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解説!手縫いで作る「ボタンホール」の縫い方、ウエストゴム替えにも

ミシンがなかったり、持っていても出すのが面倒だったりすると、手縫いで済ませたいことも多いですね。今回は、手縫いで作るボタンホールの縫い方をご紹介します。難しいと思われがちなボタンホールですが、「ブランケットステッチ」を使ったやさしい縫い方と、上手に縫うポイントをご説明していきます。また記事の最後では「ボタンホールステッチ」も触れておきますね。ズボンのウエストゴムを取り替えたいのにゴム穴がない場合にも、手縫いのボタンホールが便利ですよ。

 

準備:ボタンホールに適した糸選びと糸の長さ

ボタンホールには、100円ショップでも手に入る、20〜30番くらいで「太口」の手縫い糸が向いています。ボタンホール専用の「穴糸(あないと)」や、ボタン付け用の糸があれば、そちらでも。またボタンホールは糸をたくさん使います。長さは布の厚みで違いますが、およその目安はボタンホールの長さの25~30倍ほど。途中で糸が足りなくならないように、最初から適当な長さを用意しましょう。ただし、長すぎると縫っているうちにからまってしまうので注意してくださいね。

 

手順1:ほつれ止めをして、切れ目を入れる

まず、ボタンホールを作りたい位置へチャコペンなどで印を付けましょう。ボタンホールの長さは「ボタンの直径+ボタンの厚み」、幅は全体で0.3〜0.5cmほどが目安です。印を付けたら、布を切る前にほつれ止めをします。ミシンがあれば、写真左のように周囲を細かいミシン目でぐるっと縫いますが、ミシンがない場合は手縫いでもOK。そのときは、40~60番程度の細い糸を使って返し縫いをします。また、縫う代わりに市販のほつれ止めグッズ(写真右)を切り口に塗ると手軽です。ほつれ止めができたら、ボタン穴部分をリッパーなどで切れ目を入れます。待ち針で片方の端を留めておくと、切りすぎるのを防げますよ(写真左)。

 

手順2:ボタンホールに糸を渡す

ボタンホールの周りに糸を渡します。これは布を補強できるほか、ボタンホールの針目の立体感を出します。準備で選んだ糸を用意し(写真では、分かりやすくするために、さらに太い糸を使用しています)、針に通して玉結びを作ります。ボタンホールのそばに針を入れ(1入)、近くの角から針を出します(2出)。長辺に沿って糸を渡して次の角に針を入れ(3入)、隣の角から針を出します(4出)。

「3入」で針を入れた位置にもう一度針を入れて短辺に糸を渡し(5入)、「4出」の位置からもう一度針を出します(6出)。最後の角に針を入れ(7入)、最初の角から針を出します(8出)。これで3辺に糸が渡ったことになります。

 

手順3:ブランケットステッチを刺す

「ボタンホールステッチ」は、強度が出るものの難しいので記事の最後で触れ、今回は手軽にボタンホールができる「ブランケットステッチ」をご紹介します。手順2で最後に出した針のすぐ左に針を入れ(1入)、針先をボタンホールの切り目から出します。布から出ている糸を針にかけて(写真左)、針を抜きます(写真右)。このとき、糸を強く引き過ぎたり、弱すぎて糸がたるんだりしてしまわないように、糸の引き加減に注意しましょう。

 

手順4:間隔をつめてブランケットステッチを繰り返す

手順3で刺した針目のすぐ横に、間隔をつめて同様に刺していきます。ステッチの長さや間隔がきれいに揃うように刺すのがポイントです。また、針にかけた糸がボタンホールに沿ってきれいに流れるように、糸の引き加減に注意しましょう。

 

手順5:横向き穴の場合は「角まで来たら放射状」に

クッションカバーやジャケットの打ち合わせなどに作る横向きのボタンホールの場合は、ボタンの力がかかる外側の部分を放射状に縫います。ボタンホールの大きさに合わせて3~5針ほど、均等に丸くなるように縫いましょう。

 

手順6:反対の辺を縫い、止め縫いをする(1)

反対側の辺を同じように端まで縫ったら、止め縫いをします。まず、最初に縫ったステッチの輪の中へ針を入れ(1入)、そのまま布の下を通って、最後の針目のすぐそばに針を出します(2出)。次に、ボタンホールの幅に合わせて、平行に糸を2本渡したら(3入~5入)、ボタン穴から針を出します(6出)。

 

手順7:止め縫いをする(2)

手順6で平行に渡した2本の糸の上に、垂直に2本の針目を渡して止めます。

手順6でボタン穴から出した針を、2本渡っている糸の中央に垂直に糸が渡るように入れ(1入)、再びボタン穴から出します(2出)。同じことをもう一度繰り返します(3入、4出)。針は布の裏面に出します。

 

手順8:糸端を始末する

布を裏返し、ステッチの中に針を通して(写真左)、1針返し縫いをして糸を切ります。表面の玉結びも切って始末します。

 

手順9:縦向き穴の場合

ブラウスやシャツのボタン、ウェストゴム取り替え口などは、縦向きの穴が適しています。この場合は、手順2で糸を渡すときに、写真左のように平行に2本だけ渡します。端は放射状に縫う必要はなく、両端とも手順6、7と同様に止め縫いをします。糸端の始末も横向き穴と同様です。

 

応用:ボタンホールステッチ

ブランケットステッチよりも丈夫に仕上がる「ボタンホールステッチ」を簡単にご紹介します。ブランケットステッチの手順3で、ボタン穴の切り込みの方から針を入れます(写真左上)。針を引いてできる糸の輪の中に下から針を入れ、切り込みの方に向かって糸を引くと、糸が玉状に結ばれます。これをブランケットステッチと同様に繰り返し、両端も同様に止め縫いします。玉状の結び目を、同じ大きさでキレイに並べていくのには練習が必要ですが、この結び目のおかげで強度が出ます。

 

まとめ

ボタンホール部分の裏に接着芯を貼ると、布がしっかりするので縫いやすくほつれにくくなります。初めてのときは、ハギレなどで試し縫いをしてみるといでしょう。ウエストゴムを取り替えたくても取り替え口がない場合は、ボタンホールを作りたいところに印をつけて切り込みを入れた後、ボタンホールより一回り大きく切った接着芯をはさみ込んでアイロンで接着し、接着芯に切り込みを入れてから手順2をはじめるといいですよ。

 

nontroppo

ライフオーガナイザー。ズボラでも簡単にすっきり暮らすための収納や、生活の仕組み作りを模索中。
料理、お菓子作りのほかに、洋服やインテリア小物なども手作りするのが好きです。
高校生の息子の母です。