家電レビュー
ソニーのレオンポケットで冬の寒さも乗り切れる? カイロ代わりにも
2025年1月16日 08:05
“着るエアコン”としても親しまれているソニーのウェアラブルサーモデバイス「REON POCKET(レオンポケット)」。暑い夏に首もとに固定しながら、体を冷やせる人気のデジタルデバイスです。スーツなどの衣服の下に装着しても目立たずに涼めるのも特徴。
そのレオンポケットには、実は寒い冬にも冷えた体を温められるスマートな「WARM MODE」が搭載されています。冬はどのように使えば快適に過ごせるのか、すべてのレオンポケットのオーナーと、購入を検討している方にWARMモードの上手な活用術を紹介します。
バッテリー残量を気にせず使える「USB給電」が便利
レオンポケットはソニーからスピンアウトしたソニーサーモテクノロジー株式会社の製品です。同社が2024年4月23日に発売した「REON POCKET 5」が最新モデルですが、2020年発売の初代レオンポケットから「COOL(冷感)」「WARM(温感)」のモードを切り替えながら使える機能があります。
本体にバッテリーを内蔵するレオンポケットはポケットサイズの“着るエアコン”としても広く知られるようになりました。選択するWARMモードの強度(レベル)にもよりますが、バッテリーのみでの連続駆動時間は最も弱い「レベル1」で約8時間、最も強い「レベル4」で約4時間です。
2020年11月5日にはUSBケーブルで本体に給電しながら使える機能がソフトウェアアップデートにより追加され、レオンポケットのバッテリー残量に気兼ねすることなく長時間使えるようになりました。レオンポケットは毎年新しい製品が発売されてきましたが、全世代のモデルにUSB給電による長時間連続駆動の機能があるのはうれしいところ。
筆者はアレルギー持ちです。ルームエアコンやガスストーブをつけると部屋の空気が渦巻いてしまうため、特に温かな昼間に自宅でパソコン作業をする際は、電気ストーブとWARMモードのレオンポケットをUSB給電スタイルで併用しながら体を温めています。
WARMモードはとても静か。重ね着も自由自在
レオンポケットの本体には電圧をかけると片側が冷えて、もう片側が温まるペルチェ素子という半導体モジュールが内蔵されています。COOLモードで稼働中には温まる側を内蔵するファンで排熱しながら冷やしています。一方、WARMモード動作中はモジュールを冷やす必要がないため、ファンが回りません。その結果、レオンポケットは音を立てることなく稼働します。
COOLモード時には、レオンポケットの本体上部に設けた放熱ダクトを衣類などで覆ってしまうと、デバイスの内部に熱がこもり冷感効果が減衰します。WARMモード時にはダクトからの排気を気にする必要がありません。レオンポケットを専用ネックバンドに装着して肩にのせ、さらに襟付きのシャツやコート、マフラーを上から羽織っても大丈夫でした。
ただし、蒸し暑い満員電車や暖房が強く効いている商業施設等でレオンポケットを「SMART COOL←→WARM MODE」にして使う時には、COOLモードに切り替わることを想定して排気を確保しておきましょう。
実は冬の間もレオンポケットのCOOLモードが意外にも活躍されているようです。筆者の周囲にも、冬にオフィスでレオンポケットを使っているという友人がいます。オフィスではエアコンの吹き出し口の近辺だけが妙に暑くなることがあったり、「共存空間が冬でも暑い」という課題を自助努力で乗り越えるためにレオンポケットが大事な役割を果たしてくれます。
筆者も海外出張の際、飛行機に乗るときには機内へレオンポケットを持ち込んでいます。機内が思いのほか寒かったり、暑かったりする時にレオンポケットでコンディションを整えています。
2023年に発売された「REON POCKET 4」から温湿度を正確に検知する専用の外付けセンサー「REON POCKET TAG」と連携して、COOLとWARMの自動調整がより正確にできるようになりました。レオンポケットを「SMART COOL←→WARM MODE」にして、デスクの周囲にTAGを置いておけば常時快適な冷温感が保たれます。
1時間以上でも連続使用したい場合は?
レオンポケットはUSB給電により1時間連続して使うと、安全のため一時停止します。1時間を越えてさらに使いたい場合は、モバイルアプリのREON POCKETなどを使って停止したレオンポケットを再稼働が可能です。
これはレオンポケットを「マニュアル」モードで使用する場合の基本的な使い方です。2023年4月に発売された「REON POCKET 4」からは、身に着けているユーザーの行動や環境に合わせてレオンポケットが温めレベルを自動調整する「SMART WARM MODE」が追加されています。
レオンポケットの「4」と「5」は動作モードをSMART WARMにするか、または冷温感の調整を自動で切り替える「SMART COOL←→WARM MODE」に設定すると、USB給電による使用時にも動作の中断を気にせずに使えます。正確にいうと、スマートモードでも1時間経つといったん本体は停止するのですが、自動的に再起動してくれるので、マニュアルによる操作の手間が省けるというわけです。
シニアの家族にプレゼントしてもいいかも
筆者には少し離れて生活している高齢の家族がいます。スマホの簡単な使い方まではなんとか覚えてもらえましたが、レオンポケットのようにスマホと連携する外部デバイスやサービスを一つひとつ知ってもらうことは困難です。かたや、冬の寒い日が続くと、高齢の家族にもぜひレオンポケットを使ってもらいたいと考えてしまいます。
帰省した時などに家族のスマホとレオンポケットのペアリングと初期設定を代行して、あとはUSB充電の方法を覚えてもらえれば、あとは家族に毎度迷うことなくレオンポケットを使ってもらえそうです。ここで大事なポイントになる機能が「クイック起動」です。
クイック起動の良いところは、都度モバイルアプリを使わなくてもレオンポケット本体のボタンを約2秒間長押しするだけで、あらかじめ設定した状態でレオンポケットをシンプルに素早く起動できることです。
REON POCKETのモバイルアプリから「クイック起動」の設定メニューを開きます。下の方にある「MANUAL MODE」をオンにして、冷温感モードは冬の温め利用の際には「WARM」、夏は「COOL」に固定します。温度レベルも熱すぎず、ぬるすぎない「レベル3」ぐらいにプリセットしておきます。スマホと連携するデジタルガジェットが苦手な方にもレオンポケットを気軽に使ってもらえるはずです。
使い捨てないパワフルでエコなポケットカイロ
レオンポケットは冷温効果を最大化するため、専用ネックバンドを使って首にかけて、首もとから効率よく体を冷やしたり温めたりできるデバイスです。WARMモードで使う際には本体をネックバンドから外して手を温めたり、タオルにくるんで膝のまわりを温める簡易的な使い方にも対応します。
こうして使っていると、睡眠時にもベッドの中にレオンポケットを持ち込んで暖をとりたくなってきます。しかし残念ながら就寝時にレオンポケットを使うことは推奨されていません。
レオンポケットはWARMモードの最高レベルである「4」に設定しても、低温やけどの原因になるほど熱くならない安全性を持っています。ただ、寝ている間も装着することを想定したデザインではないため、長時間触れている体の箇所が痛くなったり、安眠を妨げられる原因にもなりかねません。筆者も就寝中にレオンポケットを使うことはおすすめしません。
レオンポケットは正しい用途に沿って使えば、冬の間も“使い捨てない、パワフルでエコなポケットカイロ”として活躍します。この冬、多くの方にレオンポケットのWARMモードの魅力に触れてもらいたいです。