スマートスピーカー使いこなし術

話題のスマートスピーカーはどう便利? その1 ~基本から各種スピーカーまで徹底解説

 2017年後半から次々に製品が発売され、テレビCMも流れるようになった「スマートスピーカー」。家電量販店やECサイトでも大々的に宣伝されており、本誌をお読みの方であれば一度は目にしたことがあると思います。

 スピーカーという名前ではあるものの、スマートスピーカーはただ音が流れるだけの製品ではありません。音楽はもちろんのこと、それ以外にも日々の生活に役立つ情報を教えてくれたり、家の中にある家電を声で操作したりと、声だけでさまざまなことができる非常に多機能な製品なのです。

 今回はスマートスピーカーの基本的な機能から、家電を音声でコントロールできる応用的な機能まで、ありとあらゆるスマートスピーカーの機能を短期集中連載でお伝えいたします。

LINEのClovaや、Google Home、Amazon Echoなど、2017年後半から次々に発売されたスマートスピーカー

いつもの会話で話しかけるだけで簡単に使えるスマートスピーカー

 スマートスピーカーは、声で話しかけると情報を教えてくれたり、他の機器を操作することができる「AIアシスタント」という機能を搭載した製品です。スピーカーという名前ではあるものの、音声を受け取るためのマイクも搭載しており、「今日の天気を教えて」といった日常の会話感覚で操作できる点が特徴です。

 スマートスピーカー同様に普及が進んでいる、定額制聴き放題の音楽配信サービスやラジオを楽しめるほか、天気やニュース、道案内といった検索サービスも音声で利用できます。また、タイマーやアラームのような日常で使われる機能も、スマートスピーカーに話しかけるだけで手軽に利用できます。

 さらに他の家電製品を音声でコントロールできるのもスマートスピーカーの特徴です。本体に機能を内蔵していたり、別の製品と組み合わせたりと利用方法はさまざまですが、スマートスピーカーに話しかけるだけでテレビのチャンネルを変えたり、エアコンを付けたり、ロボット掃除機をオンにしたりと、わざわざリモコンや本体ボタンで操作することなく家電をコントロールできるのです。

タイマーやアラームも音声操作で簡単に使え、アプリでその内容を確認できる(画面はAmazon Echo使用時)
スマートスピーカーに話しかけて、ロボット掃除機を動かすことも可能

「いつでも、離れていても使える」ながら利用がスマートスピーカーの魅力

 AIアシスタントは、Googleの「Google アシスタント」、Appleの「Siri」のように、スマートスピーカーだけでなくスマートフォン向けにも提供されています。機能としてはほぼ同じではありますが、スマートスピーカーの特徴は「いつでも使える」「離れていても使える」ところにあります。

Google アシスタント
iOSで利用できる「Siri」

 スマートフォンでAIアシスタントを使う場合、当然ながらスマートフォンが手元になければ使えませんし、音声を認識させるには口をマイクに近づけて発声しなければなりません。結果として「手元にあるなら声で操作するより直接操作した方が早い」ということにもなりがちです。

 一方、スマートスピーカーは高性能なマイクを搭載しているため、離れたところや雑音のある場所でも的確に音声を認識してくれるため、リビングのテーブルに置いたスマートスピーカーへキッチンから話しかけたり、テレビの音が流れているところで発声したりと、日常生活の中で自然に使うことができます。

 スマートスピーカーでできること1つ1つは、前述の通りスマートフォンやリモコンといった他の製品でもできることがほとんどですが、スマートスピーカーのメリットは「ながら利用」ができることです。朝急いでいるときに天気を知りたい場合、スマートフォンを操作しなくてもスマートスピーカーが教えてくれますし、部屋の照明を消すためにわざわざ壁のスイッチまで移動せず、布団の中から声で照明をオフにすることもできるのです。

 今回は日本で利用できるスマートスピーカーのうち代表的な製品の特徴を紹介し、次回以降ではスマートスピーカーの具体的な機能や使い方をテーマごとにご紹介したいと思います。

Googleのスマートスピーカー「Google Home」

 Google Homeは、GoogleのAIアシスタント「Google アシスタント」に対応したスマートスピーカーです。日本ではGoogle HomeとGoogle Home miniの2製品が販売されていますが、海外ではこの2製品に加えて、より大型で高価格帯の「Google Home Max」という製品が販売されています。

Google Home
GoogleHome mini
Google Home Max

 国内2製品の一番の違いは価格です。Google ストアの価格ではGoogle Homeが15,120円に対し、Google Home Miniは6,480円と半額以下の価格で購入できます。なお、海外のみのGoogle Home MAXは399ドル(約4.3万円)と、Google Homeよりも倍以上高い価格になっています。

 2製品ともスマートスピーカーとしての機能はほぼ同等で、価格の違いは主にスピーカーの性能です。Google HomeのほうがGoogle Miniよりも性能の高いスピーカーを搭載しており、音楽をよりよい音質で楽しむことができます。

 細かな点では本体操作も異なります。Google Homeは本体上部を指で円状になぞることでボリュームを調整し、タップすることで音楽の一時停止/再生が可能です。Google Home Miniは本体の両側面にタッチセンサーがあり、これをタッチしてボリューム調整、長押しで音楽の一時停止/再生が可能です。以前にはGoogle Home Miniも本体上部のタッチで一時停止/再生が可能だったのですが、不具合によりこの機能が停止され、現在の仕様になりました。

Google Homeは本体上部を円状になぞってボリューム操作
Google Home miniは本体横のセンサーでボリューム操作

 本体上部ですべてが操作できるGoogle Homeに比べると、Google Home Miniは本体が円状のためどこが側面のタッチセンサーがわかりにくく、音楽をすぐに止めたいという時にも長押し操作に若干の手間がかかります。操作のしやすさという点ではGoogle Homeのほうが優れているでしょう。

 一方、価格が安いGoogle Homeにもメリットはあります。本体が小さいため設置しやすく、USB駆動のためUSB ACアダプタなどを別途用意することで、コンセントを使わずに動作することも可能です。

 また、2018年3月29日にGoogleが発表したアップデートにより、Google Homeの音楽をBluetoothスピーカーに出力することができるようになりました。前述の通り2製品の大きな差は音質面にありますが、音にこだわるのであれば音楽はBluetoothスピーカーで聞き、操作は安価なGoogle Home Miniで、という使い分けもいいでしょう。

Amazonのスマートスピーカー「Amazon Echo」

 AmazonのAIアシスタント「Alexa」に対応したスマートスピーカーが「Amazon Echo」です。国内では「Amazon Echo」「Amazon Echo Dot」「Amazon Echo Plus」の3製品が販売されているほか、海外ではディスプレイを搭載した「Amazon Echo Show」「Amazon Echo Spot」という製品も販売されています。

Amazon Echo
Amazon Echo Dot
Amazon Echo Plus
Amazon Echo Show
Amazon Echo Spot

 Amazon EchoとAmazon Echo Dotの違いはGoogle HomeとGoogle Home Miniの関係に近く、Amazon.co.jpでの販売価格はAmazon Echoが11,980円、Amazon Echo Dotが5,980円と、ちょうど倍くらいの価格差です。また、Amazon Echoのほうが高性能なスピーカーを搭載していること、Amazon Eco Dotのほうが小型でUSB駆動にも対応していることも、Google HomeとGoogle Home Miniの関係に似ています。

 操作については両製品とも本体上部に物理ボタンを備えているため操作は簡単です。また、Amazon EchoとAmazon Echo DotはBluetoothスピーカーだけでなく3.5mmステレオジャックでスピーカーと接続することもできるため、Bluetoothスピーカーよりも安くて高品質なスピーカーや、Bluetoothに対応していないスピーカーなども利用することができます。

Amazon Echoと、Amazon Echo Dotは本体上部に音量などの物理ボタンを採用
3.5mmステレオジャックでスピーカーと有線接続できる

 最上位モデルであるAmazon Echo Plusの価格は17,980円とAmazon Echoよりも6,000円高い価格設定になっていますが、この差はスマートホーム機能にあります。Amazon Echo PlusはAmazon Echoとほぼ同等のスピーカー性能に加え、ZigBeeという規格に対応した家電製品を声でコントロールすることができます。

 代表的な例はフィリップスのスマート電球「Hue」です。Hueはスマート電球と「Hue ブリッジ」という名前の製品を連携することで、スマートフォンやスマートスピーカーから照明のオンオフや明るさなどをコントロールできるのですが、Amazon Echo PlusはこのHue ブリッジに相当する機能を内蔵しているため、Hue ブリッジを使わず直接Hueのスマート電球を操作できます。

Hueブリッジ。Amazon Echo PlusはHueブリッジ相当の機能を内蔵している

LINEのスマートスピーカー「Clova WAVE」「Clova Friends」

 ラインアップや機能など、基本的には似た仕様のGoogle HomeとAmazon Echoに比べると、独自の機能を多数備えているのが、LINEが開発したAIアシスタント「Clova」を搭載した「Clova WAVE」「Clova Friends」です。

Clova WAVE
Clova Friends

 LINEが提供する製品だけに、LINEのサービスと深く連携している点が特徴です。スマートフォンはもちろん、友達や家族へ、スマートスピーカーからLINEを使った音声通話やテキストメッセージを送ることができます。特に音声通話については他のスマートスピーカーでは対応していない独自性の高い機能です。

 バッテリーを内蔵しているのも特徴の1つで、リビングからベッドルーム、キッチンなど好きなところに持ち運んで利用することができます。また、Clova WAVEは赤外線通信機能が搭載されており、テレビなど赤外線操作に対応した家電を音声でコントロールすることもできます。

バッテリー内蔵のため電源アダプタと離れた場所で使える

 Clova WAVEとClova Friendsの違いは前述の赤外線通信機能に加え、Clova Friendsのほうが小型で、本体がLINEのキャラクターでデザインされています。

 価格はClova WAVEが14,000円、Clova Friendsが8,640円と、Clova WAVEのほうが高価格ではありますが、Clova FriendsはClova WAVEよりも後に発売された新機種という側面もあり、LINEの音声通話やBluetoothスピーカー接続機能などClova WAVEにはまだ提供されていない機能を搭載しているなど、どちらが上位かは一概に言えないような状況です。

日本未発売のアップル製スマートスピーカー「HomePod」

 2018年4月現在、日本では発売されていないアップルの「HomePod」についても紹介しておきましょう。こちらはiPhoneやiPadにも搭載されているAIアシスタント「Siri」を搭載しており、価格は349ドル(約37,000円)です。他社のスマートスピーカーと比べて、HomePodはまだ1製品のみのラインアップとなっています。

アップル「HomePod」

 アップルの音楽サービス「Apple Music」やSiriを利用したテキストメッセージ送信機能に加え、天気予報やニュースといった情報を提供してくれる機能も備えています。また、アップルの家電コントロール技術「HomeKit」にも対応しており、HomeKit搭載の製品をHomePodから操作することができます。

 前述の通り日本では発売されておらず、現在のところ発売時期は未定です。また、海外と国内では提供されているサービスの状況も異なるため、どのようなサービスに対応するのかもいまのところはわかりません。

3シリーズそれぞれ特徴の異なるスマートスピーカー

 どの製品も対応サービスや細かな使い方は異なりますが、基本的にできる機能に大きな違いはありません。実際の使い方は今後の連載で紹介していきますが、今回は国内で販売されている製品について、簡単に特徴を紹介しておきましょう。

 Amazon EchoはAmazonが提供していることもあり、Amazonの各種サービスに対応している点が特徴です。定額制の音楽配信サービス「Amazon Music Unlimited」が利用でき、Amazonの会員サービス「Amazon Prime」に加入していれば音声でショッピングができます。また、最上位モデルの「Echo Plus」は、前述の通りスマート照明のHueを、Hueブリッジなしでも直接コントロール可能です。

 Clova WAVEやClova Friendsは、LINEを使った音声通話やテキストメッセージに対応しているので、普段からLINEを活用している人には便利でしょう。また、バッテリー内蔵でどこへでも持っていける携帯性や、テレビなどを操作できるClova WAVEの赤外線通信機能も便利です。

 EchoやClovaと比べるとあまり特徴がないように見えるGoogle Homeですが、拡張性の高さや、先進的な機能を搭載している点が特徴です。詳細は今後の連載で紹介していきますが、Webサービスとの連携サービス「IFTTT」との連携や、複数のユーザーで機能を使い分けられる設定など、細かな点で他のスマートスピーカーにはまだ搭載されていない機能が利用できます。

 次回は、スマートスピーカーの基本機能を中心に、Amazon EchoとGoogle Home、Clovaの3シリーズの使い勝手を紹介していきます。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。ライター以外にも家電ベンチャー「Shiftall」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝」)