家電レビュー

パナの一人暮らし食洗機、時短だけじゃない効果も! 家で使ってみた

SOLOTA(ソロタ) NP-TML1を自宅でつかってみました

パナソニックが2月から発売した一人暮らし世帯向けの食洗機「SOLOTA(ソロタ) NP-TML1」(以下SOLOTA)。その最大の特徴は、従来機にないほどの小ささです。本機の設置面積はなんとA4クリアファイルと同程度で、キッチンのスペースが限られている場合でも設置できます。

給水はタンク式なので、分岐水栓の工事もいりません。また、前後面がクリア窓になっているのも食洗機としては斬新で、外見でも尖った製品といえます。直販価格は37,620円と、家族向けの大型モデルに比べてかなり手ごろです。

サイズ感やデザインが印象的なSOLOTAですが、食洗機としての性能や使い勝手はどうなのでしょうか。この記事では食洗機の使用経験を持たない筆者が、本機を2週間使用してみて感じたあれこれをお届けします。

SOLOTA NP-TML1の使用イメージ。一人暮らしなどの広くないキッチンでも置きやすいサイズ

気になる洗浄力は問題なし。油汚れもしっかり落ちた

まずは食洗機の基礎性能ともいうべき、洗浄力について。結論からいえば、2週間のうちに、特に問題を感じることはありませんでした。メーカーから事前に聞いた話では「こびりついてから放置された油汚れや、多量のご飯粒などは全て落としきれない場合もありうる」とのこと。しかし筆者が使った限りでは「よほどの汚れでもない限りしっかり落としてくれる」という印象です。

写真でビフォーアフターを示しますが、シチューなどのルーや、焼き魚の油汚れもしっかり落ちています。また、洗ったあとの茶碗の内側を指でなぞったときのザラザラ感もなく、細かい部分の汚れまで、しっかり落としきれているように感じました。

洗う前。茶碗にシチューのルーがこびりついています
洗い上がり。目視できる汚れはありませんでした
焼き魚の油汚れビフォーアフター。しっかり落としてくれました

洗い方は、勢いのよいジャブジャブ洗いではなく、温水でやさしく洗い流すといったほうが近いでしょう。流体解析によるシミュレーションを何度も重ねてデザインしたという左右非対称のノズルによって、温水を庫内全体に行き渡らせているようでした。

左右非対称のノズル
洗浄中の様子(パナソニックによるデモ)

洗浄時の動作音は部屋によっては気になるかも。乾燥後に水が残ったケースも

SOLOTAの動作において気になった点を挙げるとすれば、洗浄時の動作音と乾燥時に残る水です。まずは動作音について。洗浄/すすぎを行なっているときには「ブー」という低音が断続的に聞こえました。洗浄とすすぎにかかる1時間、その音が鳴っては途切れ、鳴っては途切れを繰り返すのですが、音量は小さいとはいえません。

キッチンと居住空間が分かれていない間取りの部屋で、在宅勤務をしている場合などは、音が気になるケースもありそうです。ただし動作音が大きいのは、あくまで洗浄/すすぎ中の話。乾燥に移ってしまえば静かになるので、問題なく感じる方もいるでしょう。

また送風乾燥後の食器に、水気が残ってしまうこともありました。特に、底面にくぼみのあるマグカップ/湯飲みなどでは、そのくぼんだ部分の乾燥が不十分になることも少なくありませんでした。一方で、おおかたの食器の水気はしっかりきれていたので、使用する食器を工夫しさえすれば、この不満は解決しそうです。

乾燥後、マグカップの上に残ってしまった水

奥行きが小さいから、作業スペースを残しながら設置できる

設置性に関しては、文句なしでピカイチです。「食洗機を導入したかったけれど、置き場所がなかった」という方には、「本機の発売がまさに朗報!」と、自信を持っていえます。

全体的に小型なSOLOTAですが、筆者が特に気に入ったのが奥行きの小ささでした。そのサイズはわずか22.5cmで、コードを含めても25cm以下に収まります。キッチンの奥行きにもよりますが、壁にベタ付けして設置すれば、食洗機の前にまな板などを置ける作業スペースを残せます。

本機を設置した壁際の様子。壁にほぼベタ付けできます

排水ホースがたるむことなくシンクに届きさえすれば、本機を問題なく設置できます。そのためキッチン横の台なども、設置場所の候補にできるでしょう。ホースの長さは80cmほどあるうえ固定用の吸盤もついているので、設置場所とシンクに多少の距離があったとしても、ホースがたるみさえしなければ問題ありません。給水はタンク式なので、分岐水栓の工事も不要です。

タンクは引き出し式になっています。容量は約2.5L

また本機は、デザインからも小ささを演出します。開発時のコンセプトとして“食器が洗える食器棚”を掲げていたこともあり、前後をクリア窓にしたオープンシェルフを思わせる設計になっています。筆者宅のキッチンには背後に窓があるのですが、本機設置後もその開放感を保つことができました。

本機の前面。いい意味で食洗機らしさのない外観です
クリア窓には透明感があり、裏側の様子をはっきりと見通せます

庫内はもちろん、庫外にもビスが露出していない点もユニーク。本機の正面から見えるのは、クリア窓と2つの操作ボタン、動作状況を表すランプだけです。本機は食洗機としては珍しい、オシャレ家電であるともいえるでしょう。

庫内の様子。ビスひとつ見えません

操作もお手入れも超簡単で、使用中のわずらわしさゼロ

上で書いたように、SOLOTAの操作部は非常にシンプルです。しかも扉を開けたときに自動で電源がオンになるので、電源ボタンを押す機会は、オフにするときくらいしかありません。また操作も簡便で、食器と水、洗剤を入れて、スタートボタンを押すだけで洗浄がスタートします。ほかの操作といえば、電源をオンにした状態でのポーズ・スタートボタン長押しによる、送風乾燥の有無選択くらいです。

食器を載せるカゴ。洗剤は写真右下に投入します。液体・タブレットタイプの洗剤に対応しています

お手入れもいたってシンプルで、底面の残菜フィルターに溜まったゴミを取り除くだけ。操作やメンテナンスの手間がほとんどかからないので、本機を使っている間にわずらわしさを感じることは全くありませんでした。

残菜フィルターに溜まったゴミ

容量は一人暮らしなら事足りるが、自炊派にはやや不足かも

SOLOTAは小型である反面、洗える食器の量が限られています。その数は、多くても6点+箸です。主食を乗せた中皿、ご飯茶碗、おかずのための小皿と小鉢、汁物を入れるお椀、飲み物用のコップ、箸を入れると、満杯になってしまいます。入る食器のサイズは限られていますし、鍋などは入りません。

1回で洗える最大容量の例

半分くらい自炊をしている筆者としては、調理器具など食器以外の洗い物も出るため、「もう少し容量があったらな……」と思う場面は確かに存在しました。とはいえ、おおかたの一人暮らしの人にとっては、事足りる容量だと感じるのもまた事実です。仮に自炊をしていたとしても、一人暮らしであれば一度に多量の料理を作るということは稀ですし、調理器具が洗えないという点に目をつむればその他の問題はありません。

そもそも本機の容量を増やしてしまうと、最大の魅力であるサイズが犠牲になってしまいます。複数人で暮らしている家庭で使うには本機は不向きではありますが、一人暮らしのユーザーニーズに特化するために、パナソニックが思い切り良く設計したといえるでしょう。

食器洗いの手間が減り、シンクもキレイになった

初めての食洗機として、SOLOTAを導入した筆者。使用開始からまだ短い期間ではありますが、確かな時短効果を感じました。

これまでの筆者は、「食後にはお茶でも飲んで落ち着きたい!」という性格であることも手伝って、食器洗いを後回しにしがちでした。それゆえに食器洗いを家電に丸投げできるというメリットは大きく、洗い物が溜まったシンクを見てうんざりすることもなくなりました。

時短以外のメリットもありました。それはシンクの排水口がキレイになったことです。食器に付着していたゴミは庫内の残菜フィルターがキャッチしてくれるので、シンクには排水だけが流れます。おかげで排水口にゴミが溜まりにくくなりました。本機は時短効果をもたらしてくれたばかりか、家事の質まで上げてくれたのです。

パナソニックによれば、日本における食洗機の普及率は約30%。一人暮らしの世帯ともなると5%ほどだといいます。つまり、まだ食洗機を使ったことがない、つい先日までの筆者のような消費者がまだ数多くいるわけです。そんな人たちのなかには、毎食後の食器洗いを面倒に感じている方も少なくないはず。本機は単身の“食器洗い難民”たちのニーズをしっかり満たしてくれる製品になると思います。

畑野 壮太