トピック

新興ブランドの勢いもすごい! e-bikeの盛り上がりを感じたサイクルモード

「サイクルモード東京2022」が東京ビッグサイトで4月2・3日に開催されました。コロナ禍の影響もあり、3年ぶりの開催となりましたが、今回から都内からアクセスの良い会場となったこともあって、多くの来場者で賑わっていました。

特に近年はe-bikeがサイクルモードの主役になってきており、その傾向は今回も変わらず。多くのe-bikeメーカーがブースを並べ、試乗車もたくさん用意。来場者もe-bikeに試乗する人がどんどん増えてきています。

開催を待ち望んでいた人が多かったのでしょう。開場前から多くのファンが列を作っていました
ビッグサイトの屋上に設けられたロング試乗コースでも、e-bikeに試乗する人の姿が目立ちました

主要ブランドのe-bikeをチェック!

最も多くの人が集まっていたのは、やはり「SPORTS e-BIKE EXPO」のエリア。大手メーカーはもちろん、新興ブランドもブースを出展し、試乗にも多くの人が列を作っていました。主要なe-bike関連メーカーのブースを写真でチェックしてみましょう。

多くの試乗車を用意し、引っ切りなしに人が訪れていたBESVのブース。グラベルロードe-bikeの「JG1」新カラーと、ルコックスポルティフとコラボした「PSA1」が目立つ位置に展示されていました。

7月登場予定の「JG1」の新カラー。グラベルロードバイクらしいアースカラーっぽい発色が似合います

関連記事:BESVのグラベルe-bike「JG1」をいち早く試乗してきた♪ 軽くて速くて楽しい!!

トリコロールカラーが鮮やかな「PSA1 le coq sportif Limited Edition」。日本国内では300台限定で5月14日に発売予定
このバッグもなかなかカッコいい。BESVのロゴがさり気なく入っているのもいいですね

関連記事:BESV、人気ミニベロe-bike「PSA1」がle coq sportifとコラボ。限定300台

ヤマハとパナソニックのブースには、先日リリースされたばかりの「WABASH RT」「CROSSCORE RC」、それに「XEALT M5」が出展されていました。試乗車も用意されていたので、乗ってみたい人にとっては絶好の機会になったはず。新モデルはありませんでしたが、スペシャライズドのブースは朝から試乗待ちの長蛇の列ができていました。

3色揃った「CROSSCORE RC」。試乗コースで走っている姿もよく目にしました
こちらはグラベルロードタイプの「WABASH RT」。荷物を満載したバイクパッキングっぽいスタイルが似合います

関連記事:噂以上の走りと乗り心地と機能性!! ヤマハのグラベルe-bike「WABASH RT」が欲しくなった

標準カラーと限定カラーのシルバーも並べられていたパナソニックの新e-bike「XEALT M5」

関連記事:パナソニックの新型e-bike「XEALT M5」を試乗。取り回しが良くてAUTOモードは楽しすぎた!!

スペシャライズドのブースは試乗待ちで長蛇の列が

関連記事:軽いっ!! とにかく楽しいっ!!! SPECIALIZEDのフルサスe-MTB「S-Works Turbo Levo SL」

シマノSTEPSシリーズのドライブユニットやコンポーネンツを展開するシマノは広大なブースを展開。コンポーネンツ装着例としてe-bikeが展示されていたり、e-bikeが市民権を得ていることを感じました。

グラベルロードバイク向けコンポーネンツ「GRX」の装着例として展示されていたのは、正体不明のカーボンフレームのe-bike。乗ってみたい……
個人的に気になったのがブルーノのミニベロe-bike「e-tool」。フレームと一体のキャリアにはシマノ製のクーラーボックスが装着されていました
ボックスには釣り竿も取り付けられて、釣り好きな人にはたまらなそう。「e-tool」は長距離ライドも結構快適です

関連記事:BRUNO、ブランド初のe-bikeはカーゴバイク「e-tool」。子乗せから旅まで対応

「e-tool」はダイアテックのブースにも展示されていました。こちらはチャイルドシートやボックス、トレーラーなどが装着されていてイメージが膨らみます

関連記事:【ぷーこのe-bike沼】目指すは那須。欲望まみれのe-bike旅へ!!

最近、ドライブユニットを搭載するe-bikeが急増しているバーファン。ブースには多くの車種が並べられていました。車体中央に搭載するセンターモータータイプから、車軸(ハブ)と一体となったハブモータータイプまで、幅広いドライブユニットをラインナップしているだけに、ロードバイクタイプからミニベロ、子乗せモデルまで一大勢力となっています。

バーファンブースの本気度高めのロードバイクe-bike
クロスバイクe-bike
ミニベロe-bike
幅広い車種がラインナップされています
ロカフレームは新型モデルの「HAYATE」も展示。太足系のe-bikeはほかにも複数出展されていて、試乗コースでも人気でした

関連記事:バイク? ミニベロ? これは新感覚のe-bike!? ロカフレーム「MAKAMI」に乗ってみた

新興ブランドの注目モデルを数多く発見!

主要ブランド以外にも、いくつもの新興ブランドがブースを出展。まずは今回のスポンサーにも名を連ねるHONBIKE(ホンバイク)。チェーンレスのシャフトドライブを採用し、前後とも片持ち式の20インチホイールが特徴的です。フレームも折りたたみ式です。95%がオリジナルパーツとされるだけあって、サドルなどもほかにはない形状でインパクトがあります。

カラフルな車体が壇上に並んだHONBIKEブース。デザイン的にも目を引きます
ユニークな形状のサドル、片持ち式のホイールなどが印象的ですが、チェーンレスでメンテナンスは楽そう
キャンギャルの数も多く、華やかでその点でも注目を集めていました

それでは、e-bike部メンバー的に期待の高まる新興ブランドのモデルをピックアップして紹介しましょう。

非常に気になったのは「BLULANS(ブルランス)」のブースです。ロードバイク、MTB、ミニベロの3台を展示し、どれも完成度は高そう。ロードバイクタイプは、バーファン製のセンタータイプのドライブユニット「M800」を搭載し、フルカーボンフレームで14kg台の重量を実現しているそうです。試乗した清水氏が非常に興奮していました。国内での販売は7月以降の予定だそうですが、乗ってみたくなります。

塗装の質感も高く、完成度に期待が持てるBLULANSの3台
MTBタイプはハードテイルでtrust(トラスト)製のマルチリンクサスペンションが目を引く。普通のテレスコピックタイプのフォークも選べるそうです
ミニベロタイプのモデルもセンタータイプのドライブユニットで、結構走りそうです。そして、非常に魅力的な価格になりそう

コンパクトな折りたたみモデルと、ファットタイヤを履く太足系モデルを並べていた「FUNVITA(ファンビータ)」もおもしろそうなブランド。折りたたみモデルはわずか4秒で折りたためて、その状態で押して運ぶこともできるとか。ハブモータータイプのドライブユニットを搭載しています。

折りたたみタイプの小径モデル「GX」。タイヤサイズから考えて、長距離はキツそうですが、近距離移動にはいいかも
折りたたんだ状態で、手に持って押したり引いたりすることができる設計
太足系の「MOUNTAIN」も展示されていました。こちらも折りたたみ可能だとか

変速のないシングルスピードのシンプルな造形が目を引いたのが「Musashi Velo(ムサシ ベロ)」のクロスバイク「CS01」というモデル。バッテリーも細身のフレーム内蔵式でシンプルなデザインに拍車をかけています。ドライブユニットはバーファン製とのことですが、アシスト特性を独自に見直し、緻密な制御を実現。試乗してみましたが、かなり“走る”モデルでした。

変速ギアがなく、カラーも単色のつや消しブラックで、シンプルを極めたデザイン
バーファン製のハブモータータイプですが、アシストの制御は独自に設定したとか
実際にコースで試乗してみましたが、アシストが緻密で30km/h巡航も快適。公道で乗ってみたくなりました

数少ない国産ブランドである「XROSS(クロス)」もブースを設けていました。シマノSTEPSのドライブユニットを搭載し、アドベンチャーモデルである「AX511A」をベースとした“旅バイク”がいい感じ。ハードテイルのe-MTBにマルチポジションのハンドルバーを装備し、長距離ツーリングも可能なモデルに前後キャリアを追加し、キャンプツーリングとかが楽しそう。

実際にダートを中心に100kmツーリングをしたこともある「AX511A」をベースとした旅バイク
リアキャリアを装着
フロントにもキャリアを追加し、1人分のキャンプ装備なら積めそう

関連記事:身近で楽しむe-MTBアドベンチャー。多摩川のダートを中心に100km走ってみた

e-bikeの未来を担う!? 学生が制作した電動アシスト自転車がおもしろい!!

東京サイクルデザイン専門学校のブースには、卒業生たちがデザイン・製作した電動アシスト自転車が展示されていました。太陽誘電製の電動アシストユニットを搭載し、社会課題を解決するというコンセプトのもと、どのモデルも実際の使い勝手などを考えたデザイン。

コロナ禍でイベントが中止された2年間分の車体を展示

今年度は「アクティブシニア」向け、昨年度は「女性向け」というテーマで、実際にユーザーとなる層にヒアリングを実施し、洗い出した課題に対応する作りとなっています。完成後には試乗もしてもらうとのことで、単なるコンセプトデザインでない点がおもしろい。フレームの溶接からパーツのセレクトまで、学生たちがすべて手掛けているとのことで、荷物の積みやすさに配慮した設計や、体格に合わせて乗れるフレームデザインなど、製品化したらおもしろそうなアイデアが随所に見られました。

いつか学生たちのアイデアを形にしたe-bikeや電動アシスト自転車に出会える日が楽しみです。

[東京サイクルデザイン専門学校の卒業生が製作した電動アシスト自転車]
増谷茂樹

乗り物ライター 1975年生まれ。自転車・オートバイ・クルマなどタイヤが付いている乗り物なら何でも好きだが、自転車はどちらかというと土の上を走るのが好み。e-bikeという言葉が一般的になる前から電動アシスト自転車を取材してきたほか、電気自動車や電動オートバイについても追いかけている。