家電製品レビュー

挽きたて&淹れたてコーヒーをもっと手軽に。メリタのミル付き全自動コーヒーメーカー

メリタジャパン「アロマフレッシュサーモ AFT1021-1B」

挽きたて・淹れたてのコーヒーは、香り高く断然美味しい。美味しいコーヒーは、おかわりしながらたっぷり楽しみたい。リラックスタイムや夕食後のコーヒーはもちろん、忙しい朝だからこそ、挽きたて・淹れたてのフレッシュなコーヒーで、一日をスタートしたい。

だが、挽きたての美味しいコーヒーを楽しむには手間と時間がかかる。周囲を汚しやすい豆を挽く手間に、ハンドドリップなら湯沸かしから抽出までつきっきりで時間がかかり、湯温や湯を落とすタイミングにも気を遣う。コーヒーメーカーは簡単だが、主流のものが淹れられる量は4~5杯分。マグカップでおかわりとなると物足りなく、どこか味気なさも少しある。

そこで今回は、挽きたて・淹れたての美味しいコーヒーを簡単にたっぷり楽しめる、メリタジャパンの「アロマフレッシュ サーモ AFT1021-1B」を紹介しよう。挽きたて・淹れたてのフレッシュコーヒーがたっぷり楽しめる上、風味の変化まで付けられるという、ハンドドリップ顔負けのコーヒーメーカーだ。

メーカー名メリタジャパン
製品名アロマフレッシュサーモ
品番AFT1021-1B
価格40,000円

高品質グラインダーを装備した、メリタのハイエンドモデル

アロマフレッシュサーモは「ミル付き全自動コーヒーメーカー」として、メリタのハイエンドモデルに位置づけられている。「日本において初めてメリタブランドで発売する家庭用全自動コーヒーメーカー」としている。

ミルは業務用としても使用される円錐状の刃の「コニカル式グラインダー」を装備。挽き具合は3段階から選べる。抽出方式は長年定評のあるメリタ独自のペーパードリップ式で、特筆すべきはコーヒーメーカーながら、風味も調整可能なところ。淹れられる量は2杯から最大10杯分(1.25L)とたっぷり。しかも、指定時間に合わせて挽きたて・淹れたてのコーヒーを自動で作ってくれるタイマー付きだ。

ポットは真空二重構造ステンレスポットを採用し、コーヒーを煮詰めずに保温ができる。1.25L入る透明な水槽タンクは取り外しできるので給水も簡単だ。

円錐状の刃が豆を粉砕する、業務用としても使用されているコニカル式グラインダーを採用
ペーパーフィルターを用いた1つ穴抽出のメリタ式。フィルター類は取り外しできる
真空二重構造ステンレスポットで、コーヒーを煮詰めずに適温をキープ
取り外しできる透明な水槽タンク。給水も水量の確認も簡単だ

本体サイズは263×237×411mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約4.7g。ミル付きで10杯分のコーヒーができるとあって本体は大きいものの、奥行き30cmの棚に問題なく載せられ、A4サイズ程度の面積があれば設置できる。

高さもあり大きいが、設置面積はA4紙程度あればOK
取扱説明書の他に、クリーニングブラシとペーパーフィルター(1x4サイズ)5枚が同梱されている

今回のレビューにあたり、2種類のコーヒー豆を用意した。1つは酸味・苦味・コクのバランスがフラットな中煎り豆と、もう1つは普段から好んでいる深煎りの豆だ。

ニュートラルな風味の中煎りと、苦味の効いた深煎りタイプの2種類を用意

豆の計量要らず、好みに合わせてコーヒーの風味と濃さを調整できる

「ハイエンドコーヒーメーカー」とは言っても、基本的な使い方はミル付きのコーヒーメーカーと大きく変わらない。豆を本体のホッパーに入れ、ペーパーフィルターをセットし、タンクに必要な杯数分の水を入れ、電源ボタンを押すという流れだ。

特徴的なのが、ボタン操作だけで、挽き豆の計量の手間を省き、好みに合わせてコーヒーの風味や濃さまで調整できる点だろう。それらの機能を、タイマー使用時にも活用できる。

挽き豆の量は[杯数ボタン]を押すだけで、2・4・6・8・10と計量できる。コーヒーの風味を続けて安定して淹れるのに必要な、秤もスプーンも要らない。挽き豆はセットしたペーパーフィルターに直接入るため、周囲をコーヒー粉で汚す心配も無く後始末も簡単。

挽く豆の量は[杯数ボタン]を押すごとに2・4・6・8・10杯と選択できる
挽かれた豆の様子。挽いた豆が直接ペーパーフィルターに入り、周囲を一切汚さない

豆を入れるホッパーは密閉性の高い構造が採用されており、1度に180g入る。コーヒー1杯を8gと想定しているメリタ式の場合、最低でも約22杯分の豆の量だ。ホッパー全体は透明で、豆の残りを確認しやすい。豆は3日以内に使い切るよう推奨されているが、コーヒーを淹れる度に豆を入れる手間が省けるのは便利だ。

豆を入れておくホッパー。フタの縁はシリコン製で密閉度が高い
180gの豆は、1杯8gを使うメリタ式なら最低でも22杯分だ
ホッパーに180gの中煎り豆が全部入った
透明なので残りを確認しやすい

ホッパーのそばに、ペーパードリップに適した範囲で中細挽きから中挽までの3段階に調整できるダイヤルがあり、豆の焙煎の深さや好みに合わせてあらかじめ選択できる。コニカル式グラインダーは挽目が揃い、微粉は目視ではほとんど確認できなかった。

左から中細挽き~中挽の間3段階、本体上面にあるダイヤルを回して好みの粒度が選べる。微粉がほとんど目立たない

コーヒーの風味や濃さは[コーヒー豆ボタン]を押すだけで、マイルドからストロングまで3段階に変えられる。豆の量を変えずに、好みに合わせた変化が楽しめるこの機能は、他のコーヒーメーカーにほとんど見当たらない。ハンドドリップで淹れ分けるのも簡単ではない。実際どのような変化が起こったかは、後ほど述べよう。

[コーヒー豆ボタン]で、コーヒー濃度をマイルドからストロングまで3段階選べる。操作はこれだけだが、本当に変わるのか!?

もちろん、ミルを使わないすでに挽いてある豆も利用できる。[コーヒー粉ボタン]を押せば、グラインダーは作動しない「コーヒー粉モード」に切り替わる。

写真左は豆モード時(豆マークが表示される)。[コーヒー粉ボタン]を押せば、ミルを使わない既存の挽いてあるコーヒー粉を使った抽出へ切り替えもできる(右・スプーンマークが表示)。

一度選択した[杯数ボタン]と[コーヒー豆ボタン]、豆か挽き豆かの[コーヒー粉ボタン]は、コンセントを挿している間は記憶される。次に変更が無いなら、水とポット、ペーパーフィルターをセットして電源ボタンを押すだけ、というシンプルな使い方ができる。

さっそくコーヒーを淹れてみたいところだが、その前に1つ気になる点があった。というのは、グラインダーの真下に高温のお湯が注がれるフィルター部があるというのに、ホッパーに入っている豆へ、水分や蒸気による影響はないのだろうか、という心配だ。

もちろんそのための工夫がちゃんと備わっていた。フィルター部とグラインダーの間にある、自動開閉するステンレス製の「フタ」の存在だ。

グラインダーは、挽き豆の出口の「フタ」がゆっくりと自動で開いてから始まり、挽き豆がペーパーフィルターに落ちてくる。グラインダーが停止すると、今度は湯が出てくる前にフタが自動でピタリと閉じてから抽出が始まる。挽き豆の出口にはシリコン製のパッキンがあり、抽出中の湯気や水分はホッパー側へ流れて行かない仕組みがあった。

グラインダーが作動する前に挽き豆の出口が開く。出口付近にシリコン製のパッキンが施されている(左)。グラインダーの作動中以外、フタはピタリと閉じている
お湯は3つの穴からフィルターへ注がれる。ホッパーへ繋がる挽き豆の出口はしっかり閉まったまま。湯気や水分はホッパー側へ流れない

雑味の少ない、香り高い本当に美味しいコーヒー

さっそくコーヒーを淹れてみよう。ここでは普段から飲み慣れている深煎り豆を選択しホッパーへ投入。挽きのダイヤルは真ん中の、「中細挽き」と「中挽」の間にした。豆の挽く量は4杯分、濃さはマイルドに設定した。タンクに入れた水量は4杯分だ。

電源を入れると、約8~9秒後に挽きが始まりグラインダーは約10秒で停止した。その後抽出が始まって、部屋に良い香りが漂い始める。タンクの水が無くなり、抽出音が消えてしばらくしてからブザーが鳴って電源ランプが消え、4杯分のコーヒーができあがった。かかった時間は約6分40秒だった。

設定が済んだら、あとは電源ボタンを押してコーヒーができあがるのを待つだけ
豆を挽くところから、すでに良い香りが漂う。約4杯分のコーヒーが6分40秒ほどでできあがった

できたてのコーヒーをカップに注ぎいただいた。そのコーヒーの美味しいこと! キレのある苦味とコクが口に広がり、深煎り豆らしい香りが鼻から抜ける。えぐみや雑味が感じられず、とても爽やか。温度もちょうど良い。改めて、コレ、コーヒーメーカーで淹れたんだよね? と確認してしまうほど美味しい。普段飲み慣れている豆なのに、いつもよりあきらかに美味しい。

えぐみ・雑味が感じられず、とても美味しい。透明感さえ感じられる、後味も爽やかなコーヒーができあがった

普段はブレードグラインダー(薄い刃が回転するプロペラ式)で豆を挽き、ハンドドリップで淹れていたが、同じ豆とは思えないほど美味しい。抽出後にペーパーフィルターに残った豆の様子を確認すると、表面にブレードグラインダーで挽いた時に見られるようなベタッとした粘土質の豆が残っておらず、触れても指につかなかった。

微粉は、えぐみや雑味の元となるそうだが、なるほど、業務用として使用されるコニカル式グラインダーを装備した本製品だからこその味と納得してしまった。

抽出後の豆の様子。えぐみや雑味の元となる微粉ができにくいコニカル式グラインダーのため、粘土質の豆が残らない。だから雑味の感じられないコーヒーが淹れられるのだろう。

ここで、真空二重構造ステンレスポットの保温能力も確認した。ポットはフタの注水レバーを押さないと注げない、密閉性の高い構造をしている。

4杯分のコーヒーを淹れた直後の温度は78℃。提供時の温度として適温と言っていい温度だ。計測後すぐさま半量のコーヒーを減らしてポットにフタをし、1時間後に再度計測すると、残った2杯分のコーヒーの温度は60℃になっていた。いただいてみると、まだまだ熱いと感じられる温度だ。

コーヒーは時間が経つと酸化して風味が落ちると言われており、美味しくいただくなら30分以内に飲みきるのが良いとされている。その点からも、保温性能は十分と言えるだろう。

4杯淹れた直後の温度は約80℃。半分にして1時間経過しても60℃をキープで、まだ熱いと感じられる。なお、2時間後でも50℃をキープしていた
ポットは密閉性が高く、注水レバーを押さないと(右)コーヒーは注げない

コーヒーの風味・濃度をボタンひとつで変えられる

とても美味しいコーヒーが淹れられるのがわかった次は、序盤でも紹介したアロマフレッシュサーモの「風味・濃度」を3段階に変えられる機能を試してみたい。操作は[コーヒー豆ボタン]を押して切り替えるだけと簡単だが、できあがるコーヒーは本当に変わるのだろうか。

ここでは、風味と濃度の違いがわかりやすそうと考え、酸味・苦味・コクのバランスがフラットな中煎り豆を使用して飲み比べた。淹れる量は4杯分。条件を揃えるために、1回淹れるたびにポットを洗い、次の抽出までに15分の間隔を置いた。

できあがったそれぞれのコーヒーの印象は次の通り。

【コーヒー豆ボタン1】
軽い味わいで、後味がスッキリのあっさりとしたコーヒーだった。色はやや薄く感じるも酸味が爽やかで、苦味は強く感じられない。

【コーヒー豆ボタン2】
一口目は1と大きく変わらない印象だったが、色は濃くなり、酸味と一緒に渋みも感じられるようになった。

【コーヒー豆ボタン3】
中煎り豆でありながら、1では感じなかった苦味も加わり全体的に深みが増した印象だ。色も濃く、しっかりとした味わいのコーヒー。個人的に3つの中で1番好きな風味、バランスだった。

【コーヒー豆ボタン1】酸味もあり軽い風味のコーヒーで後味も爽やか
【コーヒー豆ボタン2】色も濃くなり、酸味にコクがプラスされた印象
【コーヒー豆ボタン3】苦味も加わり、風味全体に深みが増した印象。色もさらに濃く抽出された。抽出時の香りも一番強く、とても美味しい

ボタンを切り替えただけなのに、思った以上に差がハッキリと表れて驚いてしまった。それぞれのできあがりまでの時間も計測していたが、3通りの抽出時間の差は数秒程度で、ほぼ同じ。なのに、風味と濃さの違いは何が作用したのだろうか?

そこで、改めて豆は使わずに、ポットに2杯分のお湯だけを落としてそれぞれの温度をチェックした。少ない湯量を冷めたポットに落とした温度なので抽出中の温度ではない。だが、それでも差が表れた。

【コーヒー豆ボタン1】74℃
【コーヒー豆ボタン2】76℃
【コーヒー豆ボタン3】78℃

【コーヒー豆ボタン1】74℃
【コーヒー豆ボタン2】76℃
【コーヒー豆ボタン3】78℃。1との差は4℃もある

以上のように、ポットに落ちた湯温はボタンを押す度に2℃ずつ上がっていた。2℃刻みでも、1と3の間には4℃の開きができる。同じ豆、量、挽目、水量なのに、温度の差がコーヒーの印象をガラリと変えてしまうのを実感した。改めて抽出時の湯の温度がいかに大切か、驚きとともに思い知らされた。

豆は変えずに風味と濃度が変えられるとなると、コーヒーの楽しみ方も増えそうだ。自分なら、[コーヒー豆ボタン1]は仕事の合間にいただくお茶代わりとして楽しみたい。[コーヒー豆ボタン2]は牛乳を入れて、朝の目覚めのカフェオレに合うだろう。[コーヒー豆ボタン3]は夕食の後の1杯として、ブラックでいただきたいと想像した。

タイマー機能で挽きたて・淹れたてを指定した時間に

前述しているとおり、タイマー機能でも[杯数ボタン]、[コーヒー豆ボタン]は設定した上で実行できる。

タイマーを活用する前に、現在時刻の設定をしておく。設定はとても簡単。コンセントを差し込むとディスプレイに「12:00」が点滅するので、[hボタン]で時間、[mボタン]で分を、それぞれを押して現在の時刻にセットする。なお、コンセントを抜くと現在時刻はリセットされる。

タイマーの設定は、[タイマーボタン]を押し続けながら、[hボタン]と[mボタン]を操作して希望抽出時刻に合わせる。タイマーボタンから指を離せば設定が保存される。

[タイマーボタン]を推しながら[hボタン]と[mボタン]を操作してタイマーでの希望抽出時刻を合わせる(左)。実行は[タイマーボタン]を押すだけ

タイマー実行の前に、水、豆、ペーパーフィルター、ポットをセット。さらに、豆を挽く量を調整する[杯数ボタン]と[コーヒー豆ボタン]の選択・確認もしておこう。全てを整えたら、[タイマーボタン]ポンッと押すだけ。すると、ディスプレイに2秒間の抽出予定時刻が表示され、白色のランプが点灯。タイマーがスタートする。白色のランプが点灯している待機中でも、[杯数ボタン]と[コーヒー豆ボタン]の変更は可能だ。

実際に使ってみたが、タイマー機能はやはり便利。夜のうちにセットしておけば、翌朝の身支度を整え終える頃にコーヒーができあがり、出かける前に「挽きたて・淹れたて」の美味しいコーヒーを味わえる。朝の慌ただしい限られた時間の中から、1つでも手間のかかる家事が減るだけで、気持ちに大きな余裕が生まれる。また、淹れ終わったら自動で電源が切れるので、消し忘れの心配も無用だ。

たっぷり10杯分も10分以内にできあがる

アロマフレッシュサーモは1.25Lの水を使って10杯分のコーヒーが1度に淹れられる。10杯なんて必要なさそうに感じるかもしれないが、メリタジャパンの調査によるとマグカップでコーヒーを楽しんでいる家庭が半数以上あったという。

レギュラーカップ1杯の容量は120ml程度に対し、マグカップは200ml前後。アロマフレッシュサーモなら、マグカップで楽しむ家族4人分のコーヒーが余裕で1度に淹れられる。おかわりも可能な量なので、コーヒーをたっぷり楽しみたい家族にはきっと重宝するだろう。

10杯淹れて、185mlのマグカップなら5杯飲んでもまだポットに残る
6杯目でやっとポットがカラになった。マグカップで楽しむ家庭でも余裕で楽しめる

しかも、10杯分を淹れるのにかかった時間は10分弱とかなり早い印象だ。そこで各杯数毎に、電源を入れてグラインダーが作動し、抽出が終わって電源が切れるまでを計測してみた。

それぞれの時間は、2杯が約4分30秒(そのうち、ミル停止まで13秒)、4杯は約6分40秒(同19秒)、6杯は約6分20秒(同24秒)、8杯は約8分(同29秒)、10杯は約9分40秒(同36秒)で、杯数が増える毎に速度が増す印象だ。

どうやら、豆量が少ない時は、湯を豆に十分含ませる時間を取り、豆量が増えたらお湯に浸かっている時間を減らし、雑味が出にくいように仕上げていると言えるだろう。一般的なコーヒーメーカーの消費電力が450~600Wに対し、本製品は850Wと、コーヒーメーカーの中でもパワフルだ。

なお、挽き豆を利用する場合の目安も取り扱い説明書に紹介されている。中煎り豆の場合、[杯数ボタン]の挽く量はその目安に近い量が挽かれた。

取り扱い説明書にあった、水量とコーヒー粉量の目安
今回使用した中煎り豆は、[杯数ボタン]の切り替えで目安に近い量が挽けた

説明書に近い量で挽かれたが、取り扱い説明書に「※コーヒー豆の種類や挽き方によって異なります」と記載されている。たしかに、豆の分量の調整が必要と感じる事も起こった。

それは、深煎り豆を使用した時に4杯淹れてちょうど良かったが、10杯の時はそのままいただくには、お湯で薄めたくなるほど濃く、苦味が強く抽出されてしまったからだ。中煎り豆でもその傾向は強く表れた。

ちょうどよい4杯の風味・濃さに対し、10杯はとても濃く苦味が強くなってしまった

杯数を変えてチェックしてみたが、抽出時間が長くなる8杯以上を淹れるあたりでその傾向が強まる印象だった。好みの風味と濃さのバランスで抽出されるかを、試して確認はしておくべきだろう。濃すぎると感じたら、挽き豆の量を減らしたり[コーヒー豆ボタン1]を選ぶなど、対応はできる。

それでも、濃く、苦味は強く淹れられたコーヒーでも、えぐみや雑味は少ない印象だ。そこでカフェオレやアイスコーヒーにアレンジしたが、コレがすこぶる美味しかった。

もう1つ、深煎豆を挽く時に気になる事があった。深煎豆など油分の多いコーヒー豆は、ホッパー底の傾斜が緩いためかうまく滑り落ちず、グラインダーが空回りする事があった。取扱説明書に「注意」として記載はされているが、タイマー時は特に気づかず、挽き豆の量が足りず薄いコーヒーになる事も考えられる。これは是非改善してほしい。

ホッパーの底の傾斜はやや緩やか
油分の多い深煎豆の場合うまく滑り落ちず、豆がグラインダーに入っていかないことがあった

手入れは簡単

手入れはとても簡単だ。序盤に紹介したフィルター類は取り外して、丸洗いができる。真空二重構造ステンレスポットの開口部の直径は90mmで、手を入れて中までしっかり洗える。ポットのフタも丸洗いできる。

ステンレスポットの開口部の直径は90mm。手を入れて洗浄しやすい

ミル部の手入れも簡単にできる。ホッパーは反時計回りに回転させると簡単に取り外せる。ミル歯は、挽目調整ダイヤルを「OPEN」の位置に回せばこちらも簡単に取れる。

また、コーヒー粉の通り道も手入れ可能。[コーヒー粉ボタン]を5秒長押しすると、通り道のフタが開く。付属のブラシでカスをかき出し、再度[コーヒー粉ボタン]を5秒長押しすればフタは閉じる。

ミル部の手入れは、コーヒー豆の詰まりが起こった時はもちろん、豆の種類の変更時や長期間使わない場合に行なうといいだろう。

ホッパーは簡単に取り外せる。付属のブラシで残った豆を払い落とし、乾いた布で拭き取る
挽目調整ダイヤルを回せば、ミル歯も取り外せる。付属のブラシで手入れをする
グラインダー内部には8gの豆が残る。しばらく使わない時や手入れ時は挽ききるといいだろう
[コーヒー粉ボタン]を5秒長押しすれば、コーヒー粉の通り道のフタの開閉もできる

さらに、本製品にはカルキ汚れを知らせる機能がある。正しく機能するように、住まいの地域の水の硬度に合わせて設定しておくといいだろう。

住む地域の水の硬度に合わせて設定しておく。東京は軟水なので1を選んだ。カルキが蓄積する頃合いを見計らって「CALCランプ」が点灯する仕組みがある。点灯したら取り扱い説明書に則って、カルキ洗浄を行う

アロマフレッシュサーモはハイエンドコーヒーメーカーという位置づけだけに、他よりも高価。それでも微粉のできにくい高品質のグラインダーを備え、周囲を汚さずに豆を均等に挽き、計量からも開放してくれる。好みに合わせて風味と濃さも簡単に調整でき、タイマー運転を活用すれば、「挽きたて・淹れたて」のコーヒーを忙しい朝から手軽に味わえるのは魅力的。

雑味の少ない美味しいコーヒーを、毎日たっぷり楽しみたい家族はもちろん、少人数のオフィスにもおすすめだ。「挽きたて・淹れたて」の雑味の少ない美味しいコーヒーを、より気軽に、より身近に楽しめようになるのは間違いないだろう。

挽きたて・淹れたての美味しいコーヒーをたっぷり楽しめるアロマフレッシュサーモ

藤原 大蔵