家電レビュー

ニトリの加湿セラミックヒーターは小さいけどパワフル! 子供部屋など個室におすすめ

ニトリの「加湿人感セラミックヒーター KH03」

すぐに温風が出てきて暖まることができるセラミックヒーター。個室などの小さな空間で使うのにぴったりです。一方で空気が乾燥する時期は加湿器と併用したいところですが、両方購入するとお金がかかり、場所もとります。

そこで1台2役のニトリ「加湿人感セラミックヒーター KH03」を使ってみることにしました。この製品は、暖房と加湿を同時に行なうことができます。しかも、7,490円と手頃な価格も魅力。暖房と加湿の能力は、どの程度効果があるのか、いろいろ試してみました。

お手頃価格、ニトリの家電を使ってみました

安全面にも配慮があり、安心して使える

KH03はヒーターと加湿器の機能を備え、サイズは330×143×386.5mm(幅×奥行き×高さ)、重さは4kgとコンパクトな製品です。暖房機能はセラミックを使用したセラミックヒーター、加湿機能は加湿フィルターを通した水を気化させて加湿する気化式です。

小さいボディが魅力。小さめの個室向きです
水タンクを備えており、加湿器としても使えます

吹き出し口にあるつまみを手動で動かせば、上方向15度の範囲で温風の角度を調整できます。また、1/2/4時間で設定できる切タイマー機能があり、タイマー設定をしていなくても、安全のために約8時間後には自動で停止します。転倒オフスイッチ、温度過昇防止機能なども搭載されており、安全面も配慮されているので安心して使えます。

吹き出し口は正面の下にあります。ルーバーを手動で動かすことができます

また人感センサー付きで、オンにしておくと上下方向約90度、左右方向約90度の範囲に人が入ると人感センサーが作動します。人の動きを約2分間、感知できないと自動的に運転を停止します。センサーはオンオフの切り替えが可能。人がいないとき、無駄に運転することがないので節電にもつながります。

人感センサー付き

加湿機能はパワフル! 部屋の湿度はどんどん上がる

加湿適用床面積は、鉄筋洋室7畳向け/木造4畳。実際に使ってみたのは、古い木造住宅の6畳です。スペック上でみると条件は4畳までということで少し不利となりますが、温度と湿度の変化を計測してみました。

加湿機能を使う場合は、最初に水タンクに水を入れます。タンク容量は2.2L。加湿量は条件にもよりますが、H(強)で250ml、L(弱)で150ml、連続加湿時間はH(強)で8時間、L(弱)で約13時間となっています。

上部にボタンがあります。シンプルな家電なので操作も迷いません
水タンクに水を入れます。水タンクは半透明なので水の有無が一目で分かります
水タンクの給水口は小さいので手を入れて洗うことはできません

トレイを引き出すと、青い加湿フィルターがあります。水を入れるとトレイに水が溜まり、加湿フィルターが水に浸されます。そこに風が当たって、湿った風が出てくる仕組み。ヒーターをH(強)またはL(弱)にすると、暖かい風をフィルターに当てるので加湿力が上がり、ヒーターを使わない「送風」にすると風を当てるだけになるので、加湿量は下がります。

トレイを引き出したところ
加湿フィルター。ここに風を当てて水を気化させます

出力はH(強)が1,000W、L(弱)が500Wで、それぞれ湿度の高い、暖かい風が送風口から出てきます。最初にH(強)で1時間計測しました。温湿度計は部屋の対角線上の一番離れた場所で、高さは1mほどのところに置きました。

H(強)では湿度、温度ともに右肩上がりですが、特に上がっているのは湿度で21%も上昇。室温は3℃弱上昇しました。部屋に入ると、湿度が高くなっていることもあって、室温以上に暖かく感じました。1時間で止めていますが、このまま運転していたらまだ上がりそうな気配です。最終的な湿度は70%でした。

温度・湿度ともに上昇しています。1時間で最終的には70%ほどになりました

L(弱)では湿度で11%、室温は2℃上昇しました。H(強)ほどではありませんが、500Wでも十分暖かく感じます。

比較的湿度は順調に上がっていますが、温度については緩やかです

なお、送風のみにすると湿度は上がりますが、室温は2℃ほど下がってしまいました。室温と水温にもよりますが、冷たい水に風を当てているので、寒い日に送風のみで加湿をすると冷えることがあるので注意が必要です。

コンパクトなボディからは想像もできないパワフルな性能を実感できました。本来であれば木造住宅では4畳程度が最適ということですが、6畳でもこれだけの効果があるので、十分パワフルと言えるでしょう。

ただ、加湿能力については湿度が上がり続けるので注意が必要です。温度・湿度センサーはなく、「60%程度で止めておきたい」といった使い方はできません。今回もH(強)では70%を超えており、まだ上がりそうな気配だったので、結露などの心配がありました。手動で加湿機能だけオフにしたいところですが、加湿機能を使わない場合は水タンクを空にする必要があります。この点が少々面倒だと感じました。

また、使用中に水タンクが空になってもブザーなどのお知らせはないので、水タンクの状況は目で確認しなければなりません。

H(強)で使うと電気代は注意が必要

性能に関しては想像以上に優秀でしたが、消費電力は高いので使い方は注意が必要です。H(強)の消費電力は1,000W、L(弱)は500W。コンパクトなボディで一見電気代も安そうに見えますが、消費電力は高く、電気代は高めです。

4~6畳の場合、エアコンであれば消費電力は500W程度です。KH03は、H(強)で1,000Wなので、1時間約31円。8時間運転すると、248円となります。加湿機能を兼ねているので、加湿器を使わずに済みますが、それでも1日中運転すると電気代はそれなりにかかります。ただ、使用するのが短時間、またはつけっぱなしでもL(弱)でよければ、気化式加湿器も兼ねているので、それほど「高い」ということはありません。

またお手入れはカンタンです。使用後は水タンクの水を抜き、トレイなどもサッと洗っておきます。加湿フィルターは定期的にクエン酸で洗浄し、12~18カ月(1日8時間使用した場合)使用したら交換します。ただ、この加湿フィルターはニトリネットでは見つけることができませんでした(2024年1月10日現在)。お取り寄せ商品とのことですが、もう少し手軽に入手できるようにしてほしいものです。

ふだんはホコリの侵入を防ぐ背面フィルターも、掃除機で吸えばOK
外すことができるので、ホコリが詰まったら外して水洗いもできます

手頃な価格が魅力の使いやすい1台2役の加湿セラミックヒーター

使ってみて気になった点は、まず温度・湿度センサーが搭載されていないことです。また、ヒーターと加湿機能を同時に使う場合、途中で加湿機能のみをオフにすることが難しく、水タンクを空にする必要があります。さらに本体価格は手頃ですが、電気代がやや高額なのは購入前に留意すべきポイントです。

一部気になる点はありましたが、この製品は暖房器具としての性能に加え、加湿器としても満足できるものでした。予想以上にパワフルで、6畳の木造和室でも十分な暖房効果を発揮しました。寒冷な冬でも、温度と湿度を調整することで喉や肌の乾燥を緩和し、快適な空間を提供してくれます。安全性にも充分な配慮があり、子供のいる部屋でも安心して使用できそうです。総じて、バランスがよい製品だと感じました。

石井 和美

家電プロレビュアー。白物家電や日用品のお役立ちグッズなどを中心に製品レビューを得意とする。テストスペースとして守谷市に一戸建てタイプの「家電ラボ」開設し、冷蔵庫や洗濯機など、大型家電のレビューも行なっている。レビュー歴10年以上。

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