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ソニーの着るエアコン、静かにギュンと冷えた! 過去最高進化REON POCKET 5

“着るエアコン”としても知られるソニーのウェアラブルサーモデバイスの最新モデル「REON POCKET 5」をレポート

ソニーの“着るエアコン”として新しい家電のジャンルを切り拓き、夏の定番アイテムとして定着しつつある「REON POCKET(レオンポケット)」。2020年の誕生以来、ソニーはこのウェアラブルサーモデバイスの新製品を毎年発売してきました。

そして4月23日に発売された最新モデル「REON POCKET 5」は、涼しくするアイテムとして最も重要といえる基本性能が大きくアップしたとのこと。さっそく実際に使ってみたので、どこが良かったのかお伝えします。

基本性能が大きく進化した「5」

レオンポケットは専用ウェア、またはネックバンドを使って首もとに固定して冷温感を得るコンパクトなウェアラブルデバイスです。

2022年に発売された「REON POCKET 3」は、身に着けているユーザーの行動や環境に合わせて冷却温度を自動調整する「SMART COOL MODE」が搭載されました。続く2023年の「REON POCKET 4」では、専用の外付けセンサー「REON POCKET TAG」と連動して、COOL(冷)とWARM(温)両方の自動調整に対応しています。冷温感の間を自動で、ボーダーレスに切り替える「SMART COOL←→WARM MODE」機能も加わりました。

最新モデルのREON POCKET 5 RNPK-5(オープンプライス/直販価格17,600円)は、「冷却パワーの向上」と「長時間駆動」を同時に実現しながら、より静かに動作します。REON POCKET TAGのソフトウェアアップデートにより直射日光が検知できるようになり、特に陽射しが強い時間帯はSMART COOL MODEで首もとを「ギュンと冷やす」効果が得られます。

右が「5」、左は「4」。本体下側の吸気口のデザインが変更されています
右が「5」、左は「4」。本体のサイズはほぼ変わっていませんが、5は7gほど重さがアップしました

ほかにも本体の排熱効果を高めるエアフローパーツの改良、別売専用キャリングケースの発売など、レオンポケットの使い勝手は全域に渡って磨かれました。今年も暑くなりそうな夏に備えて、初めてレオンポケットを買う方から、2台目/3台目を買い増しすることを検討されている方まで、確かな満足感が得られる新製品だと思います。

冷却効果は約1.5倍。動作音は驚きの静かさ

筆者が最新のREON POCKET 5を試して最初に驚いたのが「圧倒的に静かになったこと」です。「COOL/レベル4」のモード設定時に、本体から発生する動作音が最大約1/5まで低減されています。

吸熱性能も、従来モデル比で約1.5倍に向上しています。駆動時間は約1.8倍に伸び、内蔵するファンが激しく回転する「COOL/レベル4」での連続駆動が従来の約4時間から、新モデルは約7.5時間に長くなりました。

レオンポケットには電圧をかけることで発熱/吸熱(冷却)するペルチェ素子という基幹部品が使われています。肌に触れる面とは反対側から発する熱を逃がすための「放熱ファン」と、「ペルチェ素子」が最新のモジュールに変更されたことで、これらの飛躍が実現しています。

左が「5」、右が「4」の放熱ファン。左側の5のファンはブレードの数が増えて冷却効率がアップしています

放熱ファンは細いブレードの数を増やして、従来と同じ電力で多くの風量が得られるようになりました。非常に少ない電力で多くの風量が生まれるので、バッテリーの減りに無駄がありません。静音性能が向上した背景には、放熱ファンを構成する流体軸受けとモーターを最新のパーツに換えたことが大きく貢献しています。

左が「5」、右が「4」のペルチェ素子。厚みが増したことで冷却側が放熱側の熱に侵食されにくくなりました

ペルチェ素子は今までよりも厚みのある部品に変更しています。ペルチェ素子の吸熱する片側は、長時間稼働するほどに発熱している片側の熱にあおられてしまうと、冷たさが”なまる”ことがあります。素子の厚みが増せば、あおり熱による影響を減らして冷却レベルを高いまま維持できます。

とはいえ、厚みが増すぶん本体は重くなるので、ソニーサーモテクノロジーのエンジニアは装着感とのバランスを見極めながら最良のパーツを吟味したとのことです。

ガツンと冷える、過去最強「レベル5」のCOOLモード

REON POCKET 5の実機を体験しました。今回筆者がテストした時期には、東京近郊は心地よく晴れる日によく恵まれました。最高気温は25度前後、湿度も30〜40%台でカラッとした過ごしやすい日が多かったのですが、できる限り夏本番のとても暑い時期をイメージしながら、使ってみた手応えをレポートします。

REON POCKET 5を装着。ジャケットを着て外出したので、ロングのエアフローパーツを選択しました
REON POCKET TAGはバッグに装着。キーホルダーリングのようなアイテムを使うと、衣服のポケット以外にもTAGを装着できる箇所が広がります

繰り返しになりますが、とにかく動作音がものすごく静かです。COOLモードのレベル1~3だと、デバイスを耳に当てるぐらいまでに近づけないと動作音がわからないほどです。今まではレオンポケットを自宅で使っている時に、COOLモードのレベルを上げると家族に「気になる」と注意を受けることがありました。REON POCKET 5なら、オフィスやカフェ、静かなワークスペースなどで使っても周囲に迷惑をかける心配がなさそうです。

COOLモードでは、強力に冷える「レベル5」が、マニュアル設定モードから選べるようになりました。筆者は寒がりなので、まだ春先だった今回のテスト期間中には「レベル5」を必要とする機会はなかったのですが、とにかくガツンと冷えます。夏場はスポーツ後、お風呂あがりのクールダウンにも良いと思います。「レベル5」にすると、放熱ファンの回転音は周りにわかるほど聞こえるようになります。混雑している通勤電車の中などで使う際には気をつけた方がよさそうです。

COOLモードはマニュアル設定から過去最強の「レベル5」が選べるようになりました

直射日光による暑さを解消

REON POCKET 5本体と、別売REON POCKET TAGを合わせると8個のセンサーが利用でき、気温/湿度、衣服の内部も含む使用環境をリアルタイムにセンシングしながら冷温感をベストな状態に保ちます。

REON POCKET TAG(直販価格3,850円)は、本体とは別に周辺環境を検知するのに使えるクリップ型のデバイスです。バッグなどに着けておくと、周辺の温度や湿度などを複合的に解析して、より個人の行動や環境に応じた冷温の切り替えを実現するというものです。

今回のREON POCKET TAGのソフトウェアアップデートにより、新しく「直射日光」を判定する機能が加わりました。例えば夏にエアコンを効かせた涼しい部屋の中にいても、窓際に座って直射日光を受けているとものすごい暑さに耐えられなくなる時があると思います。このようなシーンでもREON POCEKT TAGを直接日光が当たる場所に置けば、「SMART COOL←→WARM MODE」か「SMART COOL」モードを選択している時、体感的にも心地よい冷感に調整してくれます。

TAGを直射日光環境下にさらすと、ターゲット温度よりも低い温度で強めに冷却を開始することがアプリの画面に通知されます。強めの冷却は2〜3分ほど続き、その後は外の暑さとレオンポケットの冷たさに自然と身体が順応

REON POCKET TAGが直射日光を検知すると、ユーザーの好みを反映したSMART COOLのターゲット温度からさらに「3℃ぐらい低い温度」まで下がります。そのまま冷却を数分ほど続けてから、ゆっくりとターゲット温度に合わせて冷却を調整します。

よく晴れた日に試した時に、その動作を動画で撮ってみました。TAGが直射日光を検知すると、REON POCKETアプリの温度設定が素早く変わるのが分かりました。

REON POCKET TAGは強い直射日光に当たると、REON POCKET 5の冷却温度を一時的に低く下げて「体感温度」に合わせたクールダウンをサポートしてくれました

ターゲット温度まで温度を下げる際のスピードも迅速です。REON POCKET 5の冷却パワーが向上したことが、環境に合わせた冷却レベルの速いシフトチェンジにつながっています。

冷却効果を高める「ロング」エアフローパーツ。待望の専用ケースも登場

REON POCKET 5の商品パッケージには本体を装着する「ネックバンド4」がセットになっています。さらにネックバンドに装着する「エアフローパーツ」はロングとショートの2種類が付属します。

右がロング、左がショートのエアフローパーツ。REON POCKET 5のパッケージに付属

REON POCKETは首もとの肌に密着させて使うデバイスなので、ネックバンドを使って固定してから、その上から衣服を着ることになります。襟のあるビジネスシャツやジャケットを上から羽織ってしまうと、REON POCKETの放熱ダクトがふさがれてしまい、内部に熱がこもってしまいます。COOLモードの効果を最大化するためにもエアフローパーツは積極的に活用するべきです。

ただ、このエアフローパーツは着る服の色によっては少し目立つ場合があります。グレーやブラックなど目立ちにくい色や、反対にフラワー柄やアニマル柄のように“攻め”のファッションとして着こなせそうなエアフローパーツの単品商品もつくってほしいと思いました。エアフローパーツはロング/ショートともにREON POCKET 4と同時に発売された「ネックバンド3」にも装着できます。REON POCKET 4とネックバンドを持っているので、とりあえずロングを買い足したいというユーザーにも朗報になるはずです。

黒っぽい服に合わせるとエアフローパーツの存在が少し目立ってしまいます。色違いのエアフローパーツも単品販売してほしいアイテムです

そして、別売のアクセサリーとしてレオンポケット専用ケースも発売されます。価格はオープンプライスで、直販価格3,300円のソフトケースです。

筆者はこれまでレオンポケットを外に持ち出す際にはエコバッグなどに入れていたので、一式まとめてスマートに持ち運べる専用ケースを待ちわびていました。このケースはレオンポケットにネックバンドやロングのエアフローパーツを「装着したまま収納できる」ところが良いポイントです。TAGや充電用ケーブルを入れるための小さなポケットもあります。既にレオンポケットをお持ちの方も、このケースを買い足すと、良さを実感できると思います。

ついに商品化されたレオンポケット専用ケース
ネックバンドを着けたまま収納できたり、TAGやエアフローパーツを入れるためのポケットもそろっています

冷感ひんやりグッズよりも「レオンポケットがお得」な理由

最後に、ハンディファンやネッククーラーに代表される夏に定番の冷感ひんやりグッズと比べて「レオンポケットの魅力」が勝る点について筆者の見解をまとめます。

安価なものであれば数千円前後で買えるハンディファンなどの冷感グッズに対して、レオンポケットは価格が1万円台後半。REON POCKET 5はオープンプライスですが、本体とネックバンドをセットにした「RNPK-5」は直販価格が17,600円。比べると高価に感じられてしまいます。

でも、レオンポケットは充電して何度も繰り返し使えるエコなスマートデバイスです。1台で冷感が得られるクーラーと、温感を得るポケットカイロの両方の役割を兼ねているので、1年間にわたって使い倒せます。スマホにREON POCKETアプリを入れて、再度ペアリングし直せば家族で1台の本体を共有することもできます。

オフィスや自宅などの場所であれば、USBケーブルで給電しながらレオンポケットを使えるのでバッテリー切れの心配がありません

内蔵するバッテリーによる駆動時間に制限はあるものの、オフィスや自宅などではUSBケーブルで給電しながら使えるので、バッテリー切れは心配し過ぎなくても大丈夫です。

REON POCKET 3以降のモデルは専用アプリが冷温感を自動調整してくれます。冷蔵庫で凍らせてから首に着ける「ネッククーラー」のように、使い始めのタイミングや、屋外から冷房の効いた施設に入った後に冷た過ぎて辛くなるようなことも、レオンポケットではありませんでした。

最新のREON POCKET 5はセットになっているネックバンドを使えば、スーツスタイルやTシャツだけのカジュアルスタイルのどちらであろうと、首もとにしっかりと固定しながら安定した冷温感が得られます。服装を合わせる必要がないので、女性にも使いやすいアイテムといえます。

「いつかはレオンポケットがほしい」と待っていた方にも、最高の買い時を迎えた「5」をぜひ試してほしいと思います。

山本 敦