家電製品レビュー

ソニーの着るクーラーは、冬には「着る暖房」としても使えた!

REON POCKET(レオンポケット)「RNP-1A」

リモートワーク推奨により、自宅で仕事をすることが増えた。弊害として、ほとんど身体を動かすことがなくなった。もともと仕事場所までは自転車で移動しているが、出勤することも取材することも減り、ほぼ引きこもり状態。そうなると脂肪が燃焼しないからか、身体の各所が冷える。

特にコタツで仕事していると、背中がゾクッとするほど冷えることがある。もちろんエアコンをつければよいのだが、自宅で一人で居るのに、エアコンもコタツもONにすることに罪悪感を抱いてしまう(と言いつつ、ただの貧乏性だ)。

そこで思い出したのが、夏に大いに話題となったソニーの「REON POCKET(レオンポケット) RNP-1A」。「着るクーラー」と謳っていたが、実は“冷やす”だけでなく“暖める”こともできる。

メーカー名ソニー
製品名REON POCKET(レオンポケット)「RNP-1A」
価格12,800円

さっそくコタツに入りながら、レオンポケットの電源をONにして、首もとにくっつけてみた。専用のシャツもあるが、サクッと使いたいので着替えるのも面倒。座椅子の背もたれと背中で軽く押さえるように、着ているシャツの中に入れると、ほどよくフィットした。

スマートフォンの「レオンポケット」専用アプリを起ち上げると、自動で本体と連携する。AUTOモードにすると、ほどなく背中がじんわりと温められていった。背中“全体”が温まっていく……とまではいかないが、時々感じたゾクッとするような寒さは、感じなくなった。

はじめは、推奨ポジションである首もとにあたるよう使った。そこが十分に温まった後は、もう少し下の……背中の真ん中あたりにくっつけて使ってみた。時々位置を変えると、より温感効果を実感できる。ただし30分ほどで、温め(WARM)モードが切れてしまうので、そのたびにアプリで設定し直す必要がある。

とはいえ、リモートワークで同じような悩みを持っている方がいれば、個人的には推奨したい使い方だ。もしかすると暖房代の節約にもつながるかもしれない。

専用シャツで着れば、外出時でも使える

いきなりメーカー推奨外の使い方を記したが、メーカー推奨の使い方と合わせて、そもそもレオンポケットが何かも記しておく。

レオンポケットは、夏にはUSBクーラー、冬にはUSBカイロとして役立てられるデバイス。USB Type-C端子を備え、USBケーブルにより充電が可能だ。

本体にはペルチェ素子と呼ばれる半導体素子が内蔵され、通電させることで冷えたり温まったりする。ペルチェ素子は、一般的なエアコンや冷蔵庫などと違い、冷却または温熱効果は高くないが、騒音や振動を発生させないというアドバンテージがある。卓上タイプや車載用、医療用などの冷蔵庫、CPUの冷却装置に多く使われているのは、そのためだ。

USB Type-Cケーブルをつなげて充電
本体裏側のパッド部分が、冷えたり温かくなったりする。パッド部分は肌にフィットしやすい素材だ

ということで、使用前にはUSBケーブルをつなげて充電しておき、使用時には、まず専用シャツを着る。本体側面の電源ボタンをONにしたら、専用シャツの首もとにある小さなポケットの中に、本体を半分ほど入れる。この時に、シャツのポケットからはみ出ている本体のパッド部分(冷たくなったり温かくなったりする部分)が、首もとの肌にピタッとくっつくように配置させる。あとはスマートフォンの専用アプリでモード選択するだけだ。すぐに首もとが温まり始める。

専用シャツの襟もとにあるポケット
専用シャツを着た状態で、本体を入れる(分かりやすいよう脱いだ状態で撮影した。ちなみに、シャツに装着してから着るのは、無理ではないが難しいのでおすすめしない)

専用シャツは、東レインターナショナル製のアンダーシャツ。素材はポリエステル90%、ポリウレタン10%で、肌に触れると始めは少しヒヤッとした感触。薄手なので、ヒヤッとした感じはすぐになくなるが、おそらく夏場の利用を意識して作られているのだろう。着心地は良く、ユニクロのエアリズムを想像すると分かりやすいだろうか。

このシャツの上にYシャツなどを着て、さらにスーツやジャケットなどの上着を着れば、「この人、レオンポケットを装着しているな」と気づかれる心配は全くない。

専用シャツにレオンポケットを装着したところ。少し分かりやすいように猫背気味にした
専用シャツの上からワイシャツを着たところ。この時点でレオンポケットの存在は分からない

自宅で座りながら使う際は、専用シャツがなくても良いが、外出時に背中を温めたい場合には、この専用シャツが必須だと言える。

襟もとにポケットが配置された専用シャツじゃないと使えないというのは不満点だが……。例えば本体にストラップを付けて、首から提げるように装着する、というのは難しかったのだろうか? う〜ん……そうして背中側を温めようとすると、首が締め付けられるような不快さを感じるかもしれない。

ポケットウォーマーとしての方が使いやすいかも

専用シャツに本体を装着して、外出時にも使ってみた。

子供と公園などへ遊びに行くと、冬でも汗をかくほど走り回らされることもある。だが逆に、なにもせずにじーっと子供を見守っていることも少なくない。そんな時には、やはり寒い。どれだけ防寒対策をしていても、ジッとしていると身体が冷えるのだ。

そんな時にも、レオンポケットを背中にピトっとつけると身体が温まる。使っていると身体中がポカポカして汗が吹き出てくるほど暑くなる……なんてことは無い。あくまでもじんわりと温かさが伝わってくる、といった印象だ。それでも、その上からダウンジャケットなどを着ていると、首の周りを中心にして広い範囲が温まってくる。

なによりアプリで操作したあとに、すぐに温まるのが嬉しい。手が冷えている時などはポケットウォーマーとしても使えて便利だ。本体を手に持ってポケットに入れれば、かじかんだ手の全体を、すぐに温められる。

また最近のアップデートで、本体を充電しながらでも使えるようになったのも特筆点だろう。連続で使える時間は30分と変わらないが、OFFになった時に「寒いな」と思ったら、また温めれば良い。モバイルバッテリーで充電しながら使えるようになったので、本体が十分に充電されていなくても、不安なく使える。

充電しながらでも使えるから、バッテリー残量の心配がなくなった

使い方は簡単

すでに夏場のレビュー記事で説明されているが、改めて簡単に使い方を説明しておく。

本体側面の電源を入れて、スマートフォンの専用アプリを起ち上げると、自動でペアリングが始まる。まもなく、アプリで前回終了時点のモード画面が開く。「WARM」で終了したら「WARM」が開く。「COOL」を利用する場合と同様に、「WARM」でも「MANUAL」、「AUTO」、「MY」の、3つのモードが利用できる。

「MANUAL」は、「1/2/3/BOOST」の4レベル(段階)で温められる。レベル1〜3の場合は、30分間の連続使用が可能。BOOSTの場合は2分間という時間制限がある。寒くて仕方がないから一刻でも早く温まりたい場合はBOOSTを使うとよいだろう。2分が経過すると自動でレベル3に引き下げられる。

「AUTO」は、「歩行や静止などの状態を本体が検知し、冷却または温熱の温度レベルを自動で調整します」と、取り扱い説明書には記されている。室内で使っている限りでは、じわぁ〜っと温まっていったかと思うと、じりじりと温度が下がっていき、またじわぁ〜っと温まっていく、というのを繰り返していった。

「MY」モードは、例えば「スタミナ(省電力モード)」や「おうち」などが用意されているほか、「WARM レベル3で10秒起動したあとに10秒停止させる」を繰り返させるなど、任意の設定が行なえるという。そこまでこだわった使い方をしないので、筆者の使い方では、あまり必要性を感じなかった。

携帯カイロのような使い方をしたい場合に、最も覚えておきたいのが「クイック起動」だ。これはスマートフォンのアプリで操作する必要がなくなる方法。設定しておけば、本体のボタン操作だけで、温め始めることができて非常に便利。

設定は簡単。画面右上の「歯車」マークをタップし、「クイック起動」を選択する。あとは、本体ボタンを押したあとに、どのモードで起動するかを「MANUAL/AUTO/MY」の中から選ぶ。例えば筆者の場合は、「MANUAL MODE」の「WARM」で、温度レベルを最大の「レベル3」で起動するように設定した。あとはアプリを起動させなくても、本体ボタンを2秒間長押しするだけで、温まり始める。

アプリ右上の設定ボタンをタップ。設定画面で「クイック起動」を選択する
起動させたいモードを選択する。筆者の場合は「MANUAL MODE」で「WARM」「レベル3」を選択した。あとはアプリを閉じても、本体のボタンを長押しするだけで、本体が温まり始める

今回は冬なので、USBカイロとしてレビューしているが、同様のUSBカイロは2,000円〜4,000円ほどで多くのメーカーから販売されている。もし冬だけ使うのであれば、レオンポケットは少し高い買い物と考える人も多いだろう。だがレオンポケットは、温冷の2通りで、4シーズン使える製品。また、こうした温めるデバイスは、壊れやすい印象が筆者にはある。そこで、ソニー製であれば1シーズンで壊れることもないだろうと期待したい。もし壊れたとしても、しっかりとしたメーカーならではの保証が期待できる。また、同種の製品の中では、抜群にデザインが良いというのも見逃せない。

河原塚 英信