家電レビュー

ご飯1合だけなのにおいしい! ポット型のひとり用IH炊飯器が想像以上に秀逸

エレコム「LiFERE 小型IH炊飯器」

帰宅が遅い家族のために、1~2合のご飯を5.5合炊き用炊飯器で炊くことがありますが、少量の炊飯はあまりおいしくないと感じていた筆者。また追加で少しだけ炊きたいのに、大きな炊飯器を使うのはややムダな気がしていたので、コンパクトな2台目を購入しようかと考えていました。

そんな中、偶然にも出会ったのが、1合炊き専用のエレコム「LiFERE(リフィーレ) 小型IH炊飯器 HAC-RCIH01」です。

実際に使用したところ、1/2合、1合といった少量のご飯でも、びっくりするくらいおいしく炊けたので紹介します。

見た目は電気ポット! 1合炊き専用で置き場所とらない縦長の炊飯器

「LiFERE 小型IH炊飯器」は、ポットのようなルックスが特徴的。ハンドルが付いた縦長のスリムな形状を見て、炊飯器だと気がつく人は少ないのでは?

大きさは169×127×228mm(幅×奥行き×高さ)とありますが、身近なものでいうと、縦置きしたボックスティッシュと同じサイズ感です。置き場所をとらず、キッチンのちょっとしたスペースに設置できます。テーブルに置いても圧迫感がなく、食器類と一緒に並べても違和感がありません。

縦置きしたボックスティッシュと同じサイズ感

炊飯容量はお米1合まで。そのほか1/2合、3/4合などを選べます。付属の計量カップを使うと簡単に計量できますよ。

ちなみに1/2合はお茶碗約1杯、3/4合は少し多めの1杯、1合はどんぶり約1杯(お茶碗約2杯)に相当します。

1/2合~1合のご飯を炊ける

直販価格は12,800円。メーカー公式ショップほか、大手ショッピングサイトなどで購入できます。

カラーバリエーションはホワイト、ブラック、ブルーの3色をラインナップ。いずれもインテリアになじみやすい色合いです。

少量なのにおいしいご飯が炊ける! 秘密は高火力&内釜にあり

本機を使う前は、少量のご飯が本当においしく炊けるのだろうかと、正直疑っていました。

筆者が普段使用している5.5合炊き用のIH炊飯ジャーが出力1,105Wであるのに対し、本品は400W。高火力IHの加熱方式とはいうものの、やはり大型の炊飯器に比べると性能は劣るのではないかと思っていたのです。

また搭載されているメニューは、「炊飯/低糖質/早炊き/保温」の4つのみ。多機能炊飯器は炊き加減や仕上がりなどを選べますが、本機は大きく分けると「炊飯」と「保温」の2択しかありません。

搭載メニューは「炊飯/低糖質/早炊き/保温」の4つ

このシンプルな操作メニューでどんな仕上がりになるのかと、期待半分、不安半分。まずはオーソドックスな「炊飯」モードで試したところ、粒が立ち、ふっくらしていて甘みがあるおいしいご飯が炊けました。

粒が立ったふっくらおいしいご飯が炊ける

炊き上がったご飯にはツヤがあり、食欲をそそる仕上がりに大満足。見た目からもおいしそうでしたが、その期待を裏切ることなく、食べてもおいしかったので、「おいしい!」と思わず叫んでしまいました。

炊飯に要した時間は約50分(早炊きは約35分)。使用環境、お米の銘柄、水加減などにより多少前後することもあるようですが、実測で1合と3/4合は約50分、1/2合は約40分でした。

なお、浸水不要のため、お米を洗ってすぐに炊飯できるのもうれしいポイント。

炊き上がったご飯にはツヤもある

メーカー公式サイトによると、少量なのにおいしいご飯が炊けるのは、「高火力IH方式の素早い温度上昇と安定した温度制御により、お米が持つ本来の甘みが引き出されるため」とされています。

加えて、熱伝導性に優れたアルミやステンレスなどの素材を使用した4層から成り、1合用に最適設計された形状の「複合クラッド厚釜」を内釜に採用することにより、加熱ムラが出にくく、お米1粒1粒がふっくら炊き上がる仕組みです。

1合用に設計された4層構造の「複合クラッド厚釜」を内釜に採用

内釜は本体のようにスリムな縦長であり、丸みのあるずんぐりとした一般的な内釜との違いは歴然。

この内釜のユニークな縦長フォルムは、本体のスリム化に貢献しているだけでなく、少量のご飯を炊くのに最適な形に設計されているのです。

内釜はスリムな縦長

内釜を使って洗米できる&フッ素樹脂コートでこびりつきにくい

内釜は洗米に使用しても問題ありません。

計量したお米を内釜に入れたら、たっぷりの水で手早くかき混ぜ、にごった水を捨てます。これを何度か繰り返し、水がにごらなくなったら洗米完了です。

このとき、力強く洗米すると内釜のフッ素樹脂コーティングを傷つけてしまうため、お米をやさしく洗うのがポイント。なお、無洗米は基本的に洗米不要ですが、水となじませてにごりが目立つ場合は、同様に数回すすぎましょう。

内釜を使用して洗米できる

普段、4~5合のご飯を炊いている筆者は、洗米の際に内釜を使うと排水に苦労するため、ザルとボウルを使用しています。しかし本機の場合、内釜を片手でラクにホールドできるので、排水がさほど面倒ではなく、洗米を苦に感じませんでした。

洗米が完了したら、水加減の調整です。内釜の内部に「1/2、3/4、1」の数字が書かれた目盛りがついているので、お米の分量に合わせてラインまで水を入れます。

内釜の外側に水滴やお米の粒がついていたら拭き取り、本体にまっすぐセット。ふたを閉めてロックしたら、専用電源コードを接続し、本体ハンドル部分の選択ボタンをタッチして、いずれかの「炊飯」モードに切り替えたら炊飯開始です。

選択ボタンはフラットデザインで見た目がすっきりしていますが、反応がやや鈍い印象を受けることがありました。反対に、炊飯中にうっかり手をふれて炊飯が停止してしまうなど、感度が良い場合もあったので、慣れるまではちょっとしたコツをつかむ必要がありそうです。

洗米後、内釜の外側についた水滴やお米の粒を拭き取り、本体にまっすぐセット
ふたを閉めてロックする
専用電源コードを接続し、本体ハンドル部分の選択ボタンをタッチして炊飯モードを選ぶ

炊飯モードを確定すると、選んだメニューのランプが点滅。5秒ほど経過すると「ピピー」という開始音が鳴り、ランプが点灯して炊飯がスタートします。

炊飯開始から25~30分ほど経つと、ふた上部の蒸気口から高温の蒸気が出始めるので、やけどしないように注意しましょう。

ふた上部の蒸気口から出る高温の蒸気に注意

炊飯開始から約50分(早炊きは約35分)経過するとご飯が炊き上がり、「ピー、ピー、ピー」という終了音が鳴って、自動で保温モード(最大12時間)に切り替わります。

なお、炊き上がるまで「あと何分」という残り時間の表示はありません。炊飯開始時間を覚えておくか、終了音や保温モードへの切り替わりで確認するなど、炊き上がり時間の管理には工夫が必要です。

炊飯が完了すると自動で保温モードに。本機に液晶はついていない

ご飯をよりおいしく食べるには、炊飯が終了したらすぐにふたを開け、内釜をおさえながら、付属のしゃもじで全体をよくほぐすのがコツ。

付属のしゃもじは、縦長の内釜でも使いやすい、絶妙な薄さと形に設計されていて、ご飯をほぐしやすかったです。また表面に施された凹凸により、しゃもじにご飯がつきにくいのもうれしいポイント。

炊飯が終了したらすぐにふたを開け、付属のしゃもじで全体をよくほぐす
付属のしゃもじ
しゃもじ表面には凹凸が施されていてご飯がつきにくい

ご飯を保温せず、すぐに食べる場合は、選択ボタンを長押し(約2秒)して停止し、電源コードを取り外しましょう。

本体と電源コード以外のパーツ(ふた、蒸気口パッキン、内釜、ザル釜、しゃもじ、計量カップ)は食器用洗剤を使って水洗いできるので、使用後のお手入れもラクです。

内釜の表面にはフッ素樹脂コートが施されているため、ご飯がこびりつきにくく、ゴシゴシこすらなくてもサッと汚れを落とせました。

内釜の表面にはフッ素樹脂コートが施されている
ふた(裏面)と蒸気口パッキン

各パーツを洗うときは、傷つかないようにやわらかいスポンジを使うのがおすすめです。水洗いできない本体は、かたく絞った布で汚れを拭き取ります。

本体内部

保温が弱いので、炊けたらすぐに食べるのがベスト

メニューには「保温」モードも搭載されていて、炊飯後に自動で切り替わるほか、選択ボタンで設定できます。

12時間経つと自動でオフになるため、12時間以上保温する場合は再度設定が必要です。

保温モード

保温機能は、残ったご飯を温かい状態で保存するのに便利ですが、本品の保温モードはやや冷めやすいように感じました。2時間ほど保温したご飯を食べてみましたが、温度がぬるく感じて、電子レンジであたため直す必要がありました。

一方、炊きたてのご飯は熱々で本当においしいので、やはり炊けたらすぐに食べるのがベストです。

糖質を約20%カットできる「低糖質モード」でもおいしく

本機は、低糖質炊飯が可能です。

付属のザル釜を使って炊飯することで、糖質を約20%カット(メーカー調べ)できるとされ、ご飯に含まれる糖質が気になる人、糖質の摂取を控えたい人、糖質制限を実施している人などにうれしい機能です。

低糖質モードで炊いたご飯
付属のザル釜

低糖質炊飯をする場合は、まず洗米したお米をザル釜に平らに入れて、傾かないように内釜にセットします。

このとき使用するお米の分量は、1/2合~3/4合です。その範囲外の分量で炊飯すると、吹きこぼれや調理失敗の原因となるため注意しましょう。

低糖質炊飯で使用するお米の分量は最小1/2合、最大3/4合
洗米したお米をザル釜に入れ、内釜にセット

次に、ザル釜の内側の目盛りを見て、お米の量に合わせてラインまで水を入れます。

水を入れたら、ザル釜の入った内釜を本体にセットしてふたを閉め、低糖質モードに切り替えて炊飯をスタートするだけ。炊き上がりまでの目安は約50分です。

ザル釜の内側の目盛りで水加減を調整する
低糖質モードを選択。炊き上がりまでの目安は約50分

メーカー公式サイトによると、炊飯中にお米に含まれる糖質(デンプン)が水の中に溶け出し、ザル釜の使用によって水中の糖質がお米に戻らないことから、糖質カット効果が期待される仕組み。

ザル釜に残ったお米は蒸気で炊き上げられ、通常の炊飯のようにふっくら仕上がります。また味も大きく変化した感じはなく、糖質カットされていることは見た目ではわかりませんでした。普段と変わらないおいしいご飯を食べながら、糖質の摂取をおさえられるのは美点でしょう。

低糖質炊飯でもふっくらおいしく仕上がる

少人数世帯だけでなくサブ炊飯器としても注目

健康維持に役立つ低糖質炊飯に加え、少量の炊飯に便利な「LiFERE 小型IH炊飯器」は、1~2人暮らしの食事はもちろん、食べ盛りの子供や帰宅が遅い家族がいる家庭の2台目にもうってつけだと思いました。

しばらく使っていて、筆者の子供が1人暮らしを始めるときに、家にあった古い5合炊きの炊飯器を渡したことを、ふと思い出しました。まだ現役で使えるそうですが、これを機に、取り回しの良い同製品に買い替えてあげようかと考えています。

「LiFERE 小型IH炊飯器」はサブ炊飯器にもぴったり
野本 美樹