ミニレビュー

コーヒーの蒸らし不要って本当? ハリオの簡単ポットでおいしさ安定しました

ミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです
ハリオ「お手軽コーヒーポット 1st」でコーヒーを安定して淹れられるのか、実際に使ってみました

「今日のコーヒー、なんだか昨日と味が違う……」

ハンドドリップでコーヒーを淹れるコーヒー好きなら、誰しも一度は感じることではないでしょうか。

淹れ方次第で“味が変わる”のは面白いですが、言い方を変えれば“味が安定しない”ということ。

その悩みを解決してくれるという画期的な製品が、ハリオ(HARIO)から登場しました。

大きな特徴として、ドリップに必要とされる蒸らしが不要とのこと。実際に使ってどんな味わいになるのか、使ってみるとその良さがわかったので、お気に入りのポイントを紹介します。

ドリッパーにサーバー、レシピもついてくるスターターセット

ハリオの「お手軽コーヒーポット 1st」(2,200円)は、その名前の通り、初心者でも簡単に安定したドリップコーヒーを楽しめることを目指したセットです。

ドリッパーとサーバーのほか、すぐにコーヒーが淹れられるようペーパーフィルターもセットになっています

内容はドリッパーとサーバーに加えて、ペーパーフィルター40枚、オリジナルレシピが同梱されています。

最大の特徴は、「お湯を1回注ぐだけで安定した抽出ができる」点にあります。

通常のハンドドリップでは、蒸らしから複数回に分けて注湯が必要ですが、このコーヒーポットでは「必要量のお湯を40秒かけて1度に注ぐ」だけでコーヒーが抽出できるとのこと。ハリオは「蒸らし不要、約40秒での一投抽出で簡単に美味しいコーヒーが淹れられます」と説明しています。本当にそれでおいしいコーヒーが淹れられるのか、気になるところです。

「お手軽コーヒーポット 1st」に付属するドリッパー

一度でそれだけの量のお湯を注ぐと、ドバドバとサーバーに落ちてしまいそうなものですが、この方法を実現するのがハリオのドリッパーです。

ポイントは、ドリッパー内側に設けられた星形の溝。そこを伝ってゆっくりと抽出されるという仕組みになっています。ちなみに、これは「V60 1回抽出ドリッパー MUGEN」(880円/税込)と同じ構造と思われます。

「V60透過ドリッパー」(写真右)では、ペーパーとドリッパーの間に空間を作るスパイラルリブを採用しています

ハリオのドリッパーは一つ穴を採用していて、お湯を素早く注ぐことでスッキリとした味わいに、逆にゆっくり注げば深みのある味わいに抽出できます。それが楽しいところではありますが、一方で安定した抽出には技術が必要です。

ハリオの「V60コーヒーサーバー450」+「V60透過ドリッパー」の組み合わせ(写真右)と比較すると、少し高さはありますが、その分スリム。置き場所に困ることはなさそうです

特殊構造により技術の差によるブレを抑え、誰でもムラのない味わいを実現できるようになっているのが、このドリッパーを採用したコーヒーポットの一番の魅力といえるでしょう。

手間なく安定した味わい!実際にコーヒーを淹れてみた

それでは、本当に安定した抽出が可能なのか? 実際に淹れてみました。

「お手軽コーヒーポット 1st」で淹れたコーヒーは、全体的にまろやかな味わいに

エチオピア(中深煎り)を使用したところ、V60透過ドリッパーで淹れたときより酸味とボディ感が控えめで、すっきり飲みやすい印象に。ケニアの深煎り豆も、酸味が角立たず、まろやかな仕上がりになりました。

よくコーヒーの味を酸味/苦み/甘さ/コク/香りといった五角形のチャートで示すことがありますが、豆の特徴は残しつつも、その五角形を一回り小さくしてフラットなバランスになったように感じられました。

40秒をかけて、ゆっくりと渦を描きながらお湯を注いでいきます

抽出のコツは「お湯を40秒かけて、中心から渦を描くように注ぐ」こと。一定の速度で注湯することに慣れれば抽出に失敗することはなくなります。

また、試しに30秒で注ぎきってみると、同じケニアの豆でも酸味がより少なくなり、苦みが出ました。つまり、あえて速度を変えることで味わいを微調整できる余地もあります。

そして、200ml(2杯用)のコーヒーが抽出されるのに、およそ2分30秒かかりました(注湯40秒+落ちきるまで1分50秒)。一般的なハンドドリップと大きな差はありませんが、こちらはケトルを持っている時間が短いので、手首への負担が少ないのは嬉しいところです。

お湯を注いだら放置でOK、使い勝手の良さも◎

お湯を注いだあとは目を離していられるのもポイント。一般的に、ハンドドリップではコーヒーが落ちきるまで待たずにドリッパーを外す方がいい(そうしないと渋みやエグみが出てしまう)とされていますが、このコーヒーポットでは「コーヒーが落ちきったら出来上がり」としています。

抽出が終わったあと、コーヒー粉はきれいなすり鉢状に

その説明通りに淹れてみた結果が、上述したようにスッキリとした味わいなので、ドリッパーの構造が優れているのでしょう。

サーバーのメモリを有効活用することで、より簡単にコーヒーが淹れられるように

サーバーには「必要なお湯の量」と「抽出後のコーヒー量」の目安がプリントされており、計量カップいらずで準備がスムーズ。200mlのコーヒーを淹れるなら、サーバーの240mlラインに合わせてお湯を用意すればOKです。

サーバーの口は広いですが、持ち手の部分は手が入らない細さなので、洗うときには工夫が必要かも

サーバーは電子レンジ対応で、残ったコーヒーを温め直したり、カフェオレ作りにも活躍します。ドリッパーとサーバーは分離式なので洗いやすいですが、底までは手が届かないため、柄付きスポンジを使うのが安心です。

もっと気軽にコーヒーが楽しめるようになる

ハンドドリップのハードルを大きく下げてくれるアイテムです

「お手軽コーヒーポット 1st」は、手間をかけずに安定した味のコーヒーを楽しめるスグレモノでした。

ハンドドリップならではの楽しさを感じつつ、味のブレが少ないのが大きな魅力です。また個人的には、抽出中に付きっきりでなくてもよいので、ちょっとした合間にサッと淹れられるのが気に入りました。

忙しい朝にも気軽にコーヒーが淹れられて、失敗も少ない。初心者はもちろん、コーヒー好きへのプレゼントとしても喜ばれるアイテムだと思います。

小岩井 博

カフェ店員、オーディオビジュアル・ガジェット関連媒体の編集・記者を経てライターとして活動。音楽とコーヒーと猫を傍らに、執筆に勤しんでいます。