スマートスピーカー使いこなし術

スマートスピーカーはどう便利? その3 〜音声で自宅の照明をコントロール! ON/OFFだけじゃなく調光や調色も

  前回はスマートスピーカー単体で利用できる機能を中心に説明しましたが、今回からはスマートスピーカーの醍醐味とも言える家電連携について触れていきます。家電連携の最初にご紹介するのは、もっとも身近な存在とも言える照明とコンセントです。過去の記事は以下からアクセスできます。

音声で自宅の照明をコントロールできるスマートランプ

 スマートスピーカーと連携する代表的な家電の1つとして挙げられるのがスマートランプ、いわゆる照明です。スマートランプへは、各社のスマートスピーカーが個別に対応しており、対応家電の中でも標準的な存在となっています。

 スマートランプの中で最も有名なのは、フィリップスのスマート電球「Hue」でしょう。Hueはスマートフォンアプリから照明をON/OFFしたり、明るさや色を変える機能を搭載したLED電球ですが、スマートスピーカーと組み合わせることで、「電気を消して」と言って照明をオフにするといったように、話しかけて照明をコントロールできるようになります。

フィリップスのスマート電球「Hue」

 Hueは照明器具に取り付けられる電球タイプ、テーブルなどに置いて使えるポータブルタイプ、家具などに貼り付けて間接照明として使えるリボンタイプなどさまざまな種類があります。

 また、電球タイプはさまざまな色に光るカラータイプと、昼光色から電球色までを備えた白色のみのタイプという2種類があります。白色タイプはそのぶん価格が安く、カラータイプの価格が7,000円近いのに対し、白色タイプは3,000円台で購入することができます。

 いずれのHueもランプだけでは利用できず「Hue ブリッジ」という製品が必要になります。Hue ブリッジはネットワークに接続する機能と、Hueのスマート電球をコントロールする機能を搭載しており、スマートスピーカーからHue ブリッジに接続することで、Hueをコントロールできるようになるという仕組みです。

Hueを利用するには「Hue ブリッジ」という製品が必要。2つがセットになったスターターキットも販売されている

 なお、第1回でも紹介した通り、Amazon Echoの最上位モデル「Amazon Echo Plus」はこのHue ブリッジ相当の機能を内蔵しているため、Hue ブリッジがなくてもHueをコントロールできます。

初期設定はアプリの画面に従うだけの簡単操作

 Hueをスマートスピーカーで使うためには、最初にHue ブリッジを設定し、次にHue ブリッジとHueを接続、最後にスマートスピーカーからHue ブリッジへの接続設定を行ないます。

 Hue ブリッジの設定は、背面のLANポートへ有線LANケーブルを接続してから電源を入れ、スマートフォンのHueアプリの画面指示に従って本体のボタンを押すだけで完了します。Hueのネットワーク接続は有線LANのみで無線LAN接続には対応していないため、自宅のルータそばなど有線LANが接続できる場所をよく確認しておきましょう。

Hue ブリッジのネットワーク接続は有線LANのみ
アプリの指示に従って本体のボタンを押す

 Hue ブリッジの設定が終わったら、Hueが点灯している状態にしてHueアプリから設定を行ない、Hue ブリッジと接続します。これでスマートフォンからHueのコントロールができるようになりますが、さらにオンラインサービス「My Hue」に登録することで、宅内だけでなくインターネットを経由して外出先からHueをコントロールしたり、スマートスピーカーから利用できるようになります。

Hue ブリッジにHueを登録
オンラインサービス「My Hue」のアカウントを登録

 My Hueの設定が終わったら、今度はスマートスピーカーのアプリから設定を行ないます。スピーカーのアプリごとに多少操作は異なりますが、アプリからMy Hueのアカウントと連携することで、Hue ブリッジで設定済みのHueをコントロールできるようになります。

スマートスピーカーとMy Hueのアカウントを連携
スマートスピーカーからHueがコントロールできるようになる(画面はAmazon Echoの例)

 手順は長く思えますが、アプリの画面指示に従えばさほど難しい内容はありません。また、Hue ブリッジやMy Hueは一度設定すれば、後からHueを追加するときに同じ設定をする必要はありません。

音声で照明をコントロール、グループ化してまとめてON/OFFも

 Hueの音声コントロールはスマートスピーカーによって異なりますが、Amazon EchoとGoogle Homeはウェイクワードに続けて「ライトをつけて/消して」でコントロールできます。また、Google Homeはライトを「照明」「電気」に言い換えることもできます。

Google Homeを使って音声でライトを点灯

 LINE Clovaの場合、Hueに設定された名前を呼ぶことでコントロールできます。初期設定では「照明」という名前がつけられるので、「照明をつけて/消して」でコントロールが可能です。

LINE Clovaは登録したHueに「照明」という名前が自動で割り当てられる

 スマートスピーカーでコントロールできるのはON/OFFだけではありません。「明るさを〇〇%にして」と言うだけで明るさをコントロールしたり、カラー対応のHueであれば「○色にして」と言うだけでHueの色を変えたりすることができます。また、白色タイプのHueも「電球色」「白色」と白系の名前で色を変えることができます。

色を指定して音声でコントロール

 Hueを複数設置する場合は、利用場所に応じてグループに登録するとまとめてコントロールすることができます。キッチンに設定した場合はアプリから「キッチン」のグループを割り当てることで、「キッチンのライトを消して」と発声してまとめて電気を消すことができます。

利用する場所ごとにグループ化できる(画面はLINE Clova)

 また、Amazon EchoとGoogle Homeは電球それぞれに好きな名前を付けてコントロールすることも可能です。設置場所に応じて「手前」「奥」などと名前をつけると、1つずつコントロールするのも便利になります。なお、LINE Clovaの場合は「照明2」といった名前が強制的に割り当てられ、好きな名前を設定することはできません。

好きな名前を付けて音声でコントロールすることもできる(画面はGoogle Home)

 自宅の照明をHueに入れ替えると、照明のスイッチはもちろんスマートフォンやリモコンに触ることなく電気をコントロールできるので大変便利です。ベッドに入って寝る準備をしてから「寝室のライトを消して」で寝室のライトを消し、その後リビングの照明を消し忘れていたら「リビングのライトを消して」と発声するだけで、遠く離れたリビングの照明をベッドの中から消すこともできるのです。

 自宅の照明として使った場合は、従来の照明スイッチとの併用も可能です。音声でHueを消した場合、照明スイッチはオンのまま電気が消えている状態になっていますが、再度ON/OFFを繰り返すとスイッチでも照明をつけることができます。急いで電気を点けたいときはスイッチ、離れたところから消したいときはスマートスピーカー、と使い分けると便利です。ただし、照明スイッチで大元の電源がオフになっている場合、スマートスピーカーで電源をオンにすることはできません。

より安価にスマートランプを導入する「裏技」的な方法

 Hueはとても便利ですが、課題は価格が高いことです。一般的な電球サイズであるE26型の場合、LED電球は1,000円程度で購入できますが、Hueは安価な白色タイプでも3,000円近いため、自宅の電球をすべてHueに切り替えるだけでかなりの金額になってしまいます。

 音声で照明をコントロールできるのは便利だけどあまりコストはかけたくない、という人は、間接照明を組み合わせるのも手です。寝室に間接照明とHueを導入し、普段は通常の照明を使って、寝る時だけ間接照明、と使い分ければ、ベッドに入ったまま音声で電気を消す、という使い方ができます。

 また、スマート照明そのものの単価を下げるという方法もあります。IKEAが販売する「トロードフリ」というスマート照明は、HueやAmazon Echo Plusに対応しており、価格も白色ランプであれば1,799円とHueよりも1,000円以上安価に購入することができます。

IKEAのスマート照明「トロードフリ」
Hueとの比較。平べったい形のHueに対してトロードフリは一般的な電球に近い形

 Hueと完全互換しているわけではなく、調光はできるが調色はできない、トロードフリをHueで使うと別売のリモコンが使えなくなるといった違いはありますが、スマートスピーカーで照明をON/OFFしたい、明るさを変えたいという目的であれば十分に使えます。

 登録方法はHueと若干異なり、iOSは「Hue Lights」、Androidは「Hue Essentials」というアプリを使ってHue ブリッジに登録すると、スマートスピーカーから操作できるようになります。細かな設定は僚誌「ケータイWatch」にレビューが掲載されているので参考にしてみてください。

「互換(?)で、安価なIKEAのスマートLED電球」ケータイ Watch

 自宅の照明スイッチによっては、ボタンを押すロボットを導入してコントロールするという方法も可能です。「マイクロボットプッシュ」は、スマートフォンアプリの操作でボタンを押すことができるという製品ですが、別売の「マイクロボット ハブ」と組み合わせると、スマートスピーカーからも操作できるようになります。同様の製品としてボタンを押すロボット「Switch Bot」と「Switch Link」という製品もあります。

マイクロボットプッシュ(左)とマイクロボット ハブ(右)
スイッチ型の照明であればマイクロボットプッシュが代わりに押し引きしてコントロールしてくれる(スイッチ形状によって粘着テープでの固定なども必要)

 設定はWebサービスの連携サービスである「IFTTT(イフト)」を使うなど少し設定は煩雑ですが、ボタンを押すというシンプルな動作のため、自宅の照明をまとめて消すのにも役に立ちます。

マイクロボットプッシュを使って自宅の照明スイッチをオン

電源のON/OFFを音声でコントロールする「スマートコンセント」

 スマートスピーカーで操作できる身近な家電として、スマートコンセントという製品も登場しました。家電製品とコンセントの間に装着するという仲介役を果たす製品で、スマートスピーカーからの音声操作でコンセントの電源ON/OFFをコントロールできます。

 スマートコンセントと呼ばれる製品はECサイトなどでいくつかの種類が販売されていますが、その中には国内の規格に適していない海外仕様のものも見受けられます。その中でPSEや技適といった認証を取得し、国内で販売しているのが、TP-Linkの「HS105」です。

TP-Linkのスマートコンセント「HS105」

 使い方はとてもシンプルで、アプリからユーザー登録を行ってからHS105をコンセントに接続、その後HS105のアクセスポイントへスマートフォンを接続し、無線LAN設定を行なえば完了です。アプリが画像付きで丁寧に操作を説明してくれるので迷うことはほとんどないでしょう。

専用のアカウント「kasa」にユーザー登録
利用する機器の種類を選択
画面の指示に従ってHS105の状態を確認
HS105を自宅の無線LANに接続

 Hueと同様に、本体の設定が終わったらスマートスピーカーとの連携設定を行います。Google Homeは「スマートホーム」の設定から新規追加でTP-Linkを選択、登録したユーザーアカウントでログインすると設定が完了します。Amazon EchoはスキルからTP-Linkを有効にしてログインした後、画面の指示に従ってデバイスを追加すれば完了です。

 なお、現在のところLINE ClovaはHS105に対応していないため、スマートコンセントを利用することはできません。

Google Homeはスマートホーム設定からTP Linkを選択
Amazon EchoはTP-Linkのスキルを有効にしてからデバイスを検索

 HS105ができることはコンセントのON/OFFのみと非常にシンプルです。動作としては手でコンセントを抜き差しするのと変わりませんが、これを音声でコントロールすることで、好きな時に電源をON/OFFすることができます。

 スマートランプでは間接照明と組み合わせて使う方法を紹介しましたが、HS105と間接照明を組み合わせても同じことが可能です。電源のON/OFFのみなので利用できる機能は少ないものの、自宅ですでに間接照明を使っているなら、HS105を導入するだけで簡単にスマートランプ化できます。

 HS105はコンセントで動作するものなら基本的に利用できます。ただし、電源をオフにするだけなら簡単ですが、電源をオンにする場合は接続する機器の動作が重要になります。照明のようにコンセントを挿せば点くような機材であればHS105を使ってオンにすることもできますが、ボタン操作で電源をオンにするタイプの電化製品では、電源だけオンになっても本体のスイッチが入らないため、結果として製品を起動することができません。

 電源オンの動作については「コンセントを挿すだけで電源が入る」機器のみが対象となるため利用対象が限られるのですが、オフであれば簡単にできるため、ライトだけでなく扇風機などで活用するのもいいでしょう。ただし、電気ストーブや電熱器といった、無人で電源が入った場合に火災などの可能性がある製品には利用できない点は注意しておきましょう。

 今回はスマートランプやスマートコンセントといった比較的シンプルな製品を紹介しました。次回はロボット掃除機や空気清浄機といったより高度な家電製品でのスマートスピーカー活用方法をご紹介します。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。ライター以外にも家電ベンチャー「Shiftall」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝