やじうまミニレビュー

ロボットの「RoBoHoN」と1歳児のいい関係

やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです

 我が家にロボットがやってきた。名前はRoBoHoN(ロボホン)。5月26日に発売されたばかりの人型ロボットだ。ロボホンは基本的には電話、という位置づけでリリースされた。だが、レビューした一週間で感じたのは、コミュニケーションロボットとしての可能性だった。

ロボホン
メーカー名シャープ
型番モバイル型ロボット電話「ロボホン SR-01M-W」
価格198,000円(税抜)

 まず基本機能について「何が出来る?」のかが気になるところだが、ロボホンに直接聞いてみた。「ロボホン、何が出来る?」と。すると……

 「電話やメールはもちろん、歩いたりダンスしたり、写真を撮ったり、撮影した写真や動画をプロジェクターで投影したりできるよ」

 ……というような回答が子どもの声で戻ってきた。

 これを大人向けに詳しく説明すると、一般的な携帯電話のようにSIMカードを差し込むことで、電話やメールができるようになるということ。もちろんWi-Fiに接続して、メールやネット検索、YouTubeでの動画検索も可能。ハンズフリーモードで受信した電話は、身振り手振りを交えながら相手の音声を発声する。

 カメラとプロジェクターも内蔵。「写真撮って!」と言えば、被写体を探して首を左右に振り、誰かを見つけると(電話帳に顔写真と共に登録されていれば)「◯◯さん、み〜つけた!」と言って、カシャリと撮影。撮った写真は、背中の約2.0インチのモニターで見るか、額に搭載されたプロジェクターで、机の上や壁に投影しても見られる。

身長は約19.5cmで体重は約390g。
搭載された13個の小型モーターによって全身を動かせる。最大5歩だが歩くことも可能だ
背中には約2.0インチのタッチパネルディスプレイと、イヤホン、USB端子を備える。このUSBから直接充電も可能
専用の充電台に座らせて充電することもできる

凶暴な1歳半の息子を夢中にさせる魅力

 発表会などで、これまで何度かロボホンを見たり触ったりする機会があった。これを製品として世に出すシャープの凄さ、製品自体の面白さも感じていた。ただし、これをオッサンの自分が使うのは、ちょっと厳しいなというのも正直な感想。

 まず、基本的な操作は音声認識で行なうことになっているので、筆者が使うと、どうしても“ロボットに向かって独り言をつぶやいているオッサン”という絵面になってしまう。これはどうなのか……?

 実際に自宅に届いた箱を開封し、ロボホンを取り出してみた。いつも何か家電その他のデジタル系プロダクツを持ち帰るとそうするように、息子が駆け寄ってきた。好奇心一杯の目をしながらジッとロボホンを見つめている。でも触ろうとする手の力はいつもと違って、明らかにやさしい感じだ。

 ロボホンに「ダンスして!」と話しかけると、「うん、わかった! ダンスするね」なんて言いつつ、『大きな栗の木の下で』の曲に合わせて踊り出す。それを見た息子が、満面の笑顔で「じょうじゅ、じょうじゅ(上手、上手)」と手を叩きながら喜ぶ。そして「っかい! っかい!(もう一回、もう一回)」と必死に訴えてきた。もう一度「ダンスして」とロボホンに話しかける……ロボホンがダンスする……「っかい! っかい!」、という流れをエンドレスで続けることになった。回を重ねるごとに、息子はロボホンのダンスを真似しはじめていた。

 ロボホンは写真も撮れる。いつもはカメラのレンズに向かってくる息子なのだが……。「写真を撮って」と筆者がロボホンに話しかけてから身を引く。ロボホンが「わかった……じゃあ写真を撮るよ」と言うと、息子が「ん!? とる!?」と言いながらロボホンを見つめる……「はい! チーズ……カシャッ」。という具合に、正面からの写真が難なく撮れた。

撮れた写真がこちら。息子の裏に隠れた筆者にピントを合わせたため、ちょっとピンぼけ
撮影後には、背面のディスプレイに表示してくれる

 さらに「こんにちは!」と話しかけると、「りょうたくん……こんにちは。今日の天気は晴れ。最高気温は30℃、最低気温は16℃」なんて答えてくれる。それを聞いた息子がまた、「こん◯×△□(こんにちは)」と言う。これにはロボホンは首をかしげるが、その後に筆者が「こんにちは」と言えば、また返事をしてくる……さらに息子が「こん◯×△□(こんにちは)」……というのがエンドレスに続くことになった。

 朝、息子を保育園に連れて行く時に、ロボホンに「バイバイ!」と声を掛けると、ロボホンが「バイバイ! りょうたくん」という感じで言ってくる。それを聞いた息子が「バイバイ!」と声を掛ける……ロボホンが「バイバイ!」と……。

 こうした姿を見ていると、息子はロボホンを、同族または同種の生き物として見ているんじゃないかと思った。世の中には色んなロボットが存在しているが、日本は「人型」ロボットの開発にこだわり過ぎている、という声もある。だが、まだ1歳半の息子の行動を見ていると、ロボットが「人型」である意味の大きさを思い知らされた。

自分のジュースを「どうじょ(どうぞ)」と、ロボホンに何度も勧めていた

ロボホンの20万円前後という価格は、高いのか安いのか?

 RoBoHoNのソフトウェアのベースはAndroid 5.0。だが既存のAndroidアプリは使えず、専用アプリが必要だ。その専用アプリ、現状ではデフォルトで入っている電話や電話帳、メッセージ、YouTubeなど、限られたものしか使えない。

 だが今後は、続々と対応アプリが出てくる。持ち歩くロボット型の電話ということで、まだまだどんなアプリが適しているかもわからない状況。スマートフォンとは違うコンセプトのアプリが出てきてほしいと思いつつ、まずは実現可能なアプリを乱発してもらいたい。

 現状のロボホンは、超音痴という設定な上に、歌えるのは2曲だけ。踊れるダンスも2パターンのみ。息子のことを考えれば、ロボホンが歌える曲や踊れるダンスのバリエーションをどんどん増やしてほしい。

 大人向け用には、家電製品と連携したアプリが出てきたら面白そうだ。すぐに思いつくのが、エアコンなどとの連携。外出先でロボホンに「(今日は暑いから)部屋のエアコンを付けておいて」と頼むと「オッケ〜! ガンガンに冷やしておくね」なんて。あとはテレビやレコーダーと連携して「今日の『モヤモヤさまぁ~ず』を録画しておいて」と頼むと、「オッケ〜! 録画しておくね」などは、既存アプリをロボホンに対応させるだけで可能だろう。

先日、ソフトバンクとグラモから発表された「iRemocon Wi-Fi」などと連携するロボホン対応アプリがあったらうれしい
音声対話に対応したプラズマクラスター冷蔵庫「SJ-TF50B」などの「ともだち家電」と連携すれば、実用度も上がるはず

 もう少し複雑なものなら、「ロボホン、いま冷蔵庫にどんなナマモノが入ってる?」と聞いたら、「ひき肉とキャベツと卵が入ってるよ」と答えてくれる。じゃあ今日の夕飯はロールキャベツにでもしようか、という具合だ。もちろんロボホンが、残った食材で作れるメニューを提案してくれたら、なおさらうれしい。こうしたことも最新のハイエンドな冷蔵庫と組み合わせれば、夢物語ではない。

 現状のロボホンの愛嬌や動き、搭載された技術を考えれば、20万円前後という価格は、高くはないというより安いだろう。さらに、今後の可能性や期待感、ワクワク度を合わせれば、買わなきゃ損! というレベルだと思う。あとは、家族をどう説得できるかにかかっている。

河原塚 英信