家電ラボの徹底「本音」レビュー
簡単操作でレストラン並み! レンジもオーブンも優秀な日立のヘルシーシェフが便利すぎた
2022年10月7日 08:05
7年ほど使っていたオーブンレンジの調子が悪くなってきたので、オーブンレンジを買い換えることにしました。最新モデルはどれも魅力的なので悩むところですが、日立の過熱水蒸気オーブンレンジ「ヘルシーシェフ MRO-W10A」が気になっています。
表面温度だけでなく、食品の重さもはかって加熱のパワーや時間を自動でコントロールするのが特徴。昨年モデルを試したことがあるのですが、センサーが優秀で操作の手順が少なく、仕上がりがとてもよかったので、今のところは第1候補です。今年発売された新モデルは、さらに機能が追加されているとのことで、実際に試してみました。店頭予想価格は152,000円前後です。
サイズは大きいものの、壁にぴったりつけて置ける
本体サイズは497×442×375mm(幅×奥行き×高さ)で左右・背面は壁につけて置くことができます。上方は10cm以上あける必要があるものの、プレミアムオーブンレンジは特に奥行きが大きいので、後ろをあけずにぴったり置けるのは助かります。
日立のオーブンレンジは食品の表面温度をはかる赤外線センサーと重さをはかる重量センサーの「Wスキャン」で加熱時間や出力を自動でコントロールします。そして、レシピに合わせてレンジ、オーブン、グリル、スチーム、過熱水蒸気を組み合わせて調理を行ないます。
底面はテーブルプレートとなっており、取り外すことができます。単に置いたまま使うこともあれば、調理プレートとして活用するシーンもあります。汚れても外して丸洗いが可能なので、本体の底面はいつも清潔な状態を維持できます。そのほか、角皿や焼網も付属しているので料理に合わせて使用します。
プレミアムオーブンレンジなので、過熱水蒸気、オーブン、グリルといった機能が搭載されていますが、我が家で一番使うのはなんといってもレンジです。日立はこの「レンジの使いやすさ」がダントツだったのです。
よく冷凍チャーハンを食べるのですが、これまで使っていたオーブンレンジはムラがひどく、途中で一回向きを変えてあたためないと冷たい部分が残ってしまい、子供達からクレームが来ていました。そういったあたためを一発でムラなく仕上げてくれるのが同モデルなのです。しっかり端から端までアツアツ。本当に優秀でいつも感激しています。
古いオーブンレンジとヘルシーシェフで加熱した冷凍チャーハンを比較してみました。同じ分量で、同じお皿を使い、加熱時間も同じです。サーモグラフィーで見ると、やはり古いオーブンレンジは一部冷たいままとなっています。MRO-W10Aのほうは、肉の大きな塊部分だけは少し温度が低かったのですが、その他は問題なく加熱されていました。ちょっとしたことですが、電子レンジに信頼しておまかせできる、というのは忙しい時間帯ではありがたいことなのです。
ドア部には5インチサイズで見やすく、操作しやすい大型カラータッチ液晶を搭載しています。トップ画面は使用頻度が高いレンジの操作画面となっており、「500W」「600W」の出力と「1分」「30秒」「10秒」のボタンが並んでいます。シンプルでとてもわかりやすく、設定もカンタン。メーカーによってはレンジの設定がトップではなく次の階層にあったり、文字が小さくて見にくかったりしますが、このモデルは電子レンジを中心に考えられており、使いやすいのです。ここもレンジを多く使う我が家にとって大事なポイントでした。
ほかに「料理」「設定」「あたためいろいろ」「解凍」などのボタンが並んでいるので、他の操作をする場合はここから選ぶことができます。コントラストがはっきりしており、使用する付属品などもイラストで表示されるのでわかりやすく、操作性が抜群によいのです。
解凍も早くムラがない
解凍のオートメニューでは、肉や魚の解凍もできます。レンジとスチームを組み合わせて解凍する方式で、お皿は使わず、購入時の発泡スチロール製のトレーにのせて解凍を行ないます。「ひき肉の解凍」で、仕上がりを「強」「標準」「やや弱」などから選び、「あたため」をスタート。今回は「標準」にしてみました。
一般的な電子レンジでは、さらに「100g」など重さを選ばなければなりませんが、100g~1,000gの間であれば、重量センサーが働くので設定する必要はありません。
300gほどのカチカチに凍った挽肉を標準で解凍してみたところ、2分40秒ほどで終わりました。取り出してみると指で押すとかたいのですが、包丁でサクッと切れます。「強」にすれば、指で押すと崩れるくらいに解凍できました。準備する時間に合わせて解凍の状態を変えられます。
一部が加熱されすぎて変色したり、一部が凍ったままになっていたりすることもなく、ムラなく解凍できるのは助かります。発砲スチロール製のトレーにのせっぱなしでOK、ラップも必要ないので手間がかからない点も魅力です。
献立に困ったらとりあえず「熱風旨み焼き」
「今日は何も考えたくないな……作りたくない……」というときに大活躍の「熱風旨み焼き」。ある意味、テキトーでもレストラン並みの焼き上がりなので重宝しています。
「センター赤外線センサー」で食品の表面温度を見極めるので、冷蔵した状態でも冷凍した状態でもOK。レンジ加熱で上昇する食品の温度を見て、分量に合わせた調理を自動で行なってくれます。
テーブルプレートを皿受け棚に設置し、付属の焼網をその上にのせて調理します。下味をつけた食材を焼網の上にのせれば、あとはおまかせ。1回に作れる量は200g~1,000gの範囲内です。
レシピを見ながら調味料を作ったり、肉の分量を計量したり、そんなことはしなくても大丈夫。鶏肉と野菜の熱風旨み焼きは、テキトーに塩コショウを振ったお肉と野菜をのせて、あとは「熱風旨み焼き」メニューの中から鶏肉を選んで加熱するだけ(肉と野菜を一緒に焼く場合、野菜の分量は肉に対して0.6~1倍程度)。
熱風で食材を包み込み、大火力で一気に加熱し、肉の旨みを閉じ込めジューシーに焼き上げます。20分ほど待つだけで皮がパリパリでジューシーな鶏のグリルの完成です。まわりに置いた野菜も甘みが増して、家族は「ごちそうだね!」と大喜びです。
単に塩コショウをして網に置いて焼いただけですが、火加減が完璧なので、プロっぽい仕上がりにできます。鶏肉の重さや○人分といった設定をしなくても、勝手に仕上げてくれる「熱風旨み焼き」は本当にラク。これは我が家にとって欠かせない機能になりそうです。
火加減が難しい炒め物も野菜がシャキシャキ
野菜を食感よく仕上げる「野菜シャキシャキメニュー」も気に入っています。最高1,000Wの大火力ですばやく加熱、短時間で仕上げることで、野菜から出る水分量を抑え、シャキシャキとした食感の歯ごたえや栄養素を守りながら調理する機能です。なお、この機能を使う際は耐熱プラスチックボウルか耐熱ガラスボウルが必要です。
自分でフライパンを使って野菜を炒めるとどうしてもベチャッとしてしまうのですが、この機能を使うとしっかり歯ごたえのあるシャキシャキの野菜を食べることができます。野菜炒めの加熱時間はたったの5分。これも野菜好きの家族に大好評でした。
残念なのは、青椒肉絲、回鍋肉、野菜炒めなど野菜シャキシャキメニューのレシピ数が11種類しかないこと。最新モデルはこれでも3メニュー増えたそうですが、もう少し手軽にできる副菜レシピなども増やしてほしいところです。
冷凍した魚の切り身もパリッと焼ける
冷凍しておいた魚も、そのまま焼くことができます。スーパーで購入したサバを冷凍し、そのまま焼いてみました。焼網に並べるだけで、あとは「塩さば」メニューを選んでスタートです。
皮目がパリパリで、中はジューシーに焼けていました。驚いたのは、ムラがないこと。焼け具合がすべて同じで、場所によって焦げ目に差がつくことはありませんでした。また、1回に焼ける分量が1~6人分と幅広く、我が家のように4人家族でも一度にたくさん焼けるのは助かります。
ただ、指定の冷凍保存の方法がとても面倒……。冷凍保存袋よりも少し小さく切ったオーブンシートを保存袋に入れ、食品を袋の中のオーブンシート上に置き、食品同士が重ならないようにすき間をあけて冷凍します。食品同士がくっついたまま冷凍しないようにするためですが、この状態での冷凍は場所もとりますし、いちいちオーブンシートを切って入れるのは手間がかかりました。
冷凍するときになるべく平らな状態にして、くっつかないように冷凍した塩さばを同じように焼いてみましたが、特に問題はありませんでした。日立はとても慎重なメーカーなのでこのような冷凍方法を推奨していると思いますが、もう少し簡単な方法を考えてほしいところです。
おまかせでカンタンにできるおかずが豊富
他にもカンタンに作れるレシピが充実しています。スチームとオーブンを使ったローストビーフは、塩コショウとにんにくをすり込み、サラダ油を全体に塗って「ローストビーフ」メニューで加熱を開始します。このときも「○g」といった設定は必要がないので、手間がありません。肉が小さめだったので仕上がりを「弱」にしましたが、50分ほどでちょうどよく仕上がりました。
ローストビーフは手間がかかる料理に見えますが、これならおかずに困ったときもほったらかしで作れます。なお、一般的なローストビーフは肉を室温に戻してから調理することが多いのですが、このレシピでは冷蔵庫から出してすぐに調理します。レシピには「コツ」が表記されているので、そちらも確認しておくと上手にできます。
約6分でできる「えびチリ」も好評でした。エビと調味料を合わせて、少し深めの陶磁器や耐熱皿に入れて「えびチリ」メニューを選択します。我が家は甘いおかずが苦手だったので、豆板醤を多くしてケチャップと砂糖を減らしました。好みの味に合わせて調整したえびチリも大好評。エビもプリプリで、何よりも短時間でカンタンにできるので助かります。
手作りパンも焼きムラなし
レンジが得意なオーブンレンジは、オーブン機能がいまひとつ……ということも多いのですが、オーブンも優秀です。ロールパンを焼いてみたところ、全体が見事なキツネ色に。
我が家で使用していたオーブンレンジは、パンやケーキを焼くと奥のほうが焼き色が濃くなり、手前が白っぽくなっていましたが、均等に焼けていたので感動しました。これならパンなどを作る方にもおすすめできます。
5分強で焼けようになったトースト
新モデルからは5分強でトーストも焼けるようになりました。トーストモードで焼き、途中でいったんひっくり返します。
庫内が広いせいか、焼き上がったトーストは水分が失われている食感。6枚切りだとパサつきが気になりましたが、5枚切りではしっとり感もありました。焦げ目をしっかりつけて焼くと水分が失われてかたい感じがするのでおすすめできません。
スチームトーストも試してみましたが、それほど大きな差はありませんでした。さらにスチームトーストは8分以上と時間も延びるので、あまり魅力を感じられません。
……トーストを美味しく食べたい、という方はやはり別にトースターを用意することをおすすめします。
アプリからレシピを送信でき、本体で設定する必要なし
MRO-W10Aはスマートフォンとの連携が可能なIoT家電です。スマートフォンの専用アプリでレシピを検索したり、選択したレシピの設定を本体に送信したり、調理前の準備段階がとてもラクになります。接続に関しては決してわかりやすいとは言えませんが、一度接続してしまえば新たなメニューができたときに本体に追加できます。また、新しい機能やバグ修正を本体アップデートでできるようになり、常にソフトが新しい状態で使い続けることができます。
アプリのレシピを見ながら買い物に行って材料を揃え、下準備を行ない、そのままレシピの設定を本体に送信できます。本体では付属品の確認と「スタート」ボタンを押すだけ。一連の設定をすべてスマートフォンでできるのは、思いのほか便利でした。操作パネルはカラーでとてもわかりやすいのですが、やはりレシピを探して設定するのは慣れているスマートフォンのほうが操作しやすいので、個人的にはアプリを使っていました。
スマートフォンのアプリでは、好みの傾向からレシピ提案もしてくれます。「今月のおすすめ」なども参考になるので、夕飯に悩むときはなんとなく見るようになりました。
レシピ集はアプリと日立のサイトのクッキングメニューから見ることができ、カンタンに検索できます。個人的にはとても便利で活用しているので不満はないのですが、紙のレシピ集が付属していない点は少々気になりました。
まだガラケーを使っていて家にWi-Fi環境がない方、スマートフォンやWEBが苦手な方、使えない方は312種類もあるメニューを使いきれない可能性があります。操作パネルもわかりやすいのですが、今回のような「えびチリ」「ローストビーフ」「野菜シャキシャキメニュー」を作りたいときには、レシピの探しようがなく迷ってしまうかもしれません。レシピ本に関しては、別売でもよいので用意していただきたいところです。
ユーザーの手間が少なく、短時間加熱でムラも少ない優秀さ
食事作りは毎日のことなので、とにかく操作が簡単で、あたためや解凍が優秀なものを探していました。
MRO-W10Aは短時間で加熱ムラもなく仕上がります。昨年モデルでも感じたことですが、基本性能がとても優秀であることに驚きました。冷凍食品をあたためたら一部冷たいところが残っていてイラッ……ということもなくなりました。これまでは電子レンジに合わせて人間があれこれやらなければなりませんでしたが、その手間が以前と比べてずいぶん減りました。
大型カラータッチ液晶の操作も簡単で、アプリも使い勝手がよく、色々作りたくなりました。料理のレパートリーも増えそうです。