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裏の小さいボタンは何のため?裁縫の基礎「力(チカラ)ボタンの付け方」

コートなど厚い衣類のボタンの裏に付いている小さなボタンを「力(チカラ)ボタン」と言います。チカラボタン付きのボタンの付け方を写真とイラストで解説します。チカラボタンは力を分散する役割を持っていて、ボタンを引っ張ったときに布地が傷んだり、布地の厚みによって糸が緩むのを防ぎます。ボタンを2つ付けるのは面倒ですが、付け方をぜひ覚えておきましょう。

 

工程1:表ボタン、チカラボタンの順に糸を通す

針に糸を通し、玉結びを作ります。糸はボタンつけ専用の糸を使うか、ない場合は針へ通した糸の両端を合わせて玉結びを作り、2本どりにしましょう。「2つ穴・4つ穴ボタンの付け方」の工程1~3の通りに表ボタンの穴2つに糸を渡したら針を布の裏へ通し、チカラボタンの穴に針を出します。表ボタンが2つ穴ボタンなら工程2へ、4つ穴ボタンなら工程3に進みます。

 

「2つ穴・4つ穴ボタンの付け方」

 

工程2:2つ穴ボタンの場合は、表ボタンとチカラボタンの間へ2~3回糸を通す

チカラボタンのもう片方の穴から針を入れ、布を通って表のボタンの穴に出し糸を引きます。このとき、チカラボタンは布にピッタリと付けますが、表ボタンと布の間は「糸足」用に、布の厚み分プラス1~2mmくらいのすき間を作ります。布が特に厚い場合は、糸足の長さが足りないとボタンをかけにくいので、1〜2mmより多めにすき間を作るとよいでしょう。布を挟んで表ボタンとチカラボタン間へそれぞれ2~3回糸が渡ればOKです。針はチカラボタンの穴から出しておきます。

 

工程3: 4つ穴ボタンの場合は、表ボタンの左右へ交互に糸を2〜3回通す

表ボタンの穴が4つでチカラボタンの穴が2つの場合は、工程1の後に、チカラボタンのもう片方の穴から針を入れて布を通り、残っている2つの穴の片方から針を出します。最後に残った穴から針を入れて布を通り、裏のチカラボタンの穴へ再び針を通します。工程1と3を2~3回繰り返し、最後に針をチカラボタンの穴から裏へ出しておきます。

 

工程4:糸足を作る

チカラボタンの穴から針を入れて布の表側の、表ボタンの糸の付け根に針を出し、表ボタンと布の間の糸足へ、糸を3~4回上から下へすき間なく巻きつけます。このとき、最初に作った玉結びを中へ巻き込むときれいに仕上がります。これが、ボタンを布の厚さのぶん浮かせる「糸足」になります。

 

工程5:糸を引き締め、糸足の中に針を通す

糸足を巻き終わったら、糸でボタンの周りに輪を作り、その輪の中へ針を通して強めに引き締め、一結びします。次に糸足に針を2~3回通し、巻いた糸足を固定します。糸足が固くて針が刺しにくい場合は、指抜きや硬貨などで押すといいでしょう。

 

工程6:玉止めを作り、糸端を始末する

糸足のきわで玉止めを作り、すぐそばの位置に針を入れ、布をすくって少し離れたところに針を出して糸を強めに引きます。玉止めが布の下に隠れたら、布のきわで糸を切ります。

 

応用編 足つきボタンの場合

足つきボタンの場合は、工程1で表ボタンの穴に糸を渡すときと同様に、足部分の穴に糸を渡します。あとは表ボタンが2つ穴ボタンの場合と同じです。

 

まとめ

厚手のコートやジャケットのボタンには、布地の厚みや重量分の力がかかります。チカラボタンなしでボタンをつけると、ボタンを付けている一点に力が集中してしまい、布が切れたり、ボタンをつけている糸が切れてしまう場合があります。裏にチカラボタンをつければ、ボタンの「面」で力を分散できるのです。お気に入りの服に穴が開いてしまうのを防ぐためにも、チカラボタンを一緒に付けるようにしましょう。

イラスト:たちばなかより

 

nontroppo

ライフオーガナイザー。ズボラでも簡単にすっきり暮らすための収納や、生活の仕組み作りを模索中。
料理、お菓子作りのほかに、洋服やインテリア小物なども手作りするのが好きです。
高校生の息子の母です。