家電レビュー
エアフライは揚げないのにサクサク! 本格ノンフライトースターが毎日使える
2023年2月14日 08:05
最近はトースターが多機能化し、冷凍パンが美味しく焼ける機種や焼きいもが美味しく焼ける機能なども登場しています。そんななか、この数年でじわじわ増えているのが「ノンフライ」調理機能搭載トースター。家電ライターである筆者もさまざまなノンフライ調理対応トースターを試用していますが、このところ出番が多いのがクイジナートの「エアフライ オーブントースター TOA-38」(以下、エアフライトースター)です。ただし、クイジナートはアメリカメーカーのためか、操作性などはちょっと独特。そこで、ここではエアフライトースターの良いところと使いにくいと感じたところをじっくりレビューします。
本体サイズはちょっと大きめ、食パンは4枚調理可能
エアフライトースターはファンを内蔵した「コンベクション(熱風循環)機能」搭載のトースターで、最大の特徴は内蔵しているファンのサイズと設置位置です。ファンのサイズは非公開ですが目視できる限りでは16cm以上。一般的なコンベクショントースターのファンは5cm前後ほどで、なかには直径3cmほどしかない製品もあります。熱風を庫内にしっかり行き渡らせる、エアフライトースターのコンベクション調理へのこだわりがわかります。
また、多くのコンベクショントースターは、本体サイズをコンパクトに抑えるために庫内奥側にファンを設置していますが、エアフライトースターはファンを天面に設置。ファン直下にヒーターがあるので効率的に熱風を作り出せるのです。
ちなみに、このファンの大きさと「ファン直下にヒーターがあり、熱風を直接食材に吹き付ける」という構造はノンフライヤー専用機とほぼ同じ。これだけでノンフライヤーとしての実力に期待がもてます。ただし、大型ファンを内蔵しているためか本体サイズはちょっと大き目です。エアフライトースターは4枚焼きのトースターですが、一般的な4枚焼きトースターより一回り大きく高さがある印象です。
さて、エアフライトースターはその名の通りトースターでもあるので、まずは一番出番が多いであろう食パンをトーストします。エアフライトースターは庫内下部にスチーム用トレーがあり、このトレーに水を入れて食パンをトーストします。バルミューダなど他社でも使われているようなスチームを利用する方式です。
食パンをセットしたら「TOAST」(トースト)モードで調理します。ちなみに、エアフライトースターは「WARM」「BAKE」「GRILL」「AIR FRY」「TOAST+FAN」「TOAST」の6つの加熱モードを搭載。なんとトースト調理だけで熱風の有無で2種類の運転モードがあります。
一番左の調理モードを選択したら、次はその横の温度ダイヤルで温度を設定。トーストの場合は一番高い230℃に設定します。最後にタイマーをセットするのですが……なぜかタイマーダイヤルは2つあります。トーストモード(TOAST+FAN/TOAST)で運転する場合は、一番右にあるトースト専用のタイマーを使用します。
通常のタイマーは分刻みで目盛りが刻印されているのですが、トースト用タイマーは「LIGHT」「MED」「DARK」とパンの焼き色でザックリと目盛りが分かれています。とはいえ、パンの量や冷凍の有無などで「DARK」にしても焼き色が薄いこともあるので、個人的にはタイマーは標準のダイヤルだけのほうが使いやすいと感じました。「BAKE」や「GRILL」などモードの差も直感的にわかりにくいので、操作性に関しては慣れが必要かもしれません。
一方、嬉しいのが庫内にしっかりしたライトがあること。運転中は庫内をかなり明るく照らしてくれるので、焼き色をチェックするのが簡単です。これは家族にもかなり好評で「こんなに便利なのに、なんで今までのトースターはライトがなかったの!?」と勢いよく聞かれてしまったほど。
気になるトーストの焼き色は、TOAST+FAN(230℃)だと4枚焼きでもムラが少なく優秀でした。写真の4枚焼きの焼き時間は約6分。2枚焼きトースターと比較すると庫内容量が大きい分焼き時間はちょっと長めです。しかし、スチームを利用しているからか、パン内部はしっとりとしています。トースターとして満足できるクオリティです。
ちなみに、取扱説明書では「冷凍していない食パン、バゲット」はファンなしを推奨、「冷凍食パン、アレンジトースト」はファンありが推奨されていました。しかし、我が家で試したところ、冷凍していない食パンもファンありのほうが焼き色が美しく、美味しく焼けました。
専用ノンフライヤーに負けていないぞ! エアフライモード
ここからは気になるエアフライ(ノンフライ)モードを試用します。ちなみに、エアフライモードでは付属するメッシュバスケットとトレーを利用します。トレーとバスケットの間には1cmほどの隙間があるので、この隙間に熱風が入り込んで食材を下からも加熱してくれるのが特徴です。
まずはノンフライヤーの定番、“揚げない”鶏から揚げを調理。醤油と酒で下味をつけた鶏もも肉に片栗粉をつけてエアフライモード(180℃)で12分焼きます。出来上がったから揚げは表面パリパリで中しっとりのなかなかの仕上がりです。
とはいえ、じつはノンフライから揚げは比較的多くのノンフライ調理家電で美味しくできる料理。意外と優劣がでやすいのがパン粉を使った「フライ」調理です。そこで、今回は豚肉の間にチーズと大葉を挟んだ「豚肉のはさみ揚げ」も作ってみました。
ポイントはパン粉にあらかじめサラダ油を馴染ませておくこと。ノンフライ調理は「食材の油で調理をする」といわれていますが、油が少ないと焼き色がつかなかったり、美味しく仕上がらないことが多いのです。余分な油は調理過程でトレーに落ちるので、美味しいフライが食べたいなら油はケチらないことをおススメします。
できあがった豚肉フライは、とにかく素晴らしい完成度! 正直トースタータイプのノンフライは焼きムラができたり、一部が焦げたり、一部カリカリ感が少なかったりと微妙な出来になることも多かったのですが、エアフライトースターは専用のノンフライヤーで作ったかのような仕上がりでした。
熱風の強さと焼きムラのなさから、もちろん総菜のあたため直しも優秀。我が家ではソバに付け合せる天ぷらは出来合いの総菜を利用することが多いのですが、エアフライトースターなら焼き色が付きすぎずに全体がカリッと仕上がります。毎回トレーにたっぷりと油が落ちているので、美味しいだけではなく健康にもよさそうです。
付属するグリルコンテナもかなり優秀
ノンフライ調理とリクック機能だけでも優秀なのですが、じつはエアフライトースターはオーブン料理に便利な「グリルコンテナ」と呼ばれる付属品もあります。グリルコンテナは「ボックス」と呼ばれる深皿と、ボックスのフタとしても利用できる「トップ」と呼ばれる浅皿の2パーツ構成。
高さのあるボックスでグラタンや煮込み料理を作ったり、波型底で肉の余分な油を流してくれるトップで肉を焼いたり……といった使い方ができます。ちなみに、2パーツを組み合わせて使うことももちろん可能。オーブン調理は天板に接している部分に焼き色が付きやすいという特性がありますが、コンテナのトップを食材に触れさせることで「食材をひっくり返さずに両面焼き色をつける」ことが可能です。
ハンバーグを作るときは種を高く成形し、種をつぶすようにしてトップでフタをします。ボックスとフタが触れている部分に焼き目がつくので、ハンバーグもひっくり返す手間なく手軽に焼けます。
ボックスで作ったチーズケーキは、熱風効率が良いからか、とにかく焼き色がキレイです。レシピにもよりますが、だいたい5号サイズケーキくらいの量が焼ける印象でした。
家電ライターの筆者は、いままで複数のノンフライ調理機能搭載トースターを利用してきましたが、毎回「ノンフライ調理は専用ノンフライヤーのほうが完成度が高いな」と感じていました。もちろんファンの強さに満足できる製品も少ないながらあったのですが、そういった製品は「トースター」というより完全に「オーブン」という大きめサイズです。一方、ノンフライヤーは引き出し式のバスケットに食材を入れて調理するため、使用後の洗い物が面倒だったり、調理中に外から焼き色がチェックできないなどの不満点がありました。
今回紹介したエアフライトースターは、この両方の不満点を解消してくれた画期的な製品です。もちろん、一般的なトースターより少々高さがあり、操作性が独特という気になる点はあります。しかし、そんなことが気にならなくなるくらい我が家ではトースター、ノンフライヤー、オーブンとして毎日活躍しています。