家電レビュー

パナの「変形する」掃除機、一人暮らしの決定版かも

セパレート型コードレススティック掃除機「MC-NS70F」

自動ゴミ収集機能(クリーンドック)を備えたパナソニックの「セパレート型コードレススティック掃除機 MC-NS70F」を、自宅で使ってみた。同機の特徴は、掃除後に自動でゴミ収集する「クリーンドック」を備えているほか、ノズル先端が「変形する」こと。

クリーナー本体のゴミを吸引するクリーンドックを備えている
ノズルの左右に広がる部分が可変
障害物があると、ノズルの左右が畳まれる

結論としては、一人暮らしのワンルームや子供部屋用に購入したいなど、特定の狭いスペースを想定しているのなら、とても便利な掃除機。ただし、広範囲を掃除するのには全く向いていない。そのため、一般家庭のメイン機として購入するのにはおすすめしない。もし広めの部屋をガンガン掃除したいという人なら、同じ「セパレート型コードレススティック掃除機」の別モデルを検討すると良いだろう。

ということで、今回使ってみた「MC-NS70F」の性能や使い勝手といった実力を紹介していきたい。

狭い場所でも設置しやすいスリムな外観

「MC-NS70F」は、充電ドックとしても使える自動ゴミ収集機であるクリーンドックを備えている。掃除機がけが終わって、掃除機本体をクリーンドックにカチッと設置すると、そのたびに掃除機の本体内に溜まったゴミやホコリを、クリーンドックが吸い取ってくれる。掃除機は部屋をキレイにし、その掃除機をクリーンドックがキレイにしてくれるため、人が毎回ゴミ捨てをする手間が大きく省けるのがメリット。

クリーンドック
ノズルの先端をクリーンドックに差し込んで、カチッと立て掛ける
クリーナー本体をセットすると、掃除機の本体内に溜まったゴミやホコリを、クリーンドックが吸い取ってくれる

掃除機本体は、毎回ダストボックスが手間なくキレイな状態になり、吸引力を落とすことなく使い続けられる。

当然、クリーンドック内に溜まったゴミやホコリを、いつかは人が掃除しなければならない。必要なメンテナンスの頻度は、何週間かに1度。しかも、クリーンドックは紙パック式を採用しているため、その紙パックを本体から取り出して、ポイッと捨てるだけ。一般的な掃除機のように、ダストボックスをキレイにする過程で、ホコリと格闘する必要がないのだ。

これはとてもラクだし、メンテナンス時のストレスが大いに軽減できる。

メンテナンスは、クリーンドックを開けて、紙パックを取り外して捨てるだけ
取り外した紙パック

ちなみに紙パックの型番は「AMC-U2」。同機の専用ではなく、同社製の他のモデルでも使用されている紙パックだ。価格は10枚入りで1,210円だが、量販店などではもう少し低価格で販売されている。これを取り替えるだけで、メンテナンス時にホコリと格闘しなくて済むなら御の字だろう。

スリムなので、あまり置く場所を選ばない

単なる充電スタンドではなく、ゴミ収集機能を内蔵するクリーンドックと聞くと、製品が届く前には「広い設置スペースが必要なのでは?」と推測していたが、実際に製品を見てみると、とてもスリム。

一般的な充電スタンドよりも奥行きが必要とはいえ、横幅に関しては13.4cmに+5cmほどのスペースがあれば無理なく置ける。ちなみにクリーンドックの電源ケーブルが、本体の側面から出ているため、前述した「+5cm」くらいの余裕が欲しいところ。いずれにしても同機は一人暮らしのワンルームなどで使うことが想定されている。そのため、とにかくスリムな設計だ。

さらに外観がスッキリとしたデザイン。部屋のすき間に設置できなければ、壁際など、邪魔にならない場所に置いておけば良いだろう。

スリム設計なので使わない時にも邪魔にならない
側面から電源ケーブルが出ているため、その分のスペースも確保する必要がある

小さなノズルだけど意外に吸引力は高い!

ノズル(クリーナーヘッド)部分の形が可動式なことも、特徴の一つ。一般的な掃除機と同様に、クリーナーヘッドがT字形になっているが、その左右に広がった部分が、物に当たると前後に動くのだ。

例えば15cmくらいのすき間に、ノズルを突っ込むと、左右の羽根が畳まれて、そのまま掃除できる。もしくは椅子やテーブルの脚部に当たれば、また畳まれるので、いちいち先端の向きを縦横に回す必要が無く、掃除がしやすい。

例えば壁際を掃除する時には、突き出たノズルが畳まれる
狭い場所も、ぐいぐい入れていける
ノズルの左右が畳まれて、そのまますき間に入れて掃除できる

実際に使ってみる前には、小さめなノズルを見て「これでゴミが吸い取れるのか?」と不安を感じた。もちろんノズルの真ん中は問題ないだろうが、左右に広がっている部分で、吸い取れるものなのかが疑問だったのだ。

ちょっと頼りないノズル部

使ってみると、どうやらゴミやホコリを吸い取っているらしい……。だが、どうにも不安が払拭できなかったため、紅茶の葉を畳の上に撒いて、吸引力のテストを行なってみた。

結果は、急がずに往復すればほとんどの葉が吸い取れた。ほかの掃除機と比べて吸引力が強力とは言えないが、まぁまぁの吸引力だ。

吸引力をテスト

これであれば、しっかりと掃除できているはず。またノズルが可変なので、床に広がった子供のおもちゃやバッグなどに当たると、ノズルの左右が畳まれる。そのため障害物が多くても、グイグイ掃除できるのだ(もちろん掃除前に片付けた方が良いというのは、言うまでもない……言うまでもないのだが、面倒な時もある)。

一人暮らしのワンルームには最適な掃除機

我が家は狭いとはいえ、いちおう3人家族が暮らすのに困らない程度の広さはある。そうした家で、今回の「MC-NS70F」は、正直、力不足。ただし、筆者が一人暮らしをしていた頃に、同機があれば、欲しかったなと強く感じる。

その理由はいくつもあるが、最も大きいのが、やはりクリーンドックだ。これのおかげで、掃除機の本体をメンテナンスする必要は、ほとんどなくなる。メンテナンスをしなくても、吸引力が落ちる可能性が軽減でき、さらに清潔性も保てる。またクリーンドックが紙パック式というのも良い。一人暮らしで、紙パックを面倒がらずに定期購入できるか? は分からないが、今は通販でポチッと簡単に購入できる。

もし一人暮らしをしていて、メンテナンスなどの手間がなく使い続けられる掃除機を探しているのなら、パナソニックの「MC-NS70F」は、かなり有力な候補として挙げて良いだろう。

河原塚 英信