家電レビュー
ダイキンの遠赤+温風暖房で足元の寒さ解消! 季節の変わり目にも使いたい
2024年2月16日 09:05
部屋全体を暖めてくれるエアコンは便利ですが「家族がいる狭い範囲だけ暖めたい」「帰宅後すぐに暖まりたい」といったニーズには向いていません。こんなときに便利なのが電気ストーブをはじめとしたスポット暖房です。
この冬に話題になったスポット暖房といえば、ダイキン工業(以下、ダイキン)の「ハイブリッドセラムヒート WRH134AS-H」。直販価格は7万円オーバーと強気な価格設定ながら、人気となったこの製品はどこが魅力なのか? 自宅で1カ月使ってチェックしてみました。
他にはないスタイリッシュさのセラミックヒーター
ハイブリッドセラムヒートはセラミックヒーターを採用した電熱ヒーターです。面白いのが上下に分かれた独特の構造で、上部は輻射式セラミックヒーター(セラムヒート)、下部は温風が吹き出すセラミック「ファン」ヒーターになっています。それぞれの方式から暖め方を選択できるほか、輻射・温風両方を同時に利用できることから「ハイブリッド」という名称がついています。
実際に家に設置した感想は……とにかくカッコイイ! もともとダイキンは温風機能のない「セラムヒート」を定番人気製品として販売しています。しかし、こちらはヒーター部を保護するパネルが網状でいかにも「電熱ヒーター」というデザイン。
一方、ハイブリッド セラムヒートはパンチングを施したパネルデザインで、本体形状も正面から見ると正方形に近いシンプルソリッドな見た目です。現代的暖炉のような、高級感のあるモダンデザインになっています。
電熱ヒーターやセラミックファンヒーターは速暖性がありスポット暖房として魅力的ですが、正直「シンプルでスタイリッシュ」な製品が少ない家電でもあります。このデザインだけで「買い」という人もいるのではないでしょうか?
これがセラムヒートの力? 熱くはないのに足ポカポカ
見た目の良さだけではなく、もちろん機能にも特徴があります。メインの暖房方式である「セラムヒート(輻射)」は、いわゆる「遠赤外線ヒーター」。つまり、光が障害物に吸収されるときに熱を発する暖房タイプです。世の中にはさまざまな遠赤外線ヒーターがありますが、ダイキンによるとセラムヒートは「(遠赤外線のなかでも)人間の身体に吸収されやすい波長」を放出するのが特徴だそうです。
ここからは実際にハイブリッドセラムヒートを使ってみます。操作方法は簡単で、暖房方式を「セラムヒート(輻射)」か「ファン(温風)」、「ハイブリッド(輻射&温風)」から選択しておき、あとは本体上部にあるダイヤル(運転/パワー調節ツマミ)を右回りにひねるだけ。ちなみに、このダイヤルには目盛りがないため、回す角度は感覚的なものになります。パワフルに運転したいときは一番右側までひねり、ゆるく運転したいときは少しだけ回すのです。
基本的に、室内温度が低い時はパワフルに動作。室温が一定以上に上がると設定されたパワーにあわせて出力を調整します。遠赤外線ヒーターの多くは「200W/600W/1,200W」のようにパワーを自分で選択できるものが多いのですが、ハイブリッドセラムヒートはヒーターが自動的に「ちょうどいい感じ」にあわせてくれるのです。
室温にあわせていちいち設定を変更しないでいいのはなかなか便利。とはいえ、暖かい部屋に帰宅した直後など「部屋は暖かいけれど、フルパワーで暖まりたい」という場面もありました。このあたりは、今後切り替えができると嬉しいですね。
気になる暖かさもチェックしてみました。まずは1m離れた場所に立って、セラムヒート(輻射)だけを使ってフルパワーで暖房してみました。
暖房前の床の温度は約6℃と冷え冷え! 足のつま先も8℃弱で手で触るとかなり冷たいです。セラムヒートで10分運転すると、床温度は16℃近くまで上昇。つま先もほぼ20℃まで温まりました。膝部分はそこまで上がっていませんが、足先が温かくなったからか身体はポカポカしてきました。
10分ほどで足先が温まりはじめ、20分ほどで身体全体がポカポカになりました。実際に使った印象は「暖かさが優しい」ということ。電熱ヒーターによっては正面に長時間立つと刺すような熱さを感じる製品もありますが、セラムヒートは暖かいベールに包まれるような、ジワジワとした優しい暖かさを感じました。ただ、遠赤外線が当たっている部分と当たらない部分で熱にムラはあります。これは遠赤外線ヒーター全体の特徴といえます。
ハイブリッド運転なら全体をムラなく素早く暖かく
次にセラムヒートと温風のハイブリッド運転を試します。こちらはセラムヒートと同時に、輻射運転で発生した熱を回収し、温風を吹き出すという運転方法。ジワジワゆっくり体温を上げるセラムヒートに対し、ハイブリッド運転は温風が直接足に当たるのが特徴的。輻射熱だけより暖まるスピードは格段に早いと感じます。
ただし、筆者は風が当たる部分は熱が拡散するように感じることもありました。このため、個人的には身体が一定以上温まったあとは、セラムヒート(輻射)のみの運転にしたほうが身体が芯まで温まると感じました。このあたりは個人の感じ方もあるので、好みで運転方法を調整すればいいと思います。
ちなみに、ハイブリッドセラムヒートは運転方法によって出力できるパワーが異なります。ハイブリッド運転と輻射運転時は250~1,100W、温風運転時は250~1,250Wでの運転が可能です。
子供やペットがいる家庭に嬉しい安全性の高さ
ところで、ハイブリッドセラムヒートを使っていて驚いたのが安全性への配慮です。一番の驚きが、前面パネルが思ったほど熱くならないこと。通常モード時は表面温度85℃以下、ひかえめモードに設定すれば50℃以下に抑えることができます。
安全のために運転中はパネルを触ってはいけないのですが、一度、運転開始10分後に触ってみたところむしろヒンヤリとしていました。子供やペットがいる家庭ではかなり嬉しい配慮ではないでしょうか?
このほか、電気代が気になる家庭向けに「人感センサー」「リズム」機能も搭載。人感センサーは人がいなくなって約10分後に出力を抑え、さらに5分、人がいないと電源を切るモード。リズムモードは暖房出力を上下させることで、消費電力を約15%カットするというモードです。とはいえ、正直この2つのモードは我が家ではあまり利用されませんでした。
「どの家庭にもオススメ」の製品ではないけれど……
1カ月ハイブリッドセラムヒートを使用した感想は「家庭によってはかなり便利!」というもの。そもそもハイブリッドセラムヒートをはじめとする遠赤外線ヒーターはスポット暖房です。このため、極寒の部屋全体を暖めるのには向いていません。
我が家ではエアコンの設定温度を低めに設定し、肌寒さをハイブリッドセラムヒートで解消する……という使い方をしていました。エアコン暖房時はどうしても暖気が天井側に逃げて足が冷えやすいのですが、セラムヒートは冷えやすい足元を暖房するのに最適。そのうえ、エアコンより格段に早く足元が温まります。
春に向けて「エアコンをつけるほどでもないけど肌寒い……」という日も増えますが、そういった季節にもエアコンより速暖性がある本製品は力を発揮するはず。電熱ヒーターをデザインや安全性で敬遠していたのなら、ぜひ一度はチェックしてほしい製品です。