家電は共働き家庭を救うか!?
豆乳もスープもジュースも作れるブレンダーで、時短や手間抜きはできる?
2020年12月25日 07:00
我が家はスープをよく作る。玉ねぎ、人参など家にある野菜と肉、ベーコンなどを入れて大量に作っておけば、朝ご飯にも夜ご飯にもなるし、栄養面でも安心だから。だからスープメーカーにはずっと興味があった。だが、なくても困るわけではないので、この数年はずっと新製品をチェックしては、欲しいものリストに入りっぱなし、という状況が続いていた。
そこに家電 Watchの編集部から「スープメーカー欲しいって言ってましたよね。豆乳もジュースもスープも作れる家電出ましたけど、使ってみます?」と紹介されたのが、レコルトの「ソイ&スープブレンダー」。その商品名の通り、豆乳が作れるのが最大のウリらしいが、スープもジュースも作れるなら悪くないだろう、ってことで、1カ月間たっぷり使ってみた。
メーカー名 | レコルト |
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製品名 | ソイ&スープブレンダー RSY-1 |
価格 | 11,000円(税込) |
自家製豆乳は「時短」と真逆の行為
レビューするにあたって、製品紹介の記事をいくつか読んでみたのだが、「家で手軽に豆乳を作れる」など、どれも「豆乳推し」。ただ、豆乳だけではニッチすぎるので、スープとジュースも作れるようにしたのだろうか。
付属のレシピも豆乳推しなので、まずは大豆を買ってしばらくは豆乳作りに勤しむことにした。大豆を数時間~半日水に付けてふやかし、水と一緒に機械にセットしてスイッチオン。これで40分ほどで完成。
ただし、自家製豆乳を作ろうと思うほど豆乳が好きな人には釈迦に説法かもしれないが、機械が豆乳を作ってくれた後は、こし布などを使って豆乳を搾るという作業が必要になる(ちなみに私は、こし布の代わりに、味噌こしにストッキング状の水切りネットをセットしていた)。
いくつかの記事にあった「スイッチを入れてほったらかしで豆乳ができる」との説明は間違いではないが、豆乳を飲むためには、さらに後工程があることは指摘しておきたい。じゃないと、「話が違うやん」と思う人が出そうだから。
ずぼらな私は、この「搾る」作業がやっぱり面倒だった。ミキサーや他のメーカーを使っても必ず生じる作業のようなので、最終的には「搾る手間をかけてまで、自家製の豆乳を飲みたい」人のための家電と言える。
もう一点の面倒事として、豆乳を搾った後には「おから」が残り、そのレシピも考えないといけない。私は山芋とチーズ、卵、めんつゆを混ぜて焼いてみたが、2回目以降は豆乳を食べ物として扱うことにした。
豆乳ボタンを押して、できあがったら再び豆乳ボタンを押す。そして飲める程度にどろどろになった液体をお椀に入れ、酢とごま油、ザーサイ、ラー油、パクチーを足して、台湾の朝ご飯「鹹豆漿(シェントウジャン)」風に仕上げるのだ。こうすると豆乳を搾るより手間なく、そこそこお腹も膨れる軽食になる。熱いうちだと、どろどろでもお粥っぽい食感として、家族もすんなりと食べていた。
具材を適当に入れて失敗なしのスープ
2つ目の機能は「スープ」だ。ジャガイモ、里芋、玉ねぎなどの野菜をざく切りにして、牛乳とコンソメと一緒に投入し、スイッチを押すと、20分ほどで味噌汁用お椀に3人分のポタージュができる。みじん切りほど細かく刻まなくていいので、結構な“手間抜き”になる。
いろいろ試した中で一番気に入ったのが、かぶと長ネギと鶏ガラスープを入れた中華スープだった。具材は全て粉砕されてスープに溶け、韓国料理店で出てくるテールスープのような風味になった。
バナナジュースは超簡単に作れる
そして高校生の子どもが好んで使っていたのが、3つ目のジュース機能だ。適当に折ったバナナと牛乳を入れ、ジュースのスイッチを押して3分で完了。お店のジューススタンドと変わらない味のバナナジュースができあがる。
私も、「冷凍マンゴー+リンゴ+ヨーグルト+牛乳」を入れたラッシー、「冷凍ブルーベリー+飲むヨーグルト」のスムージーなど作ってみた。ステイホームが長引き、ヨーグルトに添えるための冷凍フルーツを常備しているので、その時々の気分で牛乳やヨーグルトと組み合わせ、目分量でも失敗も少ない。冷蔵庫・冷凍庫に常備しやすい食材で、おやつドリンクがすぐ作れるのはコスト面でもありがたかった。
手入れが楽なポット型容器
スープやジュースを作りたいけどミキサーを買うのを躊躇する、という「躊躇」の大きな理由は置き場所と手入れの問題だろう。「ソイ&スープブレンダー」はこの2点をクリアしていた。
小型のポットなので、底の刃の部分の洗い残しだけ気を付けて、あとは通常の保温ポットと同じように手入れすればいい。ただ、豆乳を作ったときは、すぐ洗わないとこびりついて、汚れを取るのに時間がかかる。
1カ月使ってみてしみじみ感じたのが、普段意識せずに飲んでいる豆乳が、わずかな大豆と水だけでできているという事実。当たり前だ、と思われるかもしれないが、大豆が白い豆乳になる変化を実際に見ると感慨深い。
食育的な発見を得られた一方で、前述の通り豆乳を作るのは事前準備と後工程で結果的にはかなりの手間が必要になり(ここはホームベーカリーと決定的に違う)、作るたびにちょっとずつ出るおからも何とかしないといけない。豆乳を作る行為そのものが「手抜き」とは真逆であることは、覚悟しておいた方がいい。
「おうちカフェ」したい単身者や夫婦世帯に
スープとジュース機能はなかなか便利で、我が家にはその需要がある。ただ、夫婦+高校生という世帯構成なので、350mlの容量では1回飲みきりになってしまい、おいしいスープができたときに「おかわりないの?」と聞かれて「ごめん」と言うしかなかった。ジュースに至っては2人分しかできないので、夫がいないときに作って、息子とこそこそ飲んでいた。
そもそもこの家電は、自炊がほどほどに好きで丁寧な暮らしをしたい1~2人暮らしの人をターゲットにしていると思われ、容量に文句を言っても仕方がないのだが。
冷凍フルーツや甘酒、飲むヨーグルトなどをストックしておけば、カフェっぽいドリンクも作れるので、在宅勤務でおうち環境を充実させたい単身者や夫婦世帯とは相性がいいと思うし、製品付属のレシピには記載されていなかったが、離乳食にはかなり活躍しそうだと感じた。人参やレンコン、玉ねぎをざく切りにして、水や牛乳と一緒に入れれば、スイッチ一つでどろどろにしてくれるし(水分の分量で調整もしやすい)、離乳食を卒業してからも、果物ジュースやヨーグルトドリンクが作れる。料理好きな友人の出産祝いにもいいなと思った。