家電製品ミニレビュー

喋るオーブンレンジ「ヘルシオ」のスマホ連携が想像以上に便利

 “水で焼く”調理が特徴のウォーターオーブン「ヘルシオ」。1カ月お借りして使用し、レビュー前編では、焼き豚やローストチキンをはじめとするレシピをご紹介した。今回は、想像以上に便利だったスマホ連携機能をお伝えしたい。

無線LANでスマホ連携ができる「ヘルシオ AX-XW300」
メーカー名シャープ
製品名ヘルシオ AX-XW300
実売価格12万4,480円

 無線LANと人工知能を搭載したAX-XW300は、新開発のクラウドサービス「COCORO KITCHEN」と連携できる点が特徴。自宅の無線LANにつなぎ、スマートフォンと連携すると会話ができるようになる。

 例えば、「今晩、何作ろう?」と話しかけると、音声を認識。人工知能が季節や天気、調理履歴などを考慮して、クラウド上にあるメニューから献立を提案してくれる。

 また、クラウド連携することで、本体に内蔵されていない料理メニューをダウンロードすることも可能。スマホアプリからメニューを検索し、「ヘルシオに送信」ボタンを押せば、本体にダウンロードされ、そのまま運転をスタートできる。クラウド上に保存されているメニューは約1,000種類。

ヘルシオで作った罪深い料理。焼き豚はあっという間になくなった

Wi-Fi接続は苦戦! だけど必須! スマホ操作が便利すぎ

 正直なところ、無線LANへの接続はかなり苦戦した。何度も挫けそうになったのだが、スマホで操作できるのはかなり便利だったので、諦めなくて良かったと思えた。

 あらかじめ確認しておく必要があるのは、自宅の無線LANアクセスポイントが、プッシュボタン方式に対応しているかということ。プッシュボタン方式とは、無線LANアクセスポイントのボタンを押すだけで機器との接続設定が完了するというものだ。

 一見簡単そうだが、普段パソコンやスマホを無線LANに接続するときにパスワードを入力していた筆者としては、初めての接続方式で戸惑った。まずは自宅のWi-Fiルーターの説明書を引っ張り出してきて、プッシュボタンに対応しているかを調べ、接続方法を確認。幸いプッシュボタン方式に対応していたので良かったが、まさかルーターの説明書を読み込むことになるとは思わなかった……。

説明書のほか、クラウドサービスガイドや無線LANかんたん設定ガイドが付属している。ガイド自体はわかりやすいが、プッシュボタン方式に慣れていなかった筆者は苦戦した

 さっそく接続してみよう。まずはヘルシオ本体の設定メニューから、無線LAN接続を選択。プッシュボタン接続という画面に切り替わるのを確認して、Wi-Fiルーターのボタンを長押しする。これで本体と無線LANの接続は完了だ。

 今度はスマホと本体を連携する。無線LANに接続したスマホを用意し、インストールしたアプリ「COCORO KITCHEN」から操作。本体とアプリに表示されている手順に従うだけなのだが、なかなかスマホ連携がうまくいかなかった。本体とWi-Fiルーターの位置関係が良くなかったのか定かではないが、いっこうに接続されない。

 仕方ないので1日置いて、再度挑戦してみたら今度はスムーズに接続できた(笑)。なんだったんだ……。画面上部の雲と家のアイコンが緑になれば接続完了の印。おはなしボタンを押して話しかけると、返事をしてくれるようになる。ちなみに、無線LAN接続をせずにおはなしボタンを押すと「無線LANに接続していないから、おはなしできないんだ」とフラれる(笑)。

設定メニューから無線LANを選ぶ。タッチパネルなので操作しやすい
プッシュボタン接続という画面に切り替わったら、ルーターも操作する。我が家のルーターはボタンを長押しすれば接続できた
無事に接続完了
今度はスマートフォンと連携する
スマホにアプリをインストールして同じ無線LANにつなぐ。なかなかリンクされなかった
画面上部の、雲と家のアイコンが緑になれば接続完了。長かった……。おはなしボタンを押すと会話ができる

メニュー提案が賢い。調理履歴からさまざまな料理を提案してくれる

 無事に会話ができるようになったので、冷凍庫であまっていた豚バラ肉で何か作れないか、ヘルシオに相談してみた。

 おはなしボタンを押して「豚バラ肉」と伝えると、「昨日は焼きだったから、今日は蒸し物なんて良いんじゃないかな」と提案してくれた。前日に豚肩ロースブロックで焼き豚を作っていたので、その履歴を考慮したうえでの提案だ。

豚バラ肉と伝えると、メニューを提案してくれた

 メニューはそのまま本体にダウンロードし、レシピはスマホアプリから検索して確認する。豚バラ肉と白菜をカットしたら、調理網に乗せて運転スタート。メニューはダウンロードされているので、そのまま「あたため」ボタンを押せば最適な方法で運転してくれる。

 また、今回選択した「豚バラ肉の蒸し物」は、自動調理機能「まかせて調理」のメニューの1つ。同機能は、食材の温度や量をセンサーで検知して調理時間などを自動で算出し、温度帯の低い食材により熱を与える「ウォーターヒート技術」と「赤外線ムーブセンサー」「温度センサー」を組み合わせたもの。「冷凍・冷蔵・常温」の食材が混在していても、最適な状態に加熱できるという。

 豚バラ肉は冷凍、白菜は冷蔵状態だったが、一緒に並べて運転スタート。約15分で完成し、どちらもきちんと蒸し調理ができていた。ヘルシオが得意とする過熱水蒸気による脱油効果で、豚バラ肉は程よく脂が落ちていて食べやすかった。

提案してくれた豚バラ肉の蒸し物を調理。メニューを本体に保存する
アプリから作り方を確認
材料を用意してヘルシオにセット。「まかせて調理」機能により食材は冷凍と常温を混ぜてもOK。豚バラ肉は冷凍のまま投入した
運転モードは「蒸す・ゆでる」
タンクに水をセットする
15分で完成した。冷凍状態だった豚バラ肉もちゃんと蒸し上げられていた
表面パリパリ! 厚揚げも美味しく焼き上げる

 ヘルシオと会話ができるのは楽しいが、無線LAN接続で一番便利だと感じたのはスマホから操作できる点。ヘルシオは喋ってメニュー提案をしてくれるが、結局アプリからレシピを確認することが多いので、最初からアプリを使ったほうが楽だった。

 例えば、冷蔵庫で余っていた厚揚げを使いたいとき、アプリから「厚揚げ」と検索。すると、厚揚げを使ったメニューが沢山表示されるので、その中から作りたい物を選ぶ。今回は「厚揚げのみそ焼き」を選択し、レシピには味噌を使わなくても良いと書いてあったので、そのまま厚揚げを調理網に乗せて焼くことにした。

 運転するときは、アプリのレシピ表示画面の「ヘルシオへ送信」ボタンをタップする。これにより、そのままメニューがヘルシオ本体に送信され、本体画面も「厚揚げのみそ焼き」用の運転メニューに切り替わる。あとはスタートボタンを押せば、調理開始だ。アプリを使えば、本体で操作する必要がなくなるのでかなりスムーズだった。

アプリから「厚揚げ」を検索
たくさん表示された
「厚揚げのみそ焼き」のレシピ画面。ヘルシオに送信ボタンをタップする
メニューが本体に送信され、画面も切り替わる。このままスタートボタンを押せばそのまま調理開始

 厚揚げは13分で調理終了。表面はパリパリで、なかはふんわりとした食感に仕上がった。しょうがのすり下ろしとしょうゆを掛ければ、あっという間に1品完成だ。

 先程作った豚バラ肉の蒸し物と合わせて、晩酌メニューの出来上がり。筆者のような酒飲みの女性1人の夕飯であれば、これでもう十分だ。

13分で完成。表面はパリパリに仕上がった。アプリにはみそを付けなくてもOKと書いてあったのでそのまま焼いた。汎用性が高くて使いやすい
豚バラ肉の蒸し物と厚揚げで晩酌メニューが出来あがった

複雑な操作は不要。アプリから運転メニューを設定できるのはかなり便利

 アプリから操作できることにより、オーブンレンジ本体で複雑な操作をしなくて良いのはとても便利だ。たとえば前編で紹介した「鶏のもも焼き」は、ヘルシオから操作するときはメニュー番号を入力して、運転モードを設定する必要がある。

 その際は、タッチパネルから「お料理選択→検索→メニュー番号→24→決定→決定→分量選択→スタート」と操作することになり、工程が多い。またメニュー番号を把握しておかきゃいけないので、事前にアプリかクックブックで確認しておく必要がある。

 一方アプリならば、レシピを参考にしたついでに「ヘルシオへ送信」ボタンを押せば、そのまま本体の運転メニューが「鶏のもも焼き」に設定される。後は分量を選んでスタートするだけなので、全く面倒に感じなかった。

前編で紹介した「鶏のもも焼き」。皮がパリパリで美味しかった
「鶏のもも焼き」レシピ画面。ここからそのまま「ヘルシオに送信」ボタンを押すことができる
本体で運転メニューを設定する場合は、メニュー番号を入力したりと面倒な操作が多い
アプリからメニューを送信。画面が「鶏のもも焼き」用に切り替わる
分量を選択してスタートを押せば調理開始

共働き家庭にありがたい! キッチンを汚さずに夕飯が作れる

 夕飯のメニューに悩んだときも、食材だけ当たりをつけておけば、アプリがさまざまな料理を提案してくれる。たとえば「魚」と入力するだけで、焼き魚や蒸し料理など、ヘルシオで作れるメニューが一覧で表示される。

2段同時調理で焼き魚と茶碗蒸し

 今回は、「焼き魚&茶わん蒸し」を選んで、2段同時調理に挑戦した。出先でアプリを開いておけば、帰宅前に足りない食材を買っておけるので準備も簡単。

魚と検索するだけでさまざまな料理が表示された
焼き魚&茶わん蒸しを選択。足りない材料を帰宅前に買っておく

 角皿は2枚付属しているので、上段にサバを、下段にタネを流し込んだ蒸し茶碗をセットした。調理時間は25分で、蒸し器を使わずに本格的な茶わん蒸しが完成。2段同時調理でもサバのニオイが移ることはなく、どちらも美味しくいただけた。

 我が家は共働きなので、仕事帰りは夕飯のメニューを考えるのも、食事を作るのも面倒になるときがある。しかしヘルシオがあれば、料理もワンパターンにならず手軽に夕飯が作れる。キッチンも汚れないので、疲れているときは特にありがたかった。毎日アプリでレシピを検索して、明日は何作ろう? と考えられるのも楽しい。

タネを作り、蒸し茶碗に流し込む
上段にサバ、下段に茶碗蒸しを乗せる
アプリからメニューを送信
どちらも美味しくできあがった。茶わん蒸しにサバのニオイは移らなかった
焼きそばもヘルシオで

 ほかにも焼きそばや煮魚などを調理。焼きそばは「まかせて調理」メニューになり、麺や野菜を重ねても問題なく調理できるという。調理時間は15分で、豚肉もしっかり焼けていた。

 さすがに混ぜるのは手動なので、調理後に混ぜたら完成だ。仕上がりは、食材の量が少なかったのか、過熱水蒸気により麺はちょっとやわらかめになった。硬めの麺が好きなので、好みの味という訳にはいかなかったが、誰かに食べさせるためではなく、自分1人で食べるならまぁ良いかなという印象。野菜はシャキシャキだったので、きちんと野菜を摂りたいときには良さそうだ。

 ヘルシオで作ることによる1番のメリットは、キッチンが汚れないことだろう。炒める料理は、フライパンから食材が飛び出ることも多く、調理後はなかなか悲惨な状態になる。ヘルシオなら角皿の上だけで調理をするので、後片付けを簡単に済ませたいおひとりさまの食事には向いていると感じた。

「まかせて調理」で焼きそばに挑戦。角皿に麺や野菜を重ね、ソースを掛ける
アプリから送信
15分後。豚肉もきちんと焼きあがっている
混ぜるのは手動
ドライフルーツ

 また、AX-XW300からの新メニューである「ドライフード」も作ってみた。普段ドライフルーツを買うことが多いので、オレンジやりんごをカットして運転開始。

 調理には2時間掛かるので、夜空いた時間などに作るのがオススメだ。できあがったドライフルーツは甘みが凝縮されていて、ついついつまんでしまう。ただし、新鮮なフルーツで作るのはもったいない気がしたので、冷蔵庫に入れっぱなしにして傷みかけのものがあるときに作るのが良いと感じた。

ドライフルーツにも挑戦。カットしたフルーツを調理網に乗るだけ並べる
2時間後。甘みが凝縮されていた。新鮮なフルーツで作るのはもったいない気も……
サンマの骨まで柔らか煮

 今回作った中でも特にオススメのメニューは、「サンマの骨まで柔らか煮」。調理時間は2.5時間と長めだが、バットにサンマと調味料を入れるだけで、火加減を見張ることなく、骨まで食べられる煮魚が簡単に完成する。

 調理の際、間違えてレシピの分量よりも少なめの調味料で作ってしまったので、運転が終了する頃にはタレがかなり少なくなってしまった。当たり前ではあるが、レシピはきちんと確認した方が良い。肝心の味は、中はしっかりホロホロで美味しく、過熱水蒸気による“水で焼く”調理の実力を感じさせられた。

サンマの骨まで柔らか煮。バットにサンマと調味料を入れ、2.5時間運転。時間があるとき向け
骨まで気にせず食べられる。ホロホロでやわらかい

嫁入り道具にヘルシオを

 1カ月試用してみて、改めて思ったのは料理が苦手な人こそ使ってほしいということだ。レパートリーを簡単に増やせ、毎日の献立に悩まなくなる。使うまでは、オーブンレンジは機能が複雑そうと思っていたが、スマホから操作できるおかげで難なく使いこなせた。

 料理も美味しくできあがり、特に焼き豚やローストチキンは絶品。個人的は話ではあるが結婚して半年経ち、嫁入り道具は家具じゃなくてヘルシオにすべきだったなと思っている。今からでも間に合うだろうか。

西村 夢音

Amazonで購入