家電レビュー
バルミューダの進化したトースターで極上トーストが味わえた!
2023年11月13日 08:05
2015年の発売開始以来、パン愛好家の間で好評を博すバルミューダのスチームトースター「BALMUDA The Toaster」が、リニューアルしました。前モデルは2万円を超える高級トースターでありながら、国内外で飛ぶように売れた話題のキッチン家電。今回、従来の基本機能はそのままにアップデートが加えられ、さらにおいしいトーストが楽しめるといいます。
新モデルの直販価格は29,700円。一般的なオーブントースターの相場の3倍はするであろう値段ですが、それでも欲しいと思わせてくれるものなのか。その実力が、いかなるものか試してみました。
パンに水分と香りを閉じ込めるスチームテクノロジーが秀逸!
高価な家電は多機能だけど、操作が複雑で使いこなせないイメージがありませんか? 本機もひょっとしてそうなのではないかと心配していましたが、実際に使ってみると、いたってシンプルで感覚的に操作できました。
使用する際は、本機に向かって右側にある電源ON/OFFボタンを押して、電源をONにします。
続いて左側のモード選択ダイヤルで調理するものに適したモードを選び、電源ON/OFFボタン外側のタイマーダイヤルを回して調理時間をセット。なお、電源を入れる前にモードを選択しても問題ありません。
タイマーで選べる調理時間は1分~15分。1分~5分の範囲は0.5分(30秒)間隔、以降は1分単位で調理時間を設定できます。調理時間をセットして、ダイヤルから手を離すと、「ピピーン」という音が鳴って運転開始です。
このように本機はタイマーと電源ON/OFFが分かれているので、設定したタイマーを解除したり、途中で加熱をストップしたりといった操作がスムーズにできて便利だと思いました。
この手順で焼くだけでも、おいしいトーストが出来上がるのですが、さらにひと手間加えることで、いつものトーストがワンランクもツーランクもアップします。
そのひと手間、つまり、パンをよりおいしく焼き上げるのが、バルミューダ独自の「スチームテクノロジー」です。庫内にスチームを充満させ、パンの中に水分、油脂成分、香りを閉じ込めたまま本格的なヒーター制御で焼き上げることにより、表面はこんがり香ばしくてサクサク、中はもっちりふわふわとした食感のおいしいトーストが完成するとしています。
したがって、この機能を使わないと、本機でトーストする意味が激減するといってもいいでしょう。
スチーム機能を使って調理する際は、電源を入れる前に、まず付属のカップを使って本体上部の給水口から5ccの水を注ぎ入れます。
調理モード、調理時間をセットして運転を開始すると、本体下部のボイラー部から放出されたスチームが庫内に充満し、パンの表面が薄い水分の膜で覆われます。この水分が加熱されることによって、パンの表面だけが軽く焼けた状態になり、中の水分、油脂成分(バターなど)、香りをしっかり閉じ込めたまま、最後に上下のヒーターで香ばしく焼き上げる仕組みです。
表はサクッと、裏は香りが引き立つ焼き上がりに
トーストがおいしく焼けるのには、スチームテクノロジーのほかに、細やかな温度制御も深く関わっています。今回のリニューアルでは、この温度制御機能が進化し、3つの温度帯(60℃・160℃・220℃)を1秒単位で制御、且つパンの種類に適したヒーターの強さに設定することにより、感動的な焼き上がりを実現できるとしています。
3つの温度帯とは、デンプンがα化(糊化)され、パン内部の柔らかさと風味がよみがえる60℃前後、パン表面がきつね色に色づき始める160℃前後、炭化して焦げ目がつきはじめる220℃前後の区分です。この温度帯にもとづいて庫内の温度を制御しつつ、調理モードごとに上面・下面のヒーターの強さを設定しているので、パンの種類に適した焼き上がりに。
焼き上げ時に上面ヒーターが強くなるトーストモードでは、食パンの表と裏で焼き加減が異なるのに驚きました。表はサクッとした食感、裏は香りが引き立つ焼き加減になるように設定されているのもユニークです。
なお、今回のリニューアルでは、温度制御機能の見直しのほかに、焼き網形状の変更、本体サイズは変えずに庫内の奥行きを2cm拡大などのアップデートが加えられました。また、ブラック、ホワイト、グレーのカラーラインナップに、北米で人気の「ショコラ」が追加されています。
外はサクサク、中はもっちりふわふわのトーストが焼き上がる!
進化した温度制御機能とスチームテクノロジーの合わせ技により、感動するほどおいしいトーストが焼き上がるという本機。その実力を試すべく、筆者は山型食パンを使ったトーストを焼いてみることにしました。
十字に切込みを入れた食パンの中央にバターをのせ、5㏄の水を給水し、トーストモードで3分ほど加熱。ちなみに、食パンの頭(山側あるいは天面)を手前に向けて、焼き網の中央に(複数枚の場合は均等に)並べると、ムラなく上手に焼けます。
タイマーで設定した時間を経過すると、「ピピーン、ピピーン」という調理完了の合図が鳴り、電源がOFFになります。調理完了後、庫内から取り出してみると、食欲をそそる焼き色がついたトーストが出来上がっていました。
見た目から既においしそうだったのですが、実際に食べてみると、期待を裏切らないどころか、想像以上においしいトーストに感動して、思わず「おいしい!」と大声で叫んでしまったほど。
こんがり香ばしいきつね色の表面は耳までサクサク、中はもっちりふわふわ食感に仕上がっており、かみしめるほどにうまみと甘味が口の中に広がる極上トーストを楽しめました。
なお、冷凍食パンを使うときは、常温パンの調理時間プラス1~2分が目安。また、パンにこんがりと焼き目がつくトーストモードは、食パンのほか、ベーグル(横半分にスライスする)やイングリッシュマフィンの調理にも適しています。
一方、ピザトーストやチーズトーストなど、具材を乗せたメニューを調理するときは、上火が強い「チーズトーストモード」がおすすめ。ハムチーズトーストをつくったところ、サクサクに仕上がったトースト、表面がこんがり焼けた、ふわっ、とろっのチーズの組み合わせが美味でした。
クロワッサンもフランスパンのリベイクもお手のもの!
本機には、トーストモードやチーズトーストモードのほかに、フランスパンモード、クロワッサンモードも選べます。この2つのモードでも、運転開始前に5㏄の水を給水すると、パンがおいしく仕上がります。
パンの表面に焦げ目をつけることなく、中までしっかりあたためたいフランスパン、ロールパン、コッペパン、あんぱんなどの調理に向くのが「フランスパンモード」。
中までしっかりあたためつつ、パンの表面をサクッと仕上げたい時には「クロワッサンモード」が便利。デニッシュ、スコーン、アップルパイ、カレーパンなどのリベイクに適しています。
筆者が特にすごいと思ったのは、フランスパンモードでバゲットの端の部分をリベイクした時に、表面が焦げることなく、中がしっとりふっくらしていたことです。あのかたい端が、温かいうちは手で簡単に割れるほど柔らかくなっており、焼き立てに近い味わいだと思いました。
なお、パンを調理していると、切れ端やパンくずなどが落ちるので、本体下部に装備されている引き出し式のパンくずトレイを取り外して、使用の度にお手入れしましょう。焼き網、ボイラーカバーも取り外せるので、定期的にお手入れすることで衛生的に使えます。
グラタンやクッキーも焼ける! パン以外のトースター料理にも対応
本機には、トースト、チーズトースト、フランスパン、クロワッサンの4つのモードのほか、パン以外のメニューの調理に便利な「クラシックモード」も搭載されています。
クラシックモードは、スチームを使用しないトースター調理機能。グラタン、クッキー、焼き餅、焼き魚など、調理するメニューに合わせて170℃・200℃・230℃の3つから適した温度を選べます。
クラシックモードでは庫内の温度が均一になるようにコントロールされているため、加熱が安定していて焼きムラが抑えられます。
230℃でグラタンを調理したところ、表面にムラなく焼き色がつき、見た目からもおいしい一品が完成しました。
トーストといい、グラタンといい、簡単な操作で想像以上においしく焼き上がることに感動しました。クラシックモード以外の4つのモードでは、スチーム機能をプラスすることでまるで焼き立てのようなパンを楽しめるのも魅力です。
本機は高価ですが、やはり「欲しい!」、「買いたい!」と思わせてくれる秀逸なオーブントースターだと思いました。