家電は共働き家庭を救うか!?

憧れの「自宅スムージー生活」時短ではなくてもお得感が強かった

息子が中1のときに初めて結婚した著者が、家電偏差値35ながらに、時短家電を使いこなす日々を綴ったコーナーです
象印マホービンの「ミルつきミキサー BM-SS10」でフルーツジュースやポタージュを作ってみました

まん延防止等重点措置(まんぼう)が解除された2022年春、久々に飛行機に乗って福岡に旅行し、欲望のままに焼き鳥、豚骨ラーメン、もつ鍋を食べていたら、胃もたれで動けなくなりました。2年の自粛生活で、胃もすっかり刺激に弱くなっていたようです。

そんな私を助けてくれたのが、ホテルの朝食のスムージー。好きな果物や野菜を選ぶと、スタッフがスムージーを作ってくれるのです。リンゴとニンジンをベースに、ケールやビーツも加えたデトックス系スムージーで胃を休めつつ栄養補給し、「家でも作れたらなあ」と思いました。そこで今回は、ジュースやスープのレシピがぐっと広がる象印マホービンの「ミルつきミキサー BM-SS10」(直販価格:12,100円)をレビューすることにしました。

野菜系スムージー、元から野菜好きのうちには必要なかった?

ミキサーが届くなり、ホテルで作ってもらったリンゴとニンジンのスムージーに挑戦しました。使い方はとても簡単で、材料を入れてダイヤルを「HI」に合わせるだけ。

だったんですが……、何も考えずに朝6時すぎにスイッチを入れて、まず爆音にびっくりしました。私が住む集合住宅は防音がしっかりしていますが、それでも不安になる音の大きさです。早朝に「HI」はやめておこうと思いました(攪拌の強さは、「LO」と「HI」の2段階あります)。

ともあれ、健康的なスムージーが完成しました。はちみつを入れているので、甘くて飲みやすいです。

ニンジンとリンゴは前夜に皮をむいて一口大にカット

別の日には、小松菜とバナナ、牛乳で健康志向のグリーンスムージーも作ってみました。ただ、リンゴとニンジンの段階でうっすら気づいたのですが、我が家は全員野菜好きで、息子の弁当のおかずも半分以上を野菜が占めています。

わざわざ野菜の皮をむいたり切ったりして、一瞬で消費してしまうスムージーにする必要はないんじゃないか? 小松菜だって弁当の常備菜にしたい。せっかくミキサーがあるので作りましたが、息子も「何でバナナジュースにわざわざ野菜入れるの?」と渋い反応。

とある日の息子の弁当。ジュースやスムージーで野菜を摂取する必要はあまり感じない……
普段から野菜多めの我が家
グリーンスムージーは定番なので作ってみましたが、弁当を作っていると葉物野菜は常備菜にしたいという思いが……

朝からスムージーで野菜を摂取、というのは、人に作ってもらったり、雑誌で見ている分には「素敵だなあ」と思いますが、実際にやってみると、慌ただしい時間にやるべきことじゃないと少し後悔しました。朝から洗い物が増えるし、リンゴ、ニンジン、小松菜も、前夜に下処理して冷蔵庫に入れていましたし。ミキサーが悪いわけじゃないです。ただ、理想と現実は全然違いました。

商品の公式サイトもリンゴと葉物野菜推しだけど、憧れと現実はちょっと違った

外で飲んだら500円、特価果物でお安くジュースに

ミキサーがあったらやりたいこと、その2は「フレッシュフルーツジュース」です。ジューススタンドのイチゴやメロンのジュースって1杯500円前後するので、自宅で似たような味をもっとお安く味わえるのではと、かねてから思っていました。

ジューススタンドで売られている高級ブランドイチゴをミキサーにかける度胸はないので、1パック298円の特価のパックイチゴを購入し、何も足さずにミキサーをオン。1分で2人分の生ジュースができました。

あまおうをジュースにする勇気はなく、298円の特価のイチゴで挑戦。でも十分に贅沢、おいしい

イチゴの粒感と甘み、酸味が感じられておいしいし、特価とは言えそれなりのお値段の果物を一瞬で飲み干す背徳感。「ごほうび」力がすごい。

しかしこれを続けるとエンゲル係数がとんでもないことになるので、普段はバナナ、キウイなどの果物と牛乳でスムージーを作ることに。はちみつや氷の代わりにスーパーで買った冷凍マンゴーを入れ、ちょっとした味変も楽しめました。

ちなみに、ミキサーの取扱説明書のレシピには全部ダイヤルを「HI」に合わせるよう記載されていますが、「HI」は掃除機以上の音が出るし、私は子供のいる早朝6時台か夜9時台にミキサーを使うことが多かったため、生ニンジンのような固い食材以外は、「LO」で攪拌しました。それで困ることはなかったです。

とことん滑らかにしたいなら「HI」の方がいいけど、私はほぼ「LO」で間に合いました。写真は公式サイトより

ポタージュなら冷凍できる

ミキサーで作りたかったもの、その3はポタージュです。我が家は全員汁物が好きで、月に何度かは鍋いっぱいの野菜スープや豚汁を作るのですが、ポタージュだったら冷凍保存ができるのでありがたい。

手始めに、かぶと玉ねぎのスープ。張り切って鶏ガラからスープを作りました。

調子に乗って鶏ガラからスープを作る。ガラに残っている肉はスープに投入
かぶと玉ねぎのスープ。ちゃんと料理をしている自己肯定感がすごい

ごぼうのポタージュは、半額になったカット済みのごぼうをスーパーで購入。特売品78円のホウレンソウで作ったポタージュは冷凍保存します。

カットごぼうが半額になっているのをゲット。材料費約200円で、大量のスープができました
ホウレンソウのポタージュ
ポタージュは冷凍保存できます

いずれも、コンソメスープやだし汁で野菜をゆでて、ミキサーにかけて、最後に牛乳や白みそで味を調整しました。いつもの野菜スープに「一手間」加える感じです。

手入れは部品を外して丸洗い。最近の調理家電は、「後片付け」はどれも楽なもん。私が子供の頃、母が「ミキサーやジューサーは後片付けが大変」と言っていて、それが今まで刷り込まれて購入を考えたことがなかったのですが、よく考えたら30年前の話なので、進化していて当然なんですけどね。

定番のビシソワーズ。1リットルほどのスープが作れます
ミキサーは各部品をばらばらにして楽に丸洗いできます

さて、本連載は、「家事の時短」をテーマにしていますが、ミキサーはうちの使い方では時短家電とは言えません。

「今ある家事を楽にする」というより、「ミキサーがあるとレシピの幅が広がる」「外食したら安くないちょっと贅沢な料理・飲み物を低コストで作れる」イメージです。

人参とリンゴのジュース、小松菜とバナナのスムージーなんかは、「ミキサーがあれば作ってみたいな」と前から思っていたけど、いざやってみると、うちには必要がなかった。日常生活で野菜不足だとか、お子さんが形のある野菜を食べてくれないとか、そういう事情がある人向けのレシピだと今更ながら気づきました。

フルーツのジュースやポタージュは、外で食べたり飲んだりすると結構高い。それを数分の1の価格で味わえるのは、「得した」感が強かったです。

半額のメロンはメロンミルクに
生クリームはイチゴのムースとポタージュに使いました

うちの子供は最近アルバイトを始めた18歳で、値段感覚も分かっているので、飲む前からテンションが上がっていました。ポタージュはスーパーで特売の野菜を使うと、食材費を抑えられるし、冷凍して保存もできます。

我が家には既に、小さなスープメーカー(兼ジュースメーカー)があり、バナナジュース1人分ならミキサーを使うより楽です。スープもやや粒感は残りますが、材料と水とコンソメを投入すれば自動で作ってくれます。ですが、ギリギリ2人分の量なので、保存もお代わりもできないのが難点でした。

レビューした象印のミキサーは機能がシンプルな分、手入れが簡単で思ったより場所も取りませんでした。「一手間系」調理家電なので、本当に忙しい時期や弁当作りでバタバタしている朝は使う気にならないですが、ジュースやポタージュを作ると家族は喜ぶし、ミキサーを使って料理をしていると「丁寧に暮らしている」感を味わえ、精神的に満足しました。ニンジンや小松菜でスムージーを作っている方々も、体だけでなく心にビタミンを補給しているのかもしれませんね。

浦上 早苗

新聞記者歴12年。2010年に小1の息子を連れ中国に博士留学。その後現地での大学教員を経て2016年に帰国。息子が中1のときに初めて結婚し、シングルマザー生活に終止符を打つ。フリーランスで経済ジャーナリスト、翻訳、MBA教員など。公私ともに何でも一人でやってきたので、効率化とマルチタスクは得意分野ですが、家電偏差値は35くらい。取扱説明書を読む時間ももったいないので、直感で動かせる電気製品、デバイスであるかは購入の重要な決め手。