

 足を大きく上げる動作は「ちょっとココでe-bikeを降りて散策しようかな」という気持ちを萎えさせます。でもePASSPORT TK 600 EQはステップインのフレーム。サドル前方で足を出し入れすれば乗り降りできる。これはラクに違いないし、e-bikeでのサイクリングがもっと楽しくなるハズ!

 ということでePASSPORT TK 600 EQをお借りしてしばらく試してみました。以降、ePASSPORT TK 600 EQについてレビューしますが、とりあえずここで筆者的結論を申しますと、このe-bikeすご~くイイです。見た目には若干の違和感が残ったりするかもしれませんが、まず乗り降りがラクで快適。そして驚くほどフレームの剛性感があり、スポーツ走行もしっかりできる。キャリアや泥除けやライトなどによりe-bikeのユーティリティ性も非常に高い。あと未舗装路の走破性も良好で、乗り心地もかなりイイんです♪

ePASSPORT TK 600 EQの装備は?

 まずePASSPORT TK 600 EQの概要から。ドライブユニットとしてシマノSTEPS「E6180シリーズ」を採用したe-bikeで、バッテリーは大容量504Wh(シマノ BT-E8010)。満充電からの走行距離の目安は、ECOモードで130km、NORMALモードで107km、HIGHモードで86kmとなっています。

 ドライブユニットについてちょっと説明しますと、現行のシマノ製ドライブユニットには、ハイエンドモデルのE8080、ミドルレンジモデルのE6180、エントリーモデルのE5080があります。最大出力は同じ250Wですが、最大トルクは上位機種から70N・m、60N・m、40N・mと異なります。ほか、質量や動作音、それからコンポーネンツ価格も違います。ePASSPORT TK 600 EQに採用されたドライブユニットE6180は“トルクなど性能と価格のバランスの良いモデル”といったところでしょうか。

日本市場向けのシマノ製ドライブユニット3機種。左からハイエンドモデル「E8080」、ミッドレンジモデル「E6180」、エントリーモデル「E5080」です

 続いて、ePASSPORT TK 600 EQの特徴的な部分を写真と説明文で見ていきましょう。より詳しいePASSPORT TK 600 EQのスペックなどは、メーカー公式ページをご覧ください。

ePASSPORT TK 600 EQの最大の特徴は、e-bikeでありながらステップイン対応のフレームを採用しているところ。多くのスポーツ自転車のように足を後ろに蹴り上げてまたぐ動作が必要なく、シティサイクルのように気軽に乗り降りできます
ドライブユニットとしてシマノSTEPS「E6180シリーズ」を採用。バッテリーは大容量504Wh(シマノ BT-E8010)で、脱着も容易です(鍵付き)。満充電からの走行距離目安は、ECOモードで130km、NORMALモードで107km、HIGHモードで86km。このドライブユニットの動作音は、ハイエンドモデルのE8080と比べるとかなり静かです
ギアはフロント1速×リア10速の10段変速で、歯数はフロント38T×リア11-42T。登坂に強く、わりとスピードも出せるギア比です。コンポーネンツはSHIMANO DEORE。大きめのチェーンカバーが付いているのでパンツの裾も汚れにくい
タイヤは前後とも27.5インチ(650B)で太さ2.2インチ。前後にフェンダー(泥除け)付き。ブレーキは前後とも油圧ディスクブレーキ。後方左側にサイドスタンド付き。サイドスタンドは工具なしでの長さ調節が可能で、車体自立時の角度を変えられます
フロントフォークはSUNTOUR製のサス付きでトラベルは80mm。ドライブユニット駆動用バッテリーを電源とするLEDヘッドライト付き。夜間走行も可能な十分な明るさがあります。ライトのオンオフはサイクルコンピューター(ディスプレイ)部のボタンで行ないます
ハンドル周辺の様子。いわゆるプロムナードハンドルが装着されており、手首をリラックスさせて握れます。ハンドル幅は580mm。エルゴノミックグリップ付き。中央のサイクルコンピューターはシマノ「SC-E6100」。ハンドルとフレームをつなぐステムの部分は角度可変で、より体を起こしたアップライトな姿勢を取れる位置にも調節できます
サドルは大きめでややソフトなタイプ。サドルとフレームをつなぐパイプであるシートポストは、バネ機構を内蔵したいわゆるサスペンションシートポストで、路面からの突き上げなど振動を緩和します
頑丈なリアキャリア付き。リアキャリア後方には、ライトと連動して点灯する赤色LEDを内蔵したリフレクターがセットされています。赤色LEDは明るめで夜間によく目立ちます
バッテリー上部にはボトルケージ取り付け用のネジ穴があったり、リアにはリング式のロックがあったり。実用自転車としての装備も充実しています

 ePASSPORT TK 600 EQは、スポーツ走行向けの装備に加え、日常使いにも便利な装備が多々あるe-bikeという感じですね。スタンドもフェンダーもロックもリアキャリアもライトも付いているので、ほかに何か付け足すという必要もなさそう。買ったらすぐにガンガン使える仕様の1台という印象です。

ステップインは超便利!! スポーツ自転車としての剛性感も「◎」

 しばらくePASSPORT TK 600 EQに乗ってみて強く感じたのは、やはりステップインの利便。とても乗り降りしやすくて実用的です。

 スポーツ自転車のサドルの高さは、好みにもよりますが、基本的には“サドルに腰掛けた状態でかかとをペダルに置いて膝が真っ直ぐに伸びる程度”です。ePASSPORT TK 600 EQのサドル高もそのように調節しました。

 そんなサドル高にしても、ePASSPORT TK 600 EQは乗り降りしやすい。筆者の場合、乗る時はドライブユニットの上方に足を通してまたぎ、片足をペダルに乗せて踏み込みつつ腰を上げ、そのまま走り出してサドルに座るという感じ。降りる時は片足を地面に伸ばしつつスピードを落とし、停車しつつサドルから前方へ腰を落とすという感じです。

ePASSPORT TK 600 EQにはトップチューブがないので、ダウンチューブとシートチューブの間のV字の空間に足を通して乗り降りできます

 一般的なスポーツ自転車の乗り降り感覚と比べると、とても気軽で手軽。足を後方に振り上げる必要もないので体力的にもラクです。女性ならスカートを穿いていてもサッと乗り降りできると思います。

 ラクかつスムースに乗り降りできるステップインのe-bikeというわけですが、これ、けっこうサイクリングのスタイルを変えてくれます。変える……というか、これまで“やや避けてきたこと”を自然に避けなくなる感じ。避けてきたのは、まさに自転車への乗り降りです。

 トップチューブがある自転車って、やっぱり乗り降りがちょっと面倒なんですね。いちいち足を後方に振り上げるアクションが必要なわけですから。一方ステップインだとちょっとまたぐ程度の小さな動作で済む。また、e-bikeなのでストップ・アンド・ゴーもラク。

 結果、「ここにちょっと寄っていこう」とよく考えるようになるんです。というか、これまでの「ちょっと寄って行こうかな……でも自転車から降りたりするの面倒だからやっぱりいいや」という足かせみたいなものが消えて、より思ったとおり自由に行動するようになる感じです。

 小さなことだけど、実は大きい。ポタリングが急に充実し始める。素晴らしい。もちろん普段遣いのコミューターとしても便利に扱える。ステップインというだけで、e-bikeがもっと身近になり、より自由な乗り物になるんですね~♪

乗り降りがたやすいステップインタイプのフレームで、さらにストップ・アンド・ゴーもラクなe-bikeだと、「あそこがおもしろそうだから寄り道しよう」「ちょっと降りて見物しよう」が増えて、より自由なサイクリングを楽しめるようになります
ちょっとした寄り道が増えるだけで、サイクリングというアクティビティがグッと豊かになる感覚。ポタリング好きには最適なePASSPORT TK 600 EQかもしれません

 ところで、ステップインタイプのe-bikeについて、筆者にはひとつ懸念がありました。「車体の前後が一箇所で接合されているだけで、強度とか車体剛性とか大丈夫なの?」ということです。

車体の前後を接続するのはフレームのV字空間の下部、ドライブユニット付近だけです。車体の剛性、大丈夫?

 筆者は以前、シティサイクルタイプの電動アシスト自転車で長距離を走ったことがあるんですが、その電動アシスト自転車のフレームもステップインでした。なので、車体剛性がやや不足していて、ペダルをグイグイ踏むと車体が左右にたわむ感じがありました。ePASSPORT TK 600 EQもそうなるのかな、と懸念していたわけです。

 しかし実際にePASSPORT TK 600 EQで走ってみると、そういう剛性不足は全然感じられない。力強く立ち漕ぎしたりもしましたが、まるで問題なし。あらためてフレームをよく見てみると、かなり頑丈そうに作られていました。

ePASSPORT TK 600 EQのフレームは幅広で四角い形状をしていて、非常に頑丈。溶接部も美しく仕上がっています。観察して「なるほど、だから十分な剛性感があるのか」と納得できました

 そんな剛性があるので、スポーツ自転車としての走行感も良好だと感じられます。グイグイ走ってスピードに乗りやすく、スムースに曲がってしっかり止まる。外見的にはシティサイクルっぽいePASSPORT TK 600 EQですが、走りはスポーティーなe-bike。小気味いい走りをしてくれます。

 ただ、アシスト限度24km/hを超え、それ以上の速度域でスピードを維持しようとすると「ちょっと重いかな」とも感じられました。ePASSPORT TK 600 EQの質量は25kg(フレームサイズS)あり、平均的なe-bikeよりは少々重め。これはキャリアなど装備品が多く、フレームがより頑丈に作られているからだと思います。

 ともあれ、そんな重さとタイヤの太さもあり、高い速度域でずっと走り続けられるe-bikeではないという感じ。まあ22~23km/hくらいで走り続けることはできるんですけどね。でもどちらかといえば、ゆったりのんびり走るのに向いているような気がします。

砂利道もダートロードもそこそこイケて、乗り心地もかなりイイ♪

 それから、意外だったのがePASSPORT TK 600 EQの“乗り心地の良さ”。誤解を恐れずに書いてしまうと「フルサスのe-MTBに似た乗り心地」という気がします。

 その理由は3つあります。ひとつはタイヤが太めなので、クッション性があること。もうひとつは、フロントサスがあること。それに加えてサスペンションシートポストを採用していることです。また、乗車姿勢がややアップライトになるフレームジオメトリも、乗り心地の良さを強調しているかもしれません。

タイヤは前後とも27.5インチ(650B)で太さ2.2インチ。太さ約5.6cmのタイヤなので、空気のボリュームがあって走行中の振動や衝撃をよく吸収してくれます。この写真のような砂利道なら問題なく走れます
フロントサスにより、こんな凸凹があっても、そこそこ振動や衝撃を和らげてくれます
乗り心地の良さを特に感じさせるのがサスペンションシートポスト。砂利道や凸凹道を走っても、腰やお尻への衝撃をかなり吸収してくれるという印象です

 太めタイヤとフロントサスとサスペンションシートポストがバランス良く路面からの振動や衝撃を吸収し、とてもコンフォートな乗り心地を感じさせるePASSPORT TK 600 EQ。でも足回りはわりとシッカリしている感じで、フワフワってわけではない。これなら楽しみながらのロングライドにも向きそうです。

 また、ePASSPORT TK 600 EQはちょっとしたオフロードの走行もわりと得意という感じ。泥道や砂利道なんかも安定感をもって走ってくれて、乗り心地も良好。フェンダーもあるので泥や砂などで汚れにくいのもナイス。

乗り心地が良くフェンダーもあるので、わりと積極的に未舗装路へ入って行く気になります。ただしブロックタイヤではないので、e-MTBほどのダートロード走破性はありません

 ePASSPORT TK 600 EQに乗っていて「やっぱりコレいいな」と感じた要素としては、フロントライトと赤色LED内蔵のリアリフレクターです。どちらも車体に固定されており、ドライブユニット駆動用のバッテリーを電源としていますが、いちいち自転車に対するライト類の脱着が不要なのがまず手軽。ライト類の電源をサイクルコンピューターのボタンでオンオフできるのも非常に便利です。

フロントライトとリアリフレクターの赤色LEDは、サイクルコンピューターの右下にあるボタンでオンオフします

 細かなことではありますが、リアキャリアとキックスタンド、それからリング状のロックは、やはりとても便利。リアキャリアがあればサイクリング時にバックパックが不要になりますし、ちょっとしたカゴなどを装着するのにもいいですね。キックスタンドがありつつステップインで容易に乗り降りでき、本体に固定されたリング状のロックは手早く扱えますので、普段遣いでのユーティリティ性は数あるe-bikeの中でもトップクラスではないでしょうか。

 といった感じのメリダ ePASSPORT TK 600 EQ。筆者としては非常に欲しい1台になり、現在前向きに購入を検討しています。外見的にはちょっと風変わりですが、乗ってみるとさまざまな良さメリットが感じられるe-bikeですので、機会があればぜひ試乗してみてください♪

スタパ齋藤