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パナの自動計量炊飯器、ついに一般販売。スマホ予約で帰宅時に炊きたて

自動計量&遠隔炊飯のIH炊飯器「SR-AX1」

パナソニックは、業界初「自動計量&遠隔炊飯」を可能にしたコンパクトなIH炊飯器「SR-AX1」を7月上旬に一般販売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は46,000円前後。

家庭用炊飯器で業界初となる自動計量と遠隔炊飯機能を搭載した炊飯器。パナソニックの先行体験プログラム「Future Star Program」の第1弾「SR-AX1-FS」として200台限定で応募を受け付けると、定数の50倍となる1万件の応募があり、注目された。

SR-AX1本体。アプリで遠隔操作できる
Future Star Programの第1弾として注目された

計量から炊飯まで全自動で行なうことで、毎回米や水を計量する手間が省けて、外出先や、ベッドなど家の中からでもスマホで離れた場所の炊飯器を操作して、目的のタイミングで炊きたてを味わえるのがメリット。毎回正確な自動計量により、おいしく炊飯できるという点も利点として挙げている。

米タンク部分

1回の炊飯は最大2合で、保温機能はあえて省いており「炊きたてをすぐ食べる」という利用シーンにフォーカスした製品となっている。内釜はおひつ型のデザインで、食卓へ持ち運びやすくした。

炊飯器本体に、無洗米専用で2kg(13.3合)の米タンクと、600mlの水タンクを内蔵。米はあらかじめタンクに入れておき、水は朝などに都度入れておいて、食べたい量を設定して炊く。炊飯量は0.5合から2合まで0.25合刻みで選べる。

自動で米と水を計量
米と水、炊飯中の蒸気は、中央のノズル部分を通る仕組み。蒸気口の部分まで外にもれないようになっている
特別に、内部が見えるようにしたスケルトンモデル(非売品)

内釜は、おひつ型のデザインで、炊きたての状態で食卓に置くことも可能。内面はダイヤモンドフッ素コートで、1年保証。取り外して手入れできるのは、内釜と、おひつふたの2点で、洗い物を少なくした。

内釜
内釜とふたを外して手入れできる

スマホアプリ「キッチンポケット」の操作で、外出先からも炊飯をスタートできるほか、炊き上がりの時刻や量の変更、取り消しも可能。家を出る前に予約をしておく必要はなく、予定に合わせた柔軟な炊飯設定ができる。

仕上がりのご飯のかたさは6段階から選択できる。通常の炊飯モード「銀シャリ」のほか、「早炊き」や「カレー用」「全がゆ」「5分がゆ」を用意。アプリで操作して決定/送信すると、炊き上がりまでの時間をアプリ画面で確認できる。なお、アプリだけでなく本体でも炊飯の操作が行なえる。銀シャリの炊飯時間は約55分で、早炊きは約45分。

キッチンポケットアプリで炊き上がりの時間や食感などを設定

炊飯する際は、タンクに入れておいた米と水を交互に少しずつ指定量まで内釜に入れる仕組み。これは一度に米と水を指定量まで入れてしまうと、もし米の残量が少なかった場合に水分の多すぎるご飯になってしまうため。もし米タンクの残りが指定より少なかった場合は、その量に合わせた水だけで炊くかどうかの通知が届き、炊飯指示すればその量だけで炊ける。

なお、外出先で米の残量をチェックすることはできないが、今後のアプリのアップデートで、「そろそろなくなりそう」などの状況が分かる米残量管理機能を提供予定。

本体サイズは17.6×33.6×33.6cm(幅×奥行き×高さ)。本体カラーはホワイト。

SR-AX1で炊いた「つや姫」。しっかりした粒立ちや甘みのあるごはんが炊けていた
全農パールライスとの連携で、無洗米のプレゼントキャンペーンも実施

実は40年前から自動炊飯の構想が? 現代の技術で実現

前述した先行プログラムで使用した体験者からは「米を頻繁に食べるようになった」「パートナーに炊飯を頼みやすくなった」などの意見が寄せられた。スマホからの炊飯予約は主に外出時からの操作を想定したものだったが、「朝セットし忘れてもベッドから指示を送れば間に合うのが魅力的」との声もあった。無洗米を使うため研ぐ必要がなく、幅176mmのスリムな形状のため、キッチン以外にもテーブルやカウンターなど自由な場所に設置されているという。

当初は購入者のターゲットをDINKs世帯としていたが、これに加えてシングル層もサブターゲットとして設定。5月8日からのコロナ5類化により外出が増えることで、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視するニーズに応えていく狙い。

先行体験プログラムで寄せられた声
同社の少人数世帯向けパーソナル食洗機「SOLOTA」とも親和性のあるデザイン

SR-AX1の技術について説明したパナソニック くらしアプライアンス社 調理機器BU 調理器技術部 機構設計課の大村さんによると、自動計量の構想自体は40年前の時代からあったものだという。

パナソニック くらしアプライアンス社 調理機器BU 調理器技術部 機構設計課 大村さん

当時はキッチンにビルトインして洗米も自動で行なうという大掛かりな仕組みを想定したものだったとのこと。もちろん今のようなIoT技術は進んでいなかったこともあり、当時の構想とは違った形で進化して実現した。大村さんは「先輩方の技術・ノウハウを活かし、今の技術で商品化できた」としている。

同社くらしプロダクトイノベーション本部 デザインセンターの吉田さんは本体のデザインについて「親しみやすさと新しさを内包する形を目指した」として、継ぎ目のない一体成型にし、液晶ディスプレイなども省いてスッキリした操作面にしたことを説明。このデザインを実現するために、技術担当の大村さんと検討を重ねたという。

くらしプロダクトイノベーション本部 デザインセンター 吉田さん

炊飯プログラムなどのソフトウェアを担当する調理機器BU 調理器神戸技術部 調理ソフト課の萩さんは、最近のごはんのトレンドに合わせた粒感のある仕上がりにしたことや、雑味の少ない仕上がりを目指したことを紹介。SR-AX1は無洗米専用のため、均一な給水ができるように前炊きの温度や時間を調整したという。開発当初は炊き上がりが安定していなかったとのことだが、大村さんと改善を進める中で、米と水を入れる順番を入れ替えたことで“米が暴れる”のを防ぎ、目指す炊き上がりを実現できたと自信を見せた。

調理機器BU 調理器神戸技術部 調理ソフト課 萩さん
無洗米専用の炊飯シーケンスを設定
ごはんのトレンドと、SR-AX1での食味評価