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もう毎回のゴミ捨ては不要! 最新スティック掃除機4機種をチェック

頻繁なゴミ捨てが不要な、最新スティック掃除機4選。右から、日立、シャープ、パナソニック、シャーク

床のゴミやホコリが気になるなと思ったら、サッと取り出してササッと掃除機がけできるコードレスのスティック掃除機が便利……というのは、多くの人が実感しているだろう。だがスティック掃除機は、本体のダストボックス内に溜まったゴミやホコリを、こまめにメンテナンスすることが重要だ。ちなみに多くのメーカーは、使った後の“毎回”のゴミ捨てを推奨している。ゴミを溜めたまま掃除していくと、吸引力が落ちていくからだ。

そんなダストボックスのメンテナンスが面倒くさいというのも事実。機種にもよるが、本体からダストボックスを外し、部屋のゴミ箱などの上でフタを開ける。たいていは、開けた瞬間にバフッ! とホコリが舞い上がり、ウワッと不快な気分になりつつ、またゴミ箱周辺を掃除機がけしなければいけない。そのため吸引力が落ちていると思いつつも、メンテナンスせずに使い続けがちな人も多いのではないだろうか。

そんなスティック掃除機の、よくある問題を解決してくれる機能を備えた新モデルが、続々と発売されている。1つは、スティック掃除機の普及以来、話題から遠ざかり気味だった「紙パック式」。もう1つが、掃除機内のダストボックスを毎回自動で掃除してくれる「自動ゴミ収集ドック式」だ。

自動ゴミ収集ドックというのが聞き慣れない人もいるかもしれないが、これは掃除機本体の他に、もう一つ、その本体のダストボックスを掃除する充電スタンドを備えているモデルのこと。

今回は、これら2方式を採用した、4メーカー4モデルをチェックしていく。

シャープ、日立、パナソニック、シャークの4モデルをざっくり比較

今回比較するのは、以下の4モデル。

紙パック式を採用したシャープの「RACTIVE Air EC-KR1」と、日立グローバルライフソリューションズ(以下:日立)の「かるパックスティック PKV-BK50L」。それに自動ゴミ収集ドック式のパナソニック「セパレート型コードレススティック掃除機 MC-NS100K」と、シャークの「Shark EVOPOWER SYSTEM NEO+ コードレススティッククリーナー LC351J」。

比較すると言っても、4モデルが想定している使用環境は、大きく異なる。例えばパナソニックに関して言えば、3機種ある同シリーズの中で少人数世帯向けのモデルを選んでいる。日立やシャークは、各ブランドの同方式の中ではハイグレードのモデル。それぞれどんな部屋の広さや、どんな性格の人にフィットするのかを探っていきたい。

まずは下図の通り、各モデルの性格をまとめてみた。

シャープ日立パナソニックシャーク
方式紙パック式紙パック式自動ゴミ収集ドック式自動ゴミ収集ドック式
ゴミ捨て頻度(約)1.5カ月4カ月1.6カ月1カ月
使用可能時間(約)9〜50分8〜40分6〜15分15〜50分
実売価格77,000円前後77,000円前後65,000円前後80,000円前後

数値に関しては、各メーカーの仕様表を参照したもので、実測値ではない。また使用環境によって大きく異なる点にも留意が必要。

大きく「紙パック式」と「自動ゴミ収集ドック式」の2つに分類しているが、パナソニックの場合は、自動ゴミ収集ドック(クリーンドック)に紙パックを採用している。ゴミ捨て頻度の目安は、4カ月としている日立以外は、いずれも1カ月〜1カ月半ほど。

紙パック式の特徴は、とにかくゴミ捨てがラク。一方で、紙パックの購入が必要であり、常にストックしておくことが望ましい。また使用するたびに紙パック内にはゴミやホコリが溜まっていくため、交換したての紙パック利用時から徐々に吸引力が低下していくことになる。だが、今回紹介するシャープと日立の紙パック式はゴミが溜まった状態でもスムーズに空気が流れる流路を確保し、吸引力を保つ工夫がされている。

それに対して自動ゴミ収集ドック式は、掃除するたびに掃除機本体のダストボックスがきれいになる。そのため吸引力は落ちない。ただし、掃除が終わって自動ゴミ収集ドックに戻すたびに、ダストボックスを清掃するための大きな騒音が鳴る点に注意(設定による)。またシャークの場合は、自動ゴミ収集ドック内のダストボックスを掃除する時には、やはりホコリなどが周囲に舞う。一方のパナソニックは、自動ゴミ収集ドックに紙パックを採用しているため、メンテナンスはラクだが、紙パックを購入しストックしておく必要がある。

以上を踏まえて、個々のスティック掃除機を詳細にチェックしていく。

本体の軽さが半端ない、シャープの紙パック式掃除機

シャープの「RACTIVE Air EC-KR1」は、紙パック式を採用。とにかくゴミ処理が簡単で、紙パックの補充が苦ではない人ならばおすすめの1台。

シャープ「RACTIVE Air EC-KR1」

紙パックの交換手順は、とても単純。まずダストカップを本体から取り外し、ゴミ箱の上にかざしたら「ゴミ捨て」と書いてある黄色いボタンをポチッと押す。するとダストカップの底フタがパカッと開いて、紙パックがポコッと落ちる……これでゴミ捨ては完了。

次にダストボックスのフタが開いた状態で、新しい紙パックを装着する。装着方法はものすごく簡単だが、不安に感じたら、本体の側面のイラストを見ても良いし、プリントされているQRコードをスマートフォンで読み込めば、解説動画がすぐに見られる。これでもかというくらいに親切だ。

なお紙パックの補充は、現在はECサイトで簡単に発注できるので、10年前などと比べると格段に容易。これは次項で紹介する日立のモデルも同様だ。

ちなみにシャープの交換用の紙パック「EC-330PN」は、5枚入りで1,210円。交換の目安が1カ月半に1度で、1枚242円。ゴミ処理をラクするためのコストとしては妥当だろう。

ボタンを押しながらダストボックスを本体から外す
黄色い「ゴミ捨て」ボタンを押すと、ダストカップ下部のフタが開いて紙パックが落ちる
使用済み紙パックがポコッと落ちるので、紙パックを触らずに処理できる
ダストボックスの側面には、これでもかという程に、親切な説明が記されている

ゴミ処理以外について特筆すべきなのは、やはり本体の軽さ。バッテリーやパイプ、吸込口を装着しても1.3kgと超軽量。特に重心が手元に近いので、クリーナーヘッドの方向を変えたり、エアコンなどの高い位置にあるものを掃除する時にも重さを感じづらい。

【お詫びと訂正】
記事初出時、誤って別製品の画像を掲載していた箇所があったため、当該画像は削除いたしました。お詫びして訂正いたします(2月29日10時30分)

メインのクリーナーヘッドには「からみにく〜いブラシ」を搭載。密度が高く縮れたブラシのため、毛が入り込んでブラシにからんで巻き付くのを抑制できるとしている。またクリーナーヘッドの右側については、ヘッドの端のギリギリまでブラシがある構造のため、壁や家具の際まできれいにゴミを吸い取れる。

「からみにく〜いブラシ」を採用したクリーナーヘッド

そのほか留意しておきたいのは、充電時に、本体からバッテリーを外して充電器に差し込む必要があること。メリットとしては、もう1つ別売のバッテリーを購入し交互に充電しておけば、バッテリー2個分の掃除ができ、より広い空間を掃除できる。ただし、スタンドに立て掛けただけでは充電されないため、“ちゃんとした人”ではない筆者の場合は、いざ使いたい時に「充電し忘れていた……」という残念な結果になることもあった。

スタンドは必要最低限のものが付属する。充電器は別
充電器が別なので、掃除が終わったら本体からバッテリーを外して、充電器に差し込む必要がある

日立は、ホコリを絶対に舞わせたくない人にオススメ

紙パック式を採用した日立の「かるパックスティック PKV-BK50L」。紙パックの交換時期の目安が4カ月と、驚異的に長いのが特徴。また紙パックにも工夫が施されているため、「ゴミ処理時にはできるだけホコリを舞わせたくない」という人には、最もおすすめなモデルとなる。

日立「かるパックスティック PKV-BK50L」

日立も紙パックの交換手順は、とても単純だ。本体のボタンを押すとフタが開くため、あとは紙パックを取り外すだけだ。

説明書どおりに取り外していくと、紙パックにあるシールが穴を塞ぐように貼り付けられる。そのため、紙パックからホコリがパフッと吹き出る可能性は、ほぼゼロ。ゴミ箱にポイッと捨てれば完了。ホコリを絶対に舞わせたくない人には、日立が最もおすすめだとする理由だ。

まずは本体のボタンを押してフタを開く。すると紙パックが現れる
紙パックには、取り付け方とゴミ処理の仕方がイラスト付きで記されている
シールを貼り付けながら紙パックを取り出す
取り出した時には、紙パックの穴が完全に塞がれるため、ホコリが舞うことがない

紙パック以外の特色は、本体がものすごく軽いことと、アクセサリーが豊富なこと。

軽さについては、駆動部などの本体だけの重さが0.97kg。ハンディクリーナーとして使う時には、1kg前後で使え、とても取り回しが良い。また延長パイプやクリーナーヘッドを取り付けた場合でも1.4kg。製品が梱包された段ボール箱を持ち上げた時に「本体か何かを入れ忘れているのでは?」と勘ぐったほどに軽い。

付属スタンドに収納したところ
豊富なアクセサリーが付属する
延長パイプやクリーナーヘッドを取り付けた状態でも、1.4kgと非常に軽く、掃除がけ時の腕への負荷が少ない

メインで付属している「パワフル スマートヘッド」は、髪の毛などがからまりにくいという「からまんブラシ」が採用されている。

そのほかクリーナーヘッドに「ごみくっきりライト」を搭載する。これは白色と緑色のLEDライトで前方を照らすもの。暗めの場所はもちろんだが、日中の明るい室内でも床面の細かいホコリを見えやすくしてくれる。

髪の毛などがからみにくい「からまんブラシ」を採用
「ごみくっきりライト」で照らされると細かいホコリまでくっきりと見える! というのを実証したかったが、今回撮影した床面ではホコリは浮かび上がらなかった。ただし、床の凹凸が繊維レベルで見えやすくなっているのが分かる

パナソニックの紙パック式自動ゴミ収集ドックは、手間が極限まで少ない

パナソニックの「セパレート型コードレススティック掃除機 MC-NS100K」は、自動ゴミ収集ドック(クリーンドック)を搭載した少人数世帯向けのモデル。掃除が終わったら、自動ゴミ収集ドックにカチッと設置すれば、充電に加えて掃除機本体のダストボックス内のゴミやホコリをきれいにしてくれる。毎回、ダストボックス内がきれいな状態で使い始められるため、吸引力が落ちないのが特徴。

セパレート型コードレススティック掃除機「MC-NS100K」

自動ゴミ収集ドックに掃除機本体を設置するのは、とても簡単。掃除が終わったら、そのまま掃除機のクリーナーヘッドを自動ゴミ収集ドックへ近づけていき、中に入れる。あとはハンドルを垂直に立てると、自動ゴミ収集ドックと合体。自動で掃除機側のダストボックスから、自動ゴミ収集ドックへとゴミやホコリが吸い込まれていく。もちろん掃除機本体の充電も開始する。

この時に20秒前後、ブォーン! と吸い込む音がするので、はじめは驚くかもしれない。掃除機本体の電源ボタンを長押しすると、自動吸引を停止できるので、夜中に掃除した後には、「切」にすると良いだろう。

同機の自動ゴミ収集ドックは、奥行きが282mmあるが、幅が134mmとスリムなのがうれしい。掃除機本体を設置すると、クリーナーヘッドの左右がはみ出すが、それでも幅は213mmのため、置く場所に困ることは少ないはず。

自動ゴミ収集ドックの中にクリーナーヘッドを入れて……
あとはハンドルを垂直に立てると、集めてきたばかりのゴミやホコリが、自動ゴミ収集ドック内に吸い込まれていく
掃除機本体を設置しても幅は213mm。置く場所を選ばない

自動ゴミ収集ドックで自動でゴミ吸引した後にも、掃除機本体のダストボックス側に、長い髪の毛がぴろ〜んと残ってしまうことが、マレにある。そんな時には、面倒くさがらずにダストボックスを外して、ゴミを捨てるようにしたい。こうしたゴミを残しておくと、どんどんゴミが詰まっていきかねない。取り外したパーツは、フィルターも含めて水で丸ごと洗える。

掃除機本体のダストボックスを外せば、さらにきれいに掃除できる

自動ゴミ収集ドック内のゴミがいっぱいになると、ランプが点滅する。自動ゴミ収集ドックのゴミ捨て頻度の目安は、約50日に1度。

メンテナンスはいたって簡単。自動ゴミ収集ドック後部上面をパカッと開けて、紙パックを取り出して捨てるだけだ。あとは新しい紙パックをパーツに付けて、自動ゴミ収集ドックに戻すだけ。ホコリが絶対に舞わないというわけではないが、そのままゴミ箱やゴミ袋に入れてしまえば、気になることはない。

自動ゴミ収集ドック後方の上部のフタを開ける
紙パックを取り外す
紙パックをゴミ箱に捨てて交換すればOK。ほとんど手を汚さずに交換できる

同機で秀逸だと思うポイントの1つが、「からまないブラシ」を採用していること。クリーナーヘッドの左右から伸びる、円錐型のブラシのことだ。円錐形にしていることで、ブラシにからんだ髪の毛やペットの毛が自然にほぐれて吸引されていく。

ただしクリーナーヘッドの左右にブラシの駆動部などがあるため、吸い込めるエリアの幅が他と比べて狭い。

クリーナーヘッドの左右から伸びる、円錐型のブラシ。髪の毛がからみ付かずに吸引されていく

シャークの自動ゴミ収集ドックは、紙パックが不要!

シャークの「Shark EVOPOWER SYSTEM NEO+ コードレススティッククリーナー LC351J」は、クリーナードック(自動ゴミ収集ドック)を備えたモデル。掃除機本体にも自動ゴミ収集ドックにも紙パックは不要だ。

Shark EVOPOWER SYSTEM NEO+ コードレススティッククリーナー「LC351J」
付属のアクセサリーが豊富

自動ゴミ収集ドックに掃除機本体を設置するのは、2〜3回試せば、片手で行なえるようになる。設置すれば自動で掃除機側のダストボックスから、自動ゴミ収集ドックへとゴミやホコリが吸い込まれていく。もちろん充電も開始する。

この時に20秒前後、掃除中と同じくらいの音がする。自動ゴミ収集ドックの上面にあるボタンを押すと、自動吸引を停止できる。できるだけ音を控えたい場合に便利だ。

自動ゴミ収集ドックの幅は実測で30cm前後。パッと見ると「大きいなぁ」という印象を受けるが、実は他メーカーに同梱する充電スタンドよりも接地面積が圧倒的に広いわけではない。ただしワンルームの生活空間に置くと、やはり存在感が際立ってしまうかもしれない。

掃除が終わったら自動ゴミ収集ドックに設置するだけで、ゴミやホコリが吸引されて、充電も始まる
掃除機本体を自動ゴミ収集ドックに収納したところ
ドックの幅は約30cm

時々、自動ゴミ収集ドックでは全てを吸い取れない場合がある。そんな時には、掃除機本体をハンディクリーナーの状態でドックから取り外し、ゴミ箱の上で本体のボタンを押すと、ダストボックスのフタが勢いよく開く。それだけで残ったゴミが処理できて便利だ。ちなみに、掃除機本体をドックから取り外す時に、ハンドル近くにあるボタンをスライドさせると、簡単にハンディ状態で取り外せる。これはゴミ処理以外の場合でも、とても便利だ。

また、掃除機本体のダストボックスを洗いたい時には、フィルターごと簡単に取り外せるのも良い。

掃除機本体のボタンを押すと、ダストボックスのフタがパカッと開く
細かく洗いたい時には、フィルターごとダストボックを取り外せる

自動ゴミ収集ドックのゴミ捨て頻度の目安は、約1カ月。メンテナンス時は、ドックの上面にあるボタンを押しながら、ダストボックスを横にスライドさせて取り外す。ドックを狭い場所に設置すると取り外しにくいので注意が必要だ。

ダストボックスを取り外したら、ゴミ箱や広げたゴミ袋の上でフタを開けると、バサァ〜っとゴミが落ちてくる。ここではホコリが舞ってしまうので、我慢するしかない。大きめのゴミ箱を用意したり、ゴミ袋の広げ方を工夫したい。

ボタンを押しながらダストボックスをスライドさせて取り外す
ダストボックスのオレンジのボタンを押すと、フタがパカッと開き、ゴミやホコリが落ちる。上の写真は、ゴミが入っていない状態で撮影したが、実際に1カ月使った後に、この状態でゴミ捨てしたら、事故レベルでゴミやホコリが床に散乱するだろう。慎重かつ丁寧に作業したい

自動ゴミ収集ドック以外で、便利なポイントは、延長パイプをポキっと折った状態で掃除できること。何が良いの? と思うだろうが、ソファや棚の下の隙間を掃除する時に、あまり自分の腰を折らず……かがまずに、掃除できるのだ。

「これは便利そうだな!」と、想像できない場合には、折れない通常モデルもあるため、そちらを選択しても良いだろう。ちなみに筆者は、折れないモデルを使っている。

延長パイプの中間くらいでポキっと折って掃除ができる
ソファや棚の下を掃除しやすい

メインで付属しているクリーナーヘッドには、「ハイブリッドパワークリーン」というブラシロールが採用されている。ふわふわと柔らかい絨毯のような素材で、細かいホコリまで取り除ける。また髪の毛やペットの毛が絡まりにくい構造となっている。

そのほかクリーナーヘッドにライトが搭載されているため、暗がりや狭い場所でも、ゴミやホコリの視認性を高めてくれる。

クリーナーヘッドに搭載されたブラシロール「ハイブリッドパワークリーン」

紙パック式、そして自動ゴミ収集ドック式のスティック掃除機4機種を紹介した。これらはサッと取り出して使えるスティック掃除機の手軽さを、より進化させたモデルと言えるだろう。毎回ゴミ捨てしたほうがいいとわかっていても、面倒でついサボってしまう人や、小さな子供やペットがいて、できるだけ室内にホコリを舞わせたくない人は、一度チェックしてみてほしい。

河原塚 英信