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ソニー、超パワフルな着るエアコン 冷却パーツ増えて持続時間2倍

REON POCKET PRO(レオンポケット プロ)。シャツとジャケットの下に装着

ソニーサーモテクノロジーは、首元に装着して涼しさや温かさを感じられるウェアラブルサーモデバイスキット「REON POCKET PRO(レオンポケット プロ) NKPK-P1T」を5月20日に発売する。価格はオープンで、市場想定価格は29,700円前後。本体とネックバンドに、温湿度などのセンサーREON POCKET TAGを同梱したセットとなっている。

REON POCKET PRO本体
首に掛けて装着

金属プレートを背中に接触させることで、体表面を直接冷やしたり温めたりできるペルチェ式のウェアラブル冷温デバイス。レオンポケットシリーズで初めて2つの独立した冷温モジュール「DUALサーモモジュール」を採用。従来モデル比で冷温部の面積が約2倍に増えた。新開発の大型放熱ファンと、増量したバッテリーにより、従来比で約2倍の吸熱性能と、最大約2倍の駆動時間を実現。猛暑の夏に備える、より強力なモデルとして展開する。

夏は冷却、冬は温熱デバイスとして年中使える
冷却面積、吸熱性能、駆動時間がそれぞれ2倍に

なお、2024年発売の従来モデル「REON POCKET 5」(センサー付きキット直販価格19,800円)も併売。こちらはより薄型コンパクトなモデルとして引き続き展開する。

2024年発売のREON POCKET 5

既存モデルREON POCKET 5のセンサー付きキットから買い替えるユーザーに対しては、同キットに含まれるREON POCKET TAGを同梱しないセット「RNPK-P1」も販売する。市場想定価格は27,500円前後。

温熱モジュール2つでより強力冷却。吸熱やバッテリー駆動も2倍

REON POCKET PROの大きな特徴は、サーモモジュールが2つになってよりパワフルに冷却などができること。

ペルチェ素子で肌の表面を冷やし続けると、体が慣れることによって次第に冷たさを感じにくくなるという課題があった。従来モデルでは、1つのサーモモジュールで温度をわずかに上下させるという対策をとっていたが、新しいREON POCKET PROでは、2つあるサーモモジュールを、強弱つけながら交互に使うことで、よりメリハリをもって冷却。慣れにより冷たさが感じにくくなる問題を解消する仕組みになっている。

サーモモジュールを上下に2つ配置
2つを交互に駆動
室温35℃環境での体表面温度を従来機と比較

より大型な放熱ファンと、高性能な放熱の部材ベイパーチャンバーの搭載により、冷却に必要な吸熱量を従来比約2倍に進化。バッテリーも強化され、COOLレベル1では駆動時間が従来比約2倍の約34時間に伸びた。

薄型のベイパーチャンバーが効率的に吸熱
従来モデルと新モデルREON POCKET PROのパーツ比較。右下のファンは、左側が従来機、右が新モデルのもので、かなり大型化されたのが分かる

本体を装着していない状態を検知するセンサーも追加され、冷温部の状態や、装着/脱着動作をセンシング。冷却と温熱を自動で開始/停止する、AUTO START/STOPの精度が向上した。

さらに、本体の複数のセンサーと独自のアルゴリズムにより、自動で快適な状態に保つSMART COOLモード時の駆動時間も伸びた。進化したSMART COOLモードでは、装着する人の行動と温湿度、周囲環境の温湿度を推定することにより状況に応じて強い冷却を自動で行ない、パワフルな冷却を最長15時間使えるという。

基本の冷却性能を高めながらも小型サイズを維持。バッテリーの大容量化などで重量は約247g(本体とエアフローパーツのショート装着時)と、REON POCKET 5比で100g近く増えているが、大きくなった冷温部が体に沿うようにカーブした形状で、シャツの下に装着しても目立ちにくくなっている。

熱を逃がすためのエアフローパーツは、ショートとロングの2つが付属。シャツの襟の高さに応じて付け替えられる
シャツの下に装着した例。左がREON POCKET 5、右が新しいREON POCKET PRO。シャツの盛り上がりを抑えて自然な見た目に

ネックバンドもより柔軟性が高いものに改良され、先端のシリコン製バンドサポーターも備えたことで装着性を高めている。

柔軟なネックバンドで装着性も向上

本体カラーは服装になじみやすいライトグレーを採用。大型ファンの効果などで動作音は従来比50%低減している。操作はスマートフォンアプリで行なうが、本体ボタンのみでも基本操作が可能で、電源オン/オフや冷温モードの変更、レベル選択などができる。業務などでスマートフォンが持ち込めない現場でも使いやすくなっている。

アプリ画面
本体ボタンだけでも基本操作できる

外部センサーのREON POCKET TAGは、周辺環境の温度や湿度を計測し、REON POCKET本体の制御をさらにスマートにするもの。温湿度センサーのほか、照度/近接センサー、加速度センサーを備えており、周囲の温度と湿度が分かるだけでなく、周囲の状況に応じて計測の頻度を調整。無駄な電力消費を抑えながら、REON POCKET本体と連携して冷却と温熱の自動調整を行ない、より快適に過ごせるようサポートする。

REON POCKET TAGを使うと周囲の温湿度などと連携した動作ができる

REON POCKET PRO本体や付属パーツをまとめて収納できる専用ケース「RNPC-P1」も同じく5月20日に発売。価格はオープンで、市場想定価格は3,300円前後。

専用ケース「RNPC-P1」

より暑い国々でも本領発揮

ソニーサーモテクノロジーの伊藤健二 代表取締役社長は、かつてソニー社内でカメラの設計を担い、ハンディカムやαなどを手掛けてきた。4K対応など高機能化が進むにつれて課題となっていたのが熱の処理だったという。当時から培ってきた設計技術と、その後に新規事業部署で得たIoT技術などを活用し、レオンポケットの一般販売は2020年より開始。年々売上を伸ばし、ソニーサーモテクノロジーとして2024年より事業を開始している。

ソニーサーモテクノロジー 伊藤健二 代表取締役社長

同社はレオンポケットを販売するだけでなく、法人向けに温度管理とIoTクラウドサービスを組み合わせた「REON BIZ」や、急な暑さやほてりに温度調節で寄り添う「REON WIZ」というサービスも提供している。

レオンポケットシリーズは海外でも引き合いが強く、2025年は最大22カ国への展開を計画。シンガポールやドバイといった特に暑い地域において、よりパワフルな新製品であるレオンポケット プロの活躍が見込めるという。

これまでのレオンポケットの展開
海外展開をさらに拡大