家電製品レビュー

“料理男子”の息子をうならせた! 高火力&熱風オーブン「石窯ドーム」の実力に感服

 東芝のオーブンレンジ「石窯ドーム」といえば、その名の通り、まるで石窯のように庫内の上部が丸みを帯びている独特の形状をしており、とにかく高火力なのが特徴だ。初代「石窯ドーム」が2009年に登場してから7年を経て、フルモデルチェンジを果たした「石窯ドーム ER-PD7000」は、奥行39.9cmと薄型でコンパクトなのに加えて、カラー液晶タッチパネルも搭載され、断然使いやすくなっているという。

東芝ホームテクノ「過熱水蒸気オーブンレンジ 石窯ドーム ER-PD7000」

 満島ひかりさんが出演しているテレビのCMでもその設置性のよさと、こんがり美味しそうに焼けたピザの様子がアピールされていて、ついつい見入ってしまう。こんなオーブンレンジがあったら、今までよりもちょっと格上げされた幸せな毎日が送れるのではないか……そんな気持ちにさせられるのだ。

 興味津々だったところに、「一度、その実力を体感してみませんか?」とのうれしい提案が編集部から舞い込み、ふたつ返事で引き受けることにした。せっかくなら、ピザやケーキはもちろんのこと、和食から中華まで何でもこなす“料理男子”の息子の感想も聞いてみたい。ということで、息子をアトリエに呼び出し、一緒に検証してみた様子をレポートする。

メーカー名東芝ホームテクノ
製品名過熱水蒸気オーブンレンジ 石窯ドーム
品番ER-PD7000
実売価格10万7,800円

350℃の高火力と熱対流で本格オーブン調理ができる

 まずは、「石窯ドーム ER-PD7000」の特徴をおさらいしておこう。丸い天井と四隅の丸みの「ラウンド石窯ドーム構造」が、熱風をムラなく庫内に行き渡らせ、最高350℃の高火力を可能にしている。角皿2枚のほかに、深皿が付属しているため、水分の多い料理やパエリアのようなごはんもの、パスタまで作れる料理のレパートリーが広いのもポイントだ。

 7年ぶりのフルモデルチェンジとなる新モデルでは、30L以上のオーブンレンジとしては業界最小の奥行き39.9cmという薄型化を実現。置き場所を選ばない、設置性の良さも魅力になっている。そのほか、高精度ダブル赤外センサーで1,025カ所を検知するのでレンジでの温めや、少量の解凍でもムラがないという。

 アトリエではたくさんの調理家電を置いているため、奥行きがたっぷりした大き目のワゴンを数台設置している。今回、キッチンと打ち合わせスペースを仕切っているキッチンカウンターに設置してみたが、思った以上にカウンタートップのスペースに余裕ができ、そのコンパクトさを大いに実感できた。

30L以上のオーブンレンジとしては業界最小の奥行き39.9cmのコンパクトさが特徴
庫内をのぞいたところ。丸い天井と四隅の丸みの「ラウンド石窯ドーム構造」が、熱風をムラなく庫内に行き渡らせる
蒸し料理などのほか、お手入れの際にも活躍するスチームの吹き出し口
右側には上下2カ所にLEDライトが搭載されている
角皿2枚と深皿、焼網が付属している。角皿にはスリットが開いていて、このすき間から熱風が通ってムラのない調理ができる仕組み
取扱説明書とクッキングブックが同梱

 まずは、「カラ焼き」をして、庫内の油を焼き切ることから。製品の加工のために使った油が板金などに残っている場合があり、調理時にいやなニオイが移ることがあるので、初めて使う際には面倒がらずに行なう必要があるのだ。

 設定画面から「お手入れ」→「脱臭」の順で選択し、換気扇を回しながら30分ほどでカラ焼きが終了。扉を開けて、冷めるのを待てば使い始めの準備は完了だ。

 扉を開け閉めする際に、ダンパーのおかげで早めに手を離しても静かにそっと閉まり「バタン!」という音がしないのがとてもいい。毎日使うものだから、こうしたちょっとした配慮が行き届いていると愛着がわくというもの。いいぞ、石窯ドーム!

最初に「カラ焼き」をする必要がある。「設定」画面から「お手入れ」を選択する
「脱臭」を選択し
カラ焼き(脱臭)にかかる時間は30分。部屋の換気扇を回しながら行なう
ダンパー扉仕様なので扉を閉める際に、早めに手を離しても静かにそっと閉まり「バタン!」という音がしない

ほっくりと甘く、蜜が入ったような焼き芋にびっくり

 手始めに挑戦したのが、350℃45分でサツマイモを焼き上げる「焼き芋」。取材時に「石焼き芋みたいな香ばしくて甘い焼き芋が出来上がるんですよ」と聞いていたが、そんな高温で45分も焼いたら真っ黒焦げになるのではないだろうか? 半信半疑のままだったが、とにかくやって食べてみるしかない。

350℃オーブンの底力が発揮できる焼き芋を試す

 レシピブックでは250g程度のサツマイモを4本とあったが、小さいものしか手に入らなかったので、8本(合計で1kg)を焼いてみることに。角皿にちょうどよく並んでほっとした。ここで気が付いたのだが、角皿にはスリットが開いているため、とても軽くて持ちやすい。そして、このスリットこそが熱風をムラなく庫内に循環させるのに役立っているというわけだ。

 レシピブックにあったメニュー番号の「438」を入力すると、カラー写真で焼き芋が表示される。「レシピ」ボタンを押すと、下ごしらえなどの手順が表示されて、わかりやすい。今回は角皿を下段にセットして調理開始。予熱は不要だ。次第にアトリエの中が焼き芋の香りで満ちてきて、何となく幸せな気分になってくる。

洗ったサツマイモにフォークで何カ所か穴を開ける
レシピでは250g程度のサツマイモを4本とあったが、小さいものしか手に入らなかったので、8本(合計で1kg)を焼いてみることに。角皿にちょうどよく並んだ
料理集のメニュー番号の画面で、焼き芋の「438」を入力
カラーで料理写真が表示されてわかりやすい
「レシピ」ボタンを押すと、下ごしらえなどの手順が表示される
角皿を下段にセットして調理開始。予熱は不要だ
さあ、8本のサツマイモがどんなふうに焼ける?
焼き上がりまでの時間は45分。自動調理だが庫内温度は350℃

 さて、45分後、黒焦げになっているかと思いきや、ところどころうっすらと焦げ目がついているくらい。熱々を取り出して両手で割ってみると、皮のところが焦げて薄くはがれ、中は濃いめの黄色でほくほくの焼き上がりだ。思わず、皮ごと口に入れてみると、甘くて香ばしくて「おいしい!」

 少し太めのお芋をさらに割ってみると、まるで安納芋のような蜜が入ったようなしっとりした仕上がりになっている。これは、ふかし芋では決してあり得ないのではないだろうか。45分は長いようにも思うかもしれないが、下ごしらえといえばフォークで何カ所かに穴を開けたことくらい。あとはオーブンに入れるだけで、ここまで正統派の焼き芋ができてしまうとは驚きだ。350℃の威力、ここにあり。

 このままでも十分だが、食べ切れなかった分は皮をはがして、つぶしておき、スイートポテトなどのお菓子にすれば、まさに絶品の仕上がりになりそうだ。

45分も焼いたら、真っ黒焦げになっていないかと心配したが、見た目はちょうどいい。室内が一気に焼き芋に幸せな香りに包まれた
焼き立てを割ってみると、黄色くほくほくの仕上がりに。皮のところがこんがりしていていて香ばしい香りがする
蜜が入ってしっとりしている部分もあり、絶品だった

オーブンに入れるだけでごちそうが完成! パーティ料理を作ってみる

 いよいよ、ここからが本番。せっかくオーブン料理が得意な「石窯ドーム」を使うのだから、下ごしらえさえしておけば、後はオーブンに入れるだけでごちそうが完成するパーティ料理をいくつか作ってみることにした。“料理男子”の息子と相談して作ることに決めたのは、彩りが美しい「チキンとカラフル野菜のオーブン焼き~バルサミコ風味」、海鮮をふんだんに入れた「パエリア」、石窯ドームならではの「薄焼きのピザ」の3種類。

 「チキンとカラフル野菜のオーブン焼き~バルサミコ風味」は、鶏肉と野菜を前日から調味液につけて置いたものをアトリエに持参したので、レシピよりは味が染みているもよう。その分、野菜の色合いはやや薄くなっているかもしれないが、そのあたりはご愛嬌。プチトマト、ズッキーニ、じゃがいも、玉ねぎ、パプリカなどがたっぷり入っていて、角皿に並べただけでもう美味しそうだ。

「チキンとカラフル野菜のオーブン焼き~バルサミコ風味」が今日のメインディッシュ
鶏肉と野菜を前日から調味液につけて置いたものをアトリエに持参

 焼き芋と違って予熱が必要のため、食材を角皿に並べている間に予熱を開始しておいた。時間の経過とともに、進行状況を示すバーが伸びて、進捗を知らせてくれる。

 厳密な時間が表示されるわけではないので、準備をしながら、何度か確認しないといけないのがやや不便。残り時間が途中からでも表示されるといいのだが。

角皿に鶏肉の皮目を上にして置き、その周りに野菜をぐるりと並べて準備完了
この料理は「予熱あり」のため、事前に庫内を予熱するためにスタートボタンを押しておく
予熱中の表示。庫内の状況に応じてバーが右にどんどん伸びていく仕組み。残り時間が出るともっとわかりやすいのだが

 予熱が終了すると、「食品を入れてください」という表示に変わる。「上段」か「下段」かを迷うが、この画面で確認できるので安心だ。下段に角皿をセットして調理開始。18分後、調理終了の合図とともに扉を開けてみるとやや鶏の焼き色が薄いように感じて、追加加熱することにした。「延長」ボタンを押すと、時間を選べるようになっているので、1分追加。

 このメニューの自動調理のデフォルトでは230℃になっているが、延長して調理する場合に温度を自在に変えることもできる。「時間の延長は他のオーブンレンジでも出来るけれど、出来上がり具合に合わせて温度設定もこの画面で変えられるのはすごい。これは便利でいい」とは、息子の弁。今回は温度設定は230℃のままで1分だけ延長した。

予熱が終了すると、「食品を入れてください」という表示に変わる。「上段」か「下段」かを迷うが、この画面で確認できるので安心だ
いよいよ下段に角皿をセットして調理開始
オーブンでの調理時間は18分
18分後、調理終了の合図とともに扉を開けてみるとやや鶏の焼き色が薄いように感じて、追加加熱することに
「延長」ボタンを押すと、時間を選べるようになっているので、1分追加
このメニューの自動調理のデフォルトでは230℃になっているが、延長して調理する場合に温度を自在に変えることもできる。今回は温度設定はそのままにした

 1分後に再び扉を開けるとちょうどいい焦げ目が付いている。肉と野菜の良い香りが部屋中に広がって幸せな気分になる。鶏肉を取り出してカットしてみると、中まで火が通っており、とてもジューシー。皮目はこんがり焼けていて香ばしい。

 思わず野菜を一つつまんで口に入れてみると、バルサミコとしょうゆをベースにした味付けが絶妙で、そこに肉のうまみが染み込んで非常に美味! 盛り付けをする息子もさらに気分が上がっている様子で、オーブンを使うのがどんどん楽しくなってくる。

1分後に再び扉を開けるとちょうどいい焦げ目がついている。肉と野菜の焼けた香りが部屋中に広がって幸せな気分に
鶏肉を取り出してカットしてみると、中まで火が通っており、とてもジューシー。皮目はこんがり焼けていて香ばしい
思わず野菜を一つつまんで口に入れてみると、肉のうまみが染み込んで非常に美味! 盛り付けを担当する息子もさらに気分が上がっている様子
「チキンとカラフル野菜のオーブン焼き~バルサミコ風味」の盛り付け完了!

“自分史上最高のパエリア”が出来上がった

 続いては「石窯ドーム」ならではの深皿を使って「海鮮パエリア」を作る。レシピに従って米を均一に敷き詰め、サフラン入りのスープを投入したら、玉ねぎとベーコンのみじん切りを入れ、きのこ類や野菜、生鮭を散らしていく。深皿の底が透けそうだったお米の上にいつのまにか潤沢に具材がのっかり、豪華さが増していく。最後にアサリやエビ、イカなどをのせたら準備は終了。上段にセットして40分かけて焼き上げる。

続いては深皿を使って海鮮パエリアを作る。レシピブックのお米の分量は220g(約1.5合)とかなり少なめ
サフラン、白ワインなどを入れた調味液(スープ)を投入
玉ねぎ、ベーコン、きのこ類、生鮭などをのせる
エビ、アサリ、イカなどを最後に並べて準備完了。かなり豪華な食材に

 40分待つ間に息子と話題にあがったのが「パエリアの正解を知らないかもしれない」ということだった。自宅には丸くて薄手の「パエリア鍋」があり、これを使ってガス火で何回も作ってきたし、時には温度管理をしやすいホットプレートを使うこともあった。

 さまざまなレシピ本を参考に作ってみたのだが、総じていえるのは「お米がアルデンテ=芯が残っているような、硬すぎるような仕上がり」「中央部は少しベチャッとしているのに、ふちのほうは焦げていたりする」「具材に味がしないから上から何か調味料を足したくなる」などなど。

 話しているうちに心配になったのが、「ホットプレートではふたをするし、パエリア鍋の場合もアルミホイルで上を覆う」のに、深皿をふたなしでオーブンに入れて上手に炊き上がるのだろうか?ということ。この時点で、2人ともパエリアの仕上がりに全く期待しておらず、「サフランは高いし、海鮮もこんなに入れたのに失敗したら悲しいよね」という話まで。いやはや、せっかく盛り上がっていた気分がどうして……。

「海鮮パエリア」を選択
深皿は上段にセットする模様
予熱なしでオーブンにセット
調理時間は40分。炊飯器でごはんを炊く場合も50分程度かかるので納得のいく時間

 そして40分後。扉を開けると得も言われぬ美味しそうな香りにノックアウトされ、取り出した深皿の中の美しい仕上がりに「これはかなり期待できるかも!!」と気分が急激に上がる。

 何より美味しそうなのは、ふっくら艶々としたごはんだ。これまでのアルデンテ過ぎる仕上がりではなく、たっぷりと魚介やスープのうまみを吸い込んで限界までふくらんだ1粒1粒の見事なことといったら!

40分後、見た目はいい感じ! 焦げ付いているところもなく、絶妙な炊き上がりに

 お皿に取り分けるのも待ち遠しく、直接深皿にスプーンを差し込んでそれぞれ1口ずつごはんをすくって食べてみると、「うまい!!」「おいしい!!」息子も私も思わず叫んでしまうほどの出来栄え。リゾットほど柔らかいわけでもなく、けれどパサつき感は皆無のしっとりとしたうまみたっぷりのごはん。

 「そうか、このごはんと海鮮を一緒に口に入れるからもっと美味しくなるわけだ」――新たな気づき。たった1.5合のお米でも、レシピ通り5人前に仕上がったことにも驚き、この日、私たちはそれぞれ“自分史上最高のパエリア”に出会い、感動したのだった。

息子いわく「これまでで一番おいしいパエリアを食べた気がする」とのこと
1.5合のお米では4~5人分のパエリアには足りないのでは? と思っていたが、取り分けてみるとちょうど5人分に

 熱風対流で深皿全体を包み込むようにムラなく火を通す“オーブン調理”の真骨頂をここに見たという気分。深皿の便利さにも感服。さあ、次はピザだ。

クリスピータイプのピザに挑戦

 毎週金曜の晩に、息子が生地から手作りのピザを焼いてくれるのがここ1~2年の習慣になっている。このピザはいわゆる“パンピザ”でふっくらした食べ応えのあるタイプ。今回、石窯ドームで試す「トマトとモッツァレラピザ」は、薄くクリスピーなタイプで生地づくりから全く異なる。

左が今回使うピザ生地。右の大きめのかたまりは、いつも自宅で作っている「パンピザ」タイプのもの

 比較のために、いつもまとめて作って冷凍してあるピザ生地(丸く伸ばす前のもの)も持参してくれたのだが、かたや大きな豚まんくらいの大きさ。今回作るものは小籠包程度の小さなかたまりで、伸ばすのに相当苦戦していた。

 レシピ通りの生地はかなり硬めで伸ばしにくいが、薄焼きのピザを作るにはここを突破しないといけない。汗をかきながらピザ生地伸ばしに奮闘の末、レシピ通りの直径23cmの生地が完成した。

汗をかきながらピザ生地伸ばしに奮闘する息子
直径23cmにこだわり、何度もチェックしながら伸ばしていく
レシピ通りの生地はかなり硬めで、伸ばしにくいが、薄焼きのピザを作るにはここを突破しないといけない
ついに直径23cmの生地が完成!

 350℃まで庫内の温度を上げるために、事前に予熱が必要なので、この時点でオーブンの予熱を開始。ピザの場合は角皿自体の温度を上げるため、予熱の段階で角皿もセットしておく。予熱中に、ピザ生地にトマトソースを塗り、水気を切ったモッツァレラチーズをのせて準備完了だ。

アルミホイルに薄くオリーブオイルを塗ってから生地を置くのがポイント
トマトピューレ、ニンニクのすりおろし、オレガノ、塩を混ぜて作ったトマトソースを塗ると、だいぶピザらしい風景に
水気を切ったモッツァレラチーズをのせて準備完了

 予熱までにかかった時間は20分強。少し長めだが、ピザをオーブンに入れてからの焼き時間は4分30秒と短時間なので、庫内温度をいかにしっかり上げておけるのかがポイントになりそうだ。予熱が終了したら、いったん角皿を取り出し、扉をすぐに閉めて温度が下がらないようにする。アルミホイルごとピザを角皿に移す作業では、角皿が高温になっているのでやけどをしないようにとかなり緊張した。

 素早くオーブンに入れ、調理を開始。LEDの庫内灯が上下に2個ついていて、中の様子を確認できるため、ずっとのぞきこんで変化を見てしまう。4分を過ぎるころにモッツァレラチーズが溶け出し、ピザ生地全体に広がって、ふつふつとし始めた。

トマトとモッツァレラピザのメニューを選択。ピザは350℃まで庫内の温度を上げるために、事前に予熱が必要
角皿を下段にセットしてから、予熱を開始する
予熱までにかかった時間は20分強
予熱が終了したら、いったん角皿を取り出し、アルミホイルごとピザを角皿に移す。角皿が高温になっているので緊張する
素早くオーブンに入れ、調理を開始。4分30秒で果たして焼き上がるのか!?

 調理終了の合図とともに扉を開けると、ピザのふちもこんがりと焼けている。アルミホイルの下に大きめのターナーを差し込んで木製のトレーに移す時にも、生地の柔らかさが感じられず、パリッと焼けている感じが伝わってくる。バジルを散らして、そっと裏面を確認してみると、良い感じに焦げ目がついている。これは素晴らしい。

調理終了の合図とともに扉を開けると、見事なチーズの溶け具合。ピザのふちもこんがりと焼けている
バジルの葉を散らして出来上がり!
ふちが色よく焦げて、サクサクの生地の様子が見て取れる
ピザの裏面もご覧のように焦げ目がついていて大成功!

 最後に、「チキンとカラフル野菜のオーブン焼き~バルサミコ風味」で角皿に残っていたソースを茹でたてのパスタにからめ、野菜を少し散らして、もう1品。彩りの美しい、パーティ料理が完成した。急いで写真を撮った後、ピザの焼き上がりを試食すると、「こういうのが食べたかった!」という上々の出来栄え。ふちのほうはサクサクとして、中心部は少ししっとり感もあってトマトソースとチーズのハーモニーが絶妙だ。

 その後、時間が経って冷めてしまったものも口にしたのだが、「冷めてもさっくりおいしい!」というのが共通した感想だった。焼き時間は短時間だが、高温でしっかり火が通っていて余分な水分が残っていないため、ちっともベチャッとしないのだ。がんばって生地をこねた甲斐があったと息子も満足げ。ここまで頑張らなくとも、市販のチルドのピザ生地を使ってピザを焼いても、きっと極上の焼き上がりになることだろう。

「チキンとカラフル野菜のオーブン焼き~バルサミコ風味」で角皿に残っていたソースを茹でたてのパスタにからめ、野菜を少し散らして、もう1品。彩りの美しい、パーティ料理が完成した

お急ぎ解凍もごはんの温めも超優秀

 「石窯ドーム ER-PD7000」は、高温のオーブン調理だけでなく、高精度ダブル赤外線センサーで1,025カ所を検知しながらムラなく温める“レンジ機能”の進化も大きな特徴だ。そこで、冷凍しておいたひき肉を解凍して、カレーを作ってみた。深皿と角皿を使った上下2段の同時調理で、焼き野菜もできるお助けレシピがある。20分で出来上がるカレーも興味深い。

 まずは「3つの解凍」の中から「お急ぎ解凍」でひき肉を解凍する。250gのひき肉がわずか8~9分程度で解凍できて、「お急ぎ」の名にふさわしい印象だ。解凍具合もドリップが出ることもなく、ちょうどいい。中央部のみ、フォークを差し込むのに少し力が入る程度のさっくりした解凍具合だった。これなら上出来だ。

冷凍ひき肉の解凍具合はいかに?
「毎日2」の画面から「3つの解凍」を選択
解凍のモードは「お急ぎ解凍」「スチーム全解凍」「さしみ半解凍」の3種類。「お急ぎ解凍」で解凍した
250gのひき肉が8~9分程度で解凍できて、かなりスピーディな印象。ドリップが出ることもなく、ちょうどよく解凍されている。中央部だけがややさっくりした感じだった

 深皿を使ったカレーは、薄切りにした玉ねぎ、解凍したひき肉、刻んだカレールーなどをすべて深皿に入れ、よく混ぜ合わせたところに、700mlの熱湯を投入して全体を混ぜ合わせるというのが下ごしらえになる。

 生肉の上にお湯を注ぐのにはびっくりしたが、カレールーを溶かすように全体をかき混ぜていると、ひき肉の色が変わってきて「あとは煮こむだけ」といった風情になり、おもしろかった。角皿にはオリーブオイルと塩をまぶした根菜類などを重ならないように並べておく。

オーブン予熱中に下ごしらえ。薄切りにした玉ねぎ、解凍したひき肉、刻んだカレールーなどをすべて深皿に入れ、よく混ぜ合わせる
700mlの熱湯を深皿に投入して全体を混ぜ合わせる。生肉の上にお湯を注ぐのは初めての経験
カレールーを溶かすように全体をかき混ぜていると、ひき肉の色が変わってきた
レンコン、パプリカ、かぼちゃ、ナスなどの野菜はオリーブオイルと塩をまぶして角皿に重ならないように並べる

 予熱にかかる時間が12分なので、予熱を開始してから下ごしらえを始めると、ちょうどいいタイミングになった。カレーの入った深皿を上段に、野菜を並べた角皿を下段にセットしたら、20分間待つだけでいい。今回はフレークタイプのルーを使ったせいか、とろみの少ない仕上がりになったが、何回か作るうちに好みの味やとろみ具合になるようにルーや調味料を調整していけるだろう。

 冷蔵庫にある食材を使って、さっと下ごしらえしたら、オーブンに入れておくだけで、焼き野菜もたっぷり食べられるカレーが作れるのだから、忙しい毎日の献立にも大いに活躍しそうだ。

予熱終了までは12分程度。ちょうど下ごしらえが終わったので、カレーの入った深皿を上段に、野菜を並べた角皿を下段にセットする。調理時間は20分
扉を開けるとカレーのいい匂い。野菜の焼き加減も上々だ。フレークタイプのルーを使ったせいか、少しとろみの少ないカレーとなった

 カレーに添えるごはんも、冷凍しておいた玄米を使った。ごはんの温めは常温や冷蔵、冷凍など温度に関係なく、すべて「毎日1」→「ごはん」を選択すればいい。温めが終了して取り出してみると、過加熱ということもなく、炊き立てのようなちょうどいい頃合いの温め具合で「これはいい」と実感できた。

 ごはんの温めは、毎日の暮らしの中で一番活用されるところだと思うので、その仕上がりが満足のいくものになるかは、とても重要。オーブンだけはなく、解凍も温め直しもバッチリという説明に嘘偽りはなかったと納得できてうれしかった。

カレーに合わせるために、冷凍しておいた玄米を解凍。温度に関係なく、ごはんの温めについてはすべて「ごはん」を選択すればいい
冷凍ごはんもムラなく絶妙な温度で温めができた
加熱しはじめのときは目盛表示だけで、残り時間はカウントされない
最後の目盛りに近づいたところで残り時間が33秒と表示された
冷凍ごはん&冷凍ひき肉を活用し、同時調理で仕上げた「ごちそう焼き野菜カレー」
甘みが際立って、かぼちゃもホクホク。特に焼き野菜が絶品だった

「オーブン料理って楽しくて美味しい!」を実感

 お料理を作ってみた後で気になるのが、庫内の汚れやニオイ。毎回とはいわなくても、こまめにお手入れをすることでずっときれいに使える。石窯ドームには、スチームで庫内の汚れを落ちやすくしてくれる「手間なしお手入れ」コースがあるのが便利だ。

 給水タンクに水を入れたら、たった3分で終了。庫内が冷めたあとでキッチンペーパーで拭き取ってみると、思った以上に汚れていてびっくりした。

 今回は庫内は空のままスチーム洗浄したが、油汚れが気になる角皿や、食材がこびりついてしまった深皿なども庫内にセットして「手間なしお手入れ」をすると、汚れが一気に落ちやすくなる。これはどんどん活用するといいだろう。こまめにお手入れをすれば、いつまでも気持ちよく使えることを実感した。

「設定」画面から「お手入れ」を選択
「手間なしお手入れ」を選択
給水が必要と表示された。給水タンクは、オーブンの中央下部にあるので、手前に引き出して給水する。タンクは横長でコンパクトだ
庫内にスチームをまんべんなく行きわたらせるのにかかる時間はわずか3分
終了後に扉を開けると、ものすごい量のスチーム!
全体を拭き終わると、こんなに汚れが! 庫内は丸みがあるのでとても拭きやすかった

 「石窯ドーム」をお借りして、ひと通り料理をしてみて思ったのが、「オーブン料理って本当に楽しくて、出来上がったお料理が美味しいんだな」ということ。下ごしらえさえしておけば、あとはおまかせで極上の仕上がりになるのだから魅力的だ。チキンの料理などもそうだが、食材を奮発しなくても石窯ドームで作ると、いつものごはんさえ“ごちそう”に変身すると言ったら言い過ぎだろうか。

 料理好きの息子も、スチームや過熱水蒸気やレンジの力を使わずに「高火力と熱風循環」の力で焼き上げるまさに“王道”ともいえるオーブン調理の力にかなり感服していた様子だった。ピザはさらに生地を究めて、薄くても引きのある仕上がり感を実現させたいと言っている。

 お料理好きな人も、毎日のごはんを手間をかけずに格上げしたい人にも、「石窯ドーム ER-PD7000」はおすすめだ。

協力:東芝ホームテクノ

神原サリー

新聞社勤務、フリーランスライターを経て、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」べく、家電分野を中心に執筆やコンサルティングの仕事をしています。モノから入り、コトへとつなげる提案が得意。生活家電・美容家電分野の記者発表会にはほぼすべて出席。企画・開発担当者や技術担当者への取材も積極的に行い、メーカーさんの現場の声を聞くことを大切にしています。