家電製品レビュー

バルミューダ初の掃除機って実際どうなの? 独自のホバー式で超自由に動く!

BALMUDA The Cleaner

独特のデザイン性と機能性で知られるバルミューダ。部屋にマッチする「かっこいい家電」を作るメーカーですよね。そんなバルミューダから今度は掃除機が登場。11月17日に発売された「BALMUDA The Cleaner」です。カラーはホワイトとブラックがあり、直販価格は54,000円。

カラーはブラックとホワイト

このクリーナー、何でもホバークラフト(空気で浮く乗り物)をイメージして開発されたそうで、掃除機なのに浮かぶような軽い操作感があるとのこと。使った人によれば、従来の掃除機とは全く違った「かけ心地」があるとか。

ホバークラフトをイメージしたとのこと

ナニ? ホバークラフト!? 全く違った「かけ心地」ですと? そ~れは興味津々!!! ということで実機をお借りして試用してみました。

で、とりあえずの筆者的結論から書いてしまいますと、ユーザーや使用環境を選ぶ側面が少しあるものの、確かに非常に斬新な「かけ心地」です。掃除機が床から少し浮いているような軽快さがありつつ、自由な方向に動くという使用感は、斬新である以上に新たな実用性をもたらしています。「凄い!!! よくこんなの作ったなぁ~」というのが率直な印象です。

「BALMUDA The Cleaner」はどんな掃除機?

まずはBALMUDA The Cleanerの概要から。スティック型のサイクロン式掃除機で、充電式です。吸引力は標準モードと強モードの2種類があり、満充電からの運転時間は標準モードで30分、強モードで10分。バッテリーが空の状態から満充電までに約4時間かかります。その他の要素は以下に写真と説明文で見ていきましょう。

本体サイズは300×165×1,240mm(幅×奥行き×高さ)で、フィルターを含んだ本体質量は約3.1kg。一般的なスティック型掃除機と比べると全長が長めで、重めでもあります
専用充電台が付属し、立てた状態で充電できます。スラリとした佇まいも特徴的です
充電台の裏側。余分なコードを丸めて収納しておけます。充電台背面の左右どちらからでもコードを引き出せるようにもなっています
掃除機上端あたりを握って使います。上端部にはボタンがあり、押せば電源オンオフで、長押しすれば吸引力(標準モード・強モード)の切り替えとなります。標準モードでも十分な吸引力があると感じられます
実際に動作させると軽快に床面を滑りますので、片手でも使えます。また、掃除機上端のボタン部はラバーの滑り止め素材なので、この部分を壁などに触れさせて自立させることができます
ヘッドの手前部分にモーターやバッテリー、ダストカップがある低重心掃除機です
ダストカップは容易に取り外せて、カップやフィルターは洗うことができます
スティック型掃除機の状態からヘッドと持ち手(棒の部分)を外し、同梱のハンドルなどを装着すればハンディ型としても使えます。ヘッドや持ち手の脱着は容易です

こんな感じの、シンプルなスティック型掃除機。デザイン的なクセも強くなく、充電台に載せたときの佇まいも静かな印象なので、多くの部屋にマッチしそうです。

ヘッド部分の凝った仕組みがすご~い♪

少々前述しましたこのクリーナーの「かけ心地」。床の上をスムーズに滑るような軽い操作感があります。そして前後はもちろん、左右にも斜めにも自由に動かせる。また、持ち手を回転させればそれに追従してヘッド部分も360度回転します。

前後左右に自由な動き!

なので、フローリングワイパー掃除具のように、自由に動かして掃除できるんです。スティック型掃除機なのに!!! どんなふうに動くかは、公式サイトの動画を再生してご確認ください。

なぜこんなに自由にヘッドが動くのか? ヘッドの部分には凝った仕組みがあり、それによりBALMUDA The Cleaner独自の「ホバーテクノロジー」を実現しているそうです。写真と説明文でヘッド部をじっくりと見てみましょう。

ヘッドを短辺側から見た透過図。2つの回転ブラシと自在に動くヒンジ(360°スワイプ構造)により、滑るような軽い操作感を実現しているそうです
2つのヘッドはどちらもゴミを掻き込むように回転しています。それぞれ逆向きに回転することで、ヘッドが一定方向に走るような力がかからず、床面を滑るような抵抗感の少ない操作感となっています。またどの方向にでも向くキャスターが2つあり、これもヘッド部の自由な動きにつながっています
ヘッドを真下から見た様子。長辺側からゴミを掻き込みますが、短辺側にもスリットがあってそこからもゴミを吸引します
ヘッドと本体をつなぐヒンジ部にも斬新な仕組みがあります。見やすいよう、ヘッド手前の本体部は取り外してあります
こんなふうに、どの方向にでも曲がります(360°スワイプ構造)。フローリングワイパー掃除具もこんなふうに動きますね。あの動きをスティック型掃除機で実現したというわけです
ホバーテクノロジーとは関係ありませんが、ヘッドの四隅にはローラーがあります。ヘッドを壁面に当てるとこのローラーのみが壁面に接触して回転し、壁面に沿ってスムーズにヘッドを動かすことができます

こんな仕組みから生まれた、BALMUDA The Cleaner独自のスムーズに滑るような軽い操作感。体験すると驚けると思いますので、ぜひ店頭などの実機に触れて試してみてください♪

実際の使用感はどうなの?

さて、BALMUDA The Cleanerで掃除してみての印象です。主に筆者宅のフローリングの部屋で使いました。

まず、狙ったところへと自由にヘッドを動かせるのが快適です。普通の掃除機の場合、例えばヘッドの真横にゴミがあった場合、ヘッドをある程度手前などに動かし改めてそのゴミの上を通過するように動かすか、ヘッドを持ち上げてゴミの上に置くといった操作が必要です。

一方BALMUDA The Cleanerの場合、どの方向にでも動かせます。ヘッドの真横にゴミがあったらヘッドを真横に動かせばOK。ヘッドを持ち上げたり、ヘッドの進行方向を改めて調整するなどの手間が省けて手っ取り早く使えます。

吸引力も十分。筆者宅では毎日掃除機がけをしていますが、標準モードで細かなゴミなどはしっかり取れます。強モードの出番はありませんでしたが、敢えて使ってみたら大きめの砂粒のような重めのゴミも吸引できました。

なお、使用時の騒音ですが、どちらかといえば大きめの音が出ます。弱モードなら「夜でも少しなら使ってもいいかな」というイメージ。でも強モードだと「夜だと近所迷惑になりそう……」という感じです。全体的に「静音性が高い掃除機」とは言えないと思います。

それから、狭い隙間に強いことも特徴です。筆者宅ではトイレの便座左右が狭く、一般的な掃除機のヘッドは入っていきません。ですがBALMUDA The Cleanerならヘッドを縦にするだけでスッと入っていきます。

狭い隙間でもヘッドの向きを縦にすれば問題なく掃除できます。ヘッド幅の狭さという点では、類稀な「幅狭ヘッド」と言えそうです

それとヘッド部の高さも案外低め。実測で約5cmですので、家具の下へもスッと入れられます。ただし、短辺側を前方として家具の下へ入れた場合、ヒンジ部で引っかかりますので、短辺端~ヒンジ部までの12cm程度しか家具下へ入れられません。

こんなふうに家具の下へと(12cmくらいなら)ヘッドを入れることもできます
ベッドの下へ入れてみると、途中までは入りますが奥までは入りませんでした。BALMUDA The Cleanerのヘッド手前部分は「完全には水平にならない」からです。ベッド下へ入れる途中で掃除機本体がつかえてしまうんですね。完全に水平になればこのベッド下の奥まで掃除できたのに、残念

階段掃除がスムーズ! 自由な操作感はぜひ体験を

それからBALMUDA The Cleanerは、階段や壁際での使い勝手がとてもいいです。ヘッド部四隅のローラーにより、ヘッドを壁際に密着させての移動がスムーズです。

ヘッドを自由な方向に動かせますので、階段掃除にありがちな「掃除機を何度も持ち上げてヘッドの向きを変える」ような必要もありません。各段でヘッドを持ち上げる必要があるのは一般的なスティック型掃除機と同様ですが、一般的なスティック型掃除機と比べるとよりスムーズに階段掃除を進められます。

壁際掃除はヘッドを壁にピタリと付け、そのまま壁沿いを動かすだけ。壁にはローラー部分しか当たりません。もちろん縦向きでも横向きでもOK
階段掃除も壁面に沿って動かしたり、手前に引いて動かしたり。ヘッドを自由に動かせるので、掃除する向きが変わったらヘッドをいったん持ち上げるといった手間とは無縁です

こんな感じで、一般的なスティック型掃除機にはない使い勝手の良さがあります。BALMUDA The Cleanerだと入り組んだ箇所をよりスムーズに掃除でき、狙った方向にヘッドを動かせる小気味よさもあり、掃除につきまとうフラストレーションが大きく減ったと感じられます。

ただ、万人向けの掃除機ではないように思います。理由は大きさと重さ。約3.1kgというのは、やはり重め。BALMUDA The Cleanerで掃除中は、ヘッドが自由な方向に軽やかに動くので、あまり重さは感じられません。ですが、充電台への脱着時は持ち上げることになりますし、段差を超える時も同様に、重さを感じがちです。

大きさについては、ヘッド幅が一般的なスティック型掃除機より5cm程度幅広(長辺側)ですし、全高25cmほど長い(背が高い)というイメージ。初見では誰もが「でかっ!!!」と思うのではないでしょうか。

それと、ベッドの下などには十分入って行きませんでした。椅子程度の、高さがある家具の下なら問題ありませんが、ソファーやベッドの下は掃除しにくいと感じました。

そんな「苦手な掃除場所」やサイズ感、重さの特殊性もあるBALMUDA The Cleaner。購入を考えるならまず実機に触れてみるのが無難だと思います。実機に触れてサイズ感や重さを確認し、これまでにないヘッドの自由でスムーズな動きに驚いちゃってください♪

スタパ齋藤