家電製品レビュー

ソニーの着るエアコン「レオンポケット2」で涼しさ実感! 新ゴルフウェアも快適

ソニーのウェアラブルサーモデバイス「REON POCKET」に最新モデルが登場。アプリの機能も進化した

ソニーから、“着るエアコン”ことポケットサイズのウェアラブルサーモデバイスに改良を加えた新製品「REON POCKET 2(RNP-2)」が登場した。2020年に発売された初代REON POCKETから進化したポイントに注目しながら、実機の使い心地を紹介したい。

充電しながら繰り返し冷温感が得られるウェアラブルサーモデバイス

REON POCKETは、本体背面のパッドを首もとなど肌に触れるように身に着けて、冷(RE)感・温(ON)感を得るためのウェアラブル機器だ。4月22日より発売され、価格は14,850円。

ソニーの社内外に芽吹いたアイデアを支えて、事業化までの取り組みを支援する「Sony Startup Acceleration Program:略称 SSAP」の活動から誕生。2020年7月1日の発売直後に、初回出荷を予定していた1万台をわずか2日間で売り切って一気に注目を浴びた。現在も人気を集めている。

背面の板状になっている冷温部には、電圧をかけると発熱・吸熱(冷却)するペルチェ素子を使ったサーモモジュールを組み込んでいる。ソニーでは小型エレクトロニクス機器にもよく使われる冷却用部品とその機構を応用して、安全性に配慮しながらREON POCKETを設計した。使用時の温度は専用モバイルアプリを使って5℃から40℃の範囲で調節できる。

冷風や温風により冷温感を生むデバイスではないものの、その機能は身に着けられる“エアコン”に例えた方がわかりやすいだろう。内蔵するバッテリーを繰り返し充電しながら何度でも使えて、しかも冷温感が減衰しない「エコで経済的な冷却シート兼ポケットカイロ」ともいえる。

REON POCKETを首もとの正しいポジションに接触させて、適切な冷温感を得るための専用インナーウェアも販売されている。

他社から出ている首掛け型のネッククーラーより薄くコンパクトで、着けていても外から目立たないのも特徴。ただ、このインナーウェアは重ね着をして使うことを前提とした肌着のような質感とデザインであるうえに、主に男性用のサイズ展開しかなかった。そのためREON POCKETを快適に使える場面、ユーザーがやや限られていた。

REON POCKETと同時に発売された専用インナーウェア。下着として開発されているためか生地がやや薄く、REON POCKETを装着するとたるんでしまう。これ1枚で外出するのはさすがに厳しい

そうした中、今年3月にソニーはREON POCKET専用のアクセサリーとしてネックバンドを発売した。このアイテムが出たことによって、インナーウェアがなくても正しくREON POCKETを身に着けて最良の効果が得られるようになった。そして、女性もこれを使えばREON POCKETを利用できる。

専用インナーウェアがなくてもREON POCKETを装着できるようにネックバンドが発売された

新しいREON POCKET 2の価格は前述の通り14,850円で、初代モデルよりも550円ほど価格がアップしている。本体の大きさやデザインは変わらないため、専用インナーウェアやネックバンドはそのまま使える。

冷却機能が2倍にパワーアップ

続いて第2世代のREON POCKETから進化したポイントについて、実機を検証しながら確認していこう。

REON POCKET 2は、内部の駆動回路を見直して、サーモモジュールにより大きな電力を送り込める設計としたことで冷却機能が強化された。従来モデルと比べて最大約2倍の吸熱性能を発揮する。

最新モデルの「REON POCKET 2」。初代モデルから外観はほぼ変わらない
左が旧モデル、右が新しいREON POCKET 2

肌に触れる冷温感プレートは、金属プレートの表面に薄いシリコンを貼っていた初代機に対して、新機種では冷温感をさらに伝えやすいステンレススチール「SUS316L」となっている。

新モデルは冷温部にステンレススチールを採用。肌に触れるとひんやりとする
左が旧モデル。メタルプレートの上に薄いシリコンが貼られていた

冷温感の調節はiOS/Android対応のモバイルアプリ「REON POCKET」から行なう。新旧機種を揃えて、それぞれに冷感レベルの数値を揃えてから効き具合を比較してみた。確かに新しいREON POCKET 2の方が冷感だけでなく、温かさもダイレクトに体の芯まで届く手応えがある。さっと冷たく、温かくなる感じだ。対して初代機はもっと“じんわり”と冷温感が伝わってくる。

筆者が去年にREON POCKETを使った感触を思い出してみると、涼しい時期は「レベル1~2」前後で十分な涼しさを感じたものだが、暑い夏本番を迎えてからは3、もしくは2分間にレベルをブーストして使えるモードの出番が増えた。それでもREON POCKETのじんわりと届く冷感がやや物足りなく感じることがあった。ガツンと効く、新機種の冷感機能を手にして迎え撃つ、今年の夏が今からもう楽しみだ。

一方で、筆者が今回REON POCKET 2をテストした時期は昼間が涼しく、夜は少し肌寒いぐらいの気候が続いていた。新機種はステンレススチールのプレートがむき出しなので、最初は首もとに装着する時にひんやりとする。寒い冬場に体を温めたい場面も含めて、先に「WARM」モードをONにして少し温めてから身に着けて、徐々にアプリから最適な温度に調整する使い方をおすすめしたい。

本体が耐汗&防滴対応に。専用ウェアも続々

REON POCKETの新機種は肌に密着する冷温感プレート、内部の様々な部品に耐汗/耐水シーリング処理を加えた。ゴルフやウォーキングなど、激しい体の動きを伴わない運動を楽しむ時にREON POCKETが使えるようになる。

冷却動作時に本体内部の熱を逃がすため、ファンを搭載するREON POCKET。空気の流れを生むために吸排気用のノズルも設けられている。こちらを塞がないようにウェアを身に着けることが効果的な接触冷感を得るためのコツ

ソニーではまた、スポーツ系アパレルメーカーなど外部のパートナーがREON POCKET対応のウェアやアクセサリーを開発・販売できるようにライセンス提供を始める。

ライセンスの要件には、REON POCKET対応の衣類をデザインする場合の基準が次のように記されている。ひとつは冷却機能を損なわないように本体の吸気・排気に配慮すること。そしてもうひとつは、本体を格納するポケット部分に黒、または黒に近い「吸熱しやすい色」を使わないことだ。この2つの要件をクリアできていれば、開発した製品に「REON POCKET CERTIFIED」のロゴを付与して販売できる。

ソニーがREON POCKETのために開発した専用インナーウェアは、先に触れた通り見た目が肌着なので、夏の暑い日にも上からもう1枚シャツを着なければならない。せっかくREON POCKETで冷感を得ながら、重ね着で汗をかくというある種の無駄が生じてしまう。専用ネックバンドのほかにも、REON POCKET対応のスタイリッシュに着こなせるシャツが揃えば着こなしの幅が広がる。

最初にREON POCKETに対応する衣類を発表したブランドはデサント、エストネーション、エディフィスだ。各社ともにREON POCKET 2の発売以降順次、ブランド商品を展開する取扱店舗に並べ始める。今回はデサントゴルフが商品化したREON POCKETに対応するゴルフウェアを借りて試着してみた。

デサントゴルフのスポーティなREON POCKET対応ウェア

素材はポリエステル75%、ポリウレタン25%。伸縮性に富んださらっとした肌触りの生地で、吸汗・速乾性能も良さそうだ。脇の箇所がメッシュ状になっていてウェア自体の通気性も良い。

REON POCKET CERTIFIEDの要件に沿って、REON POCKETを装着した状態で本体の上下からの排気がスムーズにできるように小さな孔が設けられている。本体の内部に新鮮な空気を循環させることができ、結果としてREON POCKETによって得られるベストな涼感が長続きする。

ウェアのポケット部分もつくりがしっかりとしていて、デバイスを装着した状態でたるんで不格好にみえることもない。なお筆者が試したこのデサントのウェアは初代のREON POCKETにも使えるので、初代機のユーザーもぜひ試してほしい。

背中にREON POCKETを収納できるポケットがある。濃紺の基本カラーに対して、REON POCKET CERTIFIEDの要件に沿う形でポケット部分には吸熱しにくい色の生地を使っている

使いやすくなったアプリ。新たにゴルフモードも

モバイルアプリのREON POCKETにもユーザーインターフェイスを改良、機能が追加された。iOS/Androidの両アプリがアップデートの対象となり、ハードウェアも新旧REON POCKETがともに対応する。

右側がアップデート後のREON POCKETアプリ。左側が以前のバージョン。ユーザーインターフェイスが大きく様変わりした

レイアウトを一新したアプリのホーム画面はトップに「COOL」「WARM」のモードを切り換えるタブが並ぶ。従来COOLモードの中に組み込まれていた「FAN」はタブを切り分けてここに配置した。

冷温感ともに4つの段階からレベルを調整できる。レベル表示がはっきりと見やすくなった
ファンだけを動かすモードはタブを切り分けた

REON POCKET 2では、COOLとWARMのそれぞれに搭載していた「BOOST」機能がなくなった。代わりに最高レベルの「4」を設けてユーザーが設定した任意の時間使えるようにした。なお初代REON POCKETの場合、アプリがアップデートされた後も引き続き3段階の強度調整とBOOSTの組み合わせになる。

動作状態がモニタリングできる画面を加えた

4つめのハートマークのタブメニューは従来「COOL」と「WARM」、「設定」のそれぞれからアクセスができた「MY MODE」だ。この機能を活用すると、例えば「WARM(5秒)→停止(10秒)→COOL(5秒)→停止(10秒)……」といった連続する動作プログラムをユーザーが自身で設定できる。

このMY MODEの画面が大きく変わった。従来はトップに並んでいた「おすすめプリセット」を、「スタミナ」と「おうち」のそれぞれにCOOL/WARMのモードを設けた4種類に絞り、あとはユーザーが任意に動作を決められるカスタムモードを揃えた。

さらにその下にスクロールするとふたつのゴルフモードがある。朝・日中ともに、1時間「COOL」モードを継続的に使えるように最適化されている。本体内蔵バッテリーだけで1時間の連続運転が心許ない場合は、昨年11月に実施されたソフトウェアアップデートによりREON POCKETが「USB給電」により動作できるようになった。モバイルバッテリーをケーブルでつないで、REON POCKETを身に着けるという手が使える。

MY MODEも表示をリフレッシュしている
新たに早朝・日中の2種類を設けたゴルフモードが加わる

ただ、この場合はラウンド中頻繁にREON POCKETの本体からケーブルを外したり、あるいは身に着けているREON POCKET自体を毎度外す手間がかかりそうだ。補助的なバッテリーを積み、REON POCKETと合体して使える「ゴルフ用ネックバンド」のようなものもアクセサリー化されれば好評が得られるかもしれない。

アプリにはもうひとつ「COOL」モードのみに新設された「WAVE」モードがある。こちらをONにすると、REON POCKETが冷感を「1から4の間」の強度で自然なゆらぎを付けながら動作する。REON POCKETが触れているユーザーの肌の温度をモニタリングしながら、冷えすぎないように自動調節しながら冷感を長続きさせる。少し長めの通勤時間中に冷感を持続させながら使いたい場面で役立つだろう。ちなみに画面右上にあるREON POCKETのアイコンをタップすると、本体の動作状況と冷温感の目安がグラフとテキストにより確認できるようになった。

自動で冷却の強度を上下させるWAVEモード
あらかじめ動作状態を決めて、本体のボタンを押すだけで素早く冷温効果が得られるクイック起動の機能も引き続き使える

今後はガジェットからヘルスケアデバイスへ広がる?

涼んだり暖を取るだけでなく、今後に向けてヘルスケアの領域にも一歩踏み込んだREON POCKETの使い方を模索する動向も見えてきた。治療や健康増進のために効果的な活用方法が拓けてくれば、より多くのユーザーがREON POCKETの恩恵を受けられるだろう。

最後にREON POCKETのユーザーとして、本機の次の進化として期待することをまとめておきたい。

もはや時間の問題だと思うが、アパレル系パートナーには早く「女性用のREON POCKET専用ウェア」を発売してほしい。ヨガやピラティスをたしなむ妻もREON POCKETを気軽に使えれば、理解を深めてもらえるのではと思っている。

また、冬の寒い時期にREON POCKETを使ってみて、左右の肩に本機を当てながら体を温めたいと思うことがあった。現在は1台のスマホアプリに対してペアリングしながら操作できるREON POCKETは1台に限られている。あらかじめセットしたモードで電源投入直後に冷温動作ができる「クイック起動」を使えば2台同時に身に着けて使うこともできるが、それよりもサーモモジュールの大きさや形状を変えて、肩にのせたり、腰に装着して患部を温められるREON POCKETのバリエーションが作れないものだろうか。今後の多彩なハードウェアの展開にも期待したい。

山本 敦