家電製品レビュー

ダイソンの魅力はそのままにスリム化! 「V8 Slim」は手軽に使いたい人にピッタリ!

 以前、このコーナーにおいて、ダイソンのコードレスクリーナーのハイエンドモデル「Dyson V11」を紹介した。ダイソンならではの圧倒的な吸引力に加え、運転の残り時間が分かったり、スタンドが付属したり、使いやすさが大幅に進化したと感動したが、やはり基本は欧米仕様だと思った部分もあった。それが長さと重さだ。

 そんな「Dyson V11」が3月に発売されてから半年。またまたダイソンから新しいコードレスクリーナーが発売された。2016年に発売された「Dyson V8」をベースに吸引力と本体重量、サイズを小型軽量化した「Dyson V8 Slim コードレスクリーナー(以下、V8 Slim)」だ。さっそく使ってみたので、使用感をレビューしよう。

「Dyson V8 Slim」日本の住環境のために開発された日本専用モデルだという
以前紹介した「Dyson V11」。本体2.72kgの重さと1,257mmの長さは、小柄な日本人にはちょっと長く、小回りも効きにくいかも?
メーカー名ダイソン
製品名Dyson V8 Slim Fluffy+(フラフィ プラス)
直販価格59,000円(税抜)

ヘッドとパイプを見直して小型軽量化を実現

 実際にV8とV8 Slimでは、どれほど変わったのか、まずは数字でチェックしてみよう。

  本体重量(スティック・ヘッド装着時):2.61kg→2.15kg
  長さ:1,244mm→1,123mm

 重量が460g軽くなり、全体の長さが121mm短くなっている。ここまで大幅に軽量・小型化すれば、使用感もかなり違うだろうと期待が高まる。

V8(手前)とV8 Slim(奥)を比較。確かにV8 Slimは一回り小さく感じる

 一方で気になるのが吸引力の低下だ。ダイソンのコードレスクリーナーの吸引力がすごいのは、今さら言うまでもないが、今回軽量コンパクト化するために、例えばモーターのパワーを落としちゃった、なんてことは……?

 結論から言うと、モーターはV8と同じダイソン デジタルモーターV8をそのまま採用している。今回見直したのは、クリーナーヘッドとパイプで、クリーナーヘッドにおいては40%薄型化かつ40%軽量化、パイプにおいては6cm短縮かつ小径化したという。

メインで使う本体、パイプ、クリーナーヘッド(スリムソフトローラー クリーナーヘッド)のほか、5つのノズルとバッテリー充電器、収納用ブラケットが付属する

 では、いよいよ使ってみたい。今回使ったのは、ノズルが5つ付属する「Dyson V8 Slim Fluffy+(フラフィ プラス)」だ。開封してみたところ、「これはありがたい」と思える工夫があった。使い方がひと目で分かる説明書きだ。

 家電はそもそも取扱説明書を読んでから使うべきだが、基本操作は直感的に覚えたい。その点、モード切替やゴミ捨て方法は、最初に分かっていると、すぐに使い始められる。特にモード切替を間違えると、連続使用時間が大きく変わってくるので、最初に知っておきたい。

レバーを左にすると通常モードで30/40分、右にすると強モードで7/7分連続運転が可能になる(いずれもクリーナーヘッド/非モーター駆動ツール時)
説明を外してみると、強モード側に「MAX」とだけ書いてある。気づかなかったらモード切替しない人もいるかも?
ゴミ捨て方法も書いてある。これは知らないと捨てられないかも

 本体、パイプ、クリーナーヘッドを組み立ててみると、いつものサイズ感と違うのは明らか。形状やカラーリングは確かにダイソンなのに、存在感は日本仕様だ。持ってみても、想像以上に軽く感じる。これは取り回しやすい!

動かしてみると、V11を使ったときに感じた「長すぎる」感じは一切なく、ちょうどいい

 なるほど長すぎると、本体を握る手と床との角度も変わってくるため、小柄な人は腕を余計に上げなければならず、疲れやすくなるのかも。またパイプやヘッドも軽いので、移動するときにヘッドをスムーズに持ち上げられる。

 ちなみに変わっていないのは、トリガーを引いているときだけ運転するという方式だ。個人的には、指で引きながら本体を押すという動作は、ちょっと力を使う作業だと感じているが、こればかりは人それぞれなよう。夫がV8 Slimを使って最初に言った言葉が「この、引いているときだけ掃除できるっていうのが分かりやすくていいよね」だったから。

トリガーを引いているときだけ運転する仕組み。ムダに吸い続けることがなく、省電力にも

壁際のゴミもしっかり吸い取る!

 今回、軽量化するためにクリーナーヘッドも改良したというが、吸引力は落ちていないのだろうか。まずは普通に掃除をしてみた。最初は強モードで掃除していたが「このままでは7分しか持たない!」と思い直し、フローリングは標準モードで、カーペットは強モードにした。

 リビングダイニング、キッチン、2つのカーペット敷の部屋、畳の部屋……と全室掃除したところ、17分ほどで充電が切れた。わが家には十分な時間だ。そしてダストボックスにはゴミもたっぷり溜まっている。

これだけ吸ってくれるなら、吸引力も心配なし!
充電スタンドは付属しないため、直接充電コードを差し込んで充電する。収納用ブラケット(手前)を壁に取り付けて、収納と充電場所を固定してもいい

 ただ強モードを使うと、音やほどよい吸い付き感にパワーを感じてしまうため、標準モードが物足りなくも感じてしまう。そこでフローリングに小麦粉を撒き、標準モードと強モードそれぞれで吸ってみたところ、標準でもキレイに吸えていることが分かった。

標準モード
強モード

 なので充電を持たせるためには、よほど汚れがひどいか、短時間で掃除を済ませたい場合以外は、フローリングは標準モードで十分だ。ただしカーペットは、毛の奥のゴミも吸ってほしいので、強モードを使ったほうがいいかもしれない。

ループ状のカーペットはゴミも絡みやすい。麦茶の茶葉を撒いて強モードで掃除してみたところ、ワンストロークでわずかにゴミが残ったが、その後2往復できれいになった

 さらに今回開発したヘッドは、空気の流れを再設計し、効率的な空気の流れを確保したことで、壁際にヘッドを押し付けなくてもゴミを取れるというので、そちらも試してみた。

壁際に小麦粉を撒き、壁にぶつかるところまで押し込んだ
軽く当てただけだったが、ゴミ(小麦粉)は残っていない

 結論として、軽量コンパクト化したものの、メイン掃除機として使える吸引力は十分に備えている、ということだ。

 ちなみにゴミ捨てについても、最初の説明書きのおかげで迷わずできた。

赤いレバーに指をかけ、グッと引き上げると
下のフタがパカッと開き、ゴミが落ちる

 コードレスクリーナーの魅力として、ノズルを付け替えて家じゅうを掃除しやすいという点が挙げられるが、今回、面白いノズルが新開発されていた。「LED隙間ノズル」だ。その名の通り、LEDで光る隙間ノズルだが、国内メーカーモデルの中には、隙間ノズルが光るものも少なくない。しかしV8 Slimは、予想以上に光った(笑)‼

まさかノズルが全体的に光るとは

 これを使えば、暗い隙間も明るく照らしてくれるので確かに掃除しやすいが、それ以上に反応したのは、わが家の男子たち。私は便利としか思わなかったが、夫と息子は「カッコいい‼」と。思わず使いたくなるギミック。こういうところもダイソンが愛される理由の1つだろう。

 さっそくノズルを一式持って、車を掃除することにした。車は少し放っておくと、あっという間にホコリが溜まってしまう。

運転席をよく見ると、ホコリやゴミが結構ついている
LED隙間ノズルで隙間のゴミを吸い取る
座面と背もたれはフトンノズルで
あっという間にきれいに

 ほかにもハンドル周りやギア周り、ポケット、インパネ、エアコンの吹き出し口など、掃除したいところはたくさんある。今回、溜まりに溜まったホコリを掃除してすっきりキレイになった。あ~気持ちいい‼

 やはりノズルがたくさんあると、掃除したい場所の形状に合ったノズルを選べるので、効率的に掃除ができる。

車内だけでもゴミがこんなに溜まった

V8 Slimという選択肢は大いにあり!

 以前、V11を使ったときに、その吸引力の強さと使いやすさに感動し、これならキャニスターから乗り換える人も十二分に満足させてくれる、と思ったが、同時に「手軽に何度も使いたい人」には、ちょっと重量感があるかも、と感じていた。

 その点、V8 Slimはサッと使いたいときにピッタリだ。だからと言って、吸引力に物足りなさはない。パイプが軽いため、高い場所を掃除するときも、軽々持ち上げられる。

エアコンの吹き出し口の掃除も手軽にできる

 これはライフスタイルから考えると、V8 Slimのほうが向いている人もいるはず。価格も抑え気味なので、V11は“too mach”という人は、こちらを検討してみてはいかがだろうか。

田中 真紀子