家電レビュー

電子レンジまかせで煮物も牛丼もおいしい! シロカのおりょうりレンジが有能でした

シロカ「おりょうりレンジ」

みなさんの家では、電子レンジを普段の料理でどのように使っているだろうか? 「オーブンレンジ」ではなく、単機能の「電子レンジ」の方だ。「解凍」や「温め」ではなく、「調理」に使っている人はあまり多くないかもしれない。

大手メーカーが、より多才なオーブンレンジの機能を高めていく一方で、SNSなどでも根強いファンが多いシロカは、別の手法を用いた。単機能の電子レンジに、豊富な自動調理メニューを入れるというやり方だ。今回は54メニューを搭載した、調理が楽しいシロカの「おりょうりレンジ」(29,700円)を1カ月以上使ってみたので紹介したい。

電子レンジ調理の利点は意外に多い? 注意点も

なぜ電子レンジで料理するのか。そのメリットはいくつかある。

まずは「時短」。作っている間は他の作業ができるため、一度に何品も作れたり、忙しい朝にも他の支度をしながら作れたりする。

また、フライパンなどで焼くのに比べて油を抑えられるほか、お湯でゆでるのに比べて栄養素が逃げる量を少なくできるのも利点だ。さらに、ワンボウルで作れることで、鍋など調理器具の洗い物を少なくできる良さもある。

茹でる場合と電子レンジの場合のブロッコリーの栄養素の比較(文部科学省のデータをもとにシロカが作成)

シロカ「おりょうりレンジ」の特徴は、54種類という自動メニューのレシピ。ボウルを使って作るパスタ、エビチリなどメインになる基本の料理から、常備菜、デザートなどまで60種類のレシピを掲載したオリジナルレシピブックも付属する。

シロカ「おりょうりレンジ」は前面がミラー仕上げのデザイン
自動メニューが豊富
ドア横の操作部でメニューを選んでスタートする

レンジ料理のためには、事前に用意しておくものがいくつかある。「耐熱容器」と「ラップ」「鍋つかみ」だ。これらがあれば、多くの料理が簡単に作れる。

ご存知だと思うが、アルミホイルやステンレスのボウルなどの金属をレンジ庫内に入れて使用するのは厳禁。火花が飛び散り、火事になる危険性がある。このため、レンジ調理のためにはレンジに対応した耐熱容器が必要。耐熱ガラスで作られているものが多いが、耐熱性の高いプラスチック製もある。

耐熱のボウルなどに食材を入れて、あとはレンジに任せて料理

筆者が持っていたのは、ミキシングボウル型の耐熱容器。ただ、手持ちの容器では側面の傾斜が問題となった。ちょっと長めの豚バラ肉などが、途中で折れてしまったのだ。「味はOK、形はNG」となってしまった。ただ、電子レンジは野菜の下ごしらえにも使えるので、処理後に混ぜやすいミキシング型は便利ではある。

野菜炒めなどはフライパンが一般的であるように、焼くというもっともポピュラーな料理は、平面上で作られる。今回は調理容器にiwaki(イワキ)の製品を使用した。カタログをみると、浅くて広いボウル型の耐熱容器があり、途中からそちらをメインに使っている。

傾斜が急な容器だと難しい場合があった
傾斜が緩い容器のほうが、できあがりの見た目もよくなった

もうひとつ用意したのは耐熱皿。最近、西洋皿のレギュラー品は、電子レンジや食洗機の使用を考慮したものが多い。こちらは、平皿とスープ皿があれば便利。また、少々高いが樹脂製の鍋も使える。ただ、作りがしっかりしたものは、価格が耐熱ガラス製の倍のものがあった。

次はラップ。これはどの家にもあると思うが、今後のライフスタイルを考えると、耐熱樹脂のフタを用意したい。耐熱容器などは、買い替えるものではないので、一生使い続けられて、あって損はなさそう。最初から容器にフタが付いたものもある。

最後は鍋つかみと鍋置き。レンジ調理は、鍋つかみがなくても触れるくらいの場合も多いが、手近にあれば便利に使える。

かぼちゃの煮物や牛丼などが簡単においしく

今回は、「おりょうりレンジ」で作れるメインのおかずや副菜などの手軽な料理を、いくつか試してみた。

かぼちゃの煮物が時短で

レンジで作りやすい「煮る」料理。少ないつゆで煮ることができて、コントロールもしやすい。レンジ料理の真の王道レシピの一つだ。

調理時の最大難関は「切る」時くらいだった。かぼちゃが、比類ない硬さを持つようになったのは、野菜史上最も過酷な環境で進化したためだとか。手持ちの三徳包丁では厳しかった。もし家にあれば牛刀がおすすめだ。

あとはだし汁、砂糖、醤油と共にレンジへ。専用メニューで9分でできあがり。

少ないつゆで煮ることができる
かぼちゃの煮物(写真:シロカ)

圧力鍋もそうだが、時短を目指すと、味の染み込みがイマイチな場合があった。このため、温めた後はよくだし汁に浸っている底の部分のかぼちゃは外に出して、浸っていないかぼちゃをだし汁に漬けるといい。5分くらいでいい塩梅。美味しいかぼちゃの煮物ができあがった。

皮の方にももっと味を染み込ませたい場合は、レンジにかける前に皮に切れ込みを入れるといい。だし汁はめんつゆでも作れる。2倍希釈のめんつゆの場合、5倍希釈でだし汁として代用できた。

牛丼も手軽に作れる

牛肉と玉ねぎをだし汁で煮込み、ご飯にかけて食べる。牛丼屋さんではじっくり煮込むイメージだが、こちらは一気に味を染み込ませる感じ。肉は少々硬めだったが、濃い味で一気にかきこめた。丼を食べている感じがする。

材料を入れたボウルをレンジの中央へ
牛丼(写真:シロカ)

注意したいのは玉ねぎの切り方。あまり薄すぎると形がなくなってしまう。思ったより、ちょっと厚めがよさそうだ。

家に紅しょうがをたっぷり用意していることはあまりないかもしれないが、長ネギのトッピングはよく合った。

ナポリタンもワンボウル、洗い物を少なくできる

普通は麺を少し歯ごたえが残る硬さのアルデンテの状態まで鍋で茹でて、具と混ぜる。こう書くと大したことはなさそうだが、普通に鍋やフライパンで作ろうとすると実は面倒なのがナポリタン。

筆者が大学時代に聞いた例だが、ある喫茶店で出されていたナポリタンは、麺を大量に茹でて水洗いして、麺がくっつかないようにオイルを塗し、冷蔵庫で保存。注文が入ると、冷蔵庫から取り出し、炒めるものだったという。昔ながらのナポリタンに郷愁を覚える人は、そのように作られたものを好むかもしれない。

一方で、今回のおりょうりレンジだと「全部入れて、チン」した後、混ぜるだけで完成した。湯を沸かす必要がないのだ。時間に追われるように湯切りしなくてもいいのは、とても楽。ポイントは、レシピを見ながら、パスタに対する水の量を正確にすることくらいだ。

レンジ調理した後混ぜるだけで完成(写真:シロカ)

なお、指定の麺は1.6mmとなっていたが、硬いところが残った場合は、水の量を同じのまま1.4mm麺に変更しても良いだろう。

ナポリタン(写真:シロカ)

しょうが焼きは、ひと工夫で見た目もよくなった

タレにつけて肉を焼くレシピ。加熱に必要なたっぷりの水分があって、レンジに適した料理といえる。悩ましいのは、形の扱いだ。丸まっていてもこだわらないなら、レシピ通りに作るだけでよい。しかし、平たい肉のしょうが焼きを食べたい場合は、工夫次第で解決できる。肉と玉ねぎを混ぜたまま加熱するのではなく、レンジに入れる前に肉を広げて“層にする”のだ。

食材と調味料を混ぜる
しょうが焼き(写真:シロカ)

しょうが焼きとはいうものの、食感としては“煮たもの”に近くなった。玉ねぎは、飴色にまで炒めたときのような柔らかさ。レシピにある薄切りを守ると、甘いが歯応えはなかった。また、肉は焼いた時に出てくるような脂分は残っていなかった。煮る料理に近いイメージだ。

しかし味は、しょうが焼きライクであることに間違いはない。なかなかのものと言いたいが、脂の甘さは少なすぎた。やはり電子レンジで「焼き」は難しいと感じた。

余談になるが、これと似たようなものとして思い出したのが、江戸時代にあったという料理「お伊勢焼き」。

当時、お伊勢参りで大量に押し寄せる客へ短時間で食事を提供するため、魚をそのまま煮た後、真っ赤に焼いた火箸を押し付け、焦げ目を付ける。これで、魚をひっくり返して焼く手間を省きながら、大量の人数に対応したとのこと。

その現代版というわけではないが、しょうが焼きに関しては「電子レンジの」という意味では、これはこれで楽しんでもよいと思えた。

ちょっとしたアレンジもしやすい

レンジ料理は、オーブンやフライパンなどを使った本格的な料理に比べると違いは出るものの、“似た味を手早く楽しめる”のがミソ。

今回試したところ、牛丼はちょっとビックリするおいしさだった。ナポリタンも、日曜昼下がり、適当に食するのにちょうどいい。いい感じでお腹が膨れた。

かぼちゃの煮物は「どこへだしても恥ずかしくない」と思えた。予想外に使える料理だった。

普段料理をする中で、「レシピには250gってあるけど、300g入れちゃった」など、指示された分量が守れないのはよくあること。そういう時に覚えておきたいポイントは塩加減。使う塩を全体量の約1%になるように調整すれば、大きな失敗はないだろう。約1%の濃度というのは、人間の血液中の塩分濃度で、体になじむのだ。

レンジの得意な部分を活かせば楽しく使える

紹介してきた通り、電子レンジでは意外に色々な料理を手軽に作れた。ただ、本格的な調理と違うのは、厳密にいうと「素焼き」「炒め」「揚げ」ができないことは気をつけておきたい。

レシピには「生姜焼き」を含め、焼き物のメニューも多い。電子レンジで温める仕組みは、食材の水分子に電磁波でエネルギーを与えて振動=加熱させるというものだ。しかし、調理によっては、加熱していくうちに水分がだんだん外に出て、熱が持続しなくなることがあった。

焼くためには、周りに汁など水分が補給できればいいが、例えば調理の基本である塩を振ると、塩は水分を取り込むことからパサつきができて、十分に“焼けた”感じではない仕上がりになった場合があった。仕上げにこだわりたい人は、いろいろ試しながら慣れていくといいだろう。

もう一つ気になったのは、一般的なルーのカレーがメニューにないこと。もちろん電子レンジで作れないわけではなく、鍋容器があればできる。ただし、それなりに時間がかかる。ガス(火)の場合は、料理していると部屋が暖かくなっていくことでもわかるように、電気に比べると強力なパワーがある。電気が“効率よく”なら、ガスは“パワーで押し切る”加熱ともいえる。

また、「煮る」ことはできるが、じっくり「煮込む」のはあまり得意ではない。電子レンジが得意なのは「タレに漬け込んだ食材を、加熱するメニュー」だ。使う前に、あらかじめどんな料理を作りたいのかをイメージしておくとうまく活用できるだろう。

庫内はフラットで手入れもしやすい。自動メニューの種類や番号は底面に記載されている

細かく見れば気になった点はあるものの、「おりょうりレンジ」はただの電子レンジにはない幅広いメニューが手軽に作れることは実感できた。

最近の高価格なオーブンレンジでは、ネットに接続して様々なレシピをダウンロードできるものもあるが、「おりょうりレンジ」はそういう機能がなくても、使っているうちにアレンジしながら料理が楽しく作れる。

例えばレシピに無いような作り方でも、食材を濃いめのだし汁と一緒にチンすると、それなりにおいしい“名もない料理”ができることもあった。シンプルな単機能レンジにプラス1万円しても付加価値が十分にある、楽しい電子レンジだ。

多賀 一晃