家電レビュー
調理もできるタイガーの炊飯器でビーフシチューが激うま! 炊飯も大満足
2023年4月7日 08:05
炊飯器は1万円以下の手頃なものから10万円を超える最上級機種まであり、選択肢の多さに戸惑ってしまうものだ。しかし、ごはんの美味しさにも機能性にもこだわった「圧力IH式」のものが、いまやスタンダードモデルとして多数揃っている。
そんな中から、今回はタイガーの「圧力IHジャー炊飯器 炊きたて JPV-A100(5.5合)」を紹介しよう。家電量販店で確認したところ('23年2月1日)、価格は4万円を下回り、税込みで38,020円だった。
特徴は、調理鍋としても活用できる調理メニューを豊富に備えている点だ。調理メニューは、材料と調味料を放り込んだら、あとは炊飯器におまかせで料理が完成する「クイック調理」と、吹きこぼれや面倒な火加減の心配無しに、じっくり煮込んで仕上げる「スロー調理」の2つから選べる。スロー調理の中には、水を加えずに食材から出る水分を利用した無水調理メニューも用意されている。
炊飯、調理モードどちらも内なべは共通で、スタンダードモデルながら「遠赤5層土鍋蓄熱コート」を施している。炊飯時は約1.25気圧の圧力をかけて、内なべの中の温度を約106℃に高め、ふっくらと粘りがあり、甘みが引き出されたごはんに炊き上げる。炊飯のメニューは、標準的な白米から雑穀や玄米まで網羅する15種類を用意。
そこで今回は、いつもの炊飯器レビューの趣向を変え、調理メニューによりフォーカスしたものにしようと考えた。レシピは、タイガーのHPに JPV-A対応 として44件紹介されており、その中から選んで実際に作った様子をレビューしていく。
落ち着いたデザインで操作はシンプル
本体はツヤを抑えたマット仕様。凹凸が少なく、つゆ受けの無い落ち着いたデザインだ。加熱方式は圧力IH。
本体サイズは約257×380×214mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約5.5kg。ふたはほぼ垂直に開き、その時の高さは約425mmになる。定格電力は1,100W。カラーはブラックとマットホワイトの2色から選べる。
内なべの厚さは約2mmで、合金アルミと純アルミとの複層構造を持ち、ごはんの甘みを引き出すという。炊飯量はメニューによって異なるが、最小0.5~最大5.5合。洗米にも対応している。
調理量は「クイック調理」なら白米の目盛り1以上~5以下、「スロー調理」なら2以上~5以下の範囲で行なう。
約1.25気圧を実現する内ぶたは、調圧ボールがついたタイプだ。それでも比較的凹凸は少なく、「内ぶた着脱ボタン」を引き上げれば簡単に外れる。食洗機・乾燥に対応している。
操作は液晶画面を見ながら、[<|>]キーを押してメニューを選択する方式だ。液晶画面は大型で、キーも大きめなので一目瞭然。選択操作中でも全メニューが見渡せる、階層化されていないメニュー画面なので、戸惑いなく操作しやすい。
最後に選択したメニューは保存されるので、次回が同じ内容ならば[炊飯|無洗米]ボタンを押すだけで炊飯はスタートできる。
調理機能が大活躍! ほったらかしなのに絶品
早速「クイック調理」と「スロー調理」を試してみよう。
クイック調理は、沸騰温度に近い温度で火を入れ、短時間で一気に調理する方法で、調理時間は1分刻みで1~30分の範囲で設定できる。スロー調理はスタートから1時間は高めの温度設定で加熱し、以降は火力を弱めてじっくりと煮込むメニューだ。設定時間は30~360分。また、スロー調理は食材から出る水分を利用した無水調理にも対応している。
そこでJPV-A100のレシピの中から、クイック調理は「肉豆腐」、「かれいの煮付け」、「あさりのカレーチャウダー」の3種、スロー調理は「とろとろ豚角煮」、「牛すね肉のデミグラス煮込み」の2種に、無水調理として「無水ぶり大根」と「無水肉じゃが」の2種の、合計7種を作った。
それではクイック調理から紹介しよう。
レシピ通りに材料を揃え、内なべに調味料を合わせた煮汁、食材を入れる。操作部の[<|>]キーで液晶パネルの「クイック調理」に「▶」マークを合わせたら、[時|分]キーで調理時間を15分に合わせ、「炊飯」キーを押したらあとはできあがりを待つ。
調理が進むと徐々に蒸気が結構な勢いで吹き出すが、吹きこぼれなどの心配の無いまま、15分でできあがった。ほったらかし調理なので、どうしても肉同士や肉と豆腐がくっついていたりしたが、器にはちゃんと盛り付けができた。
肉、しらたき、しめじに味がちゃんとしみており、白ねぎはあんばい良くクタクタで良い食感。高温で一気に仕上げるため、肉はやや硬めだが美味しい。豆腐の中まで煮汁はしみていないが、熱々でとても美味しい。味付けはちょうどよかった。材料を入れてキーを押すだけで、本当に簡単に一品が完成した。
煮魚を普段はほとんど調理しない自分だが、かれいの煮付けにも挑戦した。面倒なのは別に用意した熱湯でかれいを洗うぐらい。あとは調味料をあわせて煮汁とし、かれいとしょうがを重ならないように並べて、クイック調理でたった12分で完成する。
できあがった様子は煮崩れも無く、きれいに盛り付けができた。短時間なのと、落し蓋や煮汁を回しかけながらの調理をしていないので、身の中にまで煮汁はしみていない。それでも、身はふっくらと炊きあがり、煮汁とのあんばいも良く、メインのおかずとして美味しくいただけた。
できあがりの一切れをいただいて、残りを煮汁に漬けて保存しておき後日いただいたが、味がしみて一層美味しかった。ぱぱっと作れるので、作り置きにもおすすめのレシピだ。
クイック調理の最後はあさりのカレーチャウダーを作った。最初に10分のクイック調理で材料に火を通し、次にホワイトソースと牛乳を加えて混ぜ、追加のクイック調理5分で仕上げるチャウダーだ。合計調理時間は15分。
一口いただいて思わず「美味しい!」と声が出てしまった。玉ねぎは甘く柔らかく、全体の食感のバランスが良い。塩加減がちょうどよく、軽いカレー風味が食欲を刺激する。刻んだ新鮮なパセリが一層美味しさを引き立てる一品だった。食欲のわかない朝にもピッタリのレシピだ。
牛乳やホワイトソースを使う料理を作る場合、普段なら焦げ付きや吹きこぼれが無いように、かき混ぜや火加減に始終注意を払う必要がある。だがJPV-A100で作ればその手間は要らない。できあがり後の内ぶたの汚れから結構強めの火力だったとわかるが、吹きこぼれも焦げも無し! 美味しいし早いしラク!
クイック調理は一旦調理が始まったら、ほぼおまかせで時短料理が完成し、しかも十分美味しい。忙しい時は特に便利に活用できるだろう。
次は時間をかけるスロー調理だ。
豚角煮はまずクイック調理で豚肉を下茹でし、次にじっくりとスロー調理で炊きあげ、さらに保温の熱でゆっくりと仕上げていくレシピだ。
スロー調理の前に、内なべに豚バラ肉と材料外の水を入れて15分、「クイック調理」で下茹でをする。茹で上がったバラ肉を冷水に取って余分な脂とあくを流す。これで豚バラ肉の下準備はOKだ。ここで内なべと内ぶたも洗って本体にセットしておく。
次はスロー調理へと移行する。内なべに材料の水と酒、下茹でしたバラ肉と、ねぎの青い部分と薄切りしょうがを入れる。「スロー調理」で2時間、じっくりと炊きあげる。
2時間の加熱が終わったら、材料のしょうゆとザラメを加えて軽く混ぜ、再びスロー調理で30分追加加熱をする。加熱が終了すると自動的に保温に切り替わるので、そのまま1時間保温すればできあがりだ。
保温調理も含め、調理時間合計3時間45分で「とろとろ豚角煮」ができあがった。
脂部分はとろっとした食感で肉はホロッと崩れるほど柔らかだ。色は薄めに仕上がっているが、味は良くしみており美味しい。煮汁は澄んでおりこちらも美味しい。塩加減と甘みのバランスが良い、上品な仕上がりの豚角煮が完成した。
バラ肉の下茹でと水洗いに、調理の途中で内なべと内ぶたを洗う手間はある。だが一旦スロー調理が始まったら、火加減の心配も無用で任せっきりに放っておけるのはラクでとても作りやすかった。加熱が終わって保温に切り替わるタイミングで、レシピには無いゆで卵を加えてもきっと美味しいだろうと思った。
スロー調理の2つめに「牛すね肉のデミグラス煮込み」を作った。
普段はフライパンで肉の表面に焦げ目をつけて、野菜も軽く炒めてから別鍋に移し、火加減に注意を払いながらじっくり炊いて……となる。だがこのレシピは、スネ肉に下味をつけておくぐらいで、あとは内なべにデミグラスソース、ウスターソース、砂糖以外の材料を入れ、「スロー調理」で240分(4時間)じっくりと炊くだけと工程が少ない。
4時間の加熱が終わったら、デミグラスソース、ウスターソース、砂糖を加えて混ぜ、追加の「スロー調理」で30分にセットして再スタート。それが終わればいよいよ完成だ。
器によそい、レシピの材料には掲載されていないバターで炒めたブロッコリーと絹さやで彩りを添えた。
いただいてみると見事な美味しい、美味しい、美味しい「ビーフシチュー」だった。肉も野菜も煮崩れていないのに、牛すじ肉は口の中でホロホロと崩れるほど柔らかで、肉のうまみがジワリと広がる。じゃがいもはふっくらもっちりで、にんじんには味がしっかりしみて甘さもある。ペコロスは口中で崩れるほど柔らかで甘く、マッシュルームの食感も良い。まさに贅沢なご馳走だった。
じっくりコトコト、スロー調理は時間はかかる。だが、焦げ付きなし、水分が飛ぶ心配も無しで、調理中はほぼ放っておくだけと簡単。なのに何度でも繰り返し作りたくなるほど、本当に美味しかった。お見事!
次は一般的な鍋とコンロで作るのはなかなか難しい「無水調理」を2品作ってみた。
ぶりは下処理が必要だ。分量の塩と酒をふりかけてしばらく置いて、水気を拭き取っておく。あとは、内なべにすべての材料を入れ、「スロー調理」で50分加熱。加熱が終わったら、全体を混ぜて、そのまま5分置けば完成だ。思っていたよりも簡単にできてしまった。
ぶりの身はふっくらと、口の中でふわっと崩れる柔らかさ。大根の食感も良く、それぞれに良い味が適度にしみていた。レシピに材料のしょうがを入れるタイミングが記されていなかったので、揃えた材料とは別に薄切りのしょうがを内なべに入れて調理した。細切りにしたしょうがは盛り付けの際に添えた。
一食分をいただいてから、残りを冷蔵庫で保存した。冷えると煮汁はゼラチン状に固まるほど、ぶりからの出汁がしっかりと抽出された様子だった。後日温め直していただくと、大根に味がさらにしみ、ぶりの身はしまり、これもとっても美味しかった。
もう1つは惣菜の定番である肉じゃがを無水で作った。内なべに湯通しした糸こんにゃく、じゃがいも、にんじん、玉ねぎの上に、下味をつけた牛肉を広げるように乗せて和風だしの素を入れて、あとは「スロー調理」で40分加熱する。
加熱が終わったら全体を混ぜ合わせ、筋をとったスナップエンドウを加えてふたをし、5分ほど置いたら完成だ。こちらも煮汁がしっかり出ていた。
いいお味の煮汁が全体にしみており、とても美味しい。肉はやや硬めに仕上がるも、良い肉感が残る。じゃがいもはホックリでにんじんは甘く柔らか。玉ねぎのシャキシャキ感もちょうど良かった。
クイック調理、スロー調理の合計7種を作っていただいたが、それぞれが美味しかった。レシピは手に入りやすい食材、調味料を使ったものがほとんどなので、チャレンジもしやすいだろう。旬の食材に置き替えるなど、応用も効きそうだ。
とはいえ、取扱説明書にはルーを使ったとろみの多い調理や、内ぶたの調圧孔をふさぐ恐れのある皮のついたトマトや葉物野菜、クッキングシートなど、「してはいけない」調理例が記されているので、応用の際に注意は必要だ。
それでもコトコト炊いた「牛すね肉のデミグラス煮込み」は絶品だったので、「カレーなどに応用したら絶対美味しいはずッ!」と強く思った。
ならば、ほったらかしで肉をホロホロに柔らかく炊くところまではJPV-A100に任せ、ルーを入れる工程からは手持ちの別なべに移してカレーを仕上げる、といったように、JPV-A100を部分的に活用する使い方ならアリだ。
さすが圧力IH。美味しいごはんが味わえる
今回は趣向を変えて調理メニューにフォーカスしたが、肝心の炊飯をスルーするわけにはもちろんいかない。炊飯メニューは15種類もあるが、その中からもっとも標準的な「白米」、5.5合炊き炊飯器でも少量の白米を美味しく炊く「少量炊き」、短時間で炊く「少量高速」、そして吸水時間をより長くして、味わい深いごはんを炊く「極うま」の4メニューを試した。
今回使用するお米は、大粒でツヤ、甘み、コク、粘り、弾力を持ち合わせるという、新品種の「新之助」(洗米タイプ)を選んだ。基本となる炊飯量は、少量炊きとも比較するため2合とした。水量は個人的な好みから、白米と同量とした。
白米
最初の炊飯はこの炊飯器の標準の炊き方の「白米」メニューで2合を炊飯した。操作は、液晶画面の「白米」が点滅するまで[<|>]キーを押して選ぶ。あとは、右側の[炊飯|無洗米]キーを押して炊飯をスタートする。すると液晶画面に選択したメニューと炊きあがりまでの時間、50分が表示された。なお無洗米の場合は[炊飯|無洗米]キーを2回押せばOK(液晶画面に[無洗米]と表示される)。
スタートから27分後、表示が“約20分”になった時「カタンッ!」と音がし、液晶画面に[圧力]マークが表示されて加圧がスタートした。その後すぐに蒸気が勢いよく立ち上り始め、炊飯時の香りが漂ってくる。
“約6分”で「圧力」の表示が消えた。取扱説明書によると、圧力が開放されて2分後に表示が消えるそうなので、加圧は12分となる。そして8回のブザー音が鳴って終了を知らせてくれる。2合炊飯の場合、実際の炊飯時間は46分だった。炊飯が終了すると同時に保温キーが点灯し、自動的に保温に切り替わった。
ふたを開くと、盛大な湯気の中からふっくらとツヤピカのごはんが現れた。炊きたてごはんの甘い香りが鼻をくすぐり、心躍る。
お茶碗によそっている時から、しっかりとした弾力がしゃもじから伝わってきた。まず一口頬張ると、ふわっと甘い香りが鼻から抜けた。食感は硬すぎず、柔らかすぎず、しっかりハリと粘りがあってちょうどいい歯ごたえ。満足度の高いとても美味しいごはんは、さすが圧力IHと改めて納得する。
少量高速
次は少量の白米をより早く炊きたい時に選ぶ「少量高速」だ。少量と言っても2合まで対応している。できあがりまでの時間は“約15分”と表示され、最初から「圧力」もスタートした。
“約11分”で蒸気が立ち上り始め、“あと2分”あたりでゴーッという音と共に蒸気が吹き上がって減圧が終わったようだ。炊きあがりの直前まで「圧力」は表示されたままで、実質的には約20分で炊きあがった。
ふたを開けると、ツヤツヤのごはんが現れたが、粒の輪郭がややぼやけ、粒立っていない印象だった。いただいてみるとふっくら感は少なく、やや硬め。それでも水っぽさも芯も無く、普通に美味しくいただけた。食感と食味は「白米」よりもやや落ちるものの、とにかく急いで炊きたい時は便利なメニューに違いない。
なお、白米を洗米して浸水させ、水切りした「洗い米」ならば、「少量高速」メニューでも粒が立ち、食感、食味、香り良く美味しく炊けた。冷めても粘り、甘みが感じられる美味しいごはんだった。洗い米は冷蔵保存できるので、用意しておけば「少量高速」メニューで短時間で美味しいご飯が味わえるのを付け加えておこう。
極うま
3番目は「白米」メニューよりも吸水と加熱に時間をかけて、より味わい深いごはんを炊きあげる「極うま」メニューだ。できあがりまでの時間は“約61分”と表示された。
「極うま」の圧力表示は、スタートから37分後の“約24分”で表示された。「白米」時よりも10分遅いスタートだ。加圧が始まった直後、表示が“18分”に短縮。どうやら炊飯量によって炊きあがりまでの時間が自動的にここで調整されたようだ。その後、“約6分”で「圧力」表示が消え、実質的には約56分で炊きあがった。
ふたを開けた時の様子はツヤピカで、白米時よりも粒が立って一層美味しそう。いただいてみると、香りはより強く、ふっくらもっちりで粘りも強く、甘みがより引き出された印象だ。明らかに白米時よりもより味わいが深く、食感・食味が揃った、とても美味しいごはんを味わえた。炊飯時間は白米よりも10分長くなるが、時間に余裕があるなら是非活用したいメニューだ。
少量炊き
炊飯の最後は、少量を美味しく炊くメニューの「少量炊き」だ。ここでは炊飯量を1合にした。できあがりまでの時間は“約52分”と表示された。
「少量炊き」の圧力表示は「白米」と同じく、スタートから27分後の“約20分”で表示された。すぐに“約18分”へと表示が変更された。その後、“約6分”で「圧力」表示が消え、実質的には約49分で炊きあがった。2合時の「白米」よりも3分長い。
炊きあがった様子はツヤピカで粒が立ち、カニ穴までできていた。ごはんを口に運ぶ前から甘い香りが鼻をくすぐる。粒はハリがあって立っており、とても5.5合炊きの炊飯器で、1合だけで炊飯したとは思えない、ふっくらと美味しいごはんだった。冷めても白米モードと遜色ない食感と食味が楽しめた。1人分の炊飯でも、見事に美味しく炊きあげられる。
JPV-A100は上位機種のように食感を変えたり、銘柄炊き分けの機能は搭載されていない「スタンダードモデル」だが、やはり圧力IH。実際に4種類のメニューを試してみて、満足度の高い美味しいごはんがいただけると改めて実感できた。
今回のレビューでは割愛しているが、炊飯メニューは他に「エコ炊き」、「冷凍ごはん」、「すし・カレー」、「お弁当」、「早炊き」、「麦めし」、「雑穀」、「炊込み・炊込みおこげ」、「おこわ」、「おかゆ」、「玄米」と11種類を揃える。
唸るほど美味しい、おこげ付きの炊き込みごはん
以上で予定していた炊飯と調理を終えたが、1つ気になる、いや、リベンジしたいものがレシピの最終ページにあったので、最後に追加したい。
それは、以前タイガーの最上位モデル、「土鍋圧力IHジャー炊飯器 炊きたて 土鍋ご泡火(ほうび)炊き JPL-S100」をレビューした際に操作ミスで実現しなかった、ちゃんとした「炊き込みごはん」だ。
レシピに記載されていた炊き込みごはんは、具材をイチから揃える本物の「五目ごはん」だ。
内なべに、洗米した3合の米、レシピに記された合わせ調味料を入れ「極うま」の目盛り3まで水を加える。そこに絹さや以外の整えた具材を入れ、全体をよく混ぜ合わせてから昆布を乗せ、(今度こそ)「炊込みおこげ」で炊き上げる。炊きあがりまでは約43分と表示された。
“約26分”で圧力がスタート。“約20分”の頃に蒸気が盛大に立ち上り始め、良い香りが部屋に広がる。“約7分”の頃、少しおこげの香りも漂い始めた。白米炊飯時は、終了6分前ぐらいに圧力は解除されたが、「炊込みおこげ」メニュー時は終了直前まで「圧力」マークが表示されたままだった。実際にかかった炊飯時間は47分だった。
炊きあがったらふたを開け、昆布を取り出し、塩ゆでして色止めして細切りにした絹さやを加えて全体をよくかき混ぜればできあがりだ。
器に盛りつけた姿のなんと美しいこと。ごはんは瑞々しくもっちり。具材それぞれの旨味、香りが立ち、うーーーーーん! と唸り、足をばたつかせてしまうほど美味いッ!
食材を揃えたり、下ごしらえするのは面倒だが、市販の素のように、どの具材も同じ調味液の味がするものとは全くの別物だ。合わせ調味料と昆布の旨味で炊きあげたごはんに、新鮮な具材それぞれの旨味と香りが立ち、口の中で渾然一体となる。こんなに美味しい五目ごはんをいただいたのは本当に何年ぶりだろう……と思いを馳せてしまった。
ニオイの手入れもでき、使い勝手も良い
炊飯と調理を繰り返したが、周囲をほとんど汚さずに使用できるのはとても良い。ふたを開けた時も水滴は少なく、凹凸の少ない内なべ周りは水滴が落ちてもサッと拭き取りやすい。
普段洗うのは内なべと内ぶたの2品のみ。スポンジで軽く汚れが落ちるので手入れはとてもラクだ。本体も汚れが目立たない仕上げなので、拭き取る程度できれいを保てる。
炊飯以外の調理後はどうしてもニオイが残るが、それを解消する「洗浄」モードがちゃんと用意されている。
実施方法は、内なべに「白米」の目盛り2まで水を入れ、炊飯と同じように[<|>]キーを押して「洗浄」を選び、[炊飯|無洗米]キーを押すだけだ。洗浄時間は24分。
洗浄時は内なべに圧力がかかり、高温の蒸気が内ぶたのパッキンや蒸気孔の中まで洗浄してくれる。洗浄が終わったら保温を取り消し、本体が冷めてから内なべに残った湯を捨て、手入れすればOKだ。
今回調理したレシピの中で、カレー粉を使った「あさりのカレーチャウダー」を調理した後、かなりカレーのニオイが残った。だが、洗浄でさほど気にならない程度まで軽減できたのを実感した。
また、内なべの取っ手が熱くなりにくいのが良い。「とろとろ豚の角煮」の調理過程で、豚肉の脂とあくを洗い流すため、熱々の内なべを持ち上げる場面があった。
だが、内なべの取っ手はさほど熱くなかったので、素手で取っ手を確実につまんで取り出し、流れ良く作業ができた。もちろんやけどには十分注意が必要なのは言うまでもないだろう。
侮れないスタンダードモデル
タイガーのスタンダードモデルだが、実際に使ってみて本当に侮れない。というのも、幸せを感じられるほど美味しいごはんが炊け、更に調理にも活用でき、それが見事に美味しかったからだ。手にしたその日からすぐに使いこなせるほど操作は簡単で、価格も含め欠点らしい欠点が特に見当たらず、使い勝手も良い。炊飯器としても、電気調理鍋としても満足度がとても高かった。
上位機種に搭載されるような、食感や銘柄の炊き分けには対応していない。だが、5.5合炊きながら、少量でも本当に美味しいごはんが炊けるのは大きな魅力の1つ。美味しいごはんを味わい、料理も楽しみたい人ならば、たとえ忙しい1人暮らしの方にも大いにお勧めしたい、タイガーの「圧力IHジャー炊飯器 炊きたて JPV-A100」だ。