家電レビュー

乾かすだけでヘアケアできる? パナとミルボンの美容液ドライヤーで美髪を目指す

美容液を噴霧しながら乾かす新しいドライヤー「ELMISTA(エルミスタ)」。ミルボンとパナソニックが共同開発しました

ドライヤーもここ数年で大きく進化しました。かつてのドライヤーは風温が高かったため、使いすぎると髪が傷む心配もありましたが、近年は髪を傷めにくい低温かつ大風量で速乾できるもの、温風と冷風を交互に出してキューティクルを引き締めるもの、イオンが髪をしっとりサラサラに仕上げてくれるものなど、むしろ髪を美しく保ってくれるドライヤーも増えてきています。

そんななか、新たなアプローチでヘアケアを叶えようというドライヤーがミルボンから誕生しました。パナソニックと共同開発した「ELMISTA(エルミスタ)」です。美容サロン専売のヘアケア商品を扱うミルボンと、ドライヤーの国内トップシェアを誇るパナソニックがタッグを組んだと聞けば、期待してしまうのは当然のこと。さっそく使ってみました。

ミルボンの美容液をパナソニックが作ったドライヤーから噴霧する

マットな質感の白を基調に、シャンパンゴールドをあしらった上品なデザインが印象的

ミルボンは、「Aujua(オージュア)」などワンランク上のヘアケア商品を扱う美容サロン専売メーカーです。髪悩みに合わせて多彩な種類を取りそろえ、一人ひとりに最適なものを美容師が選んでくれるので、使ったことがある人も多いのではないでしょうか。

今回登場したエルミスタは、そんなミルボンのリッチなヘアケア美容液をミスト化し、ドライヤーの風とともに噴霧することで、髪を乾かしながらヘアケアできるもの。価格は55,000円で、ミルボン製品を取り扱うサロンなどで購入可能です。

一見するとふつうのドライヤーのようにも見えますが、吹き出し口の下部分が外れるようになっていて、ここに「エアコンク」と呼ばれる専用美容液をセットします。

パッケージごとセットできるので、装着は簡単です

ちなみにエアコンクの種類は、「Aujua」ブランドから「e-PL(パサつきの悩み)」「e-SL(クセの悩み)」「e-RE(エイジングの悩み)」の3種類、「MILBON」ブランドから「eSLEEK(なめらかな保湿感)」「eSOFT(やわらかな保湿感)」の2種類を用意。こちらも髪悩みに合わせて最適なものを美容師さんが選んでくれます。エアコンクは各3,300円です。

エアコンクの一例。それぞれ9ml入りで、1回2分間使用した場合、約60回使用できます

ボタンの配置はちょっとユニーク。ハンドル前面にボタンが3つありますが、電源スイッチ自体はハンドルの裏側にあります。このスイッチを「ON」にスライドすると温風が出てくるので、あとは必要に応じて「MIST(ミスト)」「H/C(温冷風切り替え)」「VOL(風量)」で調整していくようです。

電源スイッチは、ハンドル背面に
調整は前面にあるスイッチで行ないます
現在の風量やモードは側面のランプで確認

目に見えないほど微細なミストが髪に密着

まず根元を乾かしてからミスト風で乾かし、その後ミストなしで仕上げます

使用する際は、いきなりミストモードにはせず、温風だけで根元を30秒〜1分乾かします。その後、MISTボタンを1回押す(最初は長押し)と1分間、美容液ミストが噴霧され、自動でミストのみ止まる仕組みなので、あとは通常通り乾かすだけ。3回押すと3分間まで噴霧されるので、ショートは1分、ミディアムは2分、ロングは3分と、髪の長さに合わせて選ぶといいそうです。

さっそく乾かしてみましたが、思ったより風量が弱く感じました。数値で見ると、風量は0.95m3/分。これはパナソニックの最新ヘアードライヤー「ナノケア EH-NA0J」の1.6m3/分に比べても弱めです。一方で、髪の乱れを抑えて直進的な風を出す「エアコーム技術」が搭載されているため、ミストが髪に均一に塗布されやすいメリットもあるようです。

まずは温風のみで根元をサッと乾かした後、MISTボタンを押すと、エアコンクが小さく振動し始めました。どうやら美容液をミスト化しているようですが、吹き出し口からミストが出ているようには見えません。てっきり白い霧が見えると思っていたので、「ちゃんとセットされていないのかな?」と思わず、エアコンクを入れ直してみたりしてしまいました。

でも実際は、目に見えないのがエルミスタ的には正解。というのも白い霧が目に見えるような霧吹きによるミストの大きさは、直径約0.5mmありますが、毛髪の直径は約0.08mmしかありません。その点、エルミスタから生まれるミストは、約0.05mmと極小なので、髪にしっかり塗布されるというわけです。

ミストをどうしても見たければ、ティッシュなどに吹きつけてみるといいというので、試してみたところ、確かに細かい霧が出ているのがわかりました。

指を近づけても、何か出ている感じはありません
ティッシュに吹きかけると、うっすらとミストで濡れる様子が確認できました

ここまで微細なミストなので、一回使っただけでは、手触りが劇的に変わるといった変化は感じません。しかし全体を乾かし終わってみると、もともとアホ毛が飛び出て広がりやすい髪が、するんときれいにまとまったので、やはりミストの効果が出ていると実感。

アウトバストリートメントを使わなくても、ツヤとまとまりのある髪に仕上がりました

さらに1週間も使い続けると手触りが変わってきて、髪が絡まりにくくなり、ブラッシングしただけでツヤが出るようになりました。シャンプーで流したら終わりではなく、髪にしっかり届いているのを感じます。

使い続けることで、根本から始まる髪ダメージを抑える

使い始める前までは、美容成分を髪1本1本に塗布するのだから、コーティングされているようなツヤピカ髪になるのでは、と思っていましたが、実際は思っていたものと違いました。むしろ目先の美髪ではなく、長い目で髪本来の美しさを保つことを目的としているようです。

というのも、ミルボンとパナソニックの共同研究によると、髪はミクロレベルで根元付近からダメージが始まっているとのこと。その根元ダメージの補修に効果がある成分「IF-TP」を開発し、美容液にも「IF-TP」を配合。これを日常的に髪に与え続けることで、やがて髪全体がダメージの少ない美髪になるというわけですね。

エアコンク全種に、根元のダメージを修復する「IF-TP」を配合

髪は生え始めた瞬間から、ドライヤーの熱や紫外線、摩擦などの刺激によって、ダメージを受け始めます。それは生きている限り仕方のないことなので、いかに高機能なドライヤーでも、せめてダメージを遅らせることしかできないと思っていました。

そう考えると「根元からダメージを修復する」発想は画期的。値段は少々高いですが、使い続ければ美容院でトリートメントする頻度が減り、高いヘアケアアイテムを購入する必要もなくなるとしたら、決して高くはないかも……。美髪ケアドライヤーの新ジャンルになるのでは、と期待が高まる1台でした。

田中 真紀子

家電を生活者目線で分析、執筆やメディア出演を行なう白物・美容家電ライター。日常生活でも常に最新家電を使用し、そのレビューを発信している。専門家として取材やメーカーのコンサルタントに応じることも多数。夫、息子(高校生)、犬(チワプ―)の3人と1匹暮らし。